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交通事故の病院受診は何科?症状別の診療科の紹介や選び方を解説

監修記事

河野 裕也

理学療法士

交通事故に遭った場合は、自覚症状や目に見える状態に関わらず、なるべく早く病院を受診し、医師による検査や診断、適切な治療を受けましょう。

しかし、何科を受診すればよいのか迷うこともあると思います。

今回は交通事故後に受診すべき診療科や、いつまでに病院に行くべきか。また、病院以外の通院先について解説していきます。

何科を受診するべきか迷ってもまずは整形外科へ

交通事故にあったら、まずは病院へ行きましょう。

では、何科を受診すればよいでしょうか?

緊急の場合は救急の受診先を探す

交通事故直後で緊急の場合には、その場で救急車を呼びましょう。

また、交通事故では強い衝撃が身体へ加わるため、重篤な病態となっており少し時間が経ってから病状が急変するといったことがあります。

その場合、救急車を呼んだ方がいいのか、今すぐに病院に行った方がいいのか、様子を見るべきなのかなど判断が難しいことがあります。

判断が遅れることでより重篤な状態になってしまう可能性や、一刻を争う場合もあります。

このような場合は地域ごとに定められた救急安心センター事業などに連絡をすることで救急電話相談を受けることができるのですぐに相談をしましょう。

医師や看護師、相談員などが相談内容からどの程度の緊急性かを判断し、緊急性が高い場合には救急車の手配や救急医療を受けられる医療機関を紹介してもらえます。

そのため、病状が悪化し緊急の場合には救急安心センター事業などを利用し救急で受診できる方法をとりましょう。

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迷ったら整形外科のある総合病院を受診する

交通事故に遭い、病院の何科を受診するべきか迷った場合は、まずは整形外科のある総合病院を受診しましょう。

交通事故で生じやすいむちうちや骨折の有無などを早期に発見するために、整形外科ではCTMRIなどの画像検査を受けることができます。

また、総合病院であれば整形外科の他にも様々な診療科があるため、骨や関節、筋肉などを専門に扱う整形外科の領域以外に異常があった場合でも、すぐに他の専門の診療科を受診することができます。

さらに、交通事故では頭にも強い衝撃が加わっている可能性があります。そのため脳の異常が見られる場合には脳神経外科や神経内科といった脳専門の診療科を受診する必要があります。

総合病院では診療科同士で連携し、速やかに専門の診療科に案内してもらえるはずです。

そのため、もし何科を受診すべきか迷った場合はまずは整形外科のある総合病院を検討しましょう。

もし近くに総合病院がない場合には近くの整形外科を受診するようにしましょう。

症状に応じて受診する科を選ぶ

自身の症状がはっきりしている場合は、その症状に応じた診療科を選びましょう。

次の項目では、交通事故に関わりのある診療科を紹介しています。

交通事故によく関わる診療科

それでは、交通事故に関わりのある診療科を紹介していきます。

整形外科

交通事故後の整形外科受診は①検査(レントゲン・MRI)②診断書の発行③痛み止めや湿布の処方等ができる

▲交通事故後の整形外科受診

交通事故後の症状で、むちうちや骨折が疑われる場合は、整形外科に行きましょう。

整形外科は、筋肉や骨を専門的に診察します。レントゲンやMRI・CTといった詳細な検査を受けることも可能です。

神経内科・脳神経外科

頭部を強く打ったり、外傷が疑われる場合や、整形外科では原因がわからなかった場合には、「神経内科」を受診するといいでしょう。

神経内科では、MRIやCTによる検査で脳に損傷がみられるかどうかが判断されます。

また、脳の損傷が大きいと診断されたときに、脳神経外科を紹介される場合があります。

リハビリテーション科

整形外科を受診後、痛みや症状の早期回復を目指すために医師の指示のもと運動療法や物理療法などが行われます。

交通事故後は、痛みにより筋肉が過剰に緊張します。また、それにより痛みを悪化させたり痛みを逃がすような姿勢をとったりすることで姿勢が悪くなり、他の部位まで痛みがでるといった、悪循環におちいることがあります。

痛みのある部位をどの程度動かして良いのか、痛みを抑える正しい姿勢のとり方や日常生活での注意点、自宅でできるセルフトレーニングなど理学療法士が中心となり一人一人に合わせた治療プランを提供していきます。

また、温熱療法や電気療法、牽引療法といった物理療法も痛みなどの症状に合わせて行います。

精神科・心療内科

交通事故による影響は、身体だけが受けるものではありません。

記憶障害や睡眠障害、気分の落ち込みなどが起こる場合があります。神経内科で検査を受け、脳に損傷がない場合、心因性の症状であると疑われます。

心因性の症状が疑われる場合には心療内科や精神科を受診することがあります。

こどもは小児科を受診するべき?

こどもが交通事故に遭った場合、大人と同様にむちうちなどを患う可能性があります。

こどもは症状を自分でうまく説明ができないことが多く、そのまま放置することで慢性的な首の痛みや肩こり、頭痛などが生じる可能性があります。

本人が大丈夫だと言ってもまずは整形外科を受診しましょう。

小児科は外力(機械的、物理的、化学的)による外傷は専門外となるため、交通事故による怪我の場合は大人と同様にまずは専門である整形外科を受診しましょう。

医師監修むちうちが疑われる子どもにみられる症状や治療の進め方を解説

いつまでに病院に行くべき?

交通事故治療における診断書の内容と役割

▲交通事故治療における診断書の内容と役割

交通事故では物損事故と人身事故があり、人身事故の場合は警察へ医師による診断書を届け出る必要があります。

しかし、人身事故では事故との因果関係を明確にする必要があり、事故から2週間を過ぎると因果関係がないとみなされ診断書が受理されない可能性があります。

そのため、交通事故後は遅くても10日以内に病院を受診しましょう。

関連記事【医師解説】交通事故の後、病院は何日以内に行けば大丈夫?

症状がある場合は、なるべく早めに受診しましょう

交通事故により現れた症状

▲交通事故により現れた症状のアンケート結果

交通事故では強い衝撃により頭が大きくゆさぶられ、首や背中に想像以上の負担がかかります。

そのため、首の痛みや肩こり、頭痛、めまい、吐き気、耳鳴り、腕のしびれ、倦怠感などの症状が出現する可能性があります。

また、頭を強く打っている場合では脳の異常など重篤な病態の可能性もあるため、なるべく早めに病院を受診し、レントゲンやMRIなどの検査を受けてしっかりと医師の診断を仰ぎましょう。

症状が軽度であっても早期に適切な検査や治療を行わないことで半年たっても症状が改善せず、場合によっては数年以上も後遺症が続く可能性もあります。

そのため、症状がある場合にはなるべく早めに病院を受診しましょう。

痛みがなくても念のため病院は行きましょう

交通事故後、痛みがなくても病院に行くべき理由

▲交通事故後、痛みがなくても病院に行くべき理由

交通事故後に痛みといった症状がない場合でも、念のため病院を受診しましょう。

交通事故では突然の衝撃により興奮状態となり、アドレナリンなどの痛みを感じにくくさせるホルモンが分泌されます。そのため、事故直後は症状が自覚しづらいと言われています。

また、自分自身に起こった突然のショックで感覚が麻痺を起こしたり意識と知覚が乖離したりすることで痛みを感じなくなる場合があるとも言われています。

しかし、事故から数日後や数週間後に痛みといいた自覚症状が出現してくる場合も多くあります。

また、痛みがなかったとしても自分では気が付かない見えない部分にダメージを受けている可能性もあります。例えば、頭部を打っている場合には、目で見える出血などがなくても脳内で出血している可能性もあります。

そのため、事故直後に痛みや症状がなかったとしても病院を受診し、しっかりと検査や医師の診断を受けましょう。

関連記事追突事故で痛くなくても病院受診する理由 – 痛みが出た時へ備えよう

病院に行かない・初診が遅れるとデメリットがある

交通事故から病院へ行くまでの期間が空いてしまうと、身体の痛みといった症状が「交通事故が原因であるとは限らない」と判断されてしまう可能性があります。

交通事故による痛みであると診断してもらうためにも、なるべく早く病院へ行きましょう。

病院での治療費の支払いはどうなる?

基本的には加害者側の保険会社が病院にかかる費用の支払いを行います。

基本的には加害者側の保険会社が支払う

自賠責保険とは、自動車やバイクを所有する全ての人に、加入が義務付けられている強制保険。交通事故の被害者の救済が目的で、補償対応は人身事故の被害者。そのため、物損事故あ対象外となる。また、請求できる賠償金には限度額が定められている。

▲自賠責保険とは?

交通事故による怪我で通院する場合、加害者側の自賠責保険によって治療費がまかなわれます。治療費だけでなく、通院にかかった交通費なども請求対象に含まれます。

基本的には、加害者側の任意保険会社を通して請求や示談が行われます。また、自賠責保険には120万円の補償の限度額がありますが、それを超えた分は任意保険会社は補償することになります。

当日や急な受診は立て替える場合もあるので注意

損害賠償請求は、基本的に損害が発生してから請求するものです。
そのため、治療費もまずは自己負担してから、相手側に請求するのが原則です。

しかし、相手側の任意保険会社が「一括対応制度(一括払い制度)」をとっている場合があります。この場合、任意保険会社が通院先の医療機関に直接支払ってくれます。

そのため、被害者が病院へ通院したとき、治療費を立て替えて支払う必要はありません。

しかし、急な事故で保険会社の事前連絡なく病院へ行った場合などは、被害者自身が立て替えることもあります。

立て替えた費用は、後日相手側の保険会社へ請求します。

関連記事交通事故で病院への支払いは誰がする?立替や自己負担するケースも解説

複数の診療科は受診できる?

分岐

交通事故で複数の診療科は受診できるのでしょうか?

違う症状であれば可能

症状が複数ある場合には、それぞれに合わせて複数の診療科にまたがって受診し治療することが可能です。

例えば追突された衝撃でハンドルに顔面を打ち、顔面の打撲と歯が折れた場合には整形外科と歯科といったように異なる診療科を受診することができます。

このように複数の診療科の受診が医学的に必要であれば、それぞれの診療科における治療費や通院費、慰謝料など加害者側に損害賠償を請求できる可能性が高くなります。

また、主な症状の治療をしている最中に、後から他の症状が出てきた場合にはすぐに担当の医師に相談し、必要であれば他の専門の診療科を紹介してもらいましょう。

事故後に相当時間が経過している場合では他の診療科で治療を受けたいと思っても、事故との因果関係を明確にすることが難しく、損害賠償を請求できない可能性があります。

また、同じ症状に対して複数の病院や異なる診療科を受診した場合、重複して受けた治療や診察においては必要性がないと判断され、損害賠償を請求することが難しくなる可能性があります。

病院を変えたい場合は転院を

通院先自体を変えたい場合は、転院を行いましょう。

転院をすると、通院のしやすさやストレスの軽減など、より自分にあった環境で通院ができるメリットがあります。

一方でデメリットもあります。まず、転院先が必ずしも良いとは限りません。転院前にはなかなかわからないことなので注意が必要です。

また、短い期間に転院を繰り返すと、患者側に問題があるのではと保険会社に思われてしまう場合があります。

さらに、何度も主治医が変わることによって、治療経過がわかりづらくなります。

転院するときのポイント

交通事故で転院する方法は、まず保険会社と医師に転院したい旨を伝えます。次に、医師に紹介状(診療情報提供書)を作成してもらいます。注意点はできるだけ早めに転院することと、転院回数は最小限にとどめることです。

▲交通事故で転院する方法

では、問題なく転院するためにするべきことは何でしょうか?

  • 加害者側の保険会社に伝えること
  • 紹介状をもらうこと
  • 転医と記載してもらうこと
  • なるべく早めに転院する
  • 転院の回数は最小限にする

まず、転院することを治療費を支払う相手側の保険会社にきちんと伝えましょう。

主治医にも転院したい旨を伝え、紹介状を書いてもらいましょう。

また、転院する際に、誤って「治癒」や「中止」と記載されてしまう場合があるため、きちんと「転医」と記載してもらいましょう。

さらに、交通事故から時間が経過してから転院を希望すると、不要な転院と判断されてしまう場合や、診断書作成に応じてもらえない場合があります。

なるべく早く転院をし、転院を何度も繰り返すといった行為は避けましょう。

他にもある通院先

交通事故による怪我の場合、通院先は病院だけではありません。

整骨院・接骨院

整骨院では、国家資格である柔道整復師が施術を行います。手術や薬を使わずに、主に手技療法で施術を行います。

また、物理療法や運動療法を用いて施術を行うこともあります。

整骨院・接骨院で受けられる施術の種類

▲整骨院・接骨院で受けられる施術の種類

交通事故に多いむちうちは、CTやレントゲン検査などに写らない場合もあります。整骨院の手技療法は、柔道整復師が直接痛みのある部分に触れて施術するため、症状が把握しやすいメリットがあります。

整骨院と接骨院は名称が異なるだけで、施術内容は整骨院と変わりません。

また、整骨院は土日・祝日や夜の時間帯に営業しているところもあり、生活に合わせて通いやすいメリットがあります。

整形外科への通院が難しい場合は、整骨院との併用も検討し、自分に合った通院先を選びましょう。

交通事故通院における整形外科と整骨院の治療内容の違い

▲交通事故通院の病院と整骨院の治療内容の違い

整骨院への通院は整形外科との併用が基本

整形外科と整骨院の併用通院はできますが、定期的に整形外科を受診しながら、整骨院にも通院する必要があります。

整形外科と整骨院を併用通院するためには、「診断書を必ず取る」「加害者側の保険会社に了承を得る」など手続き上必要なこともあります。

交通事故の怪我で整骨院と整形外科を併用通院する為のステップ

▲交通事故の怪我で整骨院と整形外科を併用通院する為のステップ

また、整骨院は病院ではないため、整骨院だけに通ってしまうと、保険会社から慰謝料などの補償が受けられなくなる可能性があります。

保険会社の許可を受けたうえで、最低でも月に1回は病院にも併せて通院するようにしてください。

整形外科と整骨院の違いをきちんと理解して、両者を上手に使い分けて交通事故の痛みを改善させましょう。

交通事故にあったらまずは整形外科を受診しましょう

checkmark,チェック

交通事故にあったら、まずは病院へ行きましょう。

交通事故直後は、自覚症状が出ない場合もあります。

むちうちや骨折が疑われる場合には整形外科、頭部を強く打った場合には神経内科に行きましょう。専門的な診察や検査により、脳神経外科や心療内科を案内される場合もあります。

迷った場合は、整形外科のある総合病院へ行き、医師の診察を受けましょう。

この記事を監修したのは…

国家資格である理学療法士として、約10年間整形外科クリニックで一般の患者様からスポーツ選手の身体のケアに携わり、その後理学療法士の養成校の教員として身体の仕組み、治療技術などについて学生に講義を行っています。早稲田大学大学院スポーツ科学研究科にて修士取得。

この記事の執筆者

理学療法士 / 河野 裕也
国家資格である理学療法士として、約10年間整形外科クリニックで一般の患者様からスポーツ選手の身体のケアに携わり、その後理学療法士の養成校の教員として身体の仕組み、治療技術などについて学生に講義を行っています。早稲田大学大学院スポーツ科学研究科にて修士取得。

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