交通事故で入院が必要な症状とは?治療内容や体験談も紹介
監修記事
オオクマ サキコ
看護師
交通事故で思わぬ症状を発症し、入院を必要する場合はどのようなケースがあるのでしょうか。
この記事では、入院が必要となる交通事故による症状をはじめ、治療内容や入院の流れ、退院後の通院先についてご紹介します。また実際に交通事故で入院した方の体験談や入院した場合に請求できる損害賠償などについてもまとめました。
交通事故の症状での入院について不安のある方はぜひ参考にしてください。
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目次
交通事故で入院が必要になる症状とは?
交通事故により起きる症状は、擦り傷を負う程度で軽く済むケースもありますが、頭部外傷、脊椎損傷や内臓損傷など重症になることもあります。骨折や脱臼も、発症した部位や状態によっては入院が必要になることも少なくありません。
ここでは交通事故により起きる症状の中でも、入院が必要になる症状についてご紹介します。
頭部外傷
頭部外傷とは、外から力が頭に加わることで頭の皮膚、頭蓋骨と脳が損傷を起こすことを言います。なかでも、頭蓋骨と脳の損傷は重症なことが多く、入院が必要となる可能性が高いでしょう。受傷直後は元気であっても、急に状態が悪化することもあるため、注意が必要です。
- 頭蓋骨の骨折:頭の内側にめり込んでしまう(陥没骨折)など複雑な骨折は手術が必要な場合もあります。
- 脳の損傷:交通事故による外からの力で、脳が崩れてしまうことがあり、これを脳挫傷と言います。脳内で出血を起こし、脳を圧迫し運動麻痺や、意識状態が悪くなるといった症状が出現します。
脊椎損傷
脊椎が脱臼、骨折をすることで、脊髄が圧迫され、脊椎損傷が起こります。脊椎はいわゆる背骨のことを指し、どこに損傷が起きたかで症状は異なります。
背骨の中でも、頭に近ければ近いほど、重症になります。特に、首の損傷は呼吸が十分にできず人工呼吸器が必要となる場合や、四肢の麻痺、感覚がなくなる、知覚の障害といった症状があり、入院、場合によっては手術が必要になることもあります。
骨折や脱臼
骨折や脱臼は脊椎損傷同様、受傷部位によっては入院を要します。次の骨折はその一例です。
- 大腿骨骨折:足の太ももの骨折で、腫れや強い痛みが生じます。明らかな変形が見られ歩行ができません。
- 骨盤骨折:強い痛みがあり、歩行することができなくなります。
- 肋骨骨折:痛みや腫れ、内出血がみられます。骨折により肺を傷つけ呼吸ができないことがあります。
- 肩関節の脱臼:運動時の強い痛みや腫れがみられます。脱臼の程度によっては、皮膚を持ち上げ、骨が飛び出しているようにまで見えます。
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内臓損傷
事故による衝撃や骨折をした結果、臓器を傷つけてしまうことがあります。肝臓や脾臓といった血液が豊富に流れている臓器があり、損傷を受けることで腹腔内で大量出血を起こし、血圧の低下を招きます。腹痛や呼吸のし辛さが出現します。
受傷初期には症状がなく、時間が経過してから、発熱や腹痛といった症状が徐々にでることもあります。また、肺を損傷した場合は、血液混じりの痰がでることもあります。
重度の打撲や挫傷
交通事故の場合、高エネルギー外傷(強い衝撃)を体が受けることになります。打撲箇所によっても重症度が異なってきますが、頭を打撲した場合は脳挫傷や脳しんとうに繋がるリスクがあり、必要時は経過観察のため入院をすることがあります。
この様な場合、時間が経過してから意識障害が認められることがあります。他にも歩行が困難なほどの打撲をし、強い痛みや、内出血がひどい場合にも入院を勧められることがあります。
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その他
例え軽傷だったとしても、受傷後に脳震盪を起こしていることがあります。脳震盪の発症患者のうち、9割以上は意識を失っていないと言われています。
そのため、救急搬送時に氏名や住所などが言えないといった状況の場合は、経過を見ながら、検査を行うために、入院を要することがあります。脳内で出血を起こしていた場合は、急な意識の低下や、血圧の変動などが見られ、生命の危機状態になるからです。
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交通事故の症状における入院の流れと治療内容
交通事故によって受傷し、症状が発生した場合に、予想される動きを知っておきましょう。
明らかに怪我をしているのが見て分かる時や、一見無傷でも事故の衝撃が強い場合には救急搬送をする必要があります。入院時の初期治療に加え、入院後にはリハビリを行い、社会復帰を目指します。
また退院後もフォローアップを医療機関より受けながら生活をすることがほとんどです。
救急搬送から入院までの流れ
交通事故発生後、119番通報し、救急車が到着します。現場に到着した救急隊員は、傷病者の年齢、性別、既往歴などを確認した上で、現状を含め、搬送先の病院を探します。搬送先の選定については、基本的に救急隊員へ任せて問題はありません。搬送先が決定した段階で、救急車で搬送されます。
搬送後、待機している医師により、すぐに診察が行われます。血圧や熱などの測定、各種検査の実施、点滴が投与され、入院が必要と判断される状況であれば、医師から説明を受け、患者本人や家族同意の上で入院する流れとなります。
入院時の初期治療
今回は、交通事故による大腿骨骨折によって入院する例をご紹介します。大腿骨骨折は多くの場合、手術が必要となります。そのため、手術に必要な画像検査を行っていきます。
骨折は、レントゲンだけでなく、さらに詳細な評価をするためにMRI検査を行います。同時に痛みのコントロールのために、内服や点滴などの薬物療法を行います。入院し、手術は早期に行われます。
リハビリの開始と内容
大腿骨骨折は手術後、1日目からリハビリを行っていきます。リハビリは医師の指示の元に理学療法士が実施していきますが、ベット脇で姿勢を保持できるようにし、車いすへの移乗から歩行へ向けて、ストレッチや筋力強化のリハビリを行います。
リハビリをすすめる段階はベットでの姿勢保持→ベット〜車いすへの移乗→平行棒での歩行練習→歩行器歩行→杖歩行となっています。状態に応じて屋外での歩行練習も行います。
退院後のフォローアップ
リハビリが進み、目標としている状態まで回復したら、医師の指示により退院となります。退院前には、戻る生活の場を想定した、リハビリや生活を整える準備が行われます。
基本的には退院後も、定期的な受診が必要となります。また状態や年齢によって、続けてリハビリのために通院する方も多くいます。他にも、手術後日常生活に戻っていくうえで、生活に困難が生じた場合は、医療機関にいるソーシャルワーカーやリハビリの専門家を通して相談をすることもできます。
関連記事交通事故の入院期間はどのくらい?慰謝料や後遺障害も解説
交通事故の症状に合わせた退院後の通院先
交通事故の症状に合わせた、退院後の通院先は複数あります。ここでは通院先としてよく挙げられる診療科の整形外科、脳神経外科、機能訓練が行える整骨院についてご紹介していきます。入院していた病院への通院が困難な場合は、自宅近くの施設を探し紹介してもらうことも可能です。
整形外科
整形外科への通院の場合、ギプスを使用しているケースではギプスが取れるまで通院が必要となります。治療内容によりますが、定期的に画像検査を行い、治療箇所に異常は起きていないかといった経過を追っていく必要があります。
整形外科では、リハビリも行うことができます。事故による大きなケガの場合、日常生活へ戻るためには、継続したリハビリが必要となります。症状が固定されるまで、治療継続の是非を医師に診断してもらうことが必須です。
脳神経外科
脳神経外科へ通院の場合、定期的な画像検査でのフォローを行っていきます。受傷より新たな異常箇所がないか、術後の経過は問題ないかといった点について診察していきます。
発症した疾患や症状にもよりますが、脳挫傷などの場合、高次機能障害(※)が残ることがあるため、継続したリハビリが必要となります。
※高次機能障害:思考・記憶・行為・言語・注意などの脳機能の一部に障害が起きた状態のことを指す。
整骨院
整骨院では医師の指示に沿ったリハビリは行いませんが、機能回復訓練をおこなうことができます。機能回復訓練とは機能の改善・減退防止を目的とする訓練のことを指します。マット上でのストレッチや関節の可動を維持するためのマッサージなどがあります。
また、交通事故被害者の場合は、整骨院も病院と同様に自賠責保険の対象となるので自己負担なく通えることも安心できる点です。整骨院は、病院と比較し、営業時間が長く、予約制の施設であれば、待ち時間も短いので通院しやすいのもメリットでしょう。
関連記事整骨院と整形外科の違いは?どっちがいいか症状やケースにあわせて解説!
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交通事故の症状で入院した方の体験談
実際に交通事故による症状で入院をした方の体験談を2つご紹介します。具体的な体験談をぜひ参考にしてください。
約3ヶ月後に骨折が分かり入院・手術をした大島ゆまさん
バイクで走行中に通行禁止車線を跨いで侵入してきた車と衝突する事故にあってしまった大島ゆまさん(20代・看護師)のお話を紹介します。
事故当初は骨折はないという診断でしたが、なかなか痛みが取れず、もう一度整形外科で検査をしたところ、実は骨折していたことが分かり手術することになったそうです。
手首を骨折しており、その手術のために4日ほど入院し、治療をすることになりました。退院後も整形外科への通院を継続し、治療をされたそうです。
こちらの事例の詳細は下記からご覧いただけます。
体のしびれや骨折などがあり事故後に3日間入院したダイスケさん
自転車に乗っていて、交差点で左側から自動車に跳ねられる事故にあってしまったダイスケさん(40代・会社員)のお話を紹介します。
事故後の症状は体のしびれがひどく、骨折や打撲、首や肩などの痛みもあったそうです。
事故当初に入院をしていましたが、お盆前に実家へ帰りたかったこともあり、ご自身の希望で予定よりも早い3日間で退院をすることにしたそうです。
しかし、入院期間についてお話を伺ったところ「第一に、治療優先です。入院した場合は、早めに退院せず最後まで居ることですね。」とお話しされていました。
退院後は整形外科に月1回、 脳神経外科に月1回通院を継続されていて、整骨院にも併用して通院しているそうです。
こちらの事例の詳細は下記からご覧いただけます。
交通事故の症状で入院したら請求できる損害賠償
交通事故による症状で入院した場合、請求できる損害賠償は次の3種類あります。
- 入院に関する費用
- 休業損害
- 入院慰謝料
入院から退院、そして日常に戻るまでは、数か月単位と長期に渡ることも珍しくありません。経済面での心配をすることがなく、治療へ集中できるようにするためにも、確認しておきましょう。
入院に関する費用
入院に関しては以下の費用が必要となってきます。請求できるのは、損害として必要かつ相当として認められる範囲の額になり、全てを請求できるわけではありません。
- 入院費用:病院の診断書や診療報酬明細書等の中で、必要かつ相当な範囲の額
- 個室の使用:医師の指示により必要であった場合または、重篤な場合などが該当
- 入院雑費:入院中に必要な日用品(衣類、おむつ等)、栄養補給費、通信費、新聞雑誌代、家族通院交通費等が該当
- 付属看護費:入通院に家族等が付き添った場合
- 交通費:入通院に被害者が要した交通費が該当する。基本は公共交通機関
- その他:器具・装具・義肢の費用や、葬儀費用など必要相当範囲とされる物
休業損害
交通事故によるケガで治療を要する場合、仕事をすることができなくなることがあります。しかし、仕事を休むとなると収入を得られません。休業障害は、交通事故のケガによる収入減少を補償するためにあるものです。
休業損害は、1日の収入×休業日数分を、加害者側に請求することができます。給与所得者、事業所得者、アルバイトをする学生、主婦(主夫)で請求できる額は異なりますが、無職の方以外は基本的に対象となります。
入通院慰謝料
交通事故による思わぬ入院に対して、被害者の精神的苦痛を補償するものが入院慰謝料です。慰謝料の額は、入院期間(入院日数)に準じて算出します。入院慰謝料は入院期間のみでの算出ですが、多くの被害者は、退院後も継続した通院を必要とするのが、一般的です。
そのため、入院と一緒に通院も合わせて請求する「入通院慰謝料」を請求することができます。重症で治療に1か月〜半年の期間を必要としたのであれば、相場は28万円〜116万円程度になります。
弁護士監修交通事故で通院したら慰謝料はいくらもらえる?計算方法も解説
交通事故で入院が必要な症状まとめ
交通事故で入院を要する症状としては頭部外傷、脊椎損傷や内臓損傷等が挙げられます。例え無傷であったとしても、経過を見るために入院を医師が判断するケースもあり、大丈夫だろうと素人判断をしてはいけません。
交通事故による入院は長期に渡ることもあり、退院後も医療機関や整骨院に通院するといったフォローを必要とします。経済的な不安を抱えず治療に専念するためにも、加害者に請求できる損害賠償について把握し、入院や通院に対応していきましょう。
参考
1)慶應義塾大学院 医療・健康情報サイト:頭部外傷とは
2)一般社団法人日本骨折治療学会:肩鎖関節脱臼
3)一般社団法人日本骨折治療学会:大腿骨遠位部骨折
4)公益社団法人日本整形外科学会:整形外科に関するよくあるご質問
5)東京都福祉局ハートシティ東京:高次脳機能障害
6)全国柔整鍼灸協同組合:接骨院内で「リハビリ」はできるの?
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この記事を監修したのは…
看護学校卒業後、総合病院にて外科病棟、救急病棟、外来等、急性期看護を経験。結婚・出産を経て、看護師として臨床以外でスキルを磨けるライターに魅力を感じ、活動を開始。現在、医療福祉系の記事を中心に執筆中。
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