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むちうちの症状の伝え方ポイント4つ!伝え方が重要な理由も解説

監修記事

世良 泰

医師(整形外科他)

交通事故でむちうちを生じた際、医師やリハビリスタッフへの症状の伝え方は重要です。症状の伝え方が今後の治療に大きく影響する可能性があります。

この記事では、

・むちうちの症状を医師やリバビリの先生にどう伝えたらいいかわからない
・むちうちの痛みや辛さをを周りの人に理解してもらえない
・むちうちの症状の伝え方を事前に予習しておきたい

など、むちうちの伝え方を知りたい方へ向けた内容を紹介しています。

伝え方のポイントとしては、以下の4つです。

  1. いつから痛いか(痛みが出た時)
  2. どこが痛いか(部位や範囲)
  3. どんな時に痛いか(静止時や特定の動作など)
  4. どのような痛みか(痛みの種類)

むちうちの症状の伝え方が重要な理由と具体的な伝え方を中心に解説していきますので、ぜひ参考にしてください。

  • むちうちにはどのような症状があるか
  • むちうちの治療の進めるうえでの注意点
  • もし、医師から適切な診断や治療が受けられなかった場合の対処法

あわせて、上記の内容も解説していきます。治療を進めるうえでの疑問も解決しましょう。

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むちうち症状の特徴

むちうちの症状とは?むちうちが原因で起こる症状の例

▲むちうちが原因で起こる症状の例

むちうちとは、交通事故等の衝撃で首に過度な外力が加わることで、首が鞭のようにしなって発生する為「むちうち」と言われます。

「むちうち」は医学的な傷病名ではなく、病院で診断を受けた際には「頚椎捻挫」や「頚部挫傷」等と診断されます。

むちうちは外部から何らかの力が加わることで、首を中心にして異常が生じます。むちうちの主な症状は次の通りです。

  • 首や肩の痛み
  • 肩こり
  • 手足のしびれ
  • 頭痛
  • 吐き気

むちうちは首周囲のみに症状が現れると考えられがちです。しかし、衝撃によって首が無理な方向に動かされるため、腕や腰など他の身体部位に影響を及ぼす場合も少なくありません。

例えば、首を通る神経が損傷し、手足のしびれが生じる場合もあります。

関連記事むちうちはどんな症状?治療方法や完治までにかかる時間

むちうちで症状の伝え方が重要な理由

治療 怪我 通院

交通事故によるむちうちでは特に、症状の伝え方が重要になります。

  • 様々な症状があらわれるため
  • 適切な診断を受けるため
  • 適切な治療を受けるため
  • 後遺障害等級を決めるため

次項から具体的に見ていきましょう。

様々な症状があらわれるため

症状は、異常が起きている場所や程度などを教えてくれます。原因を知る手がかりにもなるため、症状を正確かつ丁寧に伝えることは非常に重要です。

さまざまな症状が生じるむちうちでは、症状の鑑別が重要になります。適切に症状を伝えられれば医師やリハビリスタッフによる治療がスムーズとなり、早く治すための一助になるでしょう。

適切な診断を受けるため

医師は、受診者から伝えられた症状に加えて、視診や触診、画像検査などから総合的に判断し、診断を下します。症状を曖昧に伝えると診断に影響を及ぼし、適切な診断が受けられない可能性があるのです。

例えば「痛み方」に関して、ズキズキした痛みとピリピリした痛みとでは、大きく異なります。前者は筋肉や皮膚などの軟部組織が損傷している可能性が考えられ、後者では神経が損傷している可能性が考えられます。

症状の伝え方1つで診断名が変わってしまう状況も十分に考えられるため、正確に症状を伝えるようにしましょう。

適切な治療を受けるため

適切な治療を受けるには原因を把握する必要があります。これまでご紹介したように、症状を伝えることで症状の鑑別や適切な診断につながるため、症状の伝え方は治療を行ううえで重要だと言えます。

もし、漠然と「首の痛みがあります」とだけ伝えても、医師は湿布などの表面的な治療しか行えないかもしれません。「首の右側がズキズキします」などと伝えられれば、原因究明の手がかりとなり、具体的な治療を行えるでしょう。

後遺障害等級を決めるため

後遺障害は、病気や怪我をした後、身体に障害が残っている状態です。つまり、治療を継続してもこれ以上の改善が見込めないと判断された状態になります。

交通事故で後遺障害の慰謝料などを請求する場合は、「後遺障害等級」に申請し、後遺障害だと認定される必要があります。申請には医師が作成する書類が必要になるため、どのような後遺障害があるか、正確に症状を伝える必要があるのです。

むちうちの痛みや症状の伝え方

むちうち症状の伝え方4つのポイント①いつから痛いか②どこが痛いか③どんな時に痛いか④どのような痛みかをしっかりと伝える

むちうちでは、頭や首、肩周囲などに痛みを生じます。人によっては痛みが数か月にわたって続くため、精神的なストレスでうつ症状などをきたす場合もあります。

できるだけ早く苦痛から解放されるために、正確かつ具体的に症状を伝えることが大切です。

1.いつから痛いか(痛みが出た時)

まずは痛みがいつから出現したのかを伝えましょう。「いつ」は、治療を行っていくうえでどのくらいの期間で改善が見込まれるかの予測、後遺障害等級認定の申請などで役立ちます。

伝える際は、どのような状況で痛み始めたのかを細かく伝えてください。朝起きたとき、昼食を食べるとき、お風呂入っているとき、就寝する前なども伝えられるとベストです。

2.どこが痛いか(部位や範囲)

痛む場所を伝えるのも大切です。むちうちは首だけでなく肩や背中、腰などにも痛みが現れます。「首以外の箇所はむちうちと関係ないだろう」と判断せず、漏れなく伝えるようにしましょう。

首以外の痛みを伝えることで医師は、むちうちが身体にどのような影響を与えているかどうかの判断材料になります。

3.どのようなときに痛いか(静止時や特定の動作)

「どのようなときに痛いか」は、痛む場所や痛みの種類と併せると、原因の究明に役立ちます。また、どのようなときに痛いかを細かく伝えると、痛みが出ないような動作をアドバイスしてもらえる可能性もあるでしょう。

しかし、無理に動かして知ろうとする必要はありません。できるだけ細かく伝えられるとよいですが、わかる範囲で伝えてください。

4.どのような痛みか(痛みの種類)

痛みの種類の表現の仕方は次のようなものがあります。

  • キリキリ
  • ズキズキ
  • ピリピリ
  • ヒリヒリ
  • ジンジン
  • 鈍い痛み

以上のようにさまざまな痛みの種類があり、それぞれ原因の鑑別材料となります。例えば、ピリピリやジンジンであれば神経から来る痛み、ズキズキや鈍い痛みであれば筋肉などの軟部組織の可能性が高いです。

感じる痛みを表現するのは難しい場合もありますが、今回ご紹介した表現を参考に伝えてみましょう。

関連記事交通事故のむちうち治療、どうすればいい?適切な通院や自宅での対処法とは

補足

精神的ストレスがあるか(うつ症状の有無)

むちうちの痛みなどの症状が続くことで精神的ストレスは蓄積されます。むちうちの程度によりますが、長ければ3か月以上の苦痛が続くため、日常生活に支障をきたす場合があるのです。

それによってうつ症状を生じるケースもあります。どのような精神的ストレスを感じているか、無気力などのうつ症状がないかを伝えましょう。

むちうちの治療を進めるにあたっての注意点

ポイント,注意点

むちうちの治療を進めるうえで注意点があります。

  • むちうちの症状を伝えるときは嘘をつかない

今後の治療に大きく影響を及ぼすため、しっかり押さえておきましょう。

むちうちの症状を伝えるときは嘘をつかない

交通事故でむちつちを生じた場合、加害者側に対して慰謝料や治療費を請求できます。これらの費用を受け取りたいがために、症状を伝えるとき嘘をつくと「詐欺罪に問われる可能性」があるため、注意が必要です。

しかし、嘘をついていないのに「疑われる場合」もあります。対処法として、以下の2つを行いましょう。

  • 交通事故が起きたら早めに病院を受診する
  • 検査を定期的に受けて検査結果を残しておく

むちうちの症状を伝えても医師から適切な診断や治療が受けられなかった場合は

むちうちの症状を伝えても医師から適切な診断や治療が受けられなかった場合は

このような場合は、弁護士への相談を視野に入れてください。医師の中には残念ながら、不適当な対応を取る方もいます。むちうちの治療や慰謝料の請求に影響を及ぼすため、早めに相談しましょう。

弁護士が代わりに医師とコミュニケーションを取り、適切な手続きおよび対応を取ってくれます。セカンドオピニオンを求める際にも、弁護士を通した方が今後の対応がスムーズです。

むちうちの症状を正確に伝えてしっかり治療を受けよう

POINT ポイント まとめ

むちうちの症状を正確に伝えるのは、適切な治療を受けたり、後遺障害等級認定を受けたりするために大切です。本記事でご紹介した伝え方を参考に、きちんと伝えましょう。

この記事を監修したのは…

慶應義塾大学医学部卒。初期研修後、市中病院にて内科、整形外科の診療や地域の運動療法指導などを行う。スポーツ医学の臨床、教育、研究を行いながら、プロスポーツや高校大学、社会人チームのチームドクターおよび競技団体の医事委員として活動。運動やスポーツ医学を通じて、老若男女多くの人々が健康で豊かな生活が送れるように、診療だけでなくスポーツ医学に関するコンサルティングや施設の医療体制整備など幅広く活動している。「健康を通じて人々の夢や日常を応援すること」をミッションに2024年6月に池尻大橋せらクリニックを開院。

池尻大橋せらクリニックHP
https://sera-clinic.com/

日本整形外科学会専門医
日本内科学会認定内科医
公衆衛生学修士
International Olympic Committee Diploma in Sports Medicine
日本スポーツ協会公認スポーツドクター
日本医師会認定健康スポーツ医
日本整形外科学会認定スポーツ医
日本障がい者スポーツ協会公認障がい者スポーツ医
Performance Enhancement Specialist (National Academy of Sports Medicine)
Corrective Exercise Specialist (National Academy of Sports Medicine)
日本医師会認定産業医
ロコモアドバイスドクター

TWOLAPSチームドクター(陸上)
LADORĒメディカルアドバイザー
日本陸上連盟医事委員

AuB株式会社 顧問ドクター
株式会社富士急ハイランド 医療顧問
株式会社リハサク メディカルアドバイザー

この記事の執筆者

理学療法士 / 岡野 圭祐
理学療法士として、大学病院、急性期総合病院に務め、急性期や外来整形患者を担当。 臨床業務の他にロボット開発、リーダー活動、勉強会開催など多岐にわたる経験がある。 理学療法士としての可能性を広げるため、ライター活動も行っている。

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