車をぶつけられたらラッキー?その理由と残された後遺症・等級低下のリスクを解説
監修記事
鍋谷 萌子
ビジネス実務法務検定3級
「車をぶつけられたら、逆にラッキーだと考えよう!」とする意見を、耳にしたことがある人もいるかもしれません。
もちろん実際にはこのようなことはないのですが、そう言われることにはきちんとした理由もあります。
それが、「交通事故の被害者となった場合は、加害者側からお金が支払われるから」です。
ここではこの「交通事故の被害者となったときに支払われるお金」に焦点を当てて解説していきます。
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目次
車をぶつけられたらラッキーと言われる理由とは
「車にぶつけられたら逆にラッキーだ」と言われることがあります。しかし実際には交通事故の被害者になった場合はデメリットの方が大きいため、このようなことはありません。
ではなぜこんな誤解が生まれるのでしょうか。
多額の賠償金が支払われるイメージから
「交通事故の被害者の立場になったらラッキーだ、多額の賠償金が払われるから」との意見を聞いたことがある人も少なくないでしょう。
交通事故の被害者となった場合、
- 治療費
- 精神的苦痛に対する慰謝料
- 後遺障害が残った場合はそれに対する慰謝料
などが支払われます。
ただし交通事故の被害者となり怪我をしたのであれば、当然それ相応の痛みや苦痛があります。また場合によっては今後の人生を左右する大きな後遺症に悩まされる可能性も高いといえます。
また、診断書を取得し、警察に提出するといった手間もあります。
任意加入の保険会社から補償されるイメージから
「被害者となったら、相手の加入している保険会社からもお金がもらえる」と考える人もいるでしょう。
交通事故の加害者が任意保険に加入していなかった場合は?
たしかに、「被害者側に落ち度なし」と判定された場合は、加害者側が支払いを受け持つことになります。
「交通事故の加害者が任意保険に加入していなかった場合」は状況が変わります。この場合は加害者が自らの責任において被害者に賠償金を支払っていかなければならなくなりますが、加害者に支払い能力がないと判断された場合は、被害者が自分(の加入している任意保険)で治療費などを賄わなければなりません。
また、過失割合と損害の状況によっては、被害者であるにも関わらず、「払う側」になることもあります。(※後述します)
車をぶつけられたときは何を請求できるのか
いままで述べた通り「車にぶつけられたらラッキーだ」とはとても言えないことが分かります。ただ、受けた損害を少しでもカバーするための手段としては、加害者側の支払う損害賠償金は手助けになるでしょう。
請求できる慰謝料3つ
交通事故で、加害者に対して請求できる慰謝料は以下の3つです。
- 入通院慰謝料
- 後遺障害慰謝料
- 死亡慰謝料
なお交通事故の賠償金の算定基準は、下記のいずれかによって決められます。
- 自賠責基準
- 任意保険基準
- 弁護士基準
自賠責基準による補償が最も少額となり、弁護士基準による算定が他の基準よりも高額になる場合が多いです。
入通院による精神的苦痛に対しては入通院慰謝料
入通院をした場合、それによる精神的苦痛に対しての慰謝料が支払われることになります。
自賠責基準による入通院慰謝料は、「入院した期間」と「通院した期間」を突合して求められます。なお、「通院期間が5か月で、入院期間は0日だった」場合よりも、「通院期間は0日で、入院期間が6か月だった」場合の方が、総額は多くなります。
後遺障害に対しては後遺障害慰謝料
後遺症が残り、後遺障害と認められた場合は、認定された後遺障害の等級に応じて慰謝料が支払われます。
たとえば1級(四肢不全麻痺など)の場合は、自賠責保険基準で1,600万円ほど、弁護士基準で2,800万円ほどが支払われます。(※個々の事例も考慮されるため、金額には差が見られます)
なお、交通事故の後遺症としてよく知られるむちうちの場合は、12級~14級の後遺障害の中では軽い級で認定されます。
自賠責基準で32万円~94万円程度、弁護士基準で110万円~290万円程度が支払われます。
関連記事むちうちが後遺症に?首の痛みを残さないためにできる事とは
被害者のうち死亡者がいれば死亡慰謝料
被害者が亡くなってしまった場合は、その亡くなった本人の受けた苦痛や残された家族が味わう苦痛を補償するための慰謝料を、家族が加害者側に対して請求することができます。
自賠責保険基準の場合は亡くなった本人に対して400万円、残された家族に対しては550万円+遺族数に応じた加算金が支払われます。
なお弁護士基準の場合は、「死亡した人が一家の大黒柱であったか否か」などによって支払われる金額が変わってきます。
ぶつけられた車に対する損害賠償金や保険
「車同士の事故で被害者となり、車が壊れてしまった」といった場合は、この「壊れてしまった車」に対しての補償を求めることができます。また、自転車やオートバイなども補償の対象となります。
加害者に何割過失があるかで修理代をいくら請求できるか変わる
被害者にまったく非がなく加害者側のみに非がある場合は、加害者が修理代金を全額支払うことになります。
しかし、交通事故では「相手の方の過失が大きいが、被害者側である自分の方にも過失があった」ケースもよくあります。
この場合は、加害者側の過失と被害者側の過失を比べて過失割合を求め、それに応じて補修費用の負担額を決めていきます。
任意保険に加入している場合には補償を受けられる
「加害者側からの補償が十分ではない」「被害者側にもかなり過失がある」場合は、被害者自身の任意保険を使うことも考えるべきでしょう。
被害者側の任意保険は数多くありますが、代表的なものを表で解説します。
名称 | 対象者 |
---|---|
人身傷害補償保険 | 被保険者 |
搭乗者傷害保険 | 被害者本人及び同乗者 |
車両保険 | 被害者の車 |
補足
交通事故の相手が無保険車だったら?
交通事故の加害者が無保険車だった場合のための、無保険車傷害保険があります。保険未加入の車が加害者となった場合で、かつ被保険者が死亡あるいは後遺症が残った場合、被害者が利用できます。
関連記事交通事故で起こりやすい怪我とは|治療先や慰謝料も解説!
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車ぶつけられた場合にラッキーとは言い切れないケース
交通事故において「車にぶつけられたからラッキー」という考えは成り立ちません。
その理由について、もう少し詳しくお話していきましょう。
後遺症と付き合っていかなくてはならない場合
交通事故はしばしば、不可逆の後遺症を被害者にもたらします。
むちうちといった身近な後遺症はもちろん、植物状態になったり、両目が見えなくなったりといった非常に重大な後遺症が出る可能性があります。
そしてこの後遺症は、被害者本人の人生設計はもちろん、その周囲の人間の人生設計まで狂わせてしまいかねません。また、これに伴う精神的苦痛も非常に大きいです。
車両保険の請求によって等級が下がってしまう場合
交通事故の被害者となった際、場合により被害者自身の任意保険を利用することも可能です。
この任意保険による補償は非常にありがたいですが、車両保険を使ってしまうと、等級がダウンして翌年の保険料が高くなる可能性があります。
非常に重要なのは、「たとえ自分が被害者となった場合であっても、車両保険を使うと等級は下がる」点です。被害者となりその被害を補填するために車両保険を使ったのに、翌年からは保険料が増えてしまうことが起こるのです。
相手の車が高級車でかえって損な場合
過失割合において、加害者10:被害者0となった場合は、被害者側は加害者側に対してお金を払う必要はありません。
しかし、加害者6:被害者4の過失割合であり、かつ加害者側が大変な高級車に乗っていて、被害者側の車が一般的な大衆車であった場合などは状況が異なります。
交通事故においては、「過失割合に応じて、相手の車が受けた損害を賠償しなければならない」という考えがあります。そのため、このようなケースでは、「被害者であるにも関わらず、加害者側に対してお金を支払わなければならない状況」になってしまうのです。
まとめ
交通事故では、「車をぶつけられたからラッキー」ということはありません。
交通事故の被害者となった場合、様々な手続きや対応が発生します。また、生涯残る後遺症を負ってしまうこともあります。
そのことを踏まえたうえで、被害者となった場合を想定し、正しい知識を身につけておくのが望ましいといえるでしょう。
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この記事を監修したのは…
交通事故関係、弁護士事務所・クリニック等でのコラム執筆を数多く経験。確かな情報収集力を元に、常に正しく信頼のおける情報を「誰であっても理解できるかたちで」わかりやすく丁寧に解説していきます。
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