整形外科のリハビリは週何回通えばいい?機能訓練との違いも解説
監修記事
岡野 圭祐
理学療法士
交通事故などにより、痛みやしびれ、頭痛などの自律神経症状を伴うことがあります。
医師の診察を受け、自然治癒が困難であると判断された場合はリハビリに通うことになりますが、いったい週に何回通うべきなのでしょうか。
また、その場合に保険は適応されるものなのか分からない人は多いはずです。
今回は、交通事故により通院が必要になった場合のリハビリに通う頻度や、適応となる保険について解説していきます。
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目次
リハビリとは
いわゆるリハビリテーションのことであり、理学療法士・作業療法士・言語聴覚士といった医療国家資格の保有者が提供するものになります。
身体機能に大きく関わるリハビリを行うのは、理学療法士や作業療法士です。
理学療法士や作業療法士は、基本的動作に何らかの障害を持った人に対して、その機能を回復するための援助をする専門職です。
言語聴覚士は食事に必要な摂食・嚥下機能や、発語などの言語機能の改善に携わります。
交通事故などにより身体動作に障害を持った場合の治療対象は、「運動器」になります。
運動器とは身体運動に関わる骨・筋肉・神経などの総称であり、運動器の障害を持った人には以下のような症状があります。
- 痛み
- しびれ
- 感覚障害
これらの症状を解決するために、医師の処方のもとでリハビリが開始されます。
整形外科のリハビリは週何回受ければいいのか
整形外科のリハビリの種類
整形外科のリハビリの目的は、疼痛の緩和、筋力の向上、可動域の拡大、循環の改善、障害の軽減や予防になります。
患者の症状を改善するためには理学療法・物理療法を組みあわせて治療していきます。
理学療法
理学療法とは医療国家資格である理学療法士による治療であり、以下の内容を提供します。
- 可動域訓練
- リラクセーション
- 筋力訓練
- 協調訓練
後述する物理療法も含まれる場合もありますが、主に身体機能に着目して徒手療法を中心に実施していきます。
治療対象は炎症や筋肉のコリなど一次性、姿勢不良などによる二次性の症状です。
手順としては可動域の拡大や筋力訓練を実施し、協調訓練により身体の使い方を学習することで再発の予防を目指します。
物理療法
理学療法と並行しておこなわれるのが物理療法です。
物理療法には温熱療法、超音波療法、牽引療法などさまざまな種類があります。
患者が訴える症状によって適応が変わってきますので、担当するセラピストや医師の指示に従うようにしましょう。
物理療法は主に疼痛の緩和や循環の改善といった効果が期待できます。
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リハビリは週2回を目安に
受傷から間もない急性期は症状が強く日常生活に支障を来すことが多いため、週2回を目安にリハビリを受けることをおすすめします。
リハビリの施術時間は1回で20分〜40分程度で、週1回の頻度では機能が回復しても元に戻ってしまう可能性があるからです。
また、痛みなどで制限が強い時期は自身で可能なトレーニングが少ないため、専門家による適切な治療を受けることが望ましいです。
症状の快復程度に応じて頻度は調整していきましょう。
リハビリで健康保険が使えるのは150日間
交通事故後にリハビリを受ける場合には健康保険を使用することができます。
これはリハビリの診療報酬制度で決められており、日本の医療制度では障害の種類によって分類されています。
筋肉や神経の障害は運動器リハビリテーションに分類され、健康保険が使用できるのは発症から150日間です。
運動器リハビリテーションの対象疾患を以下にまとめます。
- 上下肢の複合損傷
- 急性発症した運動器疾患
- 運動疾患の手術後
- 関節の変性疾患、炎症性疾患
- 慢性の運動器疾患
上記の症状により一定程度以上の運動機能および日常生活能力の低下を来している患者が適応になります。
期限が切れていても改善の見込みがあれば、医師と相談して治療を継続することが可能です。
POINT
健康保険を交通事故で利用する時の注意点
交通事故の治療で健康保険を利用する場合には、「第三者行為による傷病届」を提出する必要があります。
また、自賠責保険は自由診療扱い、健康保険は保険適用の治療や施術になり、受けられる治療・リハビリ内容が異なるため、注意が必要です。
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整骨院・接骨院でリハビリは受けられるのか
交通事故後による運動器リハビリテーションは、整骨院や接骨院で受けることはできません。
その理由は整骨院や接骨院には医師や理学療法士が在籍しておらず、医師の指示のもと治療を進めることができないからです。
整骨院・接骨院で受けられるのは機能訓練
整骨院・接骨院では医療国家資格である柔道整復師による機能訓練を受けることができます。
柔道整復師による機能訓練には、可動域訓練や筋力訓練、リラクセーションが中心となります。
リハビリと目的や内容が重複している部分もあるので勘違いされやすいですが、明確な違いは「医師の指示」に基づいて訓練をしているかどうかです。
整骨院・接骨院では医師と症状の相談ができないため、治療者と相談しながら進めていく必要があります。
機能訓練とは
機能訓練とは、日常生活を営むのに必要な機能の減退を防止するための訓練になり、事故による怪我や老化による機能の衰えに対し、機能回復を図ります。
機能訓練を実施する機能訓練指導員の定義は厚生労働省より提唱されており、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士、看護師、准看護師、柔道整復師、あん摩マッサージ指圧師の資格を有する者としています。
機能訓練の対象者は、地域生活への移行を図るうえで身体機能の維持や回復を目的とした訓練が必要な人です。
介護保険による機能訓練では、利用者のニーズに応えるために歩行訓練やトイレ動作などの日常生活訓練もおこないます。
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整骨院・接骨院でのリハビリで慰謝料請求はできる?
交通事故による怪我で整骨院・接骨院で治療を受ける方は多いです。
医師の指示のもとに施術を受けているわけではないので、慰謝料が請求できるか不安になるでしょう。
ここでは、整骨院・接骨院の治療における慰謝料請求について解説していきます。
整骨院・接骨院でも請求できる
整骨院・接骨院でも慰謝料は請求することはできますが、その適応は限定されていることに注意しましょう。
対象となるのは「負傷原因が急性または亜急性期(急性に準ずる)の外傷性のもの」であり、具体的には(不全)骨折や捻挫、脱臼、打撲などになります。
また、整骨院・接骨院にはレントゲン撮影などの医療診断に有用な機器がなく、骨折や脱臼により柔道整復師の施術を受ける場合には、医師の診察や同意が必要となることは覚えておきましょう。
整形外科(病院)で初診を受ける必要がある
整骨院・接骨院で治療を受けて慰謝料を請求する場合には、整形外科がある医療機関で初診を受ける必要があります。
その理由としては、レントゲンやMRIなどの画像評価がなければ、医師はその人に必要な治療を判断できないからです。
整骨院・接骨院では画像評価に必要な機器がなく、診断する医師も在籍しないため、診察を受けることができません。。
骨折がないと判断して無理に動かしてしまうことで症状を悪化させてしまうケースもあるため、適切な治療を受けるためにも専門家による診察は受けましょう。
整形外科(病院)での定期受診も重要
整骨院・接骨院で治療を継続している場合は、整形外科への定期受診を受けるようにしましょう。
例えば捻挫や打撲などは早い段階で症状固定とされてしまうケースもあり、医師による定期的な診察により必要な治療期間を共有しておくことは必要です。
症状固定とは、治療を継続しても症状が改善しないか、治療により一時的に改善してもすぐに症状が戻ってしまう状態を指します。
適切な期間で保険会社から治療費を支払ってもらうために、医師による定期的な診察は受けるようにしましょう。
関連記事むちうち症の通院期間はいつまで?交通事故でもらえる慰謝料とは
まとめ
交通事故により症状が改善されない場合は、リハビリか機能訓練の治療をおすすめします。
発症初期は症状が強く日常生活に制限が生じることもあり、週に2回の頻度から通院し、症状の回復にあわせて調整していきましょう。
治療は整骨院・接骨院でも受けられますが、適切な治療や期間の設定のためにも、整形外科による医師の定期的な診察や同意は必要です。
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この記事を監修したのは…
理学療法士として、大学病院、総合病院に務め、急性期や外来整形患者を担当。臨床業務の他にロボット開発、リーダー活動、勉強会開催などを経験。理学療法士としての可能性を広げるため、ライターとしても活動中。
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