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交通事故で頭を打ってないけど痛いのはなぜ?原因や症状、通院先を解説

監修記事

河野 裕也

理学療法士

「交通事故で頭を打ってないけど痛い…」と疑問を感じている方も多いと思います。事故後の頭痛には、むちうちからくる緊張性の頭痛や脳損傷、精神的なショックなど様々な原因があり、その原因によって通院先を検討する必要があります。

また、頭痛の症状は長引いてしまうことがあります。この記事では、交通事故で頭を打っていないときに生じる頭痛の原因や通院先、治療期間などについて解説します。

交通事故で頭を打ってないけど痛いのはなぜ?

むちうちから来る頭痛交通事故では身体へ強い衝撃が加わり、その反動で頭部が大きく振られます。そのため、頭部を直接打っていなくても頭痛の症状が発生することが多くあります。

頭部が大きく振られることにより頚部に負担がかかり発症するむちうちや頭部が振られた衝撃で脳が損傷されることでも頭痛が生じることがあります。また、事故後の精神的ストレスや心理的な緊張などによっても頭痛が生じることがあります。

考えられる原因①むちうち

むちうちで頭痛が起きるメカニズム:区部周りの筋肉の損傷などによる、血流不全や神経の圧迫が原因だと考えられている

▲むちうちで頭痛が起きるメカニズム

交通事故の衝撃により頭部が大きく揺さぶられることで頚部に負担がかかり、むちうちを発症することが多くあります。頭部が大きく揺さぶられることで頚部にムチがしなるような負担が加わることからむちうちと呼ばれています。

むちうちでは頚部の痛みやしびれなど様々な症状が出現しますが、特に頭痛を訴える場合が多くあります。むちうちで頭痛が生じる原因には、頭部への血流低下が考えられます。血流低下を引き起こすものには、頚部周囲の筋肉の緊張や神経の異常があります。

むちうちは症状によって頚椎捻挫型、バレー・ルー症候群、脳脊髄液減少症などに分類されます。ここからはそれぞれの分類について説明していきます。

関連記事むちうちはどんな症状?治療方法や完治までにかかる時間について解説

頚椎捻挫型

むちうちの方の70〜80%がこの頚椎捻挫型だと言われています。頚椎捻挫型は交通事故の衝撃により頭部が揺さぶられ、頚部周囲の筋肉、靭帯、椎間板などの組織が損傷されることで生じるものです。

頚部の痛みや凝り、張り感、頚部の可動域制限などが生じます。頚椎捻挫ではレントゲンやMRIなどの画像検査では異常が見つからない場合に診断されることが多くあります。

バレー・ルー症候群

むちうちを患うような強い衝撃を受けると自律神経の交感神経が過剰な緊張状態となります。また、頚部の両脇には脳に血流を送る椎骨動脈があり、ここが障害されると脳への血流障害が生じる可能性があります。

この交感神経の過剰な緊張や脳への血流障害により頭痛やめまい、吐き気、耳鳴り、倦怠感などの症状が生じます。これをバレー・ルー(バレリュー)症候群といいます。

関連記事バレリュー症候群とは?症状や通院先、後遺障害の認定などを解説

脳脊髄液減少症

脳と脊髄は膜に包まれています。この膜は硬膜と呼ばれ、膜の内側には脳脊髄液という液体が流れています。この脳脊髄液は脳や脊髄へ栄養を供給したり衝撃を緩和したりしています。

交通事故の強い衝撃により、硬膜が損傷されるとそこから脳脊髄液が漏れ出してしまうことがあり、脳脊髄液の量が減少してしまいます。これを脳脊髄液減少症といい、頭痛やめまい、吐き気、耳鳴り、倦怠感などの症状が出現します。

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考えられる原因②脳内に損傷を受けている

交通事故による衝撃で、頭部を直接打っていなくても脳が頭蓋骨の中で揺さぶられることで脳内に損傷が生じる可能性があります

脳に損傷を受けると頭痛の他に上下肢の麻痺、視力・聴力の障害、めまいなどの重篤な症状が出現することがあります。また、記憶力や判断力などの認知障害なども生じる場合があります。

考えられる原因③精神的なショック

交通事故による頭痛が生じる原因には精神的なショックによる可能性もあります。心理的不安や緊張などによって神経が過敏になっていることが原因だと考えられています。

精神的に緊張した状態が長時間続くと、痛みに関与する脳の部位の機能不全が生じ、頭痛を引き起こすことが報告されています。精神面の問題も頭痛に影響を及ぼす可能性があるため、身体的な問題が明確でない場合は精神面のケアも必要になります。

交通事故で頭を打ってないけど痛い場合の通院先

交通事故で頭を打っていないにも関わらず頭痛が生じている場合は脳神経外科整形外科整骨院などを受診し、適切な治療や施術を受けましょう。

交通事故では強い衝撃が身体に加わるため、場合によっては脳に障害が生じている可能性があります。頭痛が続く場合は脳神経外科を受診しましょう。

むちうちにより頭痛が生じることもありますので、その場合は整形外科や整骨院を受診しましょう。

脳神経外科

交通事故後に頭痛が続く場合には脳神経外科の受診を検討しましょう。頭部に外傷がなくても脳が頭蓋骨の内側で損傷を受けている場合もあります。脳神経外科では頭部のCTMRIなどの画像検査で頭部の中を詳細に検査することができます。

激しい頭痛や持続する頭痛、めまいや吐き気を伴う頭痛などがある場合や頭痛以外に手足のしびれや歩行障害を伴う場合には早急に脳神経外科を受診しましょう。

関連記事交通事故で頭を打った…通院先は「脳神経内科」「脳外科」?

整形外科

交通事故後の整形外科受診は①検査(レントゲン・MRI)②診断書の発行③痛み止めや湿布の処方等ができる

▲交通事故後の整形外科受診

整形外科ではレントゲンやMRIなどで頚椎の骨や神経に問題がないかどうか検査をすることができます。交通事故による頭痛の多くはむちうちからくる緊張性頭痛の可能性が高いため、まずは整形外科を受診しましょう。

整形外科では事故と症状の因果関係を証明する「診断書」や後遺症が残った際に後遺障害認定に必要な「後遺障害診断書」を医師から発行してもらうことができます。この診断書や後遺障害診断書は医師のみ発行することができるため、まず初めに整形外科を受診するようにしましょう。

整骨院

整骨院・接骨院の交通事故施術とは?

▲整骨院の交通事故施術内容の種類

整骨院では交通事故を専門に扱っているところもあります。また交通事故による頭痛の治療は継続的な通院が必要になることが多いため、平日夜遅い時間や休日に施術を受けられたり職場の近くや自宅の近くにあったりなど、整骨院はご自身のライフワークに合わせて通院することが可能です。

しかし、整骨院ではレントゲンやMRIなどの画像検査ができないこと、診断書や後遺障害診断書を発行することができないため、整形外科と併用していくことが重要となります。

関連記事交通事故で整形外科と整骨院は併用可?メリットや注意点を解説

交通事故後に頭痛がするのはいつまで?

交通事故による頭痛は事故の状況や原因、個人の状態によって異なりますが、症状がなかなか改善しないことが多く、思いのほか長引いてしまうことがあります。また、早期に治療を開始した場合と遅れて治療を開始した場合でも異なってきます。ここではむちうちによる頭痛の治療期間について解説していきます。

交通事故で多いむちうちによる頭痛は3〜6か月程

むちうちによる頭痛の治療期間は重症度によって異なりますが一般的には「3〜6か月程度」が目安だと言われています。しかし、症状が軽度だからといって放置しているとなかなか改善せず、場合によっては症状が悪化してくることもあります。

そのため、症状を長引かせないためにも交通事故後すぐに医療機関を受診し、適切な検査と治療を受けるようにしましょう。適切な治療を早期から受け、しっかりと継続的に通院することが重要です。

交通事故後に頭痛が6ヶ月以上続く場合も

事故の状況や重症度によっては頭痛が6か月以上続くこともあります。6か月以上続く症状の場合は医師の判断により「症状固定」となることがあります。

症状固定とは:治療を続けても症状の緩和が見られない状況の事

▲症状固定とは?

症状固定はこれ以上治療を継続しても効果が期待できない状態であるということで、それ以降の治療費や通院費が支払われなくなります。

残った症状は後遺障害等級認定に申請をして認定されれば等級に合わせた補償を受けることができます。補償には後遺障害慰謝料逸失利益などがあります。

関連記事むちうちの治療期間は平均いつまで?軽度の場合や自分でできる対処法も解説

交通事故後の頭痛が治らない場合は後遺障害等級認定を申請

後遺障害とは?(後遺症と後遺障害の違い)

▲後遺障害とは?(後遺症と後遺障害の違い)

頭痛の症状が6か月以上続き、医師から症状固定と判断された場合は後遺障害等級を申請しましょう。永久的に治療を続けることはできないため、残ってしまった症状は後遺障害として補償を受けることができます。

後遺障害等級を申請するためには医師から後遺障害診断書を発行してもらい、それをもとに申請をします。後遺障害が認められれば、症状固定後の精神的苦痛に対して後遺障害慰謝料を受け取ることができます。むちうちの場合は12級または14級が一般的で等級によって補償内容が異なります。

関連記事むちうちの症状固定とは?期間の目安や受け取れるお金の変化まで解説

交通事故で頭を打ってないけど痛い場合まとめ

今回は交通事故で頭を打っていないけど生じる頭痛について解説しました。交通事故では身体へ強い衝撃が加わり頭が大きく揺さぶられることで頚部に負担がかかり、むちうちや頭蓋骨の中で脳が揺さぶられ脳損傷を患う可能性があります。

そのため、交通事故にあった場合にはなるべく早く医療機関を受診して適切な検査と治療を受けるようにしましょう。激しい頭痛や持続する頭痛がある場合には、脳神経外科などで詳しく検査することも重要です。

参考
1)内閣府 交通事故被害者の支援:交通事故の被害者の精神的反応

この記事を監修したのは…

国家資格である理学療法士として、約10年間整形外科クリニックで一般の患者様からスポーツ選手の身体のケアに携わり、その後理学療法士の養成校の教員として身体の仕組み、治療技術などについて学生に講義を行っています。早稲田大学大学院スポーツ科学研究科にて修士取得。

この記事の執筆者

理学療法士 / 河野 裕也
国家資格である理学療法士として、約10年間整形外科クリニックで一般の患者様からスポーツ選手の身体のケアに携わり、その後理学療法士の養成校の教員として身体の仕組み、治療技術などについて学生に講義を行っています。早稲田大学大学院スポーツ科学研究科にて修士取得。

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