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むちうちとは?原因から症状・治療法や慰謝料まで徹底解説!

監修記事

柿野 俊弥

理学療法士

「交通事故に遭ってから首が痛い」

もしかしたら、むちうちかもしれません。交通事故やスポーツなどで急激な首の動きが起きることによって引き起こされる「むちうち」は、頚椎や周囲の組織にダメージを与え、首に痛みや不快感をもたらします。

この記事を読むことで、下記のことがわかります。

  • むちうちとは一体何なのか
  • むちうちを発症する原因で多いものは?
  • むちうちの症状が出るまでの期間について
  • むちうちを発症したときの受診先
  • むちうちの治療方法
  • 交通事故で被害者の立場にあるときに支払われるお金
  • むちうちと後遺障害等級認定の関係

むちうちについてほとんど知らない方でも、一から詳しく解説しているので、ぜひご覧ください。

むちうちとは

「むちうち」とは?発症の原因や症状等

▲「むちうち」とは?発症の原因や症状等

むちうち、または「むちうち症」と一般的に呼ばれる疾患は、主に交通事故による衝撃や突然の首の動きによって、頚椎の構造や周囲の筋肉・靭帯に損傷を引き起こした状態のことです。主な症状は首や首周囲の痛み、肩こり、頭痛、吐き気などがあります。

多くのケースでは、2~3ヵ月程度で治癒するとされています。ただし、むちうちが重度であったり神経の損傷が見られる場合には、6か月以上の長い治療期間を要することもあるのが特徴です。

症状が後遺症として残らないよう、できるだけ早い段階で医療機関を受診し、治療を開始することが大切です。

医師監修むちうちの症状が続く期間は?痛みが引かないときの対処法と休業損害

むちうちの定義

日本整形外科学会は、むちうちについて「追突や衝突などの交通事故によってヘッドレストが整備されていない時代に首がむちのようになったために起こった頚部外傷の局所症状の総称です」と説明しています。

頸部外傷の局所症状の総称のため、交通事故に限らず、スポーツ中などに人と衝突したことで首を痛めた場合でも、”むちうち”と判断されることもあります。

受傷者ごとにむちうちを引き起こす原因や程度、症状が異なるため、きちんと整形外科をはじめとした医療機関を受診することが大切です。

頚椎捻挫・外傷性頚部症候群とも呼ばれる

むちうちの正式名称は?

そもそも、むちうちという呼び名は正式名称ではありません。医学的には、「頚椎捻挫」や「外傷性頸部症候群」などと呼ばれます。

他の疾患(頚部骨折や脱臼、ヘルニアなど)と鑑別するために、問診でどのような状況で受傷したのか、どのような症状があるのかを確認した後、首のレントゲン検査やCT検査、MRI検査などを行います。

関連記事むちうちの正式名称とは?外傷性頚部症候群の症状や治療法を徹底解説!

むちうちは交通事故での発生率が高い

むちうちは、交通事故による発生率が高い疾患です。とくに、自動車同士の衝突・追突事故は急激な首の動きが生じ、頚椎や周囲の組織(筋肉や靭帯など)にダメージを与える原因となります。

事故による衝撃で頭部が前後に急激に動くことにより、首の筋肉や靭帯に負担がかかり、痛みやしびれといった症状が現れるのが一般的です。交通事故でのむちうちを予防するためには、安全運転や事故を避けることが重要です。

また、万が一交通事故を起こしたとき、むちうちにならないようにするためにヘッドレストを外さず、シートベルトを正しく着用しておくことが大切です。

どれだけ安全運転を心がけても交通事故を避けられない場合もあると思います。そのため、日ごろからヘッドレストやシートベルトには注意しておきましょう。

関連記事交通事故で起こりやすい怪我とは|治療先や慰謝料も解説!

むちうちの症状が出るまでの期間とは

交通事故後むちうち症状が出るまではどれくらい?

交通事故後のむちうち症状出現迄の期間

むちうちの症状は、事故当日から翌日にかけて出現することが一般的ですが、症状が出るまでの期間には個人差があります。事故直後ではなく、数時間以上経ってから症状が現れることもあります。

事故の日よりも翌日の方が痛みが強くなることもあるため、「事故当初は違和感がなかったけど、次の日に症状が重くなった」というケースもあり油断は禁物です。

また、数週間経ってから時間差で発症することもあります。

この場合、症状はゆっくりと進行することが特徴です。初めは指先のしびれだけだったが、腕まで広がってきたり、最初は肩こりだけだったが、腰も痛くなってきたり、冷え性がひどくなってきたりすることがあります。

事故から2週間程度は痛みやしびれを感じることもあるため、経過を注意深く観察しましょう。

関連記事むちうちの症状が出るまでの期間は?すぐに症状が出ない理由も解説

むちうちにある5つのタイプ

むちうちの種類5つ

▲むちうちの5つの種類と違い

むちうちは5つのタイプに分けられます。ここでは、5つの病型を紹介します。

症状タイプ 症状
頚椎捻挫型 むちうちの多くがこのタイプで神経症状がない。
バレー・ルー症状型 自律神経系に異常が起こり、めまいや飲み込みにくさ、視力障害などが起こる。
神経根損傷型 神経根が損傷され、放射痛やしびれを引き起こす。
脊椎神経型 頚椎にある脊髄を損傷し、上・下半身の麻痺やしびれなどが生じる。
脳脊髄減少型 外力によって脳脊髄液が漏れ出し、頭痛や吐き気などが生じる。

それぞれの症状タイプによって、症状や影響する部位が異なるため、正確な診断と適切な治療が重要です。

関連記事むちうちと頚椎捻挫の違いは?症状の種類や治療方法について通院期間の目安とあわせて解説

むちうちの症状とは?意外に種類が多い

むちうちの症状とは?

▲むちうちが原因で起こる症状の例

むちうちでは、どのような症状が現れるのでしょうか。表にまとめましたので下記を参考にしてください。

よくある症状 具体例
首の痛み 鈍痛、鋭痛、局所的な痛み、拡散した痛み
首のこり 硬直感、動かしにくさ、こわばり感
頭痛 後頭部の痛み、頭全体の痛み、圧迫感、締め付けられる感じ
めまい 平衡感覚の喪失、ふらつき感、動悸やめまいがする感覚
吐き気 軽度の吐き気、嘔吐感、食欲不振
肩と腕のしびれや痛み 肩の痛み、腕のしびれ、腕の痛み、手のしびれや痛み

このように、むちうちの症状は多岐にわたります。多いなと感じた方も多いのではないでしょうか。

関連記事むちうちはどんな症状?治療方法や完治までにかかる時間について解説

むちうちの受診先とは?整形外科が最優先

交通事故通院における整形外科と整骨院の治療内容の違い

▲交通事故通院の病院と整骨院の治療内容の違い

交通事故に遭い、むちうちが疑われる場合は、整形外科を最優先に受診することが大切です。整形外科医は、頚椎や周囲の組織に特化した専門家であり、むちうちによる首の痛みや症状を適切に評価・診断してくれます。

必要に応じてMRIやレントゲンを用いた検査を行い、状態を詳細に把握します。また、専門的な治療やリハビリテーションを提供してくれるため、早期の受診が症状改善のカギとなります。

他にも神経科や整骨院、リハビリ施設など、適切な専門家に相談することも考慮しましょう。

関連記事交通事故で首のむちうち、治療費は?整骨院・整形外科の併用通院の方法

むちうちの治療法とは?症状別に異なる

むちうちの治療法とは?症状別に異なる

むちうちの治療法は、症状によって異なります。ここではタイプごとの一般的な治療法を紹介します。

症状タイプ 治療方法
頚椎捻挫型 安静療法や温湿布、軽度のリハビリテーションを行い、炎症を鎮める。
バレリュー症状型 温熱療法やマッサージ、理学療法による筋肉のほぐしを行い、筋肉の緊張および自律神経の乱れの改善を図る。
神経根損傷型 薬物療法や神経ブロック注射、リハビリテーションを行い、症状の緩和および回復を図る。
脊椎神経型 必要に応じて専門医による手術が必要な場合がある。
脳髄液減少型 必要に応じて専門医による手術が必要な場合がある。

むちうちを引き起こしてからは、できるだけ早く適切な治療がむちうちの回復に大きく影響します。医師による判断を仰ぎながら、症状に応じた適切な治療法を選択しましょう。

関連記事首のむちうちの治し方は?具体的な方法と自宅で治療するときの注意点

むちうちに支払われるお金とは?種類を知ろう

むちうちに支払われるお金とは?種類を知ろう

むちうちの治療にかかる費用は、交通事故の加害者が加入している保険会社から支払われる「自賠責保険」や「任意保険」によって賄われることが一般的です。

治療費用には、医療機関での診療費、薬代、通院にかかる交通費などが含まれます。治療の内容や治療期間、通院期間などによって支払われる金額が異なるため、保険会社とのやり取りや必要な書類の提出が必要です。

関連記事交通事故の治療の流れと医療費の負担について解説

治療費が打ち切られた場合は?

治療費の支払いが打ち切られると、むちうちの被害者にとって厳しい状況になります。治療費が打ち切られる原因は、保険会社の審査で、治療の必要性がなくなったと判断された場合が多いです。保険会社側は、できるだけ支払うお金を抑えたいというのが実情になります。そのため、一方的に治療費を打ち切る旨を伝えてくる場合があるのです。

しかし、むちうちの症状は進行性の場合もあり、早期かつ継続的な治療が大切になります。治療費が打ち切られた場合は、整形外科や弁護士に相談し、必要な診断書や治療の根拠を提出して再審査を求めましょう。また、任意保険の内容を確認し、自己負担の軽減策を検討することも大切です。

関連記事保険会社が治療の打ち切りを連絡してきたら?理由と対処法を解説

むちうちと後遺障害者等級認定の関係とは

むちうちによる痛みやしびれが残ってしまい、日常生活に支障が残る場合、後遺障害者等級認定を受けることができます。後遺障害者等級認定は、交通事故や労災などの後遺症を持つ人に対して、その後遺障害の程度を評価・認定する制度です。

後遺障害とは?(後遺症と後遺障害の違い)

▲後遺障害とは?(後遺症と後遺障害の違い)

むちうちによる症状が後遺障害として認定されるには、医学的な証明と手続きが必要です。むちうちの治療を行う医師が、後遺障害診断書を作成し、症状や治療内容、予後などを記載します。

他にも医学的な証明となる画像検査の結果などの書類の用意が必要です。その後、審査に関わる自賠責保険会社や損害保険料率算出機構に書類を提出します。認定の基準は厳しく、身体的・精神的な障害があることを明確に示さなければなりません。

後遺障害等級認定を受ければ、被害者は後遺障害慰謝料を請求できます。ただ、認定までの手続きは個人で行うには難しい場合もあります。その際は、弁護士といった専門家へ手続きの依頼を行うと良いでしょう。

関連記事むちうちで後遺障害認定を受けられる確率は?認定率を高める対策も解説

むちうちかも?と思ったらすぐ相談

むちうちは何らかの衝撃で首に怪我をする疾患です。首には重要な血管や神経が通っており、放置してしまうと症状が悪化するおそれがあります。交通事故やスポーツなどでむちうちが疑われる場合は、すぐに医療機関を受診しましょう。

この記事を監修したのは…

理学療法士として、回復期病院で脳血管疾患を中心にリハビリテーションを経験。その後、フリーライターに転向。医療・健康分野をはじめ、地域・観光、転職関連などの幅広いジャンルの執筆を行っている。

この記事の執筆者

理学療法士 / 柿野 俊弥
理学療法士として、回復期病院で脳血管疾患を中心にリハビリテーションを経験。その後、フリーライターに転向。医療・健康分野をはじめ、地域・観光、転職関連などの幅広いジャンルの執筆を行っている。

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