交通事故のあとから腰痛に⁉原因や症状、治療について解説

交通事故の直後は症状がなくても、あとから腰の痛みが出ることがあります。

事故の衝撃による腰へのダメージに加え、無理に動かすことでさらに圧力が加わり、痛みの原因になることがあります。また、事故のショックや筋力の低下なども腰痛を悪化させることがあるため注意が必要です。

交通事故後に腰痛などの症状が現れたら速やかに整形外科を受診し、検査を受けることが大切です。整形外科だけでなく、整骨院への通院も併用が可能なため症状に合わせて通院先を検討すると良いでしょう。

今回は、交通事故後の腰の痛みについて、原因や具体的な疾患、症状、治療、実際の体験談、慰謝料などについて解説します。

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交通事故のあとから腰の痛みが出ることがある

交通事故による腰の痛みの原因や症状は様々です。交通事故の後になぜか腰痛になってしまった、元からある腰痛がさらに悪化したという方もいます。

中には治っていたはずのヘルニアが再発したという例もあります。さらに、普段の生活習慣によりリスクを抱えており、事故が引き金となって発症してしまうこともあります。

また、腰痛は交通事故のあとから痛みが出やすいとも言われています。交通事故により腰にダメージを受けているのにもかかわらず、無理をしてさらに圧力が加わり、腰を痛める原因となります。

あるいは、事故そのものではなく、事故のショックや疲労、筋力の低下により、腰痛を発症することもあります。

腰痛の原因

一般に「腰痛」とは、腰の痛みや不快感等の症状の総称で、医学的な診断名ではありません。

つまり、腰痛は多様な原因から生じる症状であり、その背景には様々な疾患が潜んでいる可能性があります。そのため、腰痛があるとして医療機関を受診した場合、診断名は患者の状態に応じて多岐にわたります。

具体的には、腰椎椎間板ヘルニア、腰椎すべり症、腰椎分離症、脊柱管狭窄症、坐骨神経痛などの疾患名が付けられます。

交通事故に多い椎間板ヘルニア

交通事故による腰痛の原因や症状は様々ですが、交通事故後に発症しやすい腰痛の1つに「椎間板ヘルニア」があります。

椎間板ヘルニアは、事故で外側から強い刺激を受けて、椎間板が圧迫されることで髄核が脊柱管内に出てしまうことから起こります。

骨と骨のクッションの役割をしている椎間板が飛び出して、その周囲の神経組織が圧迫されることで痛みがあらわれます。

椎間板ヘルニアの症状

椎間板ヘルニアになると、主に以下の症状があらわれます。

• 坐骨神経痛(腰から足にかけて伸びている坐骨神経にあらわれる痛みやしびれ)
• 腰痛
• 冷感
• 筋力の低下
• 感覚障害(例：足を触ったとき、感覚が鈍い。左右の足で感じ方が違う。)
• 排尿障害

椎間板ヘルニアは2種類ある

椎間板ヘルニアには、「頚椎椎間板ヘルニア」と「腰椎椎間板ヘルニア」の2種類があります。

頚椎椎間板ヘルニア

頚椎椎間板ヘルニアは、交通事故の衝撃で首に力が加わったとき、首の椎間板が変形して突出し神経を圧迫することで、痛みがあらわれます。

腰椎椎間板ヘルニア

腰椎椎間板ヘルニアは、交通事故の衝撃で腰に力が加わったとき、腰の椎間板が変形して突出し神経を圧迫することで、痛みがあらわれます。

また、過去に腰痛を持っていた、ヘルニアを持っていたという方は、交通事故をきっかけで再発するケースもあります。
もともと腰痛持ちだった方は、さらに悪化する恐れもあります。

医師監修交通事故で生じた椎間板ヘルニアの治療期間とは？治療について解説

交通事故による腰痛の治療

腰痛と一口に言っても様々な治療方法があります。

どこに治療に行くかによって、治療期間も変わってきます。また、体質やライフスタイルによっても治療法が自分に向いているかどうかが違います。

ここでは交通事故治療における整形外科と整骨院・接骨院の違いをご紹介します。

整形外科

整形外科では医師が治療を行います。交通事故に遭ってしまった後の検査や腰が痛い等の症状がある場合は、整形外科をまず受診することになります。

整形外科ではレントゲン等の検査や痛み止め・湿布の処方等が行えます。また、診断書の発行も可能です。交通事故後は特に診断書の発行が大切になります。

診断書を取得することで、交通事故と怪我との因果関係を明確にすることができます。

弁護士監修交通事故の診断書のもらい方と提出期限

整骨院・接骨院

整骨院・接骨院では柔道整復師が施術を行います。柔道整復師は、骨折や脱臼、打撲、捻挫などの怪我に対して、主に手技を用いて施術を行う専門家です。症状にあわせて物理療法や運動療法を用いる場合もあります。

整骨院・接骨院は休日や夜も営業していたりと病院よりも通い易い条件の所も多いです。交通事故の怪我で整形外科と整骨院の併用は可能ですので、生活スタイルや症状にあわせて整骨院の併用も検討するといいでしょう。

関連記事交通事故で腰が痛い！腰痛の治療や病院・整骨院の通院について解説

交通事故後の腰の痛みで通院した事例

交通事故に遭い、あとから腰の痛みが出て整形外科や整骨院へ通院された体験談を紹介します。

【体験談】事故の数時間後に腰の痛みが出てきて…

コンビニの駐車場で、相手の不注意によりバックで追突されてしまった「水クラゲさん（30代・会社員）」の体験談を紹介します。

事故の数時間後に腰の痛みが出てきて、最初は腰の左側に痛みがあり、次第に右側も痛くなってしまい、最終的には腰全体へ痛みが広がったそうです。

事故後の症状で特に大変だったことについて、以下のようにお話しされています。

「特に腰痛がひどかったです。外仕事をしており、重いものを運ぶこともあるため、仕事を休むしかなくとても困りました」

整形外科の通院については以下のようにお話しされています。

「整形外科は週2～3回通院していました」

「診察では先生に腰の曲がり具合などを確認してもらい、湿布の処方やレントゲン検査も行いました。その後の通院では、主に電気治療を受けました。診断書の発行など、柔軟に対応してくれる良い先生でよかったです」

整骨院の通院については以下のようにお話しされています。

「整骨院も週2～3回通院しました」

「整骨院は小さいながらも設備がきちんとされていて、清潔感もありました。19時頃まで営業されていたので、仕事帰りにも行け便利でした。整骨院の先生やスタッフの対応はとても良かったです。先生からは、事故後の対応についてもたくさんアドバイスをいただけましたし、施術も上手でした」

「施術については、はじめにどこが痛むかなど丁寧なカウンセリングがありました。それからマッサージや電気療法、ウォーターベッドでの施術を受けました。」

体験談の詳細は下記の記事でご覧いただけます。

体験談コンビニの駐車場で追突事故　腰痛で仕事ができず…

交通事故による腰の痛みは慰謝料を請求できる

交通事故の被害者は加害者に対して、慰謝料を請求することができます。

交通事故の慰謝料とは

そもそも慰謝料とは、損害賠償の1つです。損害賠償とは、被害者が負った損害を、加害者が金銭に換えて埋め合わせるものです。

交通事故における損害賠償は、治療費や通院費だけでなく、被害者の精神的苦痛を補う慰謝料も含まれます。

慰謝料は、まず加害者側の自賠責保険会社が被害者に支払います。自賠責保険は、車を所有しているすべての運転者に、加入を義務付けられている保険です。

自賠責保険の限度額である120万円を超えた場合は、加害者側の任意保険会社が、足りない分を補います。加害者が任意保険会社に加入していない場合は、加害者本人に請求することになります。

関連記事交通事故の慰謝料を払うのは誰？治療費がもらえない時の対処法とあわせて解説

交通事故による腰痛が後遺症になったら後遺障害等級認定を

治療を続けても、症状が良くならない場合、医師が症状固定の診断をする場合があります。診断を受けた時点で残っている症状は、後遺障害等級認定を申請することをおすすめします。

後遺障害等級認定のメリット

後遺障害等級認定は、後遺障害を症状の程度によって1～14級までの等級を認めるものです。

メリットとして、後遺障害等級が認定されることで、新たに以下の2つを損害賠償として請求できるようになります。

• 後遺障害慰謝料
• 逸失利益

後遺障害慰謝料は、交通事故の怪我が後遺障害になってしまったことによって被害者が受けた精神的苦痛を、加害者が金銭で補償するもので、逸失利益は交通事故の後遺障害が原因で被害者の労働能力が低下し、得られなくなってしまった利益のことです。

後遺障害慰謝料を請求する方法

後遺障害慰謝料を請求する方法は、2つあります。

• 加害者請求
• 被害者請求

加害者請求は、加害者側の保険会社にすべての手続きを任せる方法で、被害者請求は、被害者が、加害者側の保険会社に、直接慰謝料を請求する方法です。

関連記事交通事故の後遺症の種類とは？症状や後遺障害認定を受ける方法を解説

【Q&A】交通事故後の腰の痛みに関するよくある質問

交通事故後の腰の痛みに関するよくある質問についてまとめました。

交通事故の後、あとから腰の痛みが出ることはある？

はい、交通事故の直後は症状がなくても、時間が経ってから腰の痛みが出ることはあります。事故による腰へのダメージに加え、無理をすることでさらに圧力が加わり、痛みの原因となることがあります。

また、事故のショック、疲労、筋力の低下なども腰痛発症の引き金になることがあります。

詳細：交通事故のあとから腰の痛みが出ることがある

交通事故による腰痛の原因は？

交通事故による腰痛の原因は様々ですが、特に多い原因の一つに椎間板ヘルニアがあります。その他にも、元からあったヘルニアの再発や腰痛の悪化、また、事故が引き金となって発症するケースもあります。

医学的な診断名としては、椎間板ヘルニア、腰椎すべり症、腰椎分離症、脊柱管狭窄症、坐骨神経痛などが挙げられます。

詳細：腰痛の原因

交通事故で発症しやすい「椎間板ヘルニア」とは？

椎間板ヘルニアは、交通事故の衝撃により椎間板が圧迫されることで、骨と骨のクッションの役割をしている椎間板が飛び出し、周囲の神経を圧迫して痛みが生じることにより発症します。

症状としては、腰痛のほかに、坐骨神経痛（腰から足にかけての痛みやしびれ）や筋力の低下、感覚障害などが主に挙げられます。

詳細：交通事故に多い椎間板ヘルニア

交通事故による腰の痛みは整形外科と整骨院のどちらがいい？

交通事故後に腰の痛みなどの症状がある場合は、まず整形外科を受診しましょう。整形外科では医師が治療を行い、レントゲン検査や診断書の発行が可能です。診断書は、交通事故と怪我との因果関係を明確にするために必要になります。

整形外科の受診後に、整骨院も併用して通院できます。整骨院では柔道整復師による施術（物理療法や運動療法）を受けられるので、症状や生活スタイルに合わせて通院先を検討すると良いでしょう。

詳細：交通事故による腰痛の治療

交通事故による腰の痛みで、慰謝料を請求できますか？

はい、交通事故の被害者は加害者に対して慰謝料を請求することが可能です。慰謝料は、基本的に加害者が加入する自賠責保険会社から支払われます。自賠責保険は全ての運転者に加入が義務付けられている保険です。

詳細：交通事故による腰の痛みは慰謝料を請求できる

交通事故の腰痛が治らず後遺症になってしまったら？

治療を続けても症状が改善しない場合、医師が「症状固定」の診断をすることがあります 。症状固定と診断された時点で残っている症状は、後遺障害等級認定の申請を検討します 。

認定を受けると、後遺障害慰謝料と逸失利益の2つを新たに損害賠償として請求できるようになります 。

詳細：交通事故による腰痛が後遺症になったら後遺障害等級認定を

交通事故のあとから腰痛が出てしまった方はご相談ください

交通事故のあとから腰痛の症状がひどくなり、痛みに悩まされることは珍しくありません。特に腰痛は本人以外に辛さが伝わりづらい痛みでもあります。

腰の痛みにお悩みの場合は、整形外科だけでなく、整骨院など交通事故による怪我を得意とする通院先を検討するのも選択肢の1つです。事故後の通院先をご検討の際は、1人で悩まずに「交通事故病院サーチ」へお気軽にご相談ください。

〈参考文献〉
公益社団法人日本整形外科学会「腰痛」：https://www.joa.or.jp/public/sick/condition/lumbago.html
腰痛診療ガイドライン2019：https://minds.jcqhc.or.jp/common/summary/pdf/c00498.pdf

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