交通事故後のむちうちの治し方とは?辛い症状の原因や治療について解説
監修記事
枡中 昂也
理学療法士
交通事故の被害にあうと、首や腰の痛み、肩こり、頭痛、吐き気などの症状があらわれるかもしれません。これらの症状は、むちうちによって引き起こされている可能性があるため、しっかりとした治療を行う必要があります。
むちうちは首に過度な外力が加わることで、首が鞭のようにしなるため「むちうち」と言われます。むちうちでは首周辺の筋肉や靭帯などの組織を損傷してしまいます。
今回は、むちうちの特徴や治し方、通院先などについて解説しています。
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目次
そもそもむちうちとは?
むちうちとは、交通事故による衝撃で首に不自然な力が加わり、筋肉や靭帯などの軟部組織が損傷することで起こる怪我です。
首に力が加わる際に、首が鞭のようにしなることから、「むちうち」と呼ばれています。また、正式名称は「頚椎捻挫」や「頚部挫傷」といいます。
むちうちを発症した場合、首の痛みだけではなく、以下のように様々な症状があらわれます。
- 腰の痛み
- 肩こり
- 頚椎や肩関節などの可動域制限
- 頭痛
- めまい
- 吐き気
- しびれや麻痺 など
様々な症状があらわれる理由としては、交通事故の衝撃で損傷する箇所が多岐にわたるためです。
このことから、むちうちは5つのタイプに分けられています。
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むちうちの特徴2つ
むちうちには、以下2つの特徴があるため、注意しなければなりません。
- 症状が後日あらわれることがある
- 診断が難しい
それぞれの特徴について、詳しく解説していきます。
症状が後日あらわれることがある
事故直後は身体が興奮状態になり、アドレナリンなどが体内で分泌されます。これらの物質は鎮痛作用があるため、むちうちの症状に気づかない可能性があります。
そのため、事故直後に痛みや自覚症状がなくても、念のため病院で検査を受けることが大切です。
診断が難しい
むちうちは、筋肉や靭帯といった軟部組織の損傷です。そのため、骨折の有無を判断するレントゲン検査では異常を見つけることができません。
したがって、むちうちの症状があらわれていても、レントゲンでは「異常なし」と診断を受ける場合もあります。
むちうちを発症しているかを確認する際にはMRIによる検査を受けることが大切です。MRI検査は、レントゲンとは異なり、脊髄や関節などに対する異常を見つけることができます。ただし、MRIでも異常が見つけられない場合は、神経学的検査を受けるようにしてください。
関連記事交通事故の検査は念のためした方がいい?検査費用や慰謝料についてについて
むちうちはどれくらいで治るのか?
むちうちの治療期間は、一般的には3ヶ月程度といわれています。しかし、怪我の状態や身体の丈夫さによって、治療期間は様々です。3ヶ月で治る場合もあれば、6ヶ月~1年以上通院を続けなければいけない場合もあります。
むちうちの治し方としては、急性期と慢性期の2つの時期で異なる治療を行います。
むちうちの治し方-時期別の治療方法をチェック
むちうちの治し方は、時期によって治療方法が違ってきます。
主に受傷直後の急性期では安静を保つことが重要となり、慢性期では理学療法によるリハビリテーションを受けることが推奨されています。
急性期では安静を保つことが重要
むちうちの受傷直後の時期を急性期といいます。
急性期では、患部の損傷によって炎症反応が顕著にあらわれます。急性期の治し方をチェックしてみましょう。
- 頚椎カラーなどで患部を固定し、日常生活内でも安静を保つ
- 炎症部位のアイシング
- 鎮痛薬や貼り薬などで炎症や痛みを抑える
組織の損傷による炎症反応がみられる急性期では、患部を動かしてしまうことで、症状を悪化させる危険性が高まります。
炎症と痛みをコントロールしながら、安静を心掛けるようにしましょう。
慢性期では理学療法を取り入れることも
慢性期とは、むちうちを受傷してから3カ月間経過した時期です。
この時期は炎症が回復し、身体を動かす治療を積極的に行っていきます。慢性期の治療をチェックしてみましょう。
- 理学療法士による運動療法や徒手療法などのリハビリテーションを受ける
- 筋力トレーニングやストレッチなどのケアを行う
- 干渉波や超音波などの物理療法を行う
慢性期では筋力や関節の可動性を改善するリハビリなどを行い、痛みの緩和や日常生活動作の機能を高めていきます。
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むちうちの治療は2つの通院先から選ぶ
むちうちの治療の通院先の選択肢としては、以下の2つが推奨されています。
- 整形外科
- 整骨院・接骨院
上記の通院先で受けられる治療・施術について詳しく解説していきます。
整形外科の治療はブロック注射や手術等の医療行為
整形外科では、医師が治療を行い、診断書を取得することも可能です。そのため、交通事故で怪我を負ったらまずは、整形外科を受診するようにしましょう。
整形外科での治療内容は、以下のものがあります。
- レントゲンやCT・MRIの検査
- 湿布や痛み止めなどの薬の処方
- 手術
- 理学療法士によるリハビリテーション
また、湿布や痛み止めも効かない場合は、ブロック注射を受けることができます。ブロック注射とは、痛みのある部位の神経付近に麻酔薬を注射し、痛みを取る治療法です。
一時的な効果だけでなく、神経の興奮を落ち着かせ、血行の流れもよくなります。それにより、注射前より損傷部分の機能が回復し、痛みが和らぎます。
整骨院なら電気療法や罨法などの施術
整骨院(接骨院)では、柔道整復師が施術を行います。
整骨院で受けられる施術内容は、以下の通りです。
- 手技療法やマッサージ
- 電気療法
- 温熱療法
- 罨法(冷あん法・温あん法)
- 運動療法
- 牽引療法 など
慢性期症状の場合でも、整骨院の手技によるマッサージや物理療法など施術を継続することが可能で、むちうちの慢性症状が改善せずに残っている方にはおすすめです。
関連記事交通事故の治療を整骨院で受ける|施術内容と保険適用について解説
むちうちを治すには症状を正確に伝える必要がある
むちうちを治すには症状を正確に伝える必要があります。どのような点に注意すれば、正確に症状を伝えられるのか、ポイントを以下にご紹介します。
- いつから痛いか(痛みが出た時)
症状が出た日時を正確に伝えましょう。症状が出現した日時の情報は、状態把握に重要な情報です。 - どこが痛いか(部位や範囲)
痛みの部位が限定的で、指一本で示せる範囲なのか、痛みの部位が広範囲であるのかの情報を伝えましょう。 - どのようなときに痛いか(静止時や特定の動作)
じっと安静にしている時、動いている時、就寝時、朝や夕方など、どのタイミングで症状が出るのかを伝えましょう。 - どのような痛みか(痛みの種類)
鈍痛、刺すような痛み、ズキズキ、ピリピリ、ジンジンなどと表現しながら、主観的な痛みやしびれの状態を伝えましょう。
むちうちの症状の伝え方は、以下の記事で詳しくまとめていますので、ぜひ参考にしてみてください。
関連記事むちうち症状の伝え方ポイント4つ!伝え方が重要な理由も解説
むちうちの痛みが辛くて眠れない!対処法は?
交通事故のむちうちを発症すると、首の痛みや自律神経の乱れなどにより、なかなか熟睡できずに悩む方が多いです。
眠るときは枕に直接頭を乗せる方が大半ですが、この姿勢では首と枕の間に隙間ができてしまい、首に負担がかかることで睡眠の質が低下します。
対策としては首の下の隙間を埋めるために、タオルを首の下に置くことで安定性が増し、首の負担が軽減できます。
下の記事ではむちうちで悩んでいる方に向けて、痛くない寝方と首の負担が少ない寝姿勢について解説しています。ぜひチェックしてみて下さい。
関連記事むちうちの痛くない寝方とは?首の負担が少ない寝姿勢を解説
むちうちを放置すると悪化する可能性も
交通事故後のむちうちを放置していると、首の痛みだけではなく、頭痛や腰痛、肩こり、腕のしびれなど、首から離れた箇所に二次的な症状が現れる危険性があります。二次的な障害は治療を全く行っていない方や、通院の間隔が空いている場合に出現するリスクが高まります。
また、気象病といった症状が出るケースもあり、症状の悪化からうつ傾向になってしまう方もいます。二次的な後遺症が現れないように、事故後は早期に整形外科などの医療機関を受診するように心掛けましょう。
むちうちは一生治らない?治療を続けても完治しなかったら
むちうちの治療を6ヵ月以上継続しても症状が完治しない「症状固定」と医師に診断された場合は、後遺障害等級認定の申請を検討することをおすすめします。
後遺障害等級とは、症状の重さによって1〜14級までの等級に分けられたもので、認定された等級に応じた後遺障害慰謝料を受け取ることが可能です。
そのためにも、医師から症状固定と診断されるまでは治療を継続し、その後に後遺障害等級認定を申請するように注意しましょう。
むちうちの症状にあわせて通院先を選択しよう
今回の記事では、交通事故後のむちうちの症状が治らずつらい方に向けて、むちうちの原因や治し方のポイントについて解説しました。むちうちを放置してしまうと、二次的な障害が現れる危険性が高まり非常に危険です。
先ずは整形外科などの医療機関で医師の診断を受け、むちうちの症状や経過時期に合った通院先を選択し、治療を継続するように心掛けましょう。むちうちの症状が改善せずに悩んでいる方は、当サイトの相談窓口までぜひご相談ください。
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この記事を監修したのは…
理学療法士として整形外科病院で患者様に対するリハビリテーションを担当。
現在は病院勤務を行いながら、Webライターとして医療に関する情報発信を行っている。
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