交通事故によるむちうちで自律神経失調症に…症状や治療、後遺障害認定を解説
監修記事
オオクマ サキコ
看護師
交通事故が原因で自律神経失調症が発症することは、珍しいケースではありません。むちうちなどが原因となり自律神経失調症になってしまうことがあります。
今回は、交通事故による自律神経失調症の原因や症状、治療は何科に行けばよいのか、後遺障害等級認定について詳しく解説します。交通事故にあってから何となく体調が悪い、気分が落ち着かないなど自律神経失調症の疑いがある方は、ぜひ参考にしてください。
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目次
交通事故で自律神経失調症になる原因
交通事故により、神経が損傷を受けたり、圧迫されてしまうことで自律神経失調症になってしまうことがあります。
人間の体を働かせたり、休ませたりと、健康な状態であれば自律神経で体を上手くコントロールすることができます。しかし、むちうちといった症状が引き金となって、自律神経が乱れ、心身の不調をきたすことがあります。
むちうち(バレリュー症候群)
交通事故によるむちうち(頚椎捻挫・外傷性頚部症候群)は、自動車の衝突や追突などの衝撃を受け、首が鞭のようにしなる動きを強いられることがきっかけで発症します。
むちうちは、首や体の痛みに加え、様々な不調を引き起こします。不調の1つとして、自律神経失調症が現れるケースも少なくありません。
むちうちが引き金となり発症すると考えられている自律神経失調症状を「バレリュー症候群」といいます。むちうちにより交感神経が圧迫・損傷されることにより、交感神経に支障をきたすことで症状が現れます。
関連記事バレリュー症候群とは?症状や通院先、後遺障害の認定などを解説
交通事故によるストレス
交通事故そのものによるストレスが原因で自律神経失調症になることもあります。交通事故による怪我で、生活に支障がでたり、むちうち等怪我による痛みなどは誰しもストレスに感じるでしょう。ストレスそのものが、健康維持するための神経のバランスを崩す原因になり得ます。
身体の症状が増悪している場合は、精神面のバランスも崩していないか様子を見ましょう。
自律神経失調症の症状
自律神経は、「交感神経」と「副交感神経」の2つに分かれています。
交感神経は、日中に活動している時や緊張している時に働き、副交感神経は、睡眠時やリラックスしている時に働きます。自律神経失調症は、交感神経と副交感神経のどちらかの働きが過敏になることで、体調不良を引き起こします。
症状の種類は身体的なものから精神的なものまで幅広く、様々な症状が同時に起こるケースが多いです。
身体症状
- めまい
- 頭痛
- 動悸
- 手足のしびれ
- 不眠
- 倦怠感
など
上記のような症状があっても、身体に器質的な異常が発見されない場合には、自律神経失調症が疑われます。身体症状は、症状出現の仕方やその時期も人それぞれです。
同時に複数の症状が起きることもありますから、症状の経過についてそれぞれ発症した時期も確認しておくと医師に症状を相談しやすくなります。
関連記事むちうちはどんな症状?治療方法や完治までにかかる時間について解説
精神症状
- 不安感
- 気分が落ち込んでいる
- やる気が低下する
- 感情の起伏が激しい、不安定
- 焦燥感
など
精神的な症状により、うつ病と誤診されて治療が遅れてしまうケースもあります。交通事故後に上記のような症状があらわれた場合は、むちうちによる自律神経失調症の可能性も考えた方がよいでしょう。
関連記事交通事故後の精神不安定状態への対処|うつ病やPTSDで後遺障害等級認定は?
交通事故による自律神経失調症はいつ発症する?
交通事故による自律神経失調症は、受傷より2〜4週間ほどで出現することが多いようです。また長期的に症状が続くこともあり、受傷から3か月〜半年経過しても治らなければ、やはり自律神経症状を疑う必要があります。
交通事故による自律神経失調症の治療は何科?
自律神経失調症の治療といっても、原因が交通事故の場合は「通院には何科を受診すべきなの?」と迷うかもしれません。基本的には、整形外科に通院することをおすすめします。
しかし、長期的に改善が見られない場合は、神経系の症状を専門とする脳神経外科の受診も視野にいれるのもよいでしょう。精神症状が強いと思われる場合は、心療内科への受診も検討しましょう。また、病院と併用して整骨院に通う選択肢もあります。
ここではそれぞれの診療科の内容や特徴についてご紹介します。
整形外科
交通事故によるむちうちや骨折などの場合は整形外科です。骨や関節などの骨格系と筋肉や神経などをまとめて「運動器」と呼び、この運動器を治療します。
レントゲンやCT、MRIなどの画像検査を受け、診断を行った上で手術などの外科的治療、薬や湿布の処方、筋力維持向上のためのリハビリ治療を行います。
脳神経外科
自律神経失調症について神経症状が強い場合は、脳神経外科を受診します。頭痛、手足のしびれやたちくらみなど、神経のバランスが崩れることによって出現する症状です。複数の自立神経症状が出現するのも特徴です。
脳神経外科では、CTやMRIなどの画像検査によって、脳に気質的な外傷が起きていないか詳しく調べ、処方による薬物療法などを行っていきます。
心療内科
自律神経失調症の症状の中には、落ち込みやイライラ、不安、不眠などといった心因性の症状が出現することもあります。交通事故によるストレスから、精神的な症状が発生することは珍しくありません。
心療内科は、精神症状が起きている場合に受診を検討します。落ち込みなどの辛い症状を、薬などで治療する薬物療法や、カウンセリングのような心理療法を行います。身体症状の治療とあわせて、心療内科を一緒に受診するケースもあります。
整骨院
整骨院では直接手で身体に触れる手技療法や冷あん法・温あん法、マッサージといった物理療法などを行います。
整骨院は病院と異なり、待ち時間が短いことや営業時間が長いといった特徴があるため、通院する側の視点で考えると、継続して施術を受けるためにも利用しやすいことはメリットと言えます。
自律神経の症状に、薬以外の方法で症状改善を試したいとお考えの方にもおすすめです。
関連記事整骨院と整形外科の違いは?どっちがいいか症状やケースにあわせて解説!
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交通事故による自律神経失調症の後遺障害等級認定
交通事故による自律神経失調症の後遺症が残った場合、後遺障害等級認定を受けるには、症状を医学的に証明・説明すること、交通事故が原因であらわれた症状であるという因果関係を証明・説明することが必要とされます。
実際に後遺障害認定を受けることは難しい
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自律神経失調症の場合、後遺障害等級認定を受けることは難しいといわれています。
理由としては、以下の通りです。
- 自律神経失調症と診断されにくい
レントゲンやMRIなどの画像検査からは症状を確認できず、自覚症状がなければ診断することが難しいからです。 - 交通事故との因果関係がわかりにくい
自律神経失調症の原因はむちうちだけでなく、ストレスや女性ホルモンの乱れから生じる場合もあり、交通事故が原因であると証明することが難しいからです。 - 治療期間が短い
症状が現れたり、治ったりする場合、断続的に通院すると治療期間が短いとみなされて認定を受けられない場合があります。
後遺障害等級認定のポイント
交通事故による自律神経失調症で後遺障害等級認定を受けるために、以下のようなポイントを押さえておくと認定される可能性が高まります。
- 交通事故の治療に長けている病院へ通院する
- 事故の直後から治療を開始して、長期間(半年以上ほど)通院を継続する
- 医師にしっかり症状を伝えて、記録を残してもらう
- 必要な検査や適切な治療を受ける
- 弁護士に相談する
交通事故後に自律神経失調症の症状があらわれた場合、まずは医師から自律神経失調症の診断を受けることが大切です。症状を医学的に証明するには、医師による診断を受ける必要があります。
また、弁護士に相談することで、資料の作成や入手、示談交渉などをスムーズに進めることができる場合があります。後遺障害等級認定の申請に必要な書類をしっかりと準備できれば、認定を受けられる可能性も高まります。
自律神経失調症では後遺障害等級認定が受けられないと、あきらめる必要はありません。
関連記事むちうちで後遺障害認定を受けられる確率は?認定率を高める対策も解説
交通事故による自律神経失調症で受けられる後遺障害等級
交通事故によるむちうちが原因となる自律神経失調症の場合、認定を受けられる可能性がある後遺障害等級は12級13号または14級9号といわれています。
12級13号と14級9号の認定を受けるための条件としては、以下のような違いがあります。
- 12級13号
局部に頑固な神経症状を残すもの - 14級9号
局部に神経症状を残すもの
具体的にどのような状態で認定を受けることができるのか、それぞれ項目別に解説していきます。
12級13号
レントゲンやMRIなどの画像検査結果や神経学的検査から、他覚的所見が認められる症状が当てはまります。
14級9号
他覚的所見が認められず、自覚症状の訴えのみである場合は、14級9号の認定を受ける場合があります。認定を受けるためには、症状固定とされるまで一貫して持続している症状があるか、症状に対して継続的な治療が行われていたかで判断されます。
したがって、交通事故後にあったらすぐに病院へ行き、その後も定期的なに通院を続ける必要があります。
関連記事交通事故の後遺症で認定される後遺障害等級14級とは?慰謝料の基礎知識について解説!
非該当になる可能性も
以下のような要素が当てはまっている方の場合、非該当とされる可能性が高まります。
- 他覚的所見が認められず、症状を医学的に説明できない場合。
- 治療期間が短く、改善の見込みがない症状とは言えないと判断された場合。
- 通院を長期間中断していて、後遺障害として認定するべき症状ではないと判断された場合。
関連記事交通事故の後遺症の種類とは?症状や後遺障害認定を受ける方法を解説
交通事故による自律神経失調症のまとめ
交通事故後、むちうちやストレスなどが原因で自律神経失調症になることがあります。症状や状況に応じて通院を継続し、治療ができると良いでしょう。
治療を続けても後遺症が残った場合、後遺障害等級認定を受けることは困難であるといえます。対策として、交通事故の治療に詳しい病院を選んで通院を継続したり、自覚症状を医師に伝え、適切な後遺障害診断書を作成してもらうこと、示談を弁護士に依頼するといったことが挙げられます。
なるべく後遺症が残らないように、病院への通院でなかなか症状が良くならない場合は整骨院への通院も検討してみると良いでしょう。
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この記事を監修したのは…
看護学校卒業後、総合病院にて外科病棟、救急病棟、外来等、急性期看護を経験。結婚・出産を経て、看護師として臨床以外でスキルを磨けるライターに魅力を感じ、活動を開始。現在、医療福祉系の記事を中心に執筆中。
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