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腰椎捻挫とは?原因から症状、治療法やリハビリも解説!

監修記事

齋藤 里美

理学療法士(脳卒中認定)

腰椎捻挫とは、どんな病態なのでしょうか?なんとなくイメージはあるけれど、正確にはよくわからない、という方も多いかもしれません。

本記事では腰椎捻挫の原因や症状、治療法やリハビリについて解説します。
「病院で腰椎捻挫と言われたけれど、具体的にどういうこと?」という方は、ぜひ参考にしてみてください。

▼腰椎捻挫の解説動画も是非チェック▼

腰椎捻挫とは?症状や特徴

▲交通事故の腰椎捻挫とは

交通事故の腰椎捻挫は急激な痛みを伴う腰痛で動くときに痛むのが特徴

「腰椎」とは、いわゆる「背骨」の中でも腰部にある骨の名称です。

「背骨」つまり「脊椎」は、椎骨と呼ばれる小さな骨が連なって形成されており、頭の方から「頚椎 → 胸椎 → 腰椎 → 仙椎 → 尾椎」と分かれています。

また、「捻挫」とは、外部から強い力が加わっておこる怪我のうち、骨自体にダメージがおこる骨折や脱臼などを除く病態のことで、筋肉や靭帯、軟骨の損傷がこれにあたります。

つまり「腰椎捻挫」とは、外部に強い力が加わったことで、腰椎自体に異常はないけれど、周囲にある筋肉や靭帯などが損傷した状態、といえます。

重いものを持ち上げた時や交通事故などで起こりやすく、程度にもよりますが、強い痛みを伴い、前かがみの姿勢のまま動くことができなくなるのが特徴です。

腰部捻挫やぎっくり腰と違いはあるの?

▲腰椎捻挫とぎっくり腰の違いとは?

腰椎捻挫とぎっくり腰の違い:基本的にはどちらも同じ症状を表している

「腰椎捻挫って、腰部捻挫やぎっくり腰と違いはあるの?」と聞かれることがありますが、腰椎捻挫と腰部捻挫は、基本的に同じ病態といってよいでしょう。

ではぎっくり腰とは違うのかというと、そもそも「ぎっくり腰」が正式な病名(診断名)ではないため、正確に定義するのは難しいといえます。

しかし、一般的に「ぎっくり腰」は、「突然おこる腰部の痛み」を指すことが多く、「腰椎捻挫」も「ぎっくり腰」に含まれているといえるでしょう。
他にも「ぎっくり腰」になる原因として「腰椎椎間板ヘルニア」や「腰椎圧迫骨折」などがあります。

要注意な腰痛もある?

上記のように、突然の腰痛にはさまざまな原因があります。
安静にしていれば改善が期待できる腰痛がほとんどだと言われていますが、残念ながらそうでないものもあります。

要注意な腰痛の例としては、骨髄が感染して膿(うみ)が溜まる「化膿性脊椎炎」や、がんの腰椎への転移などが挙げられます。
また、尿路結石子宮内膜症でも腰痛になることがあり、注意が必要です。

これらの場合は、早急に専門医に診てもらう必要があります。自己判断せずに、「じっとしていても痛む」場合には、まず受診してください。

腰椎捻挫の原因とは

腰椎捻挫になってしまう原因・要因としては、「重いものを持ち上げる」「勢いよく体をひねる」といった日常生活動作や、交通事故、スポーツなどがあります。

また、稀ですが、「椅子から立ち上がった」「起床時に大きく伸びをした」だけで誘発された例もあるようです。

いずれの場合も、「腰部に無理な外力が急激に加わる」点が共通しています。

腰椎捻挫で行われる検査

医療機関などで「腰椎捻挫」と診断される際には、いくつかの検査が行われます。
代表的なものを以下に紹介します。

▲腰椎捻挫の検査方法

腰椎捻挫の検査方法:徒手検査(下肢挙上テスト・大腿神経伸張テスト)・画像検査(X線検査・CT・MRI検査)

徒手検査

仰向けになり、膝を伸ばしたまま検査者が脚を持ち上げる「下肢挙上テスト」や、うつ伏せになって膝を曲げた状態で膝を浮かせる「大腿神経伸張テスト」などがあります。

いずれも腰椎椎間板ヘルニアとの鑑別診断に用いられます。ヘルニアの場合、上記のテストで突然の疼痛が認められます。

画像検査

  1. X線検査
    いわゆる「レントゲン検査」です。骨折や脱臼など骨に異常がないか調べます。腰椎捻挫の場合は、X線画像で異常はみられません。
  2. CT・MRI検査
    主に内臓の異常や、がんの骨転移、先ほどの腰椎椎間板ヘルニアなどを確認することができます。

様々な検査がありますが、いずれも「他の病気ではない」と確認するための検査がほとんどです。

関連記事交通事故後に受ける検査とは?検査にかかる費用や慰謝料を解説!

腰椎捻挫の治療法やリハビリ

腰椎捻挫と診断された場合、どのような治療法があるのでしょうか。
以下に、代表的な治療法を3つ紹介します。

①薬物療法

医療機関では医師から薬が処方されますが、残念ながら「腰椎捻挫を治す薬」はありません。対症療法として痛み止めや湿布薬などが処方され、症状を和らげます。

②徒手療法

医療機関では、理学療法士による理学療法、整骨院では、柔道整復師によるマッサージなどの施術が行われます。
凝り固まった関節などをほぐしたり、筋肉をストレッチすることで動かしやすくしたり、血行をよくしたりします。

③物理療法

電気療法や牽引などで筋肉をほぐして血流を促進します。
熱を持っている時に冷やしたり、逆に強張った時に温めてリラクセーションする等も、この「物理療法」に含まれます。

その他、鍼灸師による鍼や灸を用いた施術などもあります。

腰椎捻挫の治療・施術を受ける通院先

次に、腰椎捻挫の治療や施術を受けることができる通院先について紹介します。

交通事故通院における整形外科と整骨院の治療内容の違い

▲交通事故通院の病院と整骨院の治療内容の違い

腰椎捻挫になった時に通院するのは、主に病院やクリニックの整形外科と、整骨院・接骨院とがあり、必要に応じて使い分け、もしくは併用することが可能です。

整形外科

整形外科では、医師により痛み止めなど薬の処方がしてもらえたり、画像診断の設備などが充実していたり、必要に応じて「診断書」を作成してくれるなどの利点があります。まずはこちらに通院することをおすすめします。

整骨院・接骨院

整骨院・接骨院は外傷に対する施術に特化した専門機関です。先ほど述べたように、柔道整復師が、マッサージや物理療法などを施術してくれます。

特に、「整形外科で薬をもらうだけでは改善しない」「再発を防ぐためにできる限りのことはやっておきたい」という場合は整骨院や接骨院への通院も検討してみると良いでしょう。

関連記事整骨院と整形外科はどっちがいい?症状やケースをあわせて解説!

腰椎捻挫の再発を防ぐには?

腰椎捻挫は、治療やリハビリを行ったとしても、症状が再発する可能性があります。
腰椎捻挫の再発を防ぐには、筋力を落とさず、柔軟性を維持することが大切です。

といっても、特別なことをする必要はありません。日常生活の中で、ウォーキングなどの適度な運動を取り入れる椅子やベッドマットなどは、体に負担のかからないものを選ぶ、といったちょっとした工夫で腰部への負担を大幅に減らすことができます。

さらに、重いものを持ち上げない腰に負担のかかるスポーツなどは避ける、どうしてもプレイしたい場合にはコルセットで腰部を守る、など受傷時と同じ状況を作らないことが大事です。

関連記事交通事故でむちうちに…コルセットを使う目的は?

腰椎捻挫で仕事ができない場合は?

骨に異常がないといっても、腰椎捻挫の強い痛みで仕事ができなくなる場合もあるでしょう。そんな時のために休業補償制度があります。

交通事故(自賠責保険)の場合は休業損害補償

交通事故の損害賠償の内訳

▲交通事故の損害賠償の内訳

交通事故の被害にあい、事故が原因の腰椎捻挫で仕事ができない場合には、その間の収入を「休業損害」として加害者側に請求することができます。

補償は、加害者側の保険会社に「休業損害証明書」を提出すると、完治するまで、もしくは「症状固定」とみなされるまでの期間にわたって休業損害補償が支払われます。

症状固定とは:治療を続けても症状の緩和が見られない状況の事

▲症状固定とは?

「交通事故による腰椎捻挫が原因で収入が下がった」ことが認められれば、被害者が正規雇用か非正規雇用かなどは問われません。

関連記事交通事故で症状固定と言われたら?後遺障害も解説<弁護士監修>

労働保険の休業補償もある

労働者が就労により腰椎捻挫となり休業した場合は、労働保険の休業補償を受けることができます。これについても正規雇用かどうかは問われませんが、雇用期間が30日以下の短期アルバイトの場合などは被保険者にならないので注意が必要です。

こちらも交通事故の休業損害補償と同様に、完治するまで、もしくは「症状固定」とみなされるまでが補償の対象期間となります。

腰椎捻挫の症状を残さないよう治療・通院をしましょう

交通事故で腰が痛い人

腰椎捻挫は、骨には異常がなく、基本的には「安静にしておくと改善する」と言われていることもあり、ついつい痛み止めを飲みながら頑張ってしまう方もいるかもしれません。

しかし、症状を残さないためにも、また再発を防ぐためにも、適切な治療を受け、きちんと通院しましょう。

この記事を監修したのは…

札幌の医科大学を卒業後、首都圏の急性期総合病院に約20年勤務。重複障害などで多科にまたがる患者さんの治療・方針の適正化を得意とする。現在は病院を早期退職しフリーランスの医療ライターや編集者として活動中

この記事の執筆者

理学療法士(脳卒中認定) / 齋藤 里美
札幌の医科大学を卒業後、首都圏の急性期総合病院に約20年勤務。重複障害などで多科にまたがる患者さんの治療・方針の適正化を得意とする。現在は病院を早期退職しフリーランスの医療ライターや編集者として活動中。

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