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交通事故の診断書のもらい方と提出期限【弁護士監修】

監修記事

五十部 紀英

弁護士

交通事故にあって怪我を負ったら、体に目立った痛みがなくてもすぐに病院を受診して診断書を取得する必要があります。

交通事故において、診断書はとても重要な役割があるということをご存じでしょうか?実は、追突事故など交通事故の被害に遭った時の診断書はその後の補償を受ける為の重要な書類です。

今回の記事では、交通事故における診断書の役割や取得方法、提出先、後遺障害診断書の作成などについて詳しく解説していきます。

▼交通事故の診断書の役割等についてまとめた動画もチェック▼

交通事故被害における診断書は損害賠償など補償を受ける為に重要

交通事故治療における診断書の内容と役割

▲交通事故治療における診断書の内容と役割

交通事故以外の場面でも、診断書という言葉を耳にした方はいらっしゃるのではないでしょうか。

診断書とは、医師が患者の症状について診断した結果を記載した書類のことです。交通事故において、診断書は加害者側へ損害賠償を請求するために必要なものとなります。

したがって、交通事故にあい怪我を負った場合は必ず病院を受診して診断書を取得しなければなりません。

診断書には何が書かれている?

診断書にはむちうちや打撲といった傷病名や具体的な症状、治療期間、作成した日付、病院名・医師名などが記載されています。

治療期間については「全治2週間」や「全治1ヵ月」といった形で記載されていますが、この期間はあくまでも目安であるため、それ以上の治療を受けてはいけないのだろうか?と心配する必要はありません。

目安の治療期間よりも長い期間治療を受けたとしても、実際の治療期間を参考に損害賠償の金額が算定されます。

診断書の作成者は医師

診断書を作成できるのは、病院の医師だけです。病院の医師に診断書の作成を依頼することで取得することが可能になります。

交通事故後の症状の改善を目指すために通院する場所としては、病院だけでなく整骨院・接骨院も挙げられます。また、整骨院・接骨院への通院を希望する人も珍しくありません。

交通事故通院における整形外科と整骨院の治療内容の違い

▲交通事故通院の病院と整骨院の治療内容の違い

しかし、整骨院・接骨院の施術者は柔道整復師であり、医師ではないため整骨院・接骨院では診断書を取得することができません。

以上の点から、交通事故で怪我を負ったら最初は病院を受診するべきであるといえます。

診断書の取得費用の目安

医師に診断書を作成してもらう際には、文書料という費用がかかります。病院によって費用は異なりますが、交通事故関係で提出する診断書は1通あたり5,000円程度かかるといわれています。

診断書の費用は損害賠償として加害者側の保険会社へ請求することが可能です。ご自身で費用を立て替えた場合は、領収書を発行してもらい保管しておきましょう。

診断書の主な提出先は警察と保険会社

診断書を取得したら、次は提出です。
交通事故の場合に診断書を提出する場所は、以下の通りです。

  1. 警察
  2. 加害者側の保険会社
  3. その他

警察へ提出

まずは警察へ診断書を提出する必要があります。

警察へ診断書を提出して「人身事故」としての届け出をしなければ、加害者側の保険会社へ損害賠償を請求できなくなってしまう可能性があるからです。交通事故による怪我が原因で発症するむちうちのように、事故直後は痛みがなく外見上も異常がなかった場合、怪我はなさそうだからといって「物損事故」として扱われることがあります。

物損事故と人身事故の違い

▲物損事故と人身事故の違い

物損事故のままでは実況見分が行われません。事故についての重要な証拠を得ることができないことから、当事者間で過失割合や事故の状況についての言い分が対立した際、不利になってしまうというリスクがあるということです。

したがって、物損事故として扱われていた場合は警察へ診断書を提出し、人身事故の扱いへ切り替えましょう。

物損事故から人身事故へ切り替える手順・流れ

▲物損事故から人身事故へ切り替える流れ

警察への提出期限は法律で定められているわけではありませんが、事故から時間が経ちすぎた段階で痛みが出たからといって、人身事故への切り替えを届け出たとしても警察から断られる場合があります。理由としては、事故と症状の因果関係を認めることが難しくなるからです。

事故発生からできるだけ早めに、遅くとも1週間以内には届け出ましょう。そのためには、事故後に体に違和感や痛みを少しでも感じたら、すぐに病院を受診して診断書を取得することが大切です。

加害者側の保険会社へ提出

損害賠償を請求をするために、加害者側の保険会社にも診断書を提出する必要があります。

交通事故の損害賠償の内訳

▲交通事故の損害賠償の内訳

まず、損害賠償の請求方法は「一括対応」「被害者請求」の2つに分類されており、どちらの方法を選択するかで診断書の提出先は変わってきます。

  • 一括対応
    加害者側の任意保険会社が、自賠責保険分の損害賠償を立て替えて任意保険会社分の損害賠償と一緒に被害者へ支払う制度。自賠責保険へ行う損害賠償の請求は任意保険会社が代行する。診断書の提出は任意保険会社へ。
  • 被害者請求
    被害者自身が自賠責保険へ損害賠償の請求をする方法。診断書の提出は自賠責保険へ。

加害者が任意保険会社に加入している場合は、一括対応で請求するケースがほとんどです。

保険会社への提出は、交通事故発生から3年以内に行う必要があります。損害賠償請求には3年の時効が定められているためです。

3年以内であれば損害賠償の請求が認められるものの、診断書を早く提出するほど示談交渉も早く進むため、早めの提出をおすすめします。

同意書について

診断書と同意書の違い(診断書:怪我の状態を証明する、同意書:被害者の医療情報を保険会社へ開示することへの同意書)

▲診断書と同意書の違い

一括対応では、加害者側の任意保険会社から「同意書」を求められます。
任意保険会社が病院へ治療費を支払う際、病院から被害者の個人情報である医療情報(治療内容、治療費の明細など)を収集しなければなりません。

基本的に病院は被害者の医療情報を任意保険会社へ開示することができないため、あらかじめ自身の医療情報を任意保険会社が得ることに対する同意を示す同意書を、被害者に提出してもらう必要があるのです。

任意保険会社に医療情報を知られてしまうのは…と、同意書を提出することに抵抗がある方もいるかと思います。
しかし、同意書を提出することにより被害者は病院の窓口で治療費を立て替える必要がなくなるというメリットがあります。

その他の提出先

怪我が原因で仕事を休むときは勤務先へ、自身も保険に加入している場合は保険金を受け取るために保険会社へ診断書を提出する必要があります。

勤務先へ提出する診断書には「怪我により就労が不可能である」旨を記載してもらうよう医師へ相談しましょう。

 

診断書のコピー提出が認められるかは提出先による

診断書と聴診器

診断書は、基本的に原本で提出します。保険会社に提出する診断書は保険会社ごとに様式が定められているため、警察へ提出する診断書を使いまわすことはできません。

ただし、勤務先へ提出する診断書についてはコピーで認められるところもあります。自分の勤務先はコピーの提出を認めてくれるかどうか、事前に確認しておくとよいでしょう。

後遺症(後遺障害)が残った場合は後遺障害診断書の取得を

後遺障害とは?(後遺症と後遺障害の違い)

▲後遺障害とは?(後遺症と後遺障害の違い)

長期間治療を続けても完治せず、症状が残った場合は後遺障害等級認定の申請を検討しましょう。後遺障害等級の認定を受けることで、後遺障害慰謝料や逸失利益の請求が可能になります。

後遺障害等級認定の申請には、後遺障害診断書が必要となります。

後遺障害診断書とは

後遺障害診断書とは?

▲後遺障害診断書とは?

後遺障害診断書とは、交通事故が原因の怪我で残った後遺症の傷病名や状態が記された診断書のことで、後遺障害等級認定の審査においてとても重要な資料のひとつとなります。

関連記事交通事故で症状固定と言われたら?後遺障害も解説<弁護士監修>

通常の診断書とは別に、保険会社から後遺障害診断書を取り寄せて医師に記入してもらいましょう。

後遺障害診断書の作成にも費用がかかり、相場としては6,000円程度といわれています。この費用も損害賠償として加害者側の保険会社へ請求することができます。

上記の通り、後遺障害診断書の内容は後遺障害等級の認定結果に関わる重要な資料です。内容に不備や記入漏れがあった場合、実際に残った後遺障害の内容について妥当である等級の認定を受けられなくなってしまうおそれがあります。

医師は怪我を治療することが仕事であり、後遺障害等級認定についての知識を必ずもっているとは限りません。
後遺障害診断書を作成してもらったら、提出する前に内容をよく確認しておきましょう。

正しい認定結果を得るためには、事故後に怪我の治療をするための通院先選びの時点で、交通事故の対応に特化した病院を選び、親身になって話を聞いてくれる医師に相談することが理想です。

交通事故被害における診断書はその後の手続きや補償を受けるために必要!

交通事故の被害に遭った場合、病院で取得した診断書は少なくとも警察や加害者側の保険会社へ提出する必要が出てきます。適切な補償をスムーズに受け取るためにどちらもできるだけ早めの提出をお勧めします。

交通事故被害における診断書取得は、症状そのものの説明をするといった本来診断書が持つ役割以上に、事故後の手続きや補償をしっかりと受けるために重要な書類となっています。

また、治療を続けても後遺症が残った場合、通常の診断書とは別に後遺障害診断書を作成してもらいましょう。

この記事を監修したのは…

弁護士法人プロテクトスタンスの代表弁護士。多くの病院や整骨院等の法律顧問に就任。医事法に関する研究部会に所属し、医療法制に精通。交通事故の示談交渉で豊富な解決実績があり、特に保険会社対応に定評がある。

この記事の執筆者

交通事故病院編集部 ライター / T.N
大学を卒業し、出版社で取材や編集業務を経験。その後、WEBメディアの執筆に転向し、事故に関する様々な知識を多くの人に届けるべく、日々邁進中。現在は、交通事故専門士の資格を取得するために勉強をしている。座右の銘は、格物究理。

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