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むちうちで後遺障害認定を受けられる確率は?認定率を高める対策も解説

監修記事

岡野 圭祐

理学療法士

交通事故によってむちうちを発症し、通院を続けたとしても後遺症が残ってしまうケースが存在します。

後遺症が残った場合、後遺障害の等級認定を申請できますが、むちうちの認定率は低いと知られています。

認定率を上げるための行動や、非該当となった場合の対処法も知っておきましょう。今回は、交通事故によりむちうちを発症し、後遺障害の等級認定を申請しようと考えている人に向けて解説しています。

むちうちが後遺障害に認定される確率は低い

むちうちによる後遺障害認定の確率は低い

交通事故でむちうちなどの症状が出現し、しびれや痛みなどの後遺症が残った場合は、後遺障害の等級認定を申請できます。しかし、それはどれほどの確率で認められるものなのでしょうか。

ここでは、後遺障害の認定率について説明していきます。

後遺障害の認定率は5%前後

後遺症が残った場合、医師による後遺障害診断書といった必要な書類を用意し、加害者側の保険会社か自分自身によって後遺障害の等級認定を申請できます。

しかし、後遺障害が認定される認定率は全体の5%前後といわれています。

むちうちによる後遺症の場合は2.8%前後

むちうちによる後遺障害は、等級の中で最も軽度にあたる14級に認定されることがほとんどといわれています。

また、14級の認定率は約2.8%とされています。これは自賠責保険が損害賠償金を支払った件数をもとにしているため、あくまで参考にはなります。

しかしながら、交通事故によるむちうちが後遺障害と認定される確率の低さがわかります。

POINT

後遺障害等級の内訳

後遺障害等級は1号から9号まで9つの等級に分けられており、むちうちが認定されるもののほとんどが14級9号である「局部に神経症状を残すもの」になります。

関連記事交通事故の後遺症で認定される後遺障害等級14級とは?慰謝料の基礎知識について解説!

むちうちによる後遺障害認定が難しい理由とは

むちうちによる後遺障害認定が難しい理由とは

むちうちの後遺障害の認定率は2.8%前後ですが、どうして認定率が低いのでしょうか。その理由を4つにまとめました。

医学的に症状を証明するのが難しい

むちうちに対して、MRIレントゲンなどの画像検査で医学的所見があれば、後遺障害を証明しやすくなります。

しかし、実際には画像評価で見つけられない場合も多く、症状を裏付ける他覚的所見や検査が不十分だと、後遺障害が認定されにくいです。

例えば、神経や筋肉の損傷はMRI検査でなければ精査が困難であり、レントゲンによる評価だけでは不十分になります。先述した画像評価や神経学的検査の結果を踏まえて、等級が認定される傾向にあります。

診断書に正確な症状が記載されにくい

むちうちはしびれや痛み、吐き気といった自律神経症状など、さまざまな症状が出現します。事故直後だけでなく、時間が経過してから症状が現れることもあり、すべての症状を正確に伝えることが困難になることもあるでしょう。

医師に正確に伝えられなければ、むちうちによる後遺症の証明に十分な情報が診断書に記載されず、後遺障害認定が受け入れられにくくなります。

また、医師の全てが正確に後遺障害診断書を作成できるとは限らないため、診断書の内容をしっかりと確認しましょう。

症状に一貫性や連続性が認められない

むちうちの症状が交通事故によるものだと証明することができれば、後遺障害認定は受けやすいです。つまり、後遺症と交通事故の因果関係を証明する必要がありますが、症状に一貫性や連続性が認められない場合には後遺障害と認定されにくくなります。

特に、「受傷直後は痛くなかったが、徐々に痛みが強くなった」「一時期は回復したので通院を中断したが、痛みが再発した」などの場合は、むちうちと交通事故の因果関係が疑われやすいので注意しましょう。

治療期間が短い

後遺症があっても症状が軽症であれば、通院を中断してしまうことも多いでしょう。

しかし、治療期間が短い場合や、通院日数が少ないと、後遺症を軽く見積もられてしまいます。そのために、後遺障害の認定を受けにくくなるケースも存在します。

医師が「症状固定」と判断した場合に、後遺障害診断書を作成してもらうことで後遺障害の等級認定を申請できます。そのため、必要な治療期間に通院をしていなかった場合は、後遺障害の等級認定を受けられなくなるでしょう。

むちうちによる後遺障害認定の確率を上げるためにできること

できること

むちうちの後遺障害認定率が低くなる原因について解説してきましたが、確率を上げるにはどのようにしたらよいのでしょうか。

MRI検査を受ける

画像検査にはレントゲンやCTMRIとありますが、むちうちによる症状を証明する場合にはMRIを受けることをおすすめします。

レントゲンでは骨や関節の異常を見つけることはできますが、神経や軟部組織の損傷といった医学的所見を捉えるためにはMRIの方が良いです。

特に、しびれなどの症状はレントゲンでは原因がわからないことが多く、後遺障害の認定においても重要視されにくいです。MRIによる他覚的所見が得られれば、後遺障害等級12級や14級に認定される可能性が高くなります。

神経学的検査を受ける

MRIなどの精密検査は他覚的症状を捉えやすいですが、異常を発見できるわけではありません。そこで、医学的所見が捉えにくい場合は、神経学的検査もあわせて受けると良いでしょう。

神経学的検査には、整形外科テストである「ジャクソンテスト」や、末梢神経障害を鑑別するための徒手筋力検査(MMT)、神経伝達速度や電気活動を数値化できる筋電図検査があります。

これらの神経学的検査で異常が見られれば、画像検査がなくても後遺障害の認定を受けられる可能性があります。

小さな自覚症状もできるだけ細かく伝えておく

後遺障害診断書が必要になった場合、連続性のある症状を記載した方が後遺障害の等級認定を受けやすくなります。

医師は診察の際にカルテを記録しているため、初診時から小さな症状でも細かく伝えておくことで、過去の症状を確認しながら正確に記載することができます。

過去に伝え忘れていた症状があり、診断書が必要になった段階で伝えたとしても、交通事故との因果関係が不明瞭であり、記載してもらえないことがあるので注意しましょう。

関連記事交通事故で症状固定と言われたら?後遺障害も解説<弁護士監修>

時間を確保し通院を継続する

むちうちの後遺障害の等級認定を受けるには、症状固定とされるまで通院を継続する必要があります。重症なむちうちでは6ヶ月以上にわたり通院する事例があり、症状固定の目安もおおよそ6ヶ月とされています。

また、仕事が忙しいからと通院頻度が少ない場合や中断してしまうことで、後遺障害の等級認定が受けにくくなります。

後遺障害認定の結果に不服がある場合は弁護士への相談も検討

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後遺障害の等級認定で最も重要なのは、医師が作成する後遺障害診断書です。そのため、自分自身でも記載に不備がないか内容を確認するようにしましょう。

また、例え内容に問題がなかったとしても、むちうちは後遺障害に認定されないこともあります。不服がある場合は「異議申立てを行う」「紛争処理制度を利用する」「裁判を起こす」などの方法があります。

いずれも自分自身で対処できないと思われる場合は、弁護士への相談も検討すると良いでしょう。

この記事を監修したのは…

理学療法士として、大学病院、総合病院に務め、急性期や外来整形患者を担当。臨床業務の他にロボット開発、リーダー活動、勉強会開催などを経験。理学療法士としての可能性を広げるため、ライターとしても活動中。

この記事の執筆者

理学療法士 / 岡野 圭祐
理学療法士として、大学病院、急性期総合病院に務め、急性期や外来整形患者を担当。 臨床業務の他にロボット開発、リーダー活動、勉強会開催など多岐にわたる経験がある。 理学療法士としての可能性を広げるため、ライター活動も行っている。

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