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追突事故で発症したヘルニアは治る?治療方法は2通り!

追突事故で首や腰に強い衝撃を受けてしまうと、椎間板が飛び出し、ヘルニアを発症してしまうことがあります。ヘルニアはよく耳にする疾患名だと思いますが、「治るのか不安。」「どのような治療方法が選択できるの?」とお悩みの方もいるのではないでしょうか。

そこで今回は、追突事故で発症するヘルニアの症状や治療方法、後遺症が残るのかなどについて解説していきます。

追突事故で生じるヘルニアは主に2種類

チェックリスト

追突事故で生じるヘルニアは、主に以下の2種類です。

  • 首に起こる「頚椎椎間板ヘルニア」
  • 腰に起こる「腰椎椎間板ヘルニア」

では、どうして追突事故で椎間板ヘルニアを発症してしまうのでしょうか。

椎間板ヘルニアになる原因

脊柱を形作っている椎骨の間には、クッションの役割を担っている椎間板という軟骨があります。頚椎椎間板ヘルニアと腰椎椎間板ヘルニアは、この椎間板の一部である髄核が飛び出した状態です。

具体的には、追突事故で強い衝撃を受けると、椎間板の中心部(髄核)周辺を覆っている、円形の線維軟骨(線維輪)が破れてしまいます。それによって髄核が飛び出し、脊髄を通る神経を圧迫してしまうため、症状があらわれるのです。

椎間板ヘルニアであらわれる症状

椎間板ヘルニアでは、圧迫されている神経を支配する部位に、症状があらわれるといわれています。そのため、頚椎椎間板ヘルニアと腰椎椎間板ヘルニアでは、以下のように症状が異なります。

頚椎椎間板ヘルニア 腰椎椎間板ヘルニア
首や肩、背中の痛み
腕や手の指に痛みとしびれ
排泄障害や歩行障害(重度の場合のみ)   など
腰の痛み
太腿から下腿や足指に痛みやしびれ
坐骨神経痛(※1)             など

上記のように、頚椎椎間板ヘルニアと腰椎椎間板ヘルニアの症状は異なりますが、右と左の片方に症状があらわれるという共通の特徴があります。

※1 坐骨神経痛とは、人体の中で最も太く、長い末梢神経で腰の辺りから爪先まで伸びている坐骨神経が圧迫されることで症状があらわれる。例えば、腰や太腿、ふくらはぎや足先などに痛みやしびれ、強く張るなど。

追突事故によるヘルニアの治療方法

医師の説明を受ける

追突事故によるヘルニアの治療期間の目安は3~6ヶ月程度で、頚椎と腰椎のどちらの場合でも同じ治療を行います。基本的には保存療法で行いますが、場合によって手術が行われることもあります。

保存療法

保存療法とは、出血を伴わない治療・施術で、以下のように様々なものがあります。

  • 安静
  • ブロック注射
  • 痛み止め
  • 湿布
  • マッサージ
  • 牽引
  • 電気療法

ヘルニアの受傷直後は、主に安静や痛み止め、冷たい湿布、ブロック注射といった治療が行われます。なぜならば、ヘルニアの受傷直後は痛みは強くあらわれている時期であり、体を動かすと症状が悪化する恐れがあるためです。

ヘルニアによる痛みが落ち着いてきたら、温かい湿布やマッサージ、牽引、電気療法などの治療・施術も受けられるようになります。
関連記事保存療法の効果について

手術

追突事故によるヘルニアで手術が行われるのは、重症の場合または症状が緩和されないときです。ヘルニアで行われる手術は、「ヘルニアを摘出する手術」または「ヘルニアを引っ込める手術」の2つの方法があります。

ヘルニアを摘出する手術

ヘルニアを摘出する手術には、ラブ法内視鏡下ヘルニア摘出術(MED法)といったものがあります。

ラブ法とは、背中から5㎝程切開してヘルニアを取り除く手術で、最も一般的な手術です。手術時間は30分~1時間程度で、約1~2週間の入院が必要になります。一方、内視鏡下ヘルニア摘出術(MED法)とは、背中を1~2㎝程切開して細長い管を差し込み、内視鏡や器具を使ってヘルニアを除去する手術です。手術時間は1~2時間程度で、約1~5日の入院が必要になります。

ヘルニアを引っ込める手術

ヘルニアを引っ込める手術には、レーザー治療(PLDD法)経皮的髄核摘出術(PN法)といったものがあります。

レーザー治療(PLDD法)とは、背中からヘルニアが起きている部位にレーザーファイバーを差し込んで、髄核を焼く手術です。一方、経皮的髄核摘出術(PN法)とは、ヘルニアが起きている部位に細い管を差し込んで、髄核を吸い取る手術です。

どちらの手術を選択した場合でも、手術時間は30~1時間程度で、1週間以内で退院できます。ただし、レーザー治療(PLDD法)や経皮的髄核摘出術(PN法)は、重症化したヘルニアには適用できません。

ヘルニアの治療費は加害者に請求可能

お金と車

追突事故でヘルニアの怪我を負ってしまうと、治療費がかかってしまいます。このように、追突事故が原因で必要になった治療費は、加害者に請求することが可能です。ただし、追突事故によって発症したヘルニアであることを証明できた場合に限ります。

なぜならばヘルニアは、加齢や日常生活の動作によって発症することもあるためです。では、ヘルニアと追突事故の因果関係を証明するには、どうすればよいのでしょうか。
関連記事治療費以外に、追突事故の被害者が加害者に請求できるお金とは

ヘルニアと追突事故の因果関係を証明する2つの方法

ヘルニアと追突事故の因果関係を証明するには、総合病院や整形外科で受けられる画像検査または神経学的検査を行うことをおすすめします。

画像検査

画像検査とは、体内の様子を画像にして、体に起こっている異常を発見するための検査です。画像検査にはレントゲンやCT、MRIなどがありますが、ヘルニアの場合はMRIの画像検査が適しています。

MRIとは、人の体に電磁波をあてて、体内の様子を画像にする検査方法です。脊椎や脊髄、関節、脳などを画像に写し出すことができるため、ヘルニアの有無を確認することができます。

ただし、MRIはペースメーカーのような金属が入っている方は検査できません。また、体内を撮影するのに約30分必要です。

神経学的検査

神経学的検査とは、体を動かしたり刺激を与えることで、神経症状があらわれるかを確認する検査です。神経学的検査には様々な種類がありますが、頚椎椎間板ヘルニアと腰椎椎間板ヘルニアでは、実施される検査が以下のように異なります。

頚椎椎間板ヘルニアの場合 腰椎椎間板ヘルニアの場合
ジャクソンテスト
スパーリングテスト
深部腱反射テスト
FNSテスト
ラセーグテスト
SLRテスト

上記のような神経学的検査は、頚椎を圧迫したり足を上げたりして、痛みがあらわれるかを診ます。このとき、痛みがあらわれた条件によって、陽性または陰性かを判断します。

関連記事腰椎捻挫に関する神経学的検査について

追突事故でヘルニアの後遺症が残ったら?

時間

追突事故が原因で発症するヘルニアは、痛みやしびれが後遺症として残る可能性があります。このような場合は、後遺障害等級認定を申請します。後遺障害等級認定とは、後遺症が等級に該当するか、該当する場合はどの等級に当てはまるかを審査するものです。後遺障害等級認定によって認定される等級は1~14級まであり、1級が最も重い後遺症で14級が最も軽い後遺症となっています。

後遺障害等級認定を申請するメリット

追突事故で負ったヘルニアが後遺症になった場合は、治療を行っても症状の回復がみられないため、治療費の支払いは打ち切りとなります。しかし、後遺障害等級認定を申請することで、後遺障害慰謝料逸失利益を損害賠償として受け取ることができます。

ヘルニアの場合、12級または14級の後遺障害等級が認定されることが多いです。後遺障害等級12級と14級の後遺障害部分の慰謝料相場は、以下の通りです。

  • 12級:93~280万円
  • 14級:32~110万円

※後遺障害慰謝料は、自賠責基準任意保険基準弁護士基準のうちどれを使うかによって変動します。

関連記事後遺障害等級認定の請求手続きについて

追突事故が原因のヘルニアについてのまとめ

人差し指を立てる白い女性

いかがでしたか。追突事故が原因で、ヘルニアを発症することもあります。追突事故によって発症するヘルニアは、頚椎椎間板ヘルニア腰椎椎間板ヘルニアの2種類です。

頚椎椎間板ヘルニアと腰椎椎間板ヘルニアで行われる治療は同じで、保存療法または手術を行います。しかし、治療を行ってもヘルニアが後遺症になってしまうこともあります。このような場合は、後遺障害等級認定を申請することをおすすめします。

この記事の執筆者

交通事故病院編集部 ライター / T.A
出版社に就職後、書籍や雑誌コラムの執筆・編集を経て、現在はフリーライターとして活動中。家族が交通事故の被害にあった過去の経験をもとに、怪我の治療先や手続きのコツなどをお届けしていきます。みなさんのお悩みが少しでも軽減されますように…。

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