むちうちで起き上がれない時の対処法5つ|悪化するケースや後遺障害も解説
監修記事

河野 裕也
理学療法士
むちうちで起き上がれない時は、無理に動かさず安静にし、できるだけ早く整形外科を受診しましょう。寝具の調整や負担のかかる姿勢を避けることも大切です。
むちうちは、交通事故直後に痛みが軽くても数時間後や翌日以降に悪化することがあります。治療しても症状が改善せず、後遺障害になる可能性もあるため、継続的な通院も重要です。
今回は、むちうちで起き上がれない時の具体的な対処法や症状が悪化するケース、むちうちの後遺障害についてわかりやすく解説します。
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目次
むちうちで起き上がれない時の対処法5つ
むちうちとは、日本整形外科学会によると「追突や衝突などの交通事故によってヘッドレストが整備されていない時代に首がむちのようにしなったために起こった頚部外傷の局所症状の総称」と定義されています。

▲むちうち発生のメカニズム
頚椎の周囲にある靭帯や筋肉、神経などが損傷し、首の痛みや可動域制限、しびれ、頭痛、めまいなど様々な症状が出現します。
特に頚椎への圧迫や筋肉の緊張が強い場合、体を起こす動作そのものが痛みを伴い「起き上がれない」といった深刻な症状を引き起こすことがあります。
このような症状がある場合には、できるだけ早い段階での適切な対処が重要となります。
①整形外科で治療を受ける
起き上がれないくらいにむちうちの症状が強い場合はなるべく早期に整形外科を受診しましょう。
▲交通事故後の整形外科受診
医師による診察とレントゲン、MRI、CTなどの画像検査を通じて、頚椎の骨や椎間板、神経に損傷がないかを詳細に調べることができます。
診断に基づき、消炎鎮痛薬や筋弛緩剤などの薬の処方、神経ブロック注射、理学療法、温熱療法といったリハビリテーションなど症状に応じた治療が行われます。
また、コルセットの使用や生活指導が含まれることもあり、日常生活の質を維持しつつ回復を目指すことが可能です。場合によっては手術が必要なこともあります。
②整骨院で施術を受ける
整骨院では、柔道整復師により筋肉や関節のバランスを整える施術が行われます。
▲整骨院の交通事故施術内容の種類
手技療法やストレッチ、運動療法、電気療法、あん摩、鍼灸などが一般的で、首や肩の筋緊張を和らげる効果が期待できます。
整形外科と併用して通院することで、痛みの軽減や可動域の回復が見込まれるケースが多いです。
夜遅い時間まで受診可能なことも多く、仕事帰りなどに通院しやすいことも特徴です。
ただし、交通事故による通院の場合は適切な補償を受けるために、事前に保険会社への連絡や医師の同意を得ておくと良いでしょう。
▲交通事故の怪我で整骨院と整形外科を併用通院する為のステップ
関連記事整骨院と整形外科の違いは?どっちがいいか症状やケースにあわせて解説!
整骨院通院の体験談1
自転車に乗っていたところ、交差点で左側から自動車に跳ねられ事故にあってしまった「ダイスケさん(40代・会社員)」の整骨院通院に関する体験談を紹介します。
ダイスケさんは、むちうちのほかに 腰や肩、背中、腕の痛み、頭痛、しびれなどの症状がありました。
交通事故後に整骨院へ週5日ほど通い、症状が楽になったそうです。
整骨院の通院や施術について、以下のようにお話しされています。
「夜9時まで営業していて、仕事終わりにも施術を受けられて大変助かりました。駐車場もあり、雨の日でも気にせず通院出来ました。スタッフ間の連絡もしっかり出来ていて、誰が担当しても対応に変わりがありませんでした。」
「マッサージと電気療法でした。マッサージでは、筋膜剥がしや肩甲骨ストレッチなどをして痛みを和らげていただきました。」
ダイスケさんの体験談の詳細は下記の記事でご覧いただけます。
整骨院通院の体験談2
右折専用レーンに停止していて、後ろから追突される事故にあってしまった「まきさん(30代・会社員)」の整骨院通院に関する体験談を紹介します。
まきさんは、むちうちのほかに肩や背中の痛み、頭痛などの症状がありました。
交通事故後に整骨院へ週4〜5回通院していたそうです。
整骨院の通院や施術について、以下のようにお話しされています。
「交通事故施術の知識があり、色々と話が通じる先生がいたので、今後の方針や施術の流れなどを教えてくれたので安心できました。営業時間が長い(平日の夜は8時まで)、休日もやっている、家から徒歩で行ける距離にある、という整骨院だったので、無理なく通うことができたのもありがたかったです。」
「毎回カウンセリングをした上で、今の痛みの具合、どの部分が痛むのか、首の可動域などをチェックしてもらい、対象箇所に電気療法、マッサージをしてもらいました。合計で15分くらいの施術でした。」
まきさんの体験談の詳細は下記の記事でご覧いただけます。
体験談追突事故で被害者に…後から痛みが出て人身事故へ切り替え
③安静にする
むちうちの症状が出ているときは、負担をかけないように安静を保つことが重要です。
無理に動かしたり、起き上がろうとすることで、損傷した組織にさらに負担がかかり、炎症が広がったり痛みが悪化したりする可能性があります。
痛みが強い受傷後数日間は安静にし、日常生活でも無理のない範囲で行動することが大切です。
▲むちうちの安静期間の目安と急性期と慢性期の違い
入浴や車の運転の再開など、生活上の制限については、自己判断せず、医師の指示に従うようにしましょう。特に事故直後は、症状が軽く見えても後から悪化するケースも多くあるため注意が必要です。
痛みが和らいできたら、医師や理学療法士の指導のもと、徐々に日常生活へ復帰していくようにしましょう。
④寝具(枕やマットレス)を調整する
むちうちの症状を軽減するためには、睡眠環境を見直すことも重要です。
枕は、首の自然なカーブ(生理的前弯)を保てる高さと硬さを選びましょう。高すぎたり、低すぎたりする枕は首に負担をかけるため、むちうちの症状を悪化させる可能性があります。
マットレスは体をしっかり支えられる適度な硬さのものを選びましょう。柔らかすぎる寝具は体が沈み込み、寝返りのたびに首や腰に無理な力がかかってしまうため注意が必要です。
むちうちの回復には質の高い睡眠も欠かせません。痛みで夜間に目が覚めてしまう場合や、朝起きたときに症状が強く出るようであれば、寝具の見直しを検討しましょう。
⑤首や腰に負担のかかる姿勢を避ける
日常生活では、首や腰に負担のかかる姿勢を避けることが大切です。
たとえば、デスクワークや家事、スマートフォンを見続ける姿勢などは前かがみになりやすく、首の筋肉に余計な緊張が生じてしまいます。
またそれらの姿勢を長時間保つことも、むちうちの回復を妨げる原因になります。
こまめに姿勢を変えたり、短時間でもストレッチを行うことで、首まわりの血行が促進され、回復が早まります。
就寝時には、横向きやうつ伏せよりも、仰向けで首の自然なカーブを保つ姿勢が望ましいです。
関連記事むちうちで首が痛い時の寝方とは?負担の少ない寝姿勢を解説
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むちうちの症状が悪化するケース
むちうちは外見上の異常が少ないため、軽視されがちですが時間の経過とともに症状が強まることがあり、初期対応を誤ると悪化するリスクが高まります。
特に以下のようなケースでは症状が悪化しやすいことが多いため注意が必要です。
事故直後は症状が軽くても、数時間後や翌日以降に悪化するケース
むちうちは、事故直後にあまり症状を感じなくても、数時間〜数日後に痛みやしびれなどが強く出ることが多くあります。
事故の直後はアドレナリンなどのストレスホルモンにより興奮状態となり、痛みの感覚が鈍くなるためと言われています。
▲むちうちの症状が事故後すぐに出ない理由
時間が経ち、神経の興奮が落ち着いた頃に、炎症や損傷による症状が感じられるようになります。
また、軽度と思われる症状でも、頸椎周囲の筋肉や神経が損傷している場合があり、放置すると回復に時間がかかることもあります。
そのため、事故直後に症状が無くても、後になって痛みが出た場合にはすぐに整形外科を受診することが重要です。
医師監修むちうちの自覚症状は事故の後から出てくる?通院先や治療内容も解説!
患部に負担がかかる行動により悪化するケース
むちうちは、安静にすべき時期に無理に動かしたり、患部に負担のかかる姿勢をとることで悪化することがあります。
特に首や腰は日常的に使う部位のため、ちょっとした動きでも痛みが悪化したり、炎症が広がったりする可能性があります。
日常生活で起き上がる際の動作や姿勢、座るときの椅子の高さや背もたれの角度など、細かな体の使い方にも注意が必要です。
むちうちの回復は個人差が大きいため、一般的なアドバイスだけでなく、医師や理学療法士に自分の状態に応じた具体的な指導を受けることが重要です。
医師監修むちうちでやってはいけないこと7つ|適切な治療方法を解説
治療を受けずに放置して後遺症になるケース
「痛みが少し落ち着いてきたから」と自己判断で通院をやめてしまったり、治療を全く受けずに放置したりすると、むちうちの症状が慢性化し、後遺症として残ってしまう可能性があります。
初期の段階で適切な治療を受けなければ、筋肉や靱帯の損傷が完全に回復せず、慢性的な症状に悩まされ続けてしまうこともあります。
また、定期的な通院がないと、後遺障害等級の認定に必要な医療記録が不足し、慰謝料などの補償を受けられない可能性もあります。
医師から「症状固定」と診断されるまでは、自己判断で治療を終了せず、指示に従って通院を継続することが重要です。
▲症状固定とは?
関連記事むちうちを後遺症にしない|症状や治療と後遺障害認定・慰謝料も解説
むちうちの後遺障害とは?
むちうちは適切な治療やリハビリを受けることで多くのケースで改善しますが、なかには症状が長期化し、完治しないまま「症状固定」と診断される場合があります。
このような場合には、後遺障害と認定される可能性があります。
▲後遺障害とは?(後遺症と後遺障害の違い)
後遺障害とは、治療を継続しても症状の改善が見込めず、今後も日常生活や仕事に影響を与える障害が残る状態を指します。
後遺障害に認定されると、自賠責保険や任意保険を通じて「後遺障害慰謝料」や「逸失利益」などの補償を請求することができます。
後遺障害認定には定期的な通院と医師の診断が必要
むちうちで後遺障害等級認定を受けるためには、定期的な通院と医師の継続的な診察・記録が不可欠です。
むちうちは客観的な検査だけでは症状の裏付けが難しいケースもあるため、自覚症状をしっかり医師に伝え、それを診療録として残してもらうことが大切です。
また、MRIなど必要な画像検査を適切な時期に受けることで、神経根の圧迫や靱帯の損傷など、障害の存在を証明する材料となります。
途中で通院を中断したり、間隔が空いた場合には、後遺障害の因果関係を証明するのが難しくなり、等級認定が通らない場合もあります。
後遺障害認定を目指すには、少なくとも6か月程度の治療期間が一般的な目安とされているため、医師の指示のもと根気よく治療を継続しましょう。
▲後遺障害認定の条件5つ
関連記事むちうちで後遺障害認定を受けられる確率は?認定率を高める対策も解説
むちうちで起き上がれない時はすぐに受診を
むちうちは軽いケガと思われがちですが、首や神経へのダメージが深刻な場合、起き上がれないほどの痛みやしびれを引き起こすこともあります。
むちうちの症状が出た場合には無理をせず、できるだけ早く整形外科などの医療機関を受診することが重要です。
医師の診察を受けることで、症状の原因や程度を客観的に把握し、必要な治療につなげることができます。また、寝具の調整や生活動作の工夫によって、日常生活での痛みや負担を軽減することも可能です。
症状が悪化したり後遺症が残ったりすることを防ぐためにも、早めに対応して適切な処置を受けるようにしましょう。
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〈参考文献〉
日本運動器疼痛学会他「慢性疼痛治療ガイドライン」:https://www.mhlw.go.jp/content/000350363.pdf?utm_source=chatgpt.com
日本整形外科学会「外傷性頚部症候群」:https://www.joa.or.jp/public/sick/condition/whiplash_injury.html?utm_source=chatgpt.com
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この記事を監修したのは…
国家資格である理学療法士として、約10年間整形外科クリニックで一般の患者様からスポーツ選手の身体のケアに携わり、その後理学療法士の養成校の教員として身体の仕組み、治療技術などについて学生に講義を行っています。早稲田大学大学院スポーツ科学研究科にて修士取得。
この記事の執筆者
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