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交通事故で通院したら慰謝料はいくらもらえる?計算方法も解説<弁護士監修>

監修記事

五十部 紀英

弁護士

交通事故で怪我をして通院すると「実際のところ慰謝料はどのくらい出るの?」と気になると思います。

この記事では、

・交通事故で通院したら1日あたりいくらの慰謝料がもらえるの?
・整骨院の通院は1日いくらになるのか?
・慰謝料はいつまで請求できるものなの?

など、交通事故による通院と、それにまつわるお金の話の解説をしています。

そもそも慰謝料とは、何らかの原因によって精神的苦痛を受けたとき、その精神的苦痛をお金に換算したものです。
交通事故(人身事故)では、身体的な傷害だけでなく、精神的苦痛も受けるため、慰謝料を請求することができます。

例えば、自賠責保険の入通院慰謝料の場合、通院1日あたり4,300円が請求できます。

今回は、交通事故による怪我で通院する方へ向けて、通院1日あたりの慰謝料がどのくらいか順を追って説明していきます。

慰謝料の算定基準

はじめに、交通事故によって請求できる慰謝料の種類を紹介します。

  • 傷害慰謝料
  • 後遺障害慰謝料
  • 死亡慰謝料

これらの金額は、以下の3つの基準で割り出され、慰謝料が支払われます。

  • 自賠責基準
  • 任意保険基準
  • 弁護士基準

3つの基準を知っておくことは、慰謝料をスムーズに請求するためにも大切です。
では、1つずつ解説していきます。

自賠責基準

私たちは車を運転する際、法律で「自賠責保険」への加入が義務付けられています。

自賠責基準は、自賠責保険で慰謝料を割り出す際に活用されます。

自賠責保険では、被害者の過失が100%だと判断されると、慰謝料を請求できません。

また、被害者の過失が70%以上100%未満の場合は、その過失割合に応じて、慰謝料が減額されます。このことを「重過失減額」といいます。

自賠責基準の上限補償額は、以下の通りです。

  • 傷害による損害…120万円
    入通院費、治療関係費、休業損害、慰謝料などを含めた上限額
  • 後遺障害慰謝料…4,000万円<1級(要介護)の場合>
    認定された後遺障害の等級によって変動し、後遺障害の逸失利益・慰謝料を含めた上限額
  • 死亡による損害…3,000万円
    亡くなった本人や遺族への慰謝料、葬儀費用、逸失利益などを含めた上限額

入通院することになった場合、1日あたりの入通院費に加え、治療関係費や休業損害なども請求できます。

上限額を超えた分は、加害者の直接負担、または任意保険による支払いとなります。

任意保険基準

任意保険基準とは、加害者が任意で加入している保険会社(自動車保険会社)が、慰謝料を割り出す基準にしているものです。

基準は、保険会社によって異なり、基本的に公表されていないため不明です。

以前は、すべての保険会社が共通して「旧任意保険基準」を用いて割り出していましたが、現在は廃止となっています。

保険会社は高額な示談金を支払うと、自社の利益を損ねる可能性があるため、自社で定める支払い基準に基づき、低額な示談金を提示する場合が多いです。

そのため、提示された金額をそのまま鵜呑みにせず、どのように計算されたのかなどの確認をすることが大切です。

弁護士基準

弁護士基準とは、弁護士が過去の判例をもとに、慰謝料を割り出す基準です。

裁判が行われた場合も、弁護士基準が用いられます。この場合、「裁判所基準」と呼ぶこともあります。

加害者が加入している保険会社との示談交渉を、弁護士に代わってもらうことで、自賠責基準や任意保険基準よりも、高い慰謝料を請求できる可能性があります。

被害者自身での示談交渉は、知識が不足しており、相場より低く見積もられるかもしれません。

さらに、治療に専念できないデメリットもあります。

しかし、知識が豊富な弁護士に依頼すれば、適当な慰謝料を請求でき、治療にも専念できます。

弁護士への相談は、ハードルが高く感じると思いますが、電話で気軽に相談できるので一度相談してみましょう。

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入通院1日あたりの傷害慰謝料

入通院1日あたりの傷害慰謝料は、割り出す基準によって異なっています。

自賠責基準が最も低額であり、任意保険基準、弁護士基準の順で慰謝料が高額になっていきます。

次に各基準ごとに、入通院1日あたりの傷害慰謝料について説明します。

自賠責基準での入通院1日あたりの傷害慰謝料

自賠責基準では、「1日あたり4,300円×入通院日数」の慰謝料を請求できると決められています。

入通院1日あたり4,300円という基準は、2021年4月1日の自賠責保険支払基準の改訂によって定められました。

なお、2020年3月31日以前の事故では、改訂前の1日あたり4,200円の基準で請求することになります。

また、入通院日数は以下の2つのうち、日数が少ない方が適用されます。

  1. 治療期間(事故日~完治日または症状固定日までの日数)
  2. 実入通院日数(入院日数+実際に通院した日数)×2倍

下記のケースを例に、具体的な計算をみていきましょう。

・2021年4月1日の交通事故で通院することになった。
・4月4日から13日までの10日入院、6月4日までの期間(60日間)に通院を30日し完治。

上記の場合では、次の通りに計算できます。

  1. 治療期間:3日+60日=63日
  2. 実入通院日数の2倍:(10日+30日)×2=80日

この場合、①の63日が適用され、傷害慰謝料は「4,300円×63日=27万900円」となります。

任意保険基準・弁護士基準での入通院1日あたりの傷害慰謝料

任意保険基準は、保険会社によって異なり、その実態を確認することはできません。

弁護士基準は、重症と軽症の場合に分けた算定表を活用し、傷害慰謝料を計算します。
自賠責基準や任意保険基準と比べ、高額になる場合が多いです。

任意保険基準での入通院1日あたりの傷害慰謝料は、過去に用いられていた「旧任意保険基準」を参考にすると「4,200円」となり、改訂前の自賠責基準と同じ金額です。

一方、弁護士基準における入通院1日あたりの傷害慰謝料の相場は下記の通りです。

  • 重症の場合(別表Ⅰ):1日 9,333円(28万円÷30日)
  • 軽症の場合(別表Ⅱ):1日 6,333円(19万円÷30日)
    ※弁護士基準では、1ヶ月を30日として考えます。

弁護士の方に、保険会社との示談交渉を代わってもらえば、自賠責基準や任意保険基準と比べると、1日あたり2,000円以上高額な金額で請求することができます。

交通事故にあった場合は、弁護士への相談を検討してみましょう。

関連記事むちうちの慰謝料金額には通院頻度が影響する?計算の仕組みを解説!

慰謝料はいつまで請求できる?慰謝料請求の注意点

時間 人

慰謝料は、3つの基準によって算出され、被害者に支払われます。
支払いが開始されるのは、保険会社との示談成立後です。

では、慰謝料はいつまで請求できるのでしょうか。

交通事故の損害賠償請求権は5年で時効となる

傷害慰謝料は、事故日から完治日または症状固定日までに要した日数分を請求することができます。

完治までの期間は、交通事故の程度や状況、被害者の年齢や既往歴による回復度合いなどによって異なるため、同じ名称の症状であっても変動があります。

慰謝料の請求に関して、注意が必要なのは「慰謝料を請求できる期間」が法律によって決められていることです。

人身事故の場合、5年が時効期間と定められています。

5年を過ぎてしまうと、慰謝料を請求できなくなるため、注意が必要です。

症状固定後の傷害慰謝料は支払われない

傷害慰謝料は、完治日または症状固定日までに要した日数分を請求できると説明しました。

そこで問題となるのは、症状固定後に入通院した期間は、傷害慰謝料の算定の対象になるのかです。

症状固定とは、怪我の治療を行ってきたが、これ以上は症状の改善が見込めない状態のことをいいます。
また、症状固定の診断を受けることは、傷害慰謝料の算定期間が決まることも意味します。

そのため、症状固定の診断後に入通院をしても、傷害慰謝料の算定期間には、原則として含まれません。したがって、その分の傷害慰謝料は支払われないことになります。

しかし、この場合には、後遺障害の等級認定を申請することができます。
そして、後遺障害の等級が認定されると、傷害慰謝料とは別に、後遺障害慰謝料を請求することができます。

後遺障害の等級認定には、専門的な手続きが必要なため、弁護士への依頼を検討するとよいでしょう。

関連記事むちうち症の通院期間はいつまで?交通事故でもらえる慰謝料とは

交通事故後は整骨院・接骨院へも通院できる

交通事故で負った怪我の治療には、病院の治療と合わせて、整骨院や接骨院の施術を受けることにより、回復が早まる可能性があります。

ただし、整骨院・接骨院などの通院する際には、病院の医師に確認を得てから通うとよいでしょう。
医師の確認が得られた場合、整骨院・接骨院などの施術も、治療の一環として認められる可能性が高まるからです。

また、自身で軽傷だと感じていても、自覚できていない傷害がある可能性もあります。
身体のためにも、まずは病院を受診しましょう。

この記事を監修したのは…

弁護士法人プロテクトスタンスの代表弁護士。多くの病院や整骨院等の法律顧問に就任。医事法に関する研究部会に所属し、医療法制に精通。交通事故の示談交渉で豊富な解決実績があり、特に保険会社対応に定評がある。

この記事の執筆者

理学療法士 / 柿野 俊弥
理学療法士として、回復期病院で脳血管疾患を中心にリハビリテーションを経験。その後、フリーライターに転向。医療・健康分野をはじめ、地域・観光、転職関連などの幅広いジャンルの執筆を行っている。

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