交通事故後の被害者の流れを解説|事故発生から示談まで
監修記事
伊藤 実(てん@法律関係ライター)
弁護士資格保有
ある日交通事故の被害者になってしまったら?
今回は、事故の発生から示談までの被害者の流れについて、6つのステップに分けて解説します。
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目次
1.交通事故の発生から警察への連絡
交通事故が発生した場合、まず現場の安全確保や救護を行い、その後警察へ連絡を行います。また、加害者との連絡先の交換を忘れずに行いましょう。
- 現場の安全確保や救護を行う
- 警察へ連絡する
- 加害者と連絡先を交換する
現場の安全確保や救護を行う
交通事故に遭遇してしまった場合、まずは、自身を含む負傷者の救護を優先して行います。事故現場から安全な場所に移動させ、怪我の程度がひどい場合には救急車を手配することも必要になります。
そして、後続車などとの更なる事故を防止するため、事故車を安全な場所へ移動させたうえで、必要に応じハザードランプや発煙筒を使用します。
警察へ連絡する
交通事故の大小や怪我の有無にかかわらず、交通事故が発生した場合には、警察への通報をしてください。警察への通報は、道路交通法により義務付けられており、これを怠ると処罰を受ける可能性もあります。
交通事故の事実を警察に通報することにより、事故の事実が公的に確定され、交通事故証明書の発行を受けられます。この交通事故証明書は保険の手続きにおいても必要となりますので、発行の手続きをしておくのが良いでしょう。
加害者との連絡先交換も忘れずに行う
加害者の逃亡を防ぐ意味でも、交通事故が発生したらすぐに加害者との連絡先を交換します。交通事故が発生した直後には、怪我の程度が大きくないと考えていても、後から痛みが出てくることもあります。
このような場合に加害者の連絡先がわからなければ加害者側の保険を使用することもできず、治療費を自己負担しなければならなくなる可能性もあります。加害者との連絡先交換は忘れずに行いましょう。
関連記事交通事故で加害者が謝罪に来ない!適切な対処法と慰謝料を詳しく解説
2.保険会社へ連絡する
次に、保険会社と連絡をとります。
怪我を負った場合、入通院費や治療費は、加害者側の保険会社が支払います。また、状況によっては自身の保険会社を使用する場合もありますので、自身の任意保険会社へも連絡を行います。
- 加害者側の保険会社と連絡をとる
- 自身の任意保険会社にも連絡を入れる
治療費等を支払う加害者側の保険会社へ連絡
交通事故の被害者となってしまった場合、加害者が任意保険に加入していれば、加害者側の保険会社から治療費等の支払いを受けることができます。
まず、加害者から保険会社に連絡を入れて、事故の内容とあなたの連絡先を伝えてもらいます。その後、加害者側の保険会社から連絡がありますので、事故の内容や通院先の情報を伝えてください。
先に治療費を負担している場合には精算の手続きを受けることができ、今後の治療費については保険会社が直接病院に支払うことになります。
自分の保険会社にも連絡を
あなたに過失がない交通事故の場合でも、自分の保険会社からの補償を受けられる場合があるので自分の保険会社への連絡も忘れずに行います。
以下はその一例です。
- 搭乗者傷害保険
搭乗者傷害保険に加入されている場合は、加害者側の保険会社からの補償とは別に、一定額の保険金の支払いを受けることができます。 - 弁護士費用特約
弁護士費用特約に加入されている場合は、加害者側との交渉が難航しているといったケースで、加害者側との交渉や慰謝料等の請求を弁護士に委任する費用の補償を受けられます。 - 人身傷害保険
人身傷害保険に加入されている場合には、被害者側の保険会社への請求か自分の保険会社への人身傷害保険金請求のいずれかを選択することができます。加害者が任意保険に加入していない場合などは人身傷害保険を使用することで同等の補償を受けることが可能です。
3.整形外科を受診し診断書を取得する
交通事故の被害者となったら、まずは病院や整形外科を受診しましょう。
また、医師による診断書も発行して欲しい旨を伝えましょう。
交通事故の被害者になったらまずは病院・整形外科へ
交通事故の被害者になったらすぐに病院・整形外科を受診します。
交通事故から時間が経過してから受診しても怪我と交通事故との間の因果関係が認められず、治療費等の支払いを受けることができなくなる可能性があります。
病院の休日に交通事故にあったような場合であっても休み明けには必ず受診するようにしましょう。
整骨院・接骨院は、診断を下すことはできないので、整骨院での施術を考えている場合であっても、まずは病院・整形外科を受診します。
交通事故の診断書を取得する
病院・整形外科を受診した場合には、必ず診断書を発行してもらうようにします。
診断書は、加害者側の保険会社から治療費等の支払いを受けるために必要となります。診断書発行の費用についても、加害者側の保険会社から支払いを受けることができます。
関連記事交通事故で診断書を提出するべき理由とは?提出先や期限も解説
4.人身事故に切り替える
交通事故が物損事故として処理されている場合には、人身事故への切り替えを行います。
物損事故には自賠責保険が適用されず、慰謝料の請求についても認められないことが多いです。そのため、物損事故のままにしておくと人身事故に切り替えた場合より、受けられる賠償額が低くなってしまう可能性があります。
十分な賠償を受けるためにも人身事故への切り替えを行いましょう。
人身事故への切り替えは、警察へ連絡して行うことが可能です。病院で診断書の発行を受けたのちに、警察署へ連絡し訪問日程を調整します。診断書や事故内容について確認されたうえで人身事故への切り替えが行われます。
5.怪我の治療や通院をする
これまでの手続きが完了したら、主治医の指示に従って、通院治療を継続します。
交通事故の通院治療にかかる治療費や交通費については、加害者側の保険会社から支払いを受けられます。
交通事故の治療・通院を継続しても、完全に症状が治まらない場合もあります。この場合、無制限に治療費等の支払いを受けられるわけではありません。
治療やリハビリを継続した結果、これ以上、症状の改善が見込めない症状固定の状態になると、治療費等の支払いは打ち切られます。
また、交通事故の治療は、症状の程度によって長期にわたる場合もあり、治療期間中に加害者側の保険会社から治療費の打ち切りが申請されることもあります。
あなたの症状が固定していないにもかかわらず、打ち切りの申請がされた場合には、主治医と相談のうえ加害者側の保険会社と交渉を行います。
それでも納得できるような結論とならなかった場合には、弁護士への相談も考えましょう。
関連記事症状固定は誰が決める?保険会社の提案への対応や後遺障害認定を解説説
6.症状が完治したら示談
症状が完治するか症状固定の状態になったら、病院での通院治療を終了します。
その後、加害者側の保険会社は、これまでの治療経過などを踏まえて、慰謝料等の算定を行い、示談の提示を行います。
通常、示談の提示は、加害者側の保険会社から書類が送付されます。治療費といった項目ごとに賠償額が記載された書面と、免責証書と呼ばれる示談書が送付されてきます。
その内容に納得した場合には、免責証書に必要事項を記載し返送します。内容に納得できない場合には、あなた自身で加害者側の保険会社と交渉するか、弁護士に相談することを考えましょう。
補償を受けられるお金の種類
交通事故で怪我をしてしまった場合、補償を受けられるお金の種類としては次のものが挙げられます。
- 傷害慰謝料
交通事故により負った怪我の苦痛に対する慰謝料です。金額は、入院や通院の期間や日数によって計算されます。 - 治療費
病院や整形外科での治療費です。交通事故から時間が経ってから初めて治療を受けたような場合や、整骨院などでの治療費については交通事故との因果関係が争われ支払いが認められないこともあります。 - 付添看護料
被害者の通院や入院に付添が必要となった場合にかかった費用です。 - 入院雑費
入院中に発生した諸雑費のことです。 - 交通費
入院や通院のために発生した交通費で、公共機関の利用料金や自家用車のガソリン代がこれに当たります。タクシー費用については、やむを得ない場合を除き認められない場合が多いです。 - 器具・装具費
交通事故により必要となった松葉杖やコルセットといったものの購入費です。 - 休業損害
交通事故による怪我を原因として仕事を休まざるを得なくなったために生じた損害のことで、日額の給与に休んだ日数をかけた金額が支払われます。 - 後遺障害慰謝料
後遺障害を負った苦痛に対する慰謝料です。こちらと後遺障害逸失利益については、次の項目で詳しく説明します。
弁護士監修交通事故で通院したら慰謝料はいくらもらえる?計算方法も解説
交通事故により後遺症が残ってしまったら…
交通事故によって怪我を負うと、いつまでも痛みが残ってしまうといった、通院治療の終了後にも後遺症が残る場合があります。
後遺症と後遺障害の違いとは
交通事故によよる後遺症のうち、認定の手続きを経て特別な賠償の対象として認められたものを後遺障害といいます。
つまり、単なる後遺症と後遺障害との違いは、その症状が「特別な賠償の対象として認められるか否か」という点にあります。
後遺障害等級認定を申請する
後遺障害の等級認定を申請する方法としては、被害者自身が申請を行う「被害者請求」と、加害者側の
保険会社が申請を行う「事前認定」の2つの方法があります。
被害者請求を行うためには、被害者自身が申請に必要な書類を全て取り揃えて、被害者側の自賠責保険会社にその書類を提出する必要があります。
一方、事前認定を行うために被害者が行うことは、後遺障害診断書を加害者側の保険会社に提出することで足ります。
被害者請求には自分が必要と思う書類を全て提出することができ、認定機関による適切な審査を受けられるメリットがあるものの、大きな手間がかかるデメリットもあります。
このようなメリットとデメリットを比較して最適と考える方法を選択しましょう。その際には、弁護士に相談し、被害者請求の手続きを代行してもらうことも考えられます。
交通事故後の流れを理解して治療・手続きを行いましょう
交通事故にあった場合は、まずは警察への届け出を行って、病院での治療通院を開始しましょう。
その後は、保険会社、主治医、場合によっては弁護士などの助言を受けつつ、適切な賠償を受けられるよう手続きを進めていきましょう。
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この記事を監修したのは…
元弁護士の経験を活かし、日常生活にまつわる法律問題を中心に執筆活動を行う。弁護士時代には、交通事故、債務整理、離婚など多数の案件を解決。読者の困りごとに寄り添う記事をモットーに執筆に取り組んでいる。
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