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軽いむちうちは放置していい?病院受診の目安や治療法を解説!

監修記事

齋藤 里美

理学療法士(脳卒中認定)

交通事故による軽いむちうち。放置していてもそのうち治るかなと思っていませんか?

本記事では、むちうちの病態や病院を受診する目安、通院先の選択や治療法について解説します。交通事故などで首まわりに違和感がある方は、受診のタイミングを間違えて後悔しないよう正しい知識をつけましょう。

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交通事故で軽いむちうちに…よくあること?

むちうちとは、交通事故やスポーツなどの衝撃で首に不自然な力が加わり、筋肉や靭帯が損傷することで起こる怪我の総称です。

また、「むちうち」は医学的な傷病名ではなく、医師の診断を受けると「頚椎(けいつい)捻挫」や「頚椎椎間板ヘルニア」「頚髄(けいずい)損傷」などと診断されます。

むちうちのよくある症状や特徴

むちうちの代表的な症状として「首の痛み」がありますが、ほとんどの場合はそれだけではありません。首がしなった時に首まわりの筋肉も強く引っ張られるため、「肩や背中の凝り」を感じることも多いです。

さらに、首の骨には自律神経や運動・感覚をつかさどる神経が通っているので、「めまい」や「吐き気」、「手や足の麻痺・痺れ」などが起こることもあります。

むちうちの特徴として時間が経ってから症状が現れやすいことがあります。交通事故直後は特に症状がなくても、数時間後、翌朝になってから痛みや違和感が出るケースがあります。

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軽いむちうちは放置しても大丈夫?

では、軽いむちうちであれば、放置しておいても大丈夫なのでしょうか?

受傷時の衝撃の大きさや、身体の状態などで個人差は大きいですが、一般的な見解を解説します。

軽症の場合は時間経過で治ることもある

むちうちが軽症の場合は、時間の経過とともに症状が治ることもあります。

しかし、「軽いむちうち」の定義が明確に定められているわけではなく、痛みの感じ方も人によってさまざまです。そのため、「〇〇であれば軽症」と軽いむちうちを客観的に定義するのが難しいです。

また、時間が経ってから症状が出てくる場合が多いため、軽症と思って放置していたら、後から思わぬ症状が出てくる危険性もあります。

軽いむちうちが治るまでの期間

軽いむちうちが治るまでの期間は、頚部(首部分)のどの組織が損傷したかによって異なります。

神経に損傷がなく、筋肉が強く引っ張られただけといった場合は、通常の筋肉痛などと似たような経過をたどるため、1週間程度で症状が緩和されることも期待できます。

しかし、神経を損傷した場合は、軽いむちうちでも1ヶ月程度はかかるでしょう。

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むちうちで病院を受診する目安は?

続いて、むちうちで病院を受診する目安を解説します。

交通事故の場合は、まずは受診するのが望ましい

繰り返しになりますが、むちうちは後から症状が出現する可能性があります。特に交通事故の場合は、最初に「症状なし」とされてしまうと、その後に症状が出てきても事故との因果関係を証明しにくくなります。そのため、事故直後に明らかな症状がなくとも、自己判断せずに医療機関で診てもらうことをおすすめします。

神経症状がない場合は自然治癒する可能性もある

「受診が望ましい」とはいっても、「仕事で忙しく通院する暇がない」「近くに医療機関がなく、受診に出かける方が身体に負担」という方もいるでしょう。

むちうちが筋肉の症状だけで神経の損傷がない場合は、時間の経過とともに改善してくることが見込めます。症状が首の痛みや肩や背中の凝りだけで、めまいや吐き気、手や足の麻痺・痺れが全くない場合には、様子を見ていても良いかもしれません。

神経症状がある場合は、軽症でも受診を

筋肉のみの損傷とは異なり、神経が損傷された場合は思わぬ症状が出現したり、軽症でも思いのほか症状が長引くことがあります。めまいや吐き気、手足の麻痺や痺れなどの神経症状があった場合は、軽症でも早急に受診するようにしましょう。

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軽いむちうちの治療法や通院先とは?

軽いむちうちの場合、通院先は主に「病院・整形外科」「整骨院・接骨院」とがあり、それぞれで受けられる治療・施術が異なります。

病院・整形外科で行う検査・治療について

病院の整形外科では、医師の診察・診断の他にも次のような検査・治療が受けられます。いずれも整骨院・接骨院では受けることができません。

検査機器を用いた病態評価

レントゲン検査をはじめ、CTMRIなどの検査機器を用いて正確な病態を調べることができます。骨に異常はないか、神経の損傷はないか、椎間板*が潰れていないかなどを画像でチェックし、痛みやしびれといった症状の原因や詳細な部位を明らかにします。

POINT

椎間板とは?

背骨(椎骨)の間にあり、クッションのような役割をしている組織です。事故などにより椎間板が潰れて、内部にある「髄核(ずいかく)」という組織が外に飛び出した状態が「椎間板ヘルニア」で、ほとんどの場合、飛び出した「髄核(ずいかく)」は神経にぶつかるため、痺れや動かしにくさなどの症状が出現します。

薬の処方

必要に応じて医師が薬を処方します。むちうちによる「痛み」には消炎鎮痛剤、「手足の痺れ」に対しては神経痛薬といったように、症状にあった薬が処方されます。

必要書類の作成

交通事故による負傷を示すための診断書後遺障害診断書を作成してもらうことが可能です。
特に診断書は、治療費の請求の際に必要ですので、忘れずに作成してもらいましょう。

分岐

整骨院・接骨院で受けられる施術について

整骨院・接骨院では、国家資格である柔道整復師が施術を行います。具体的に受けられるのは、次のような施術です。

手技療法・マッサージ

柔道整復師による手技療法・マッサージで、こわばった組織を柔らかくし、血行を促進させることで症状の緩和を促します。

マッサージというと自分でもできそうに感じますが、首まわりには多くの神経が通っています。特に交通事故の後に自己流でマッサージするのはやめましょう。損傷した組織を痛め、逆効果になる可能性があります。

温熱療法

患部を温めることで、血行促進をはかります。筋肉に酸素などを届けたり、逆に筋肉に溜まった疲労物質を回収したりするのが血液なので、患部の血行を良くすることは症状を緩和することにつながります。

受傷後しばらくは、炎症を増強させてしまう恐れがあるため、炎症がおさまってから行われます行うのが一般的です。

電気療法

温熱療法と同様に、炎症がおさまった時期に行われます。電気による刺激を与えて筋肉をほぐし、筋肉の緊張や痛みを緩和させます。低周波や高周波、超音波やマイクロ波など、いくつかの種類があります。

また、痛みで首や背中、肩などを使わないことで、筋肉が徐々に痩せていく二次的な症状の出現が考えられます。筋肉に電気刺激を与えると自動的に筋収縮が繰り返されるので、筋肉の萎縮を予防することもできます。痛みの再発防止のためにも、筋肉を落とさないことは非常に大事です。

このように、病院と整骨院・接骨院では、それぞれ役割が異なります。必要であれば両方を並行して利用することもできます。

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まとめ

軽いむちうちは、時間の経過で治ることもあります。しかし、治らずに長引く場合や、後から症状が出現・増強したりすることも考えられます。

交通事故の場合や、軽度でも神経症状が疑われる場合には、速やかに整形外科を受診しましょう。まずは病院の受診が基本ですが、マッサージや温熱療法、電気療法などの施術を希望する場合は、病院の受診後に整骨院・接骨院への通院を検討すると良いでしょう。

この記事を監修したのは…

札幌の医科大学を卒業後、首都圏の急性期総合病院に約20年勤務。重複障害などで多科にまたがる患者さんの治療・方針の適正化を得意とする。現在は病院を早期退職しフリーランスの医療ライターや編集者として活動中

この記事の執筆者

理学療法士(脳卒中認定) / 齋藤 里美
札幌の医科大学を卒業後、首都圏の急性期総合病院に約20年勤務。重複障害などで多科にまたがる患者さんの治療・方針の適正化を得意とする。現在は病院を早期退職しフリーランスの医療ライターや編集者として活動中。

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