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【医師解説】交通事故の後、病院は何日以内に行けば大丈夫?

監修記事

puruco

医師

交通事故後、警察への届け出のみでは物損事故の扱いとなります。人身事故への切り替えは診断書を用意し、別途申請が必要です。

また、事故から2週間を過ぎると、警察が事故との因果関係はないとみなし、診断書を受理しない可能性があります。

このため、交通事故後は病院には遅くとも10日以内に受診する必要があります。

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交通事故にあったらまずは病院・整形外科を受診

交通事故後は、まず整形外科を受診しましょう。

整骨院・接骨院ではレントゲン検査や診断書の発行はできないため、病院の受診が必要です。

交通事故通院における整形外科と整骨院の治療内容の違い

▲交通事故通院の病院と整骨院の治療内容の違い

また、複数の箇所にわたって症状があっても、整形外科の医師が追加で受診の必要そうな科を考えてくれます。

大きな病院の救急外来でも対応は可能ですが、診察医師の入れ替わりが多いので、整形外科を受診した方が安心です。
参考交通事故で病院は何科に行くべき?診断書を取るべき理由とは

病院を受診したら診断書を書いてもらう

交通事故治療における診断書の内容と役割

▲交通事故治療における診断書の内容と役割

交通事故後、警察に届け出するための診断書には、特定の書式はありません。しかし、事故日と受診日の記載は必須です。

また、診断書の発行には、文書料が別途かかります(3,000~5,000円程度)。そのため、たとえ交通事故であっても、病院で自動発行はされません。受診する時に、受付で診断書の発行を前もってお願いしておくとよいでしょう。

先に伝えておくことで、事故時の状況の詳細や、その状況から今後起こるかもしれない症状についての受診時の評価が、より念入りにカルテに記録されます。後で何らかの症状が出た場合でも、事故との関係性が証明されやすくなります。

参考診断書の提出先や期限について詳しく知りたい方はこちら

痛みがなくても病院を受診すべき理由

痛みがなくても病院を受診するべき理由は大きく3つあります。

  • 交通事故の直後は痛みを感じにくいこと
  • 交通事故による怪我や後遺症は目に見えるものだけではないこと
  • 事故の届出を人身に切り替えていない場合、十分な慰謝料や損害賠償を受け取れない可能性があること

が理由になります。

それでは詳しく解説していきます。

1.交通事故の直後は痛みを感じにくい

交通事故にあった直後は、事故に遭った精神状態や物理的なダメージなどのストレスにより、自律神経(交感神経)の働きが一時的に強くなります。

自律神経の働きが強まると、エネルギーを消費しながらアドレナリンが大量に分泌されます。アドレナリンは局所麻酔薬としても使用されているので、痛みを感じにくくなります。

むちうちが交通事故後すぐに痛みとして現れないことがある理由は?

▲むちうちの症状が事故後すぐに出ない理由

長い間、交感神経の働きが強い状態だと消耗してしまいます。事故から時間が経ち、落ち着くにつれて交感神経の働きは元に戻り、徐々に痛みを感じるようになるのです。

実際に、「交通事故病院」にご相談頂いた方の中でも、事故直後には感じなかった痛みを時間の経過と共に感じるようになった方も多くいらっしゃいます。

例えば、停車中にバスがバックし衝突されてしまったパブロウさんのケースでは、翌日になって違和感が現れたという事です。

パブロウさん:
「事故にあった翌日の朝になってから、身体に違和感を感じました。

事故により身体にダメージを負っていたのだと思いますが、事故直後は痛みを感じませんでした」

バスによるバック事故 仕事でお客様を送迎中に…<交通事故の体験談>

その他にも、やぎぞうさんのケースでは、翌日に首の痛みが出現し、段々と違う箇所も痛みが出てくるという方もいらっしゃいました。

やぎぞうさん:
「事故の翌日にむちうちの症状が現れました。

最初は首の痛みだけでしたが、徐々に肩周りにも痛みが広がっていきました」

公用車でもらい事故 停車中に追突され…<交通事故の体験談>

2.交通事故の怪我は目に見える症状だけではない

交通事故後の怪我で、ぱっと思いつくのは骨折やむちうちなどの症状ではありませんか?

交通事故により現れた症状

▲交通事故により現れた症状のアンケート結果

実はその他にも目に見えない怖い後遺症がたくさんあります。

特に頭に関しては、複雑なパターンがあります。
交通事故で頭を直接ぶつけた場合、頭蓋骨の外側の出血だけでなく、頭蓋骨の中で出血することがあります。これには大出血をしてすぐに脳にダメージが加わるもの、時間をかけてじわじわ出血が広がるものがあります。

また、むちうちが起こるくらい強いダメージの場合、直接頭をぶつけていなくても脳の神経のコードがネジ切れてしまうこともあります。また、これと同様に耳の細かい構造にもダメージが加わることがあります。

これらの場合、時間をかけて手足の麻痺の症状が出てきたり、うつや記憶障害認知症のような症状やめまい感などが出てきたりすることがあり、交通事故の13~30%に起こりうると言われています。

3.充分な慰謝料や損害賠償を受け取れない可能性もある

このように事故から時間が経過し徐々に症状が出現することがあり、その割合も少なくないため、人身事故の報告は必ずするようにしましょう。

うつといった脳の機能の問題の場合、事故との直接的な関係の証明が難しいケースもあります。その場合は、症状があっても十分な慰謝料や損害賠償を受け取れない可能性があります。

医学的な観点での交通事故の記録のためにも、必ず事故直後に病院を受診しておきましょう。

後から痛みが… 病院は何日以内に行けば大丈夫?

交通事故の直後は何も症状がなくても、時間の経過で徐々に痛み、めまいやそのほかの症状が出ることがあります。

事故直後に病院へ行くのはもちろん、後から症状が出た場合はその時点で一度病院に行きましょう。

早く対処した方が治療の効果が得られやすいのはもちろん、受診が早いほど事故と症状の直接的な関係性を証明できる可能性が上がります。

病院受診の流れ

事故直後に病院を受診した時は、怪我をした状況を考慮しながら、明らかに怪我をした部位を中心にレントゲンを撮ります。

明らかな骨折などの異常がなければ、その時点でCTなどの追加検査をすることはありません。必要以上の放射線被ばくを避けることが主な理由です。

交通事故後に行われるレントゲン検査とCT・MRI検査の違い

▲交通事故後に行われるレントゲン検査とCT・MRI検査の違い

時間の経過で後から怪我をした部分に痛みが出たり、腫れて動かしにくくなったりした時点で、レントゲンではわかりにくい骨折やヒビがあった可能性が考えられるようになります。大きな骨折に比べ、小さいヒビの場合は数時間経ってから徐々に腫れてくることが多いです。

実際に手関節などの多数の小さい骨が多い場所は、骨同士の重なりのためレントゲンだけでは骨折が見えにくい場合もあります。

事故の状況やその後の症状で骨折などが疑われる場合は、追加でCTやMRI検査を行って初めて骨折や神経の障害がわかることも多いです。

また脳の症状の変化については、時間の経過で徐々にCTやMRIの変化がはっきりすることもあります。そのため、症状が出た時点で病院を受診する必要があります。

特に高齢の場合は、動脈硬化などで脳にすでに何らかの症状による変化がある場合が多く、事故の経過で出現した症状と変化を照らし合わせる必要があるからです。

日数に関係なく新しい症状が出た場合は可能な限り早く病院に行きましょう。

関連記事交通事故の検査は念のため受けた方がいい?検査費用や慰謝料も解説

交通事故の治療費の支払いは保険会社それとも加害者?

自動車に関係する保険には、強制保険と任意保険があります。

強制保険(自賠責保険)では被害者に対して最大で120万円、後遺障害や死亡の場合でも数千万円までの補償となり、実際それでは不十分な場合が多いです。

このため通常、運転者は任意の自動車保険に加入し、そこから不足分が補填されます。

交通事故後の治療費の種類は時間の経過で大きく3つにわけられます。

1.事故直後

事故直後は、自賠責法に基づき加害者の自賠責保険から支払われ、不足分は加害者が加入している任意の保険会社から支払われます。

2.通院開始から6か月経過(回復期にあたる6か月を過ぎ残っている障害)

事故直後に受診した診断書とは別に、後遺障害診断書を発行した上で障害の等級に応じた補償金の支払いは加害者およびその保険会社から支払われます。

3.6か月以降(②以降)

6か月以上の通院が必要な場合は、身体障害者福祉法に基づき被害者の医療保険や介護保険を用い個人負担の治療費が発生します。

また、被害者に過失がある場合は、過失とされる割合分は被害者が負担します。
この過失割合は警察ではなく当事者の加入している保険会社が、過去の事例と照らし合わせて決めます。

自賠責法では治療費以外にも、休業損害逸失利益に対する補償も、加害者および加害者の加入している保険会社から支払われることになっています。

弁護士監修交通事故で症状固定と言われたら?後遺障害も解説

事故から10日以内には人身事故への切り替えを

物損事故と人身事故の違い

▲物損事故と人身事故の違い

交通事故の後は、時間が経ってから症状が出ることがあります。

その症状は痛みやしびれ感など自分自身で判断がつけられるものや、うつや認知症といった自分自身では判断がつきにくいものもあります。

また、検査ではっきりと異常がわかる症状だけでなく、はっきりとはしないものの、事故の状況や症状である特定の部位に見えない異常が起きていると診断するものもあります。

こうした症状が出たときに人身事故との関係を証明するためにも、事故の報告に加えて10日以内の病院の受診と診断書の発行、人身事故への切り替えは必要不可欠です。

物損事故から人身事故へ切り替える方法

交通事故後は、加害者はもちろん被害者であっても、車両を運転・同乗していれば警察への報告が義務付けられています。また、届け出のみでは物損事故の扱いになります。

物損事故から人身事故へ切り替える手順・流れ

▲物損事故から人身事故へ切り替える流れ

人身事故へ切り替える場合は、事故処理を行った警察署の交通課に人身事故への切り替えを希望する旨を連絡します。

必要書類は主に診断書(事故直後に受診した病院から発行されたもの)や免許証などの身分証明書になりますが、必要に応じて事故と関連する資料の提出を指示される場合もあります。

この後、加害者と被害者の取り調べや当事者立ち合いの実況見分をもって実況見分調書が作成され、切り替えが可能かどうかを警察が判断します。

弁護士監修物損事故と人身事故の損害賠償の違いとは?

交通事故にあったら10日以内に病院を受診しましょう

交通事故によるむちうち等の症状で整形外科と整骨院を併用通院した期間

▲交通事故によるむちうち等の症状で通院した期間の集計結果

交通事故の直後はこれといった症状がなくても、後からいろいろな症状が出る可能性があります。また、軽いと感じた症状で思わぬ通院期間となる場合もあります。

何かあった場合の、自分自身の健康や働けなくなった場合のことまで考えてみませんか。

症状がないのに大げさかもしれないなど気を揉む必要はまったくありません。自分自身や周りの人を守るためにも、交通事故後は遅くとも10日以内には病院を受診しましょう。

この記事を監修したのは…

医師免許取得後、総合病院の脳神経内科に勤務中。病院勤務のかたわら、高齢者の就労支援にも従事する。
現在は、専門的な医療知識をわかりやすく共有するため医療系ライターとしても活動中。

この記事の執筆者

医師 / puruco
医師免許取得後、総合病院の脳神経内科に勤務中。病院勤務のかたわら、高齢者の就労支援にも従事する。 現在は、専門的な医療知識をわかりやすく共有するため医療系ライターとしても活動中。

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