交通事故のむちうち…通院頻度や通院期間はどれくらい?実例も紹介
監修記事
オオクマ サキコ
看護師
交通事故によるむちうちで通院をする際「どのくらいの頻度で通院すればいいの?」と疑問に思う方もいるのではないでしょうか。また、治療にかかるおおよその期間も知っておきたいですよね。
通院を続けていくうちに、治療費についても気になってくるかと思います。「治療費を抑えるために、通院を控えた方がいい?」と不安に思う方もいるのではないでしょうか?しかし、そのような心配をする必要はありません。なぜなら、被害者は加害者に対して、慰謝料を請求することができるためです。
当記事では、むちうちになった場合の通院頻度や通院期間の目安と共に、整形外科や整骨院を通院した方の実体験をわかりやすく紹介します。
また、気になる治療費や慰謝料、後遺症についても解説しています。交通事故によるむちうちについてお悩みの方は、ぜひ参考にしてください。
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目次
むちうちの通院頻度や通院期間はどれくらい?
むちうちの治療を続けていくうちに「月に何回通院していいの?」「どのくらい通院したら治るんだろう…」という疑問が生まれるのではないでしょうか。
ここでは、交通事故でむちうちになった際の、通院期間や通院頻度について詳しくまとめていきます。
むちうちの通院頻度
むちうちになった場合の通院頻度は、一概に「週に何日通うと良い」と言うことはできません。怪我の状態によって、毎日通院したほうが良い場合もあれば、1週間に1回程度の通院で良い場合もあるからです。
一般的には、最低でも2日に1回は通院したほうが良いといわれています。しかし、痛みが強く出ている場合は、2日に1回とはいわず、毎日通院したほうがよいケースもあります。
実際にどれくらいの通院頻度で通うべきかについては、怪我の状態から専門家に判断してもらう必要があります。
通院頻度の間隔があまりにも空くと、骨や筋肉が元の位置に戻ってしまい、体が正常な記憶をすることができなくなってしまいます。また、通院頻度の少なさは、保険金の請求の際に被害者が不利になってしまうことがあるため、適切な頻度で通院を続けていくと安心です。
関連記事むちうちとは?原因から症状・治療法や慰謝料まで徹底解説!
むちうちの通院期間
むちうちの通院期間も通院頻度と同様に「何ヶ月間通院を続ければ治ります」と一概に言うことはできません。
一般的には3ヶ月程度と言われていますが、怪我の状態によっては6ヶ月~1年程度の通院を続けなければいけない場合もあります。
【体験談】実際の通院頻度や通院期間はどれくらい?
通院頻度や通院期間はもちろん症状の大小によって違ってくることは分かっているけれど、実際に交通事故のむちうち等の怪我をされた方々がどのくらいの頻度でどのくらいの期間通院されたかという点は気になるのではないでしょうか。
実際に交通事故病院の相談窓口にご相談頂き通院された方々の通院頻度や通院期間について、実例を3件ご紹介いたします。
【体験談①】赤信号で停止中、後ろから追突の事故
お一人目は、信号で停止中に後ろから追突されてしまった「吉ちゃんさん」の例です。
事故状況としては、親戚を訪ねた帰宅途中に、赤信号で停止していたところ、後ろから追突されてしまった形でした。その後救急隊員が車のドアを開けて、救急車で病院まで搬送されたという事です。
「吉ちゃんさん」のケースでは、
病院への通院頻度
最初のひと月は週1回病院(整形外科)に通い、整骨院への通院の承認を受けてからは、2週間に1回通院
整骨院への通院頻度
事故の1ヶ月後から通院を開始。はじめは週5~6回、通院開始から2ヶ月過ぎあたりから週4回程度
トータルの通院期間
6ヶ月程度
とお答えいただいています。
「吉ちゃんさん」の詳しいインタビュー記事はこちらから↓
お盆に親戚を訪ねた帰り 事故で救急搬送され…<交通事故の体験談>
【体験談②】妊娠中の追突事故
お二人目は、妊娠中に信号で停止中後ろから追突されてしまった「nicoさん」のケースです。
事故状況としては、お出かけ途中に信号で停車していたところ、後ろから追突されてしまった形でした。当時nicoさんは妊娠中という事もあり、病院ではレントゲンが受けられず通院先探しもご苦労されたという事です。
「nicoさん」のケースでは、
病院への通院頻度
整形外科は一度だけの通院。妊娠中の為、レントゲンや治療ができず、受け入れてくれる病院が見つからなかった
整骨院への通院頻度
週2~3回通院。妊婦でも通院できる自宅近くの整骨院に通院
トータルの通院期間
2ヶ月以下
とお答えいただいています。
「nicoさん」の詳しいインタビュー記事はこちらから↓
妊娠中の事故でむちうちに!整形外科で治療できず<交通事故の体験談>
【体験談③】コンビニの駐車場で追突事故
3人目の方は、コンビニの駐車場でバックしてきた車に追突されてしまった「水クラゲさん」のケースです。
事故状況としては、コンビニの駐車場で、相手の不注意によりバックで追突されてしまった形でした。
「水クラゲさん」のケースでは、
病院への通院頻度
週2~3回の通院
整骨院への通院頻度
整骨院も週2~3回の通院
トータルの通院期間
3か月程度
とお答えいただいています。
「水クラゲさん」の詳しいインタビュー記事はこちらから↓
<交通事故の体験談>コンビニの駐車場で追突事故 腰痛で仕事ができず…
むちうちの通院先
先程の実際の体験談の中でもご紹介したように、むちうちの通院先は主に「整形外科」と「整骨院」があり、併用して通院することが可能です。
どちらへどれくらいの通院頻度で通う必要があるかについては、怪我の状態や専門家の判断により人それぞれですが、整骨院は比較的遅い時間まで営業していたり、土日も受け付けてもらえるところが多いため通い続けやすいのがメリットです。
ここでは、整形外科と整骨院のそれぞれの特徴を解説します。
整形外科
整形外科は医師(整形外科医)が治療を行う場です。骨や筋肉などの運動器だけでなく、脊髄や神経に関しても整形外科が診ていく範囲となります。疾患や症状の診断には医師の所見に加え、レントゲンやMRIといった画像の検査も行います。
症状や疾患の状態に合わせ、機能回復のためにリハビリテーションを行うこともあります。所見や検査結果を元に「診断」を行うことができるのは、医師だけしかいません。
関連記事整骨院と整形外科の違いは?どっちがいいか症状やケースにあわせて解説!
整骨院
整骨院は、国家資格である柔道整復師が施術を行う場です。外傷による捻挫や打撲に対し、マッサージや理学療法などの施術を行います。また、脱臼や捻挫等による関節のずれや、骨折による骨の損傷についても整復と呼ばれる応急処置をおこなうことができます。
手技やテーピング、包帯を使用して症状の回復を図る専門として整骨院はあります。
関連記事交通事故で整形外科と整骨院は併用可?メリットや注意点を解説
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むちうちの治療費はどうなるの?
むちうちの治療費や通院交通費は、被害者が気になるポイントの1つはないでしょうか。ここでは、むちうちの治療にかかる費用について、詳しく述べています。
被害者は損害賠償を請求することができる
被害者は、加害者に対して損害賠償を請求することができます。
損害賠償とは、交通事故により被害者が受けた様々な損害に対して、その損害を与えた加害者が、損害の埋め合わせをすることをいいます。損害賠償を請求すると、被害者は治療費や通院交通費などを負担することなく、治療を受けることができます。
被害者が請求できる損害賠償は、3種類。
- 積極損害
- 消極損害
- 慰謝料
積極損害
治療費や通院交通費など、交通事故の怪我によって出費を余儀なくされた場合の損害を補うもの。
消極損害
交通事故にあったことによって、被害者が本来得るはずの利益が減少した場合、その損害を補うもの。
慰謝料
交通事故にあったことによって、被害者が受けた精神的苦痛をお金であらわしたもの。
入通院を強いられた際の苦痛を補う入通院慰謝料と、後遺障害になった場合の苦痛を補う後遺障害慰謝料があります。
慰謝料の計算方法は3種類
むちうちの慰謝料を計算する際、3種類の計算基準が使われます。
- 自賠責基準
- 任意保険基準
- 弁護士基準
自賠責基準
自賠責保険は、車を所有するすべての運転者に加入が義務付けられている保険です。自賠責保険が適用されると、通院1日につき4,300円の慰謝料が発生します。
自賠責基準は、交通事故の被害者が受けた損害に対して、最低限の補償を行うことを目的としています。被害者に支払われる慰謝料の限度額は120万円で、3つの基準の中で最も低い金額となっています。
任意保険基準
任意保険は、運転者の任意で加入を決めることができる保険です。被害者に支払われる慰謝料の金額が、自賠責保険の限度額を超えた場合に、任意保険基準が適用されます。
任意保険基準は、各任意保険会社で基準が異なっており、公表はほとんどされていません。一般的には、自賠責保険基準よりも高額な金額になるといわれています。
弁護士基準
交通事故の過去の判例を参考に、「赤い本」や「青い本」と呼ばれる法律書を基準として計算されています。
弁護士基準で被害者に支払われる慰謝料の金額は、3つの基準の中で最も高額になるといわれています。
関連記事交通事故の慰謝料を払うのは誰?治療費がもらえない時の対処法とあわせて解説
保険会社に慰謝料を打ち切られる場合がある
被害者に対しての慰謝料の支払いは、基本的には加害者側の保険会社が行います。しかし、いつまでも加害者側の保険会社が慰謝料を支払ってくれるとは限りません。
加害者側の保険会社から慰謝料を打ち切られる理由は、大きく分けて2つ。
- 怪我が完治した場合
- 怪我が症状固定と判断された場合
症状固定とは
症状固定とは、これ以上治療を続けても、怪我の状態が良くならないと医師が判断することをいいます。慰謝料の金額を抑えたいために、保険会社から症状固定と言われる場合がありますが、症状固定の判断をすることができるのは、医師のみです。
保険会社から症状固定といわれても、痛みがまだ残っている場合は、主治医と相談し通院を続けるようにしましょう。
慰謝料が打ち切られる理由は、上記の2つ以外にもいくつかあります。
- 通院頻度が少ない場合
- 漫然治療
- 保険会社に対して感情的になる
関連記事保険会社が治療の打ち切りを連絡してきたら?理由と対処法を解説
慰謝料を増額するには?
交通事故の被害者は、加害者に対して慰謝料を請求することができますが、できるだけ多くの慰謝料を獲得したいというのが本音ではないでしょうか。
ここでは、入通院慰謝料の増額方法について、詳しく解説していきます。
適切な通院頻度、通院期間で治療をする
入通院慰謝料の金額は、入通院期間が長ければ長いほど高額になります。「通うのも大変だし、もうそろそろ通院はいいかな」と自己判断して通院をやめてしまうと、その分通院期間が短くなるため受け取れる慰謝料の金額も少なくなります。
漫然治療(客観的に効果が期待できない治療)を続けるのは、慰謝料が打ち切られる原因になってしまうので注意が必要ですが、怪我の状態にあった適切な通院頻度、通院期間で治療をしていくことで慰謝料もその分受け取れます。
慰謝料はもちろん、体の回復のためにも怪我が完治するまで、また医師に症状固定と判断されるまではしっかりと通院を続けましょう。
弁護士基準で慰謝料を請求する
前述したように、慰謝料の計算には自賠責基準、任意保険基準、弁護士基準の3つの基準があります。弁護士基準は、3つの基準の中で最も高額になるため、慰謝料を増額することができます。
示談交渉を弁護士に依頼すると、弁護士基準で慰謝料を計算することができます。また、手続きがスムーズに進めることができるというメリットもあります。
しかし、示談交渉を弁護士に依頼することで、弁護士費用が発生します。弁護士費用は、被害者の自腹で支払わなければいけません。そのため、弁護士費用が増額分を上回った場合は、慰謝料を増額することはできません。
弁護士費用は弁護士費特約で補うことができるので、示談交渉を弁護士に依頼する際は、自身が加入している保険内容を確認してからにしましょう。
関連記事交通事故の弁護士特約を徹底解説!成功報酬は誰が払う?等級は下がる?
むちうちは後遺症になる場合がある
ここでは、むちうちが後遺症になってしまった場合、被害者がすべき事について詳しく述べています。
後遺症とは?
前述したように、交通事故による怪我は、医師によって症状固定と判断される場合があります。後遺症とは、症状固定と判断された時点で残っている、怪我の状態のことをいいます。
後遺症になると、これまで支払われていた慰謝料は打ち切られてしまいます。後遺症になった後は、被害者の自費で通院を続けなければいけません。
むちうちが後遺症になるまでの期間
むちうちが症状固定と判断され、後遺症になるまでの決定的な期間はありません。なぜなら、怪我の状態によって治療期間は人それぞれだからです。
交通事故によるむちうちが、「症状固定(後遺症)です」と医師に判断されるまでの期間は、一般的には6ヶ月程度といわれています。
3ヶ月程度通院を続けると「そろそろ治療費を打ち切りましょう」と保険会社に言われる場合があります。しかし、この時点で医師に症状固定と判断されていなく、また痛みが残っている場合は通院を続けましょう。
後遺症になった後も慰謝料を受け取る方法
後遺症が残ってしまったら、「本当に慰謝料はもらえないの?」と多くの被害者が思うのではないでしょうか。
後遺症の時点では、被害者は慰謝料を受け取ることはできません。しかし、後遺症が後遺障害と認められることで、被害者は後遺障害慰謝料を請求することができます。
後遺障害慰謝料とは、後遺症が残ってしまったことで、被害者が受けた精神的苦痛を、加害者がお金で補うものです。
後遺症が後遺障害と認められるためには、いくつかの条件を満たす必要があります。
後遺障害等級認定を申請する
後遺障害には、1級から14級までの等級があり、これを後遺障害等級といいます。1級が最も重症となり、14級が最も軽症となります。後遺障害慰謝料は、後遺障害等級によって金額が変動します。症状が重くなるにつれて、後遺障害慰謝料の金額は上がっていきます。
後遺障害等級が認定されるには、後遺障害等級認定の申請を行う必要があります。後遺障害等級認定の申請の前に、まずは申請準備を行いましょう。
後遺障害等級認定の申請準備で、被害者がすべき事は2つ。
- 症状固定まで通院を続ける
- 後遺障害診断書を取得する
後遺障害等級が認定されるための第一歩として、まずは症状固定まで通院を続けることが大切です。症状固定まで通院を続けないと、後遺障害等級が認定されることは極めて困難になってしまいます。
症状固定と判断された時点で、医師に後遺障害診断書の記載を依頼しましょう。怪我の自覚症状を医師にしっかりと伝え、記載されている内容を被害者自身も確認することが大切です。
後遺障害等級認定の申請方法
後遺障害等級認定の申請準備が整ったら、申請を行いましょう。
後遺障害等級認定の申請方法は、2つ。
- 加害者請求
- 被害者請求
それぞれの方法について、詳しく解説していきます。
加害者請求
加害者請求は、加害者側の任意保険会社に、すべての手続きを任せる方法です。被害者が、加害者側の任意保険会社に後遺障害診断書を提出すると、後の手続きはすべて行ってくれます。
加害者請求を行うと、被害者は手続きをする手間を省くことができます。しかし、どのような手続きが行われているのか、被害者は知ることができません。
被害者請求
被害者請求は、被害者自身が加害者側の自賠責保険会社に直接、後遺障害等級認定の申請を行う方法です。被害者は、後遺障害等級認定の申請に必要な書類を自身で集め、加害者側の自賠責保険会社に提出します。
被害者請求では、被害者自身が手続きを行うため、様々な手間がかかります。加害者請求と比べて時間がかかりますが、被害者は手続きの透明性を保ちつつ、納得しながら手続きを進めることができます。
関連記事むちうちを後遺症にしない|症状や治療と後遺障害認定・慰謝料も解説
むちうちの通院頻度と通院期間についてまとめ
交通事故によるむちうちの通院頻度や通院期間は、怪我の状態によって異なります。怪我の状態がそれほど重症ではない場合は、通院を辞めたいと思うかもしれません。
しかし、通院を怠ると慰謝料の受け取りの際、被害者が不利になってしまうことがあります。専門家に判断を仰ぎ、適切な通院頻度、通院期間で治療を進めていくと良いでしょう。
自宅の近くや遅い時間、土日にも営業している整骨院にも併用して通うことも、通院頻度を保つための1つの方法です。整形外科に通院することに苦労している場合は、整骨院との併用も検討してみると良いでしょう。
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この記事を監修したのは…
看護学校卒業後、総合病院にて外科病棟、救急病棟、外来等、急性期看護を経験。結婚・出産を経て、看護師として臨床以外でスキルを磨けるライターに魅力を感じ、活動を開始。現在、医療福祉系の記事を中心に執筆中。
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