むちうちの治療期間は平均いつまで?軽度の場合や自分でできる対処法も解説
監修記事

柿野 俊弥
理学療法士
どんなに軽い追突事故であったとしても、むちうちやそれによる後遺症で悩む方は後をたちません。
交通事故によるむちうちの症状があると「治療期間はいつまでなのか」「軽いむちうちの場合はどれくらいでよくなるのか」など、不安なことがたくさんあるはずです。
そこで今回、神奈川県横浜市にある「まる整骨院」の金丸先生にインタビューをしてきました。
「交通事故によるむちうちの症状とは?」
「むちうちで頭痛が起きるのはなぜ?」
「症状がラクになるまでの平均的な治療期間が知りたい」
「週何回くらい通院するもの?」
「むちうちがどうしても痛い時に自分でできる対処法」
など、交通事故病院に寄せられた数々の疑問についてお答えいただきました。
わからないことが多い保険会社とのやりとりなども聞いてきましたので、ぜひ参考にしてみてくださいね。
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目次
頚椎捻挫(むちうち)とは

▲「むちうち」とは?発症の原因や症状等
むちうちとは、交通事故などの衝撃で頚椎(首の骨)周辺の軟部組織(筋肉や靭帯など)が損傷する怪我のことをいいます。
衝撃が加わった時の頚椎の動きが、鞭(ムチ)を打った時のようなしなりに似ていることから「むちうち」と呼ばれています。正式名称は「頚椎捻挫(けいついねんざ)」あるいは「外傷性頚部症候群(がいしょうせいけいぶしょうこうぐん)」です。
関連記事むちうちとは?原因から症状・治療法や慰謝料まで徹底解説!
軽い事故でむちうちの症状が数日後に出ることがある
▲むちうちの症状が事故後すぐに出ない理由
事故の大きさにかかわらず、むちうちの症状が数日後に遅れて出てくることがあります。「ドーパミンの分泌」と「脳機能の低下」が主な理由です。
交通事故が起きると、自律神経の一つ「交感神経(興奮状態のときに活性化する神経)」がはたらきます。それに伴って、痛みを感じにくくするドーパミンが分泌されるため、落ち着くまで症状があらわれないことがあるわけです。
また、もし交通事故で頭を打っていた場合、脳出血や脳浮腫を生じていることがあります。あらゆる感覚情報は脳で処理されるので、これらの異常が起こると症状を認識できなくなり、症状が遅れて出てくることがあります。
以上の理由から、交通事故の直後は症状がなくても、身体は異常をきたしているかもしれません。症状の有無にかかわらず、まずは医師が在籍している病院を受診してください。
さらに、交通事故から期間が空いてしまうと、事故と怪我の因果関係が疑われてしまう可能性があります。もし、因果関係がないと判断されれば、治療費の請求などができなくなります。早めに受診をして、医師に診断書を作成してもらいましょう。
関連記事むちうちの自覚症状は事故の後から出てくる?通院先や治療内容も解説!
むちうちの症状には首や肩の痛み、頭痛や吐き気がある
▲むちうちが原因で起こる症状の例
頚椎周辺の軟部組織の損傷によって、首や肩の痛みが出てくるむちうちですが、他にも、頭痛や吐き気といった症状が見られることもあります。
むちうちになった方が訴える代表的な症状は、以下の通りです。
- 首や肩の痛み
- 頭痛や吐き気
- 手足のしびれ、倦怠感 など
関連記事事故後のむちうち症状を簡単セルフチェック!頭痛や吐き気も見逃さず早期対応を
他にも肩こりやしびれなどの症状も
ーー むちうちの主な症状で首の痛みや頭痛・吐き気の他に、どんな症状がある?
「むちうちの一番代表的な症状である疼痛(※1)、頭痛・吐き気以外に、肩こり、しびれといった症状があります。
(※1)ズキズキと痛むこと。
疼痛から始まり、症状がひどくなっていくことによって、しびれが現れます。痛みやしびれを訴える方は、交通事故の怪我においては非常に多いです。交通事故の状況によっては、さらに症状が進むと、麻痺(まひ)症状が出てくる可能性もあることを認識しておくと良いと思います。」
むちうちで頭痛が起きる原因は骨のズレ
▲むちうちから来る頭痛の痛みの特徴
頭痛、つらいですよね。これが交通事故による頭痛なら、つらいだけではなく、頭を強く打ったのではないかと、心配になってしまうはず。実はこれ、骨のズレが原因なんです。
「当院の施術の考え方(骨盤整復)に則ってお話ししますね。私はいつもマンションに例えてお話をしています。
以前どこかのマンションで、基礎工事がなっていなかった為に、上の階にヒビが入ってしまったといったニュースがありましたよね。骨も全て繋がっている訳ですから、考え方としてはこのニュースと同じです。1階〜5階のマンションがあったとします。1階の部分、これが骨盤にあたります。2階が首、3階が肩、4階が肘、5階が手だとします。
例えば、手のしびれで悩んでいる方がいたとします。
手のしびれで悩んでいる場合でも、手だけ施術をすればいい訳ではありません。何が言いたいかというと、手のしびれの本来の原因は、その下の階層の腰や肩、首からくることが多いということ。
マンションの5階にヒビが入って傾いたとしても、5階だけ直せばいいのではありませんよね。本来、1階の地盤の部分が壊れているということも考えられる訳です。地盤となる1階の部分が傾いてしまっていれば、2階や3階、5階の部分もおのずと傾きます。そのひずみ・傾きが少しずつ上に上がってくることによって、肩のハリや首の痛み、頭痛が引き起こされるんですよ。
ですから、質問にあった、交通事故によって頭痛が起きるメカニズムについては、この基盤(骨盤)のバランスが整っていないことが一つの原因と考えます。
頭痛であっても骨盤のバランスを調整することがあります。結局バランスが良くならなければ、体の不調を感じ続けてしまいます。頭が痛い、偏頭痛がするからといって、頭痛改善のためのアプローチだけをしても、根本的な解決にはなりません。その瞬間の痛みは減るかもしれないけれど、結果的に何度も通院することになります。
交通事故直後は興奮状態にあるので、痛みに気がつかない、あるいは手続きが面倒で通院しない、といったことがあると思うんですが、放置するとバランスが崩れたままになってしまいます。
ひどい場合は後遺症になったことすら気がつかず、首の痛みや肩のハリ、頭痛や吐き気と一生付き合わなくてはいけなくなってしまうかもしれません。交通事故後は、必ず病院に行って、診断することをおすすめします。」
関連記事むちうちで頭痛が起こる?原因・症状~治し方まで易しく解説
むちうちの治療期間は平均いつまで?
むちうちと一口にいっても、その症状は実にさまざま。
軽い追突事故のむちうちの場合、一般的な施術・治療期間というのは、どれくらいなのでしょうか。
軽いむちうちであっても3週間〜1ヶ月は通院すること
「一概に『この症状なら1ヶ月だ』というような明確な答えがなくて申し訳ないのですが、どんなに軽症であっても、3週間〜1ヶ月は治療や施術に当てることをオススメします。
医療機関にもよりますが、当院の場合は一度で判断せずに、まずは2〜3回施術をさせてもらってから具体的な日数を判断させてもらっています。最低限の通院の目安として、しっかりと安静にしてもらった場合でも、3週間から1か月くらいはみてもらいたいです。
皆さんも生活があるので、仕事をしないでゆっくり施術しているわけにいかないのはわかるんですが…。体力仕事をする方などは、傷口や炎症がひどくなってしまううことも考えられるので、その人の私生活や仕事状況によっても、通院日数は大きく変わってくるのが現状です。
特に事故直後から1週間は症状が減りやすいので、同じ頻度で3週間ほど通院してもらえると、施術完了までのゴールが具体的に見えてきます。
私たち柔道整復師の使命は、患者の痛みをなくすという訳ではありません。炎症期間をすぎ症状が少しラクになったら、次は骨や筋肉の可動範囲はどうか、なめらかに動くかどうかを見て、以前の状態に戻すことです。ですので、交通事故によって怪我をしてしまった方が以前と同じような生活に戻れるようになるまで施術ができればと思っています。」
むちうちの平均的な治療期間は3ヶ月程度
▲交通事故によるむちうち等の症状で通院した期間の集計結果
むちうちは一般的に3ヶ月程度で治ることが多くなっています。しかし、個人によって治療期間の差は大きく、怪我をしてから1週間程度で治る人、2ヵ月以内に治る人、1年や2年経っても治らない人がいます。
いくつかの研究では、治療期間が3週間〜2ヶ月経っても症状があった人は、1年後や2年後にも改善されないケースが多いと報告されています。また、治療を開始した時期も影響していて、怪我をしてから早い段階で受診をして治療を開始した人ほど、治療期間は短くなる傾向があります。
通院頻度は1週間に3回
なんと、炎症期の通院は1週間に3回。なぜ、1週間のうちに3回も通院しなければならないのでしょう?
「できれば、週3回は最低でも来ていただきたいです。急性期間は、炎症があることによって症状にぐらつきが出ます。ぐらつきやすいから、一度施術しただけでは元に戻ってしまう可能性があります。
よく次回の施術まで期間が空いてしまうという方がいますが、それでは施術がループしてしまい、長引いてしまいます。2〜3週間治療を続けると伝えて、そこから判断する旨も最初から保険会社に伝えておく必要があります。」
軽いむちうちは自然治癒することもあるが適切な治療期間・通院頻度は大切
▲軽いむちうちは自分で治せるのか?
軽いむちうちであれば、自然治癒することもあります。しかし、交通事故の後に痛みがほとんどなく「軽いむちうちだろう」と油断してはなりません。先述したように、症状が遅れて出てくる場合があるからです。放置してしまうと、痛みの慢性化や筋肉が硬くなり神経の圧迫につながるおそれがあります。
むちうちは怪我をしてから、治療開始までのスピードが肝心になります。むちうちになったら、できるだけ早めに受診をして、高い頻度で治療を受けることが望ましいです。ただ、経済面や仕事の関係上、高い頻度で治療を受けられない方は少なくないでしょう。そんな方は先ほどお伝えしたように、最低でも週3回の通院を目安にするとよいです。
関連記事むちうちは自然治癒する?治療や通院は必要?正しい対処法を解説!
むちうちになった時の通院先
一般的に、交通事故の直後は整形外科などの医療機関で診断してもらい、出してもらった診断書を元に物損事故から人身事故へ切り替えます。その後、被害者自身が通院先を加害者側の保険会社へ連絡し、通院開始となります。
むちうちになった場合の通院先は、主に以下の2つです。
整形外科での治療
▲交通事故後の整形外科受診
むちうちの通院先としては、整形外科が最も望ましいです。整形外科は骨や筋肉、関節などを診ることを専門としています。
医師の診察やMRIなどの画像検査を行ったうえで、医療行為が受けられるのが最大のメリットといえるでしょう。具体的に受けられるのは、医師や理学療法士による以下のような治療です。
- 薬物療法:薬剤によってむちうちの痛みや腫れを抑える
- 運動療法:首の状態に合わせて少しずつ運動を行い正常化を図る
- 物理療法:電気やホットパックなどで症状の緩和を図る
- 手術療法:稀ではあるが手足に麻痺がある場合などに行うことがある
関連記事整骨院と整形外科の違いは?どっちがいいか症状やケースにあわせて解説!
整骨院での施術
▲整骨院の交通事故施術内容の種類
整骨院では、国家資格者の柔道整復師による施術が受けられます。骨折や捻挫などに対して、手技療法を中心に行います。実際に触れながら原因を探り、筋肉や関節にアプローチを行うのが特徴です。必要に応じて電気・温熱などの物理療法やマッサージを行い、症状の緩和を図ります。
条件を満たす施術であれば自賠責保険の適用内で施術を受けられます。気になる方は以下を参考にしてください。
厚生労働省:柔道整復師等の施術にかかる療養費の取扱いについて
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むちうちがどうしても痛い時に自分でできる対処法
肩が凝った時や首が痛い時など、自分一人でどうにかできる方法はないか気になりますよね。実は、そういったセルフケアはやらないほうが賢明なのだとか。
どうしても痛いとき、どうすればいいのでしょうか。
まずは3日~1週間くらい安静にすべき
▲むちうちの安静期間の目安と急性期と慢性期の違い
炎症で痛みが強い3日~1週間程度は、安静にしておくべきです。無理をして動いたり治療したりしても、体に負担がかかり治療期間が伸びてしまいます。首は普通に生活をしていても動いてしまうため、必要に応じて頚椎カラーを装着してもよいでしょう(専門家の指示のもと)。
そうは言っても、安静にしすぎも良くありません。安静にしすぎると治療期間が伸びることも分かっているため、状態を見ながら、少しずつ治療を行う必要があります。安静にすべきタイミングなのか、それとも治療を始めてもいいタイミングなのかを見極めるのは、医療の知識がない一般人には難しいです。そのため、繰り返しになりますが、むちうちになったらすぐに受診して、医師の指示に従うことが大切になります。
むちうちは時期によって温めるべきか冷やすべきかが変わる
▲むちうちは温めるべき?冷やすべき?
代表的な症状、疼痛(とうつう)が起きた時、冷やすのか温めるのかわからないですよね。
どうやらむちうちは、その時期によって対処法が変わるようです。こちらについても、先生に確認しました。
むちうちの急性期というのは、病気や怪我になり始めた時期のことです。つまり、炎症を起こして熱を持っている時期。慢性期は痛みや炎症が落ち着いてきて、長期的な治療や施術と向き合う時期をいいます。
一般的には、この急性期(炎症している時期)に冷やし炎症を抑えてから、痛みが落ち着いてきた慢性期に温め、血行をよくすることが良いとされています。
「私の院では、氷での冷却(※アイシング)をします。痛みがあるところは、腫れていて熱を持ちますので、冷やさなければなりません。炎症期間というものは、3日〜1週間といわれています。痛みがある炎症期間は、症状が特に強い時期です。
痛みが強い時期にアイシング(氷で冷却)することは、当院にとっては必須条件ですね。アイシングなのですけれど、保冷剤などで冷やすのではなく、絶対に氷で冷やすようにしてください。保冷剤では、凍傷が起きる危険性があります。事故後すぐに通院できないなど、止むを得ず自分でアイシングする場合には、必ず氷で冷やすようにしてください。」
ーー 所定の期間(3〜7日間)アイシングすれば炎症が完全になくなる?
「完全になくなるかというと、答えはノーです。
だから、当院では慢性期でも氷で冷やすことをおすすめしています。
前述もしましたが、慢性期に温めるのは血行よくすることが目的です。患部が温まると、感覚が鈍くなり、痛みが減ったと思ってしまうんですよね。それによって痛みが減ったと感じるんです。症状が軽くなったと感じてしまいがちですので、注意が必要です。
ただ、整形外科や整骨院によって考え方は違って、温めることを進めるところもあります。なんのために温めるかと言うと、血行を良くするためです。一般的に、急性期は冷やす、慢性期は温めるというのが通例なんです。」
ネックカラーでの固定
▲首のむちうちにおけるコルセットの役割とは?
「カラーなどで固定することをおすすめします。炎症期のときは痛みが強いので、人と話すのはもちろん、ただ寝ているだけでもつらいと思います。起き上がるのも一苦労ですよね。この時期は骨や筋肉に負担がかかりやすい時期ですので、絶対に無理に動かさないことが大前提です。」
ネックカラーやコルセットを推奨する医療機関もあれば、意味がないという医療機関もあります。当事者にしてみれば「どっちが本当?」と誰を信じたらいいのか分からないなんて思うこともしばしば。これについて、先生に聞いてみました。
ーー ネックカラーはつける意味がある?
「確かに、カラーをしたからって症状が良くなる訳ではありません。でも、さっきも言ったように、炎症期というのは、冷やして安静にすることが大切です。腫れて熱を帯びているその炎症期だけでも、固定はあったほうが良いと私は思っています。」
「ご自宅にカラーのような固定器具がない場合には、カラーの代用品としてフェイスタオルを使うことができます。カラーよりも硬くないので、楽に固定することができますよ。」
フェイスタオルで固定する方法
ご自宅でも簡単にできるフェイスタオルでの固定方法は以下です。
- まずは、ご自宅にあるフェイスタオルを膝の上にかけます。
- 半分に折り、これをさらに半分に。4分の1の細さに折りましょう。
- マフラーを巻くような感覚で、優しく固定し、軽く締めてあげましょう。
※あまり力を入れすぎると首苦しいので、軽く締めてあげましょう。
「このように、カラーのような状態をフェイスタオルなら簡単に作ることができます。
炎症期は骨や筋肉が不安定だから、安定するまでは無理に動かさずに、しっかりと安定位を作ってあげることが重要になります。起き上がる時や誰かと話をするときでも、頚椎をタオルで少し固定してあげると、比較的行動を起こすのがラクになると思いますよ。」
関連記事交通事故のむちうちにマッサージはしてもよい?自分でできる対処法は?
むちうちの治療費、支払うのは誰?
自分の体を治すことはもちろん大切ですが、1週間に3回もの通院は社会人にとってはすごく大変なものです。それに、1回の施術代金や治療費がいくら定額であっても、この出費は結構な痛手のはず。
治療費を支払うのは加害者側の保険会社
交通事故で被害にあった場合、この損害を支払うのは加害者(正確には加害者側の保険会社)になります。このように、被害者が与えられた損害を加害者側の保険会社に支払ってもらうことを「損害賠償」といいます。
▲交通事故の損害賠償の内訳
損害賠償の内訳は、以下の3つです。
- 積極損害(治療費や交通費など)
- 消極損害(休業損害や逸失利益など)
- 慰謝料(精神的苦痛を現金で表したもの)
関連記事交通事故の慰謝料を払うのは誰?治療費がもらえない時の対処法とあわせて解説
慰謝料は通院頻度に影響する?
前述もしましたが、慰謝料とは被害者の精神的苦痛の対価として支払われるお金のことをいいます。慰謝料には2種類あって、その内訳は①入通院慰謝料と②後遺障害慰謝料です。
慰謝料算出の3つの基準
▲交通事故の慰謝料の3つの基準
上記で紹介した慰謝料を算出するのに、3つの基準があります。
- 自賠責保険基準
車を所持している人に加入が義務付けられている、自賠責保険を使用する場合の算定基準。被害者に対する最低限の補償を目的としており、3つの基準の中では最も低い金額になります。 - 任意保険基準
各任意保険会社で損害賠償を計算する場合に適用されます。任意保険会社によって計算方法は異なり、慰謝料の金額にバラつきがあります。 - 弁護士基準
弁護士が損害賠償を請求する場合に適用されます。過去の裁判例に基づいて計算されるため、3つの基準の中では最も高額になります。
入通院慰謝料の金額は通院頻度の影響を受ける
上記で紹介した算定基準のなかで、どれを適用するかで慰謝料の金額が変わりますが、入通院慰謝料の場合は通院頻度も影響を受けます。
例えば自賠責保険は、1日4300円の限度額があります。これに、以下の計算式で少ない日数をかけたものが慰謝料の相場です。
- 【判例】1週間に3回通院し、それが3ヶ月間続いた場合※1ヶ月は30日単位とします。
①「実通院日数×2」で計算する方法
1週間に3回×4週間=1ヶ月で12回の通院
12×3ヶ月=3ヶ月で36回の通院
36回×2=72②「通院期間」で計算する方法
1ヶ月間(30日)×3ヶ月=90
この場合、①の方が数が少ないので、これに自賠責の4300円をかけます。
3ヶ月間むちうちで通院した人の慰謝料は72×4,300=309,600円 になります。
後遺障害慰謝料を受け取るためにも通院頻度は大切
後遺障害慰謝料は、後遺障害等級認定で等級が認定された被害者のみが受け取れるお金です。
むちうちの後遺症が残ってしまった被害者全員に支払われるものではない、という点に注意しましょう。
認定を受けるためには、適切な頻度での通院を継続することも重要です。
後遺障害等級認定の申請をするにあたり、6か月以上の治療を受け続けた上で症状固定とされる必要があります。
▲症状固定とは?
しかし、通院回数が2週間に1回程度と間隔を空けての通院を続けていると、「後遺障害等級の認定をするほど重い症状ではないから通院回数が少ないのだろう」と判断され、認定を受けられなくなってしまう恐れがあります。
整骨院と整形外科の両方に通院する場合は、症状固定までの間に合計で100回以上の通院を続けると、後遺障害等級に値する症状が残っていると判断される傾向にあるといわれています。
関連記事交通事故のむちうち…通院頻度や通院期間はどれくらい?実例も紹介
治療期間中に治療費の打ち切りを打診されることも
加害者側の保険会社が被害者の治療費を支払ってくれる期間は以下2つです。
①被害者の怪我が完治(治癒)するまで
②被害者の怪我が症状固定(後遺症)となるまで
しかし、完治を前にして加害者側の保険会社から「治療費の打ち切り」を打診されることがあります。治療費の打ち切りにならないためにはどうしたらいいのでしょうか。
保険会社に信頼をしてもらうには「治そう」とする気持ちが大切
「確かに、しっかりとした手順を踏まなければ、保険会社から治療費(慰謝料)の打ち切りを言われることがあります。でも、これにはしっかりとした理由があります。
保険会社も、客観的な判断をせねばなりませんし、いつまでも慰謝料を払って入られません。あまり通院をしないと、<別に痛くないのでは?><すでに症状がよくなったのでは?>と思うはずで、それが治療費(慰謝料)打ち切りに繋がります。
だから、最初のうちは定期的に通って、ある程度治療の終わりを見据えられるまではしっかりと通院してもらわなければなりません。これは、施術を受ける当事者と保険会社、保険会社と整骨院、整骨院と当事者、各々の信頼関係に繋がります。
しっかりと通院をしていて治療の目処がついたら『来月ぐらいには終わると思います』と保険会社にも伝えることができるし、それを伝えることによって保険会社もしっかり信頼してくれます。慰謝料が目的だと思われないためには、しっかりと定期的に通院し、治療の目処を保険会社に伝えることです。
治療が延びることはもちろんあると思いますが、ある程度の終わりそうな期間と、もし期間が延びるのであれば、その理由をしっかりと提示してあげないといけません。保険会社との信頼は、患者さんにとっても大切です。」
関連記事症状固定は誰が決める?保険会社の提案への対応や後遺障害認定を解説
むちうちの平均的な治療期間まとめ
むちうちの平均的な治療期間は3ヶ月ほどで、軽度であっても3週間〜1ヶ月は治療や施術にあてたほうがよいでしょう。軽いむちうちの場合は自然治癒することもありますが、症状が進行するリスクもあるため適切な治療期間・通院頻度で通えると安心です。
整形外科や整骨院で専門の先生の指示に従い、後遺症が残らないようにむちうちの完治を目指せるといいですね。
今回取材に協力してくれたのは…
「まる整骨院」金丸先生
ーー 柔道整復師を目指したきっかけは?
「単純に、怪我をして施術を受けていたことがきっかけの一つと言えます。スキーが一時好きだったので、それで怪我したとき、思うような治療や施術をしてもらえないことに疑問を抱いて。それこそ、むちうちなどはレントゲンには写らないし、医者としても湿布や痛み止めという方法しか取れなかったんだと思います。『このままこの治療を受けていて治るのかな?』と不安になったこともあります。もしかしたら違う方法もあるんじゃないかなって思った時、『柔道整復術』があることを知ったんです。それで柔道整復師になろうと決意しました。」
まる整骨院へのアクセス
神奈川県横浜市南区中島町4丁目85−1
横浜市営地下鉄「弘明寺駅」2B出口から徒歩2分
ご自身も怪我をされた経験があり、同じ痛みや不安を抱えている人の気持ちも察してくれる金丸先生。
今回交通事故病院で取材に行ってみて、先生の優しさや暖かさ、誠実さを感じられました。近くにお住いの方は一度施術を受けに行ってみてくださいね。
参考
1)National Library of Medicine:Early mobilisation and outcome in acute sprains of the neck
2)National Library of Medicine:The rate of recovery following whiplash injury
3)National Library of Medicine:’Whiplash injuries’ of the neck: a retrospective study
4)東京労災病院整形外科:当院における頚椎捻挫例の検討
5)JOSPT:Recovery Pathways and Prognosis After Whiplash Injury
6)National Library of Medicine:Whiplash associated disorders: a review of the literature to guide patient information and advice
7)BJA:Whiplash injury
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この記事を監修したのは…
理学療法士として、回復期病院で脳血管疾患を中心にリハビリテーションを経験。その後、フリーライターに転向。医療・健康分野をはじめ、地域・観光、転職関連などの幅広いジャンルの執筆を行っている。
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