人身事故で診断書を取り下げてほしいと言われたら?対処法やデメリットを解説
監修記事
鍋谷 萌子
ビジネス実務法務検定3級
交通事故の被害者となった場合、病院に通い診断書の交付を受けます。そして診断書を警察に届け出て、人身事故として処理してもらいます。
しかし、まれに加害者側から診断書を取り下げてほしいと言われることがあります。
このような要望をされた場合、診断書を取り下げることは可能なのでしょうか。また、取り下げることによるデメリットはあるのでしょうか。
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目次
交通事故で提出した診断書は原則取り下げできない
「一度警察に提出した診断書を取り下げることができるか」の質問への回答は、「原則としてできない」となります。
交通事故が起きたとき、警察が人身事故として処理するのは「治安維持」を目的としているからです。結果的に被害者の救済につながったとしても、救済を第一目的にしているわけではありません。
つまり人身事故を起こした人を野放しにすることで、さらなる被害が起き、社会秩序・社会治安が乱されることを懸念して対処しているのです。
そのため、たとえ被害者本人が診断書を取り下げたいと訴えたとしても、警察がこれを受け入れることは原則としてありません。
交通事故で提出した診断書の取り下げができるケース
上記で述べたように、原則として一度出した診断書は取り下げることはできません。
しかし下記のケースに当たる場合は、例外的に診断書の取り下げが可能になることもあります。
被害者の怪我が病院に通うほどではない場合
「被害者の怪我が非常に軽微であり、通院するような怪我ではない」「加害者のすすめにしたがって病院に行き診断書はとったが、擦り傷程度であった」などのような場合は、診断書を取り下げることができる可能性もあります。
とても軽い怪我でとどまった場合は、人身事故ではなく物損事故として処理することができるケースもあるのです。
ただし、交通事故の怪我は見た目では判断しきれないものです。そのため、一度は病院に行くようにしてください。
関連記事交通事故で起こりやすい怪我とは|通院先や損害賠償請求も解説!
実況見分や事情聴取の開始前
警察による実況見分や事情聴取が行われる前の段階ならば、場合によっては物損事故での扱いにしてもらえることもあります。
ただこの場合でも、「診断書を取り下げることができる」わけではありません。
警察の判断も重要になってきますから、独断で判断できるものではないことは覚えておきましょう。
交通事故による診断書提出は事故と怪我の因果関係を証明するため
そもそも、「交通事故にあったときに出される診断書」とはどのようなものなのでしょうか。
交通事故で怪我をした場合、その怪我が本当に交通事故に由来するものかどうかを確かめなければなりません。
医師の診断を受け、怪我が交通事故に由来すると認められなければ、加害者側の保険会社への損害賠償の請求を行うこともできません。
また、この診断書は交通事故の加害者の刑事責任を追求する上でも必要な書類です。
そのため、人身事故の被害者となった場合は、取得しなければならない書類だといえます。
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交通事故の加害者は刑罰や行政処分を受けたくない
しばしば、交通事故の加害者から「診断書を取り下げてほしい」と言われることがあります。
診断書を取り下げた場合、その交通事故を物損事故として扱ってもらうことができるメリットが加害者側にあるからです。
物損事故としての扱いになった場合は、加害者は刑事処分を受けることもありませんし、行政処分を受けることもありません。
しかし、診断書の取り下げは、加害者側にメリットがあっても、被害者側にとってのデメリットが大きいです。
交通事故の被害者は診断書を取り下げるデメリットが大きい点に注意
しかし、被害者の立場からは、人身事故を物損事故として扱われることにはデメリットしかありません。
そのことについて見ていきましょう。
※一度物損事故として処理された事故を、あとから人身事故に切り替えるには診断書の提出といった手続きが必要です。そのため、その場で軽率に「物損事故でいいですよ」などの発言は控えましょう。
関連記事交通事故の物損事故から人身事故への切り替え方法|違いと処分・リスクも解説
自賠責保険へ請求できない
物損事故で処理する場合と人身事故で処理をする場合では、保険での補償の範囲に違いが見られます。
たとえば、強制保険である自賠責保険は、人身事故の被害者は補償を受けられますが、物損事故として処理された場合は補償を受けられません。
もちろんこの場合でも、加害者側の任意保険を使って被害者の受けた損害を補償することはできます。
ただし加害者が任意保険に入っていなかったり、補償する意思がない場合は、そもそも補償を受けられない可能性があります。
休業損害や入通院慰謝料なども請求できない
物損事故ではそもそも、「休業や入通院を必要とする人はいなかった」と判断されます。
そのため、仕事を休んだことによる損害を補償する休業損害補償や、入通院による精神的な苦痛を補うための入通院慰謝料は請求できません。
実況見分調書が作成されない
人身事故が起きた場合、警察が実況見分調書を作成します。
実況見分調書は、過失割合を決める上で参考にされる書類です。過失割合をもとに慰謝料の額などが決められるため、非常に重要です。
しかし物損事故の場合は、実況見分調書を作成しません。物損事故でも「物損事故報告書」が作成されますが、実況見分調書に比べて証拠能力が弱いです。
まとめ
加害者から診断書の取り下げを求められたとしても、個人の判断で取り下げることは原則としてできません。
また取り下げられる場合であっても、人身事故から物損事故への切り替えは被害者にとってはデメリットしかありません。
そのため、取り下げの手続きを行うことには慎重になるべきです。
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この記事を監修したのは…
交通事故関係、弁護士事務所・クリニック等でのコラム執筆を数多く経験。確かな情報収集力を元に、常に正しく信頼のおける情報を「誰であっても理解できるかたちで」わかりやすく丁寧に解説していきます。
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