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むちうちの通院期間はいつまで?その時、治療費はどうする?

監修記事

柿野 俊弥

理学療法士

突然、交通事故にあってしまい、病院で「むちうち」と診断されたら、辛い痛みを和らげるために治療を続ける必要があります。しかし、
「通院っていつまで続くんだ?」
「通院頻度って多くないといけないのか?」
「働いていると、通院が続けられるか心配だ…。」
といった不安がある方もいるのではないでしょうか?

そこで今回は、むちうちの通院に関する内容について解説します。この記事を読んで不安や悩み解消の一助になれば幸いです。

むちうちの治療はどうする?

交通事故でむちうちになったとき治療はどうすればよいのかわからない。とお困りの方もいると思います。ここでは、むちうちの治療について詳しく説明していきます。

そもそもむちうちって何?

「むちうち」とは?発症の原因や症状等

▲「むちうち」とは?発症の原因や症状等

交通事故にあったとき、強い衝撃によって、首が鞭のように大きくしなります。それにより、首周辺の筋肉や靱帯などの軟部組織が損傷し、症状があらわれます。

むちうちの症状には、首の痛みや頭痛吐き気、しびれ、めまいなど様々です。交通事故後、自覚症状があらわれた場合は、一度病院で診察を受けるようにしましょう。

また、むちうちは以下の5つの病型に分類されます。

関連記事むちうちはどんな症状?治療方法や完治までにかかる時間について解説

むちうちの通院先といえば?

むちうちの通院先は、主に「整形外科・病院」と「整骨院・接骨院」の2つです。通院先によって、それぞれ治療・施術内容が異なります。

関連記事整骨院と整形外科の違いは?どっちがいいか症状やケースにあわせて解説!

整形外科・病院

交通事故後の整形外科受診は①検査(レントゲン・MRI)②診断書の発行③痛み止めや湿布の処方等ができる

▲交通事故後の整形外科受診

病院・整形外科は医師が在籍しているため、レントゲンMRICTといった画像検査によって、症状の原因を調べることができます。ただ、むちうちは骨自体に異常があるわけではないため、画像検査では原因がわからないことがあります。

その結果、異常なしと言われ湿布・痛み止め薬の処方と経過観察になってしまうことが多いのが現状です。

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整骨院・接骨院

整骨院・接骨院の交通事故施術とは?

▲整骨院の交通事故施術内容の種類

整骨院・接骨院では、柔道整復師という資格を持った方が、マッサージなど身体に直接施術を行います。関節や筋肉への直接的なアプローチを行っていき、必要に応じて電気療法温熱療法などの物理療法が受けられます。

整骨院・接骨院は、営業時間が長かったり、土日祝日も通えるところもあるので通院しやすいのが魅力です。

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むちうちの治療期間と通院頻度は?

通院を継続することは大変ですが、目安の通院期間がわかっていれば少し安心できるかもしれません。そこで一般的な通院期間についてまとめました。

むちうちの通院期間の目安は3ヶ月

交通事故によるむちうち等の症状で整形外科と整骨院を併用通院した期間

▲交通事故によるむちうち等の症状で通院した期間の集計結果

むちうちの通院期間の目安は3ヶ月といわれています。むちうちとなった多くの人が3ヶ月程度で生活に戻ることが多いためです。しかし、あくまで目安であり、交通事故の状況や症状の程度、個々の病歴や年齢などによって大きく差が出ます

一般的な通院頻度は2日に1回

むちうちの通院は2日に1回、つまり週3回~週4回通うのが一般的です。しかし、怪我の程度は人それぞれで、週4回または週5回以上通うべき方もいれば、週1〜週2回程度で問題ない方もいます。医師の指示に従うと良いでしょう

ただ、治療費の請求から考えると2日に1回は通院した方がよいです。通院頻度が少ないと、保険会社から「症状が軽いから通院頻度が少ないのでは?」と捉えられて治療費の支払いを打ち切られてしまう可能性があります。

むちうちで通院した場合に請求できる費用は?

費用は基本的に加害者側の保険会社が負担してくれます。通院した場合に、保険会社に請求できる費用は「治療費+入通院慰謝料+通院するときに必要な雑費」です。

ここでは、これらの費用について詳しく説明していきます。

①治療費

治療費は、治療にかかった費用のことです。治療費として請求できるのは、診察費、検査費、薬剤費、入院費、手術費、リハビリ費用などが含まれます。

体の状態に合わない治療を受けている場合や一般的な治療費と比べて高すぎる場合には、治療費が請求できないことがあります。

弁護士監修交通事故の治療費は誰が支払う?手続きの流れや打ち切りの打診について解説

②入通院慰謝料

入通院慰謝料は、入通院することによって負った精神的苦痛に対する対価のことです。車の破損など、物損に対する慰謝料は基本的に認められません。

慰謝料の計算には3つの基準がある

交通事故の慰謝料の3つの基準(自賠責基準・任意保険基準・弁護士基準)

▲交通事故の慰謝料の3つの基準

慰謝料を計算するときに、3つの基準があります。したがって、どの基準を使うかによって、慰謝料の金額も異なってきます。

  • 自賠責保険基準
  • 任意保険基準
  • 弁護士基準

自賠責保険基準
自賠責保険基準は、自賠責保険を使用する場合の算定基準です。そもそも自賠責保険とは、車を所持している人が加入を義務付けられている保険です。補償範囲は被害にあった人に対するもので、モノを壊した場合などは補償範囲外です。また、最低限の補償しかされないため、負担してくれる金額にも上限があります。そのため、自賠責保険基準で損害賠償の計算を行うと、3つの基準の中で最も低い金額になります。

任意保険基準
任意保険基準は、各任意保険会社で損害賠償を計算する場合に使用される基準です。そのため、各任意保険会社で計算方法が異なり、慰謝料の金額にもバラつきがあります

弁護士基準
弁護士基準とは、弁護士が損害賠償を計算する場合に使われる基準です。弁護士基準で損害賠償を計算すると、3つの基準の中で最も高い金額になります。

入通院慰謝料の計算方法

今回は、自賠責保険基準による計算方法を紹介します。

むちうちの通院費の慰謝料の計算方法(自賠責保険)は1日当たり4300円となっています。しかし、基準日数は以下の項目を比較して、少ない日数が適用されます。その計算方法はこちら。

  1. 全治療期間(入院期間+通院期間)の日数
  2. 実通院日数(治療期間中に実際通院した日数)×2の日数

(例1)100日間にわたり、週1回(計14回)病院に通院した場合
14×2=48日となり、治療期間100日より実通院日数48日の方が少ないため、48日が基準日数になります。

(例2)100日間にわたり、週4回(計56回)病院に通院した場合
56×2=112日となり、実通院日数112日より治療期間100日の方が少ないため、100日が基準日数になります。

関連記事交通事故の慰謝料を払うのは誰?治療費がもらえない時の対処法とあわせて解説

③通院するときに必要な雑費

通院するときに必要な雑費は、むちうちを治療していく上で治療費以外で必要になった費用のことです。

具体的な費用内容

  • 通院交通費:通院するときにかかった交通費
  • 休業損害:仕事を休んだときの補償
  • 慰謝料:通院や入院の精神的な苦痛に対する対価
  • 付添看護費:親族の通院付き添いや入院中の看護に対するお金
  • 装具費:義足や車椅子、コンタクトレンズなど身体機能を補助する装具の代金
  • 雑費:入院中の日用品や通信の費用、医師への謝礼
  • 診断書代:診断書やMRI画像のコピー代などの費用
  • 文書料:各種証明書の取得費用

むちうちの通院中に治療費の打ち切りを打診される?

通院をしていると保険会社に「治療費支払い、打ち切りです」と言われることがあります。その場合はどうしたらよいのでしょうか。

打ち切りとは?時期は?

むちうちになった場合、病院である程度の期間、治療をします。交通事故の被害者である場合、治療期間中は基本的に相手の保険会社が病院の治療費を負担してくれます。しかし、3ヶ月ほど治療を続けていると、治療費の支払いをストップされてしまうことがあります。このことを打ち切りというのです。

保険会社が治療費の支払いを打ち切りする理由

保険会社が治療費の支払いを打ち切りする理由は、費用負担をなるべく減らすためです。

支払い対象者の通院期間が長引くと、保険会社の負担額も多くなってきます。保険会社もボランティアで働いているわけではありません。治療費に会社のお金を持っていかれてしまうと、社員の給与さえ支払うことができなくなってしまいます。そのため、治療費の支払いの打ち切りを打診するわけです。

打ち切りを防ぐには?

加害者側の保険会社から治療費の打ち切りを打診されたらどうする?

▲加害者側の保険会社から治療費の打ち切りを打診されたらどうする?

保険会社から支払いの打ち切りを打診されたからといって、必ずしも承諾する必要はありません。むちうちの症状が完治していないのに、治療費が自己負担になると集中的に治療ができなくなってしまいます。

もし、保険会社から打ち切りの打診があった場合は、以下の対策をとるとよいでしょう。

  • 交通事故問題に詳しい医師に相談し、まだ治療が必要であることを保険会社に説得してもらう。
    例:医師「現状、少しずつ症状の改善が見られているので、治療を続けるべきだと判断しています。引き続き、治療費の負担をお願いします。」
  • 弁護士に相談し、保険会社と交渉してもらう。
  • 自費で立て替えて通院する。
    ※自費で負担した治療費は、後で示談金に乗せてまとめて支払ってもらうことができます。

治療を続ける必要があることを裏付けるために、あらかじめ2日に1回ほど通院しておきましょう。

関連記事保険会社が治療の打ち切りを連絡してきたら?理由と対処法を解説

むちうちの通院期間と治療についてのまとめ

むちうちの通院期間の目安は3ヶ月で、通院頻度の目安は2日に1回(週3回~週4回)です。しかし、むちうちの症状はそれぞれ異なるので、担当医の指示に従って通院を続けていくようにしましょう。

また、通院をした際にかかった費用は、加害者側の保険会社に請求することができます。通院した場合は「治療費+入通院慰謝料+通院するときに必要な雑費」を請求することができるので安心して通院してくださいね。

参考
1)日本ペインクリニック学会:Ⅳ Ⅰ 1外傷性頸部症候群
2)一般社団法人 JA共済総合研究所:交通事故による いわゆる“むち打ち損傷”の 治療期間は長いのか

この記事を監修したのは…

理学療法士として、回復期病院で脳血管疾患を中心にリハビリテーションを経験。その後、フリーライターに転向。医療・健康分野をはじめ、地域・観光、転職関連などの幅広いジャンルの執筆を行っている。

この記事の執筆者

交通事故病院編集部 ライター / Y.N
38歳。女性。医療事務専門学校を卒業後、整形外科の受付スタッフとして働いていたが、結婚を機に退職。現在は、2児の母として子育てをしながら、ライターとしての活動を行っている。前職が整形外科の受付スタッフだったこともあり、事故後の怪我についての知識は豊富。

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