むちうちが再発?原因や予防のポイント、対処方法を解説
監修記事

柿野 俊弥
理学療法士
むちうちは一度しっかりと改善すれば、再発することはほとんどありません。
しかし、後遺症として症状が残ったり、完治前に治療を中断して症状が再発するケースが多く見られます。また、生活習慣による首への負担や運動不足による筋力低下も再発の原因となります。
症状が一時的に改善しても、完治するまで通院を継続することが大切です。
本記事では、むちうちの再発の原因や予防のポイント、対処方法をわかりやすく解説します。
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目次
むちうちの症状は再発する可能性がある
むちうちとは、交通事故などで首に急激な力が加わり、首の筋肉や靭帯、神経などが損傷した状態のことです。首の痛みやこり、頭痛、めまい、手のしびれなど、さまざまな症状が現れます。

▲「むちうち」とは?発症の原因や症状等
むちうちは一度しっかりと治癒すれば、再び交通事故などで怪我をしない限り、再発することはほとんどありません。しかし、完全に治りきらずに後遺症として症状が残ってしまうケースはあります。
実際に、交通事故に関する論文*によると、症例は少ないですが治療終了後に症状が残っていた患者は全体の21%にのぼり、その多くは1年後も症状が残っていたことが報告されています。
ただ、問題となるのが「治ったつもり」で治療を中断し、ある日突然症状が再発するケースです。朝起きたら首が回らない、デスクワーク中に急に頭痛が始まる、季節の変わり目に痛みが再燃するなど、忘れた頃に症状が現れることがあります。
症状が落ち着いていても、しっかりと治りきっていない場合には、再び症状が現れるケースがあるため注意が必要です。
*出典:一般社団法人 JA共済総合研究所「交通事故によるいわゆる”むちうち損傷”の治療期間は長いのか-損害賠償を含む心理社会的側面からの文献考証-」
むちうちの症状が再発する原因
むちうちの症状が再発する原因はさまざまです。きちんと治療を受けずに放置したり、日常生活での負担が蓄積したりすることで、症状が再び現れることがあります。
いくつかの要因が重なると再発リスクが高まるため、それぞれの原因を理解し、対処することが大切です。
では、むちうちの再発につながる主な原因について解説していきます。
自己判断での治療中断
むちうちの症状が一時的に改善したからといって、自己判断で治療を中断してしまうと、症状の再発につながる可能性があります。
むちうちの回復過程では、症状の波があることは珍しくありません。痛みが和らいでも、実際は治りきっておらず、再び症状が出る場合があります。
痛みが引くと、多くの方は「もう大丈夫だろう」と考えてしまいがちですが、痛みなどの表面的な症状の改善と組織の回復には時間差があります。
自己判断で治療をやめると症状が再発する可能性が高くなるため、治療を続けるか終了するかは医師の指示に従いましょう。
医師監修交通事故後のむちうちの治し方とは?辛い症状の原因や治療について解説
筋肉や靭帯、血流や神経が完全に治癒していない
痛みが消えても、体の中では修復が続いています。痛みは炎症が落ち着いたり、神経の圧迫が緩和されたりすることで感じなくなることがありますが、傷ついた筋肉や靭帯、神経が治るにはさらに時間がかかります。
とくに神経の回復は遅く、数か月かかることも珍しくありません。痛みを感じなくなっても、まだ体の修復は途中段階であるわけです。
この時期に無理をすると、症状が再発してしまいやすいため、医師の指示通りに治療を続けることが大切です。
体に歪みがある
交通事故の強い衝撃で、頚椎(首の骨)に歪みが生じることがあります。そうすると頚椎の間から出る神経の根元が圧迫されたり損傷したりして、「神経根損傷型」のむちうちになる可能性があります。
歪みが改善されないまま放置されると、一時的に症状が緩和しても、ちょっとした動作で再発しやすくなります。
頚椎の歪みは、レントゲン検査では発見しにくいことがあり、MRIなどの精密検査で初めて明らかになることもあります。
▲MRI検査とは
生活習慣による負担
近年は、デスクワークやスマートフォンの長時間にわたる使用など、首に負担がかかる姿勢を続ける機会が増えています。前かがみの姿勢や猫背は首の筋肉に負担をかけ、むちうちの回復を妨げる一因です。
また、長時間の運転や重い荷物の持ち運びも、首への負担を大きくし、再発リスクを高めてしまいます。
日常生活の中で無意識に行っている習慣を見直して、首への負担を減らすことは再発予防に欠かせないと言えるでしょう。
運動不足による筋力低下
痛みを避けるために体を動かさなくなると、筋肉が衰えてしまいます。筋力が低下すると、首を支える力が弱まり、症状が再発しやすくなります。
筋力低下は、単に首の筋肉だけの問題ではありません。体幹の筋力が低下すると、姿勢を保持する力が弱まり、結果的に首への負担が増大します。
また、肩甲骨周りの筋肉の柔軟性が失われると、首の動きに制限が生じ、ちょっとした動作で症状が再発することもあります。
そのため、首だけでなく全身の筋力と柔軟性を維持することが、むちうちの再発予防には重要なのです。
炎症が落ち着いた段階であれば、専門家のもとで適度な運動療法や徒手療法を行い、筋力を維持・向上しましょう。
関連記事むちうちに筋トレは効果的?運動療法について詳しく解説
その他の原因
むちうちの再発の原因として、他にも低気圧や寒さなども一因として挙げられます。
たとえば、雨の日に調子が悪くなる経験はないでしょうか。これは低気圧の影響で、気圧が下がると血管が広がり、神経を刺激しやすくなるために起こります。
▲むちうちの痛みが天気で左右される理由
さらに、冬の寒さで首がこわばったり、仕事のストレスで肩に力が入ったりすることも、症状を引き起こす引き金になります。
このような天候による体調変化は「気象病」と呼ばれ、むちうちを経験した人は敏感になりやすいといわれています。
また、ストレスで無意識に体に力が入ったり、忙しくて睡眠時間を削ったりすると、体の回復が追いつかず再発することもあります。
天気は変えられませんが、体調の変化を予測して早めに休息を取るなど、自分なりの対策を見つけることが大切です。
関連記事雨の日にむちうちの症状が悪化する理由は?自宅でできる対処法や予防について解説
むちうちの再発を防ぐためのポイント
むちうちの再発を防ぐためには、治療の継続と日常生活での意識が欠かせません。
下記のポイントを意識して、再発リスクを抑えましょう。
- 整形外科で適切な治療を受ける
- 整骨院で施術を受ける
- 日常生活での姿勢に注意する
- 適度な運動を継続する
では、それぞれ見ていきます。
整形外科で適切な治療を受ける
むちうちの治療は、必ず医師の指示に従って行うことが大切です。症状が改善したように感じても、完全に治癒するまで定期的な通院やリハビリを継続しましょう。
とくに、むちうちになったばかりの時期の治療は、その後の経過に大きく影響します。
事故後はできるだけ早く整形外科を受診し、必要な検査を受けて、正確な診断のもとで治療計画を立ててもらいましょう。
▲交通事故後の整形外科受診
整骨院で施術を受ける
整形外科での治療と併行して、整骨院で施術を受けることも選択肢の一つです。
整骨院での施術は、柔道整復師による手技療法や物理療法で筋肉の緊張を緩和し、血流を改善することにより症状の緩和が期待できます。
▲整骨院の交通事故施術内容の種類
また、整骨院では施術に加えて日常生活でのケア方法や正しい姿勢の指導も受けられるため、再発予防に役立ちます。
ただし、整骨院へ通院する際は、必ず医師に相談し、保険会社の承諾を得てから通院するようにしましょう。
もし保険会社への連絡なしに整骨院に通院してしまうと、治療費が自己負担になったり、後から請求しても認められなかったりする可能性があるため注意が必要です。
▲交通事故の怪我で整骨院と整形外科を併用通院する為のステップ
関連記事交通事故の治療を整骨院で受ける|施術内容と保険適用について解説
日常生活での姿勢に注意する
首や肩に無理な力がかからないよう、日常生活での姿勢に注意を払いましょう。
パソコンでの作業時は、モニターを目線の高さに調整し、1時間ごとに休憩を取ることが大切です。
スマートフォンを使うときも、下を向いて長い時間操作することは避け、できるだけ目線の高さで使用するよう心がけてください。
また、睡眠時の枕の高さも大切です。自分に合った枕を使用し、首に負担のかからない寝姿勢を保つことで、再発リスクを減らすことができます。
関連記事むちうちで首が痛い時の寝方とは?負担の少ない寝姿勢を解説
適度な運動を継続する
炎症が落ち着いた後は、運動療法や徒手療法などで無理のない範囲で体を動かすことが推奨されています。
適度な筋力トレーニングやストレッチをし続けることで、首を支える力が高まり、再発リスクを大幅に減らせる可能性があります。
逆に、動かさずに安静にし続けると治りが悪くなる可能性があります。
ただし、自己流のトレーニングは症状を悪化させる危険性があるため、必ず整形外科や整骨院で専門家の指導を受けてから行いましょう。
関連記事むちうちに筋トレは効果的?運動療法について詳しく解説
むちうちが再発したらすぐに受診
むちうちの症状が再発したときは、できるだけ早く整形外科を受診しましょう。放置すると思わぬ悪化を招く可能性があります。
再発時の症状は人によってさまざまです。首の痛みだけでなく、朝起きたときの頭痛が続いたり、パソコン作業中に手がしびれたり、立ち上がるときにめまいを感じたりすることもあります。
受診した病院では、いつ症状が出たのか、どんなときに辛いのかを具体的に伝えましょう。
事故後に受診した病院とは別の病院を受診した場合は、前回の治療内容がわかるものがあれば持参すると、医師も状況を把握しやすくなります。
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むちうちによる後遺症が残ったら後遺障害認定を
むちうちの治療やリハビリを続けても症状が良くならず、これ以上の改善が見込めない場合は医師から「症状固定」と診断されます。
▲症状固定とは?
症状固定と判断されたら、後遺障害認定を申請し、申請が通れば後遺障害として認定されます。
後遺障害認定を受ければ、後遺障害慰謝料や逸失利益などの補償金を請求できるようになります。
▲後遺障害とは?(後遺症と後遺障害の違い)
後遺障害等級認定に申請する際は、初診から症状固定までの治療記録やMRIなどの画像検査の結果、神経学的検査の結果などが必要です。
加害者側の保険会社が代わりに資料を集めて申請する方法や自力で行う方法もありますが、少しでも認定率を上げるために弁護士への依頼をおすすめします。
関連記事むちうちを後遺症にしない|症状や治療と後遺障害認定・慰謝料も解説
【Q&A】むちうちの再発に関するよくある質問
むちうちの再発についてよくある質問をまとめました。
Q.むちうちが再発したら事故の相手に治療費の請求はできる?
一般的に通院していない期間が1か月以上空いてしまうと、それ以降の通院は交通事故との因果関係が認められない可能性が高くなります。事故との因果関係が証明できない場合、事故の相手に治療費を請求することは難しいです。
そのため、症状が改善したと感じても、医師の指示があるまで治療を続けることが重要になります。もし治療を中断したい場合は、必ず医師に相談しましょう。
Q.むちうちは完治しない?
むちうちは適切な治療を受ければ、多くの場合で完治が期待できます。
交通事故に関する論文*によると、ある施設では97.4%の患者が1年以内に完治したと報告されています。
ただし、以下のような場合は症状が長期化する可能性があります。
- 神経の損傷や骨のずれによる神経圧迫がある場合
- 適切な治療を受けていない場合
- 心理的なストレスを抱えている場合
- 痛みが長期化し、神経障害性疼痛(神経の損傷で生じる痛み)に移行した場合
*出典:一般社団法人 JA共済総合研究所「交通事故によるいわゆる”むちうち損傷”の治療期間は長いのか-損害賠償を含む心理社会的側面からの文献考証-」
医師監修むちうちは一生治らないって本当?完治に向けできる治療や対処法とは
Q.むちうちを早く治すには?
むちうちを早く治すためには、時期に応じて適切な対処をとることが大切です。
受傷後3日から1週間程度の急性期と呼ばれる時期は、安静が求められます。炎症が強いため、無理に動くのは避け、アイシングや冷湿布で患部を冷やして炎症を抑えます。
▲むちうちの安静期間の目安と急性期と慢性期の違い
症状が強い場合は、医師の判断で頚椎カラーをつけて首を固定することもあります。入浴や運動など、体を温めて血流を良くする行為は避けましょう。
受傷から1週間以降の回復期、そして3か月程度経過した頃の慢性期では、主に医師や理学療法士の指導のもとでリハビリが行われます。
リハビリでは電気治療や手技療法、運動療法を実施し、筋肉の緊張緩和や首の関節が動く範囲の改善を目指します。
また、回復期や慢性期は、日常生活で首への負担を減らす姿勢を意識し、回復を妨げないようにすることも大切です。
関連記事むちうちを早く治す方法はある?時期別の適切な対処法や通院先について解説
Q.むちうちで後遺障害認定される確率は?
むちうちで後遺障害が認定される確率は、低いのが実情です。全体の後遺障害認定率は約5%前後で、むちうちの場合は約2.8%前後といわれています。
むちうちの後遺障害認定率が低いのは、以下のことが理由として挙げられます。
- MRIなどの画像検査で異常が見つかりにくい
- 症状の証明が困難
- 治療期間が短い、または通院が不規則
- 診断書の記載が不十分
認定率を上げるためには、MRI検査や神経学的検査を受け、初診時から症状を詳細に医師へ伝え、症状固定まで継続的に通院することが大切です。
▲後遺障害認定の条件5つ
関連記事むちうちで後遺障害認定を受けられる確率は?認定率を高める対策も解説
むちうちが再発しないように適切な治療を
むちうちは一度しっかりと治療すれば再発することは稀です。しかし、不適切な治療や自己判断で治療をやめることで、再発することがあります。
再発を防ぐためには、医師の指示に従って終了するまで治療を続ける、日常生活での姿勢を意識的に変える、適度な運動による筋力維持といったことが大切です。
症状が改善したと感じても、完治するまでは油断せず、専門家の指導のもとで治療を続けていきましょう。
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この記事を監修したのは…
理学療法士として、回復期病院で脳血管疾患を中心にリハビリテーションを経験。その後、フリーライターに転向。医療・健康分野をはじめ、地域・観光、転職関連などの幅広いジャンルの執筆を行っている。
この記事の執筆者
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