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骨折を早く治す方法とは?治癒を助ける生活習慣や対処法を解説

監修記事

瀧澤 竜太郎

医師(整形外科他)

骨折は誰にでも起こりうる身近な怪我の1つです。しかし、骨折してしまうとギプスで固定したり、手術が必要であったりと日常生活に大きく影響を及ぼします。

そのため、一刻も早く骨折を治したいと考えている人は多いのではないでしょうか。本記事では骨折を早く治すための方法や骨折の治癒を助ける生活習慣について紹介します。

骨折を早く治し、通常通りの日常生活にいち早く戻したい方はぜひ参考にしてみてください。

骨折を早く治す方法|医療機関での治療

骨折の治療法の種類

▲骨折の治療法の種類

骨折が疑われる場合にはできるだけ早く医療機関を受診しましょう。

適切な治療が遅れることで、骨の変形が生じたり治癒までの時間がかかってしまう可能性があります。

医療機関での治療には「保存的治療」と「手術的治療」の2つがあります。

保存的治療

保存的治療はまずギプスなどで固定して骨折部位を安静に保ち、骨の癒合(ゆごう)*を待ちます。骨がくっつくのは骨芽細胞(こつがさいぼう)という骨を作る細胞の働きによるものです。

*…骨癒合:骨折した骨が正しくつながること。

最近ではこの骨芽細胞の働きを促進させるために超音波治療を行う医療機関が増えています。

超音波治療

超音波治療は骨折した部位に微弱な超音波を断続的に当てることで骨芽細胞が活性化され、治療期間を約40%短縮できると報告されています。

なお、超音波治療器には、温熱型超音波治療器と非温熱型超音波治療器(Lipus)があります。

腱炎や打撲、筋膜性疼痛といった軟部組織の治療には温熱型超音波治療器が、骨折の治療には専ら非温熱型超音波治療器が使用されます。

また、超音波治療は3か月以上手術やギプスによる固定治療を行っても骨癒合が得られない四肢骨折の場合、あるいは四肢の開放骨折または粉砕骨折に対して手術を実施した後のみの実施です。

ただし受傷から3週間以内に超音波治療を開始した場合においては健康保険が適用されます。

それ以外の骨折に対しても自費診療として早期より使用が可能となります。詳しくは受診する医療機関に問い合わせしてみてください。

手術的治療(手術療法)

骨折の部位や状態によっては手術が必要な場合もあります。

徒手整復が難しいほど骨がずれてしまった場合や、整復してもすぐにまたずれてしまう場合、骨折部に体重がかかる場合など骨の癒合を妨げられる場合には手術が行われることがあります。

金属製のプレートやネジ、棒で骨と骨がずれないように固定します。

また、股関節の骨折のように血流が阻害され骨へ栄養がいかなくなってしまう場合には人工の股関節に取り替える手術が行われることもあります。

保存的治療か手術的治療か、手術的治療であればどのような手術なのかは医師の診断により選択されます。

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骨折を早く治す方法|普段の生活編

普段の生活の中で骨折の回復を早める工夫

▲普段の生活の中で骨折の回復を早める工夫

骨折を早く治すには骨がつながるのを早める必要があります。

骨の癒合を早める方法は医療機関での治療の他に、栄養・睡眠・運動・入浴など普段の生活の中で自分でもできることがあります。

元の生活に早く戻れるようにしっかり取り組んでいきましょう。

骨を作る栄養素を含む食事

骨がくっつくのを早めるためには十分な栄養をとる必要があります。

骨の骨格となるのが「タンパク質」であり、​そのタンパク質の間に​骨の主成分である「​カルシウム」が沈着して骨が形成されます。

そのカルシウムを腸から効率よく吸収する働きのある​「​ビタミンD」と吸収したカルシウムを骨へ効率よく沈着させる「ビタミンK​」、さらに​タンパク質の合成に「ビタミンC」の働きも必要となります。

そのため、バランスの良い食事を心がけましょう。

栄養素 働き 多く含まれる食材
タンパク質 骨の骨格 肉類、魚介類、卵類、大豆製品、乳製品​
カルシウム 骨の主成分 乳製品、ひじき、木綿豆腐、厚揚げ
ビタミンD カルシウムの吸収 イワシ、サンマ、サケ、しいたけ、キクラゲ
ビタミンK カルシウムの沈着 納豆、モロヘイヤ、小松菜、ほうれん草、
ブロッコリー、わかめ
ビタミンC タンパク質の合成 柿、いちご、みかん、レモン

 

質の良い睡眠をとる

骨折の回復には睡眠も重要です。

睡眠の特に深い眠り(ノンレム睡眠)のときに脳から成長ホルモンが分泌されます。この成長ホルモンは細胞を活性化させる作用があり、骨の癒合に働く骨芽細胞(こつがさいぼう)を活性化させます。

そして、この成長ホルモンは同じ時刻に眠り、同じ時刻に起きるような規則正しい睡眠リズムによって分泌されやすくなります。

そのため、骨折の回復を早めるために規則正しい生活習慣を心がけ、質の良い睡眠がとれるようにしましょう。

適度な運動をする

骨折をしてしまうと絶対安静が必要と考えがちですが、骨折部の固定が保たれていれば適度な運動によって回復が早まることがわかっています。

骨の癒合には血液循環が必要です。​​極端に運動量が減ってしまうとその血液循環が悪くなり、骨の癒合を遅らせてしまう可能性があります。

また、筋力が低下​したり​他の部位の関節が固くなったりと二次的な問題が生じることがあります。

骨折した部位に直接負荷がかかるような激しい運動ではなく、適度な運動をしていきましょう。

医師の許可があれば入浴も

入浴に関しては、炎症が生じている場合には温めることで痛みが増強したり腫れが強くなる可能性があるため医師に確認をしましょう。

医師の許可があれば入浴も骨の癒合を早める良い影響がありますので積極的に行いましょう。

ギプスで固定している場合には、濡れてしまったり中に水が入ったりしないように大きめのビニール袋などでギプスを包み、輪ゴムやガムテープなどでしっかりと密閉します。

最近ではギプス専用の防水カバーもありますのでそちらも検討してみましょう。

骨折が治るまでの期間は部位や年齢により異なる

骨折が治るまでの期間は部位や年齢により異なる

骨折した部位別に骨がつながるまでの期間がある程度わかっています。これを「Gurltの骨癒合日数」といい、必ずしも一定ではありませんが骨が癒合するまでの最短の日数が表されています。そのため、完全につながるまでにはもう少し期間が必要となります。

また、年齢によっても期間が異なり、子どもの場合は成人の場合と比べて2〜3割程度早く骨が癒合するとされています。

部位 Gurltの骨癒合日数
中手骨(ちゅうしゅこつ) 2週間
肋骨(ろっこつ) 3週間
鎖骨(さこつ) 4週間
前腕骨(橈骨(とうこつ)尺骨(しゃっこつ)) 5週間
上腕骨(じょうわんこつ) 6週間
腓骨(ひこつ) 5週間
脛骨(けいこつ) 7週間
下腿両骨(かたいりょうこつ) 8週間
大腿骨骨幹部(だいたいこつこっかんぶ) 8週間
大腿骨頚部(だいたいこつけいぶ) 12週間

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骨折にまつわるQ&A

足を骨折した人

骨折は適切な対応ができれば完治しやすい怪我ですが、間違った対応をしてしまうと治るまでに時間がかかったり、後遺症が残ってしまったりする可能性があります。

そのため、ここでは骨折についてよくある疑問に答えていきます。

骨折を放置するとどうなる?

骨折を放置してしまうと痛みや腫れなどの症状が持続し、骨の癒合までの期間が伸びてしまう可能性があります。

また、整復などの適切な処置がされないまま、骨がずれた状態で癒合してしまうと変形して曲がったまま戻らなくなることや、関節の動きが悪くなるような後遺症が残る可能性があります。

場合によっては保存的治療ではなく手術的治療が必要なこともあるため、骨折が疑われる場合にはすぐに医療機関を受診しましょう。

ギプス固定がつらいけど外したら治りが遅くなるの?

骨折部の周辺では炎症によって腫れが生じたり、動かさないことにより浮腫みが生じてギプスで圧迫されることがあります。また、皮膚がかゆくなることや、ギプスが当たって擦れて痛くなることもあります。

そのため、ギプスを外したくなってしまいますが、ギプスを外すと骨折部がずれて癒合期間が伸びたり変形したまま癒合する可能性があります。

ギプスがつらい場合はカットしたり巻き直す必要があるかもしれませんので医師に相談するようにしましょう。

温めるのと冷やすのとでどちらの治りが早い?

骨折直後は炎症による腫れや熱感が生じます。この炎症を放置しているとどんどん広がってしまい正常な組織まで壊してしまう可能性があります。

この場合は炎症の広がりを抑えるために冷やすことが必要となります。

その後、炎症が落ち着いたら温めていきます。

温めることによって血液循環が促され、骨の癒合を早めたり痛みの物質が除去されやすくなることで痛みの緩和に繋がります。

そのため温めるのと冷やすのとは時期によって使いわける必要があります。

骨折を早く治す方法を相談したい場合は整形外科を受診しましょう

骨折を早く治す方法を相談したい場合は整形外科を受診しましょう

骨折の専門は整形外科です。

骨が折れた部分の整復、ギプス固定、その後必要なリハビリなど、整形外科での適切な治療や対応によって骨折を早く治すことができます。困った事があれば、まずは整形外科へ相談をしましょう。

この記事を監修したのは…

桜整形外科内科ペインクリニックの院長。専門分野は、整形外科,麻酔科,ペインクリニック,内科,リハビリテーション。

桜整形外科内科ペインクリニックHP
https://sakuraseikei.com/

<保有資格>
・麻酔科標榜医
・日本麻酔科学会専門医
・日本医師会健康スポーツ専門医

<経歴>
2008年
・慶応義塾志木高等学校卒業・筑波大学入学
2013年
・University of Edinburgh Royal Infirmary : Anaesthesiology / Acute medicine
 (英国 エジンバラ大学 麻酔科 / 急性期内科)
・Universitätsklinikum Bonn : Anästhesie
 (ドイツ ボン大学 麻酔科) 臨床留学
2014年
・筑波大学卒業
2020年
・筑波大学後期研修プログラム修了
2020~2022年
・イムス東京葛飾総合病院 麻酔科・整形外科
・土浦協同病院 麻酔科・ペインクリニック
・帝都メディカルクリニック 西新井駅前院 整形外科・ペインクリニック
2022年3月1日〜現在 
・桜整形外科内科ペインクリニック 院長

この記事の執筆者

理学療法士 / 河野 裕也
国家資格である理学療法士として、約10年間整形外科クリニックで一般の患者様からスポーツ選手の身体のケアに携わり、その後理学療法士の養成校の教員として身体の仕組み、治療技術などについて学生に講義を行っています。早稲田大学大学院スポーツ科学研究科にて修士取得。

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