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尾てい骨のヒビが痛くてつらい!原因と対処法を徹底解説

監修記事

世良 泰

医師(整形外科他)

交通事故などで強い衝撃が背骨の一番下にある尾てい骨に加わるとヒビが入ることがあります。尾てい骨にヒビが入ると座るだけで尾てい骨に圧が加わり痛みが持続します。

また、尾てい骨の症状は長期化することが多く放置することで日常生活に支障をきたす可能性があります。そのため、適切な診断と治療が必要となります。そこで今回は尾てい骨のヒビの症状や治療法について解説します。

尾てい骨のヒビは交通事故の衝撃で起きる

尾てい骨は背骨の一番下に位置する小さな三角形の骨で交通事故などの強い衝撃で骨折やヒビが入ってしまう場合があります。

尾てい骨:背骨の一番下の三角形の骨(図解)

▲尾てい骨とは?

尾てい骨は座ると圧迫され痛みが強く出るため日常生活に大きく影響します。

小さな骨のため、レントゲン検査だけでははっきりと骨折やヒビの有無が分からないこともあり、正確に診断するためにはCT検査をする必要があります。

CT検査ではあらゆる方向からの断面を見ることが可能であり、3Dにより立体的に見ることができます。しかし、交通事故の状況や尾てい骨周囲の強い痛みなどからレントゲン検査のみで尾てい骨の骨折やヒビと診断されることもあります。

交通事故後に行われるレントゲン検査とCT・MRI検査の違い

▲交通事故後に行われるレントゲン検査とCT・MRI検査の違い

尾てい骨のヒビは勝手に放置しない

尾てい骨は小さな三角形の骨で他の骨に比べて強度が低く、また周囲に筋肉や脂肪がないため衝撃がそのまま直接加わります。尾てい骨は座ると圧迫されるため座るたびに刺激が入り痛みなどの症状が長期化することがあります。

また、尾てい骨には消化器官や膀胱などの臓器を支配する自律神経のうちの副交感神経がある部位であり、周囲の神経が圧迫されることで内臓機能の障害を引き起こす可能性があります。

さらに坐骨神経痛や腰痛などの後遺症も現れる可能性があるため、放置せずにしっかりと医療機関を受診し適切な診断と治療を受けることが重要です。

関連記事交通事故の後遺症で認定される後遺障害等級14級とは?慰謝料の基礎知識について解説!

尾てい骨のヒビと骨折の違い

尾てい骨に強い衝撃が加わったとき、骨折している場合とヒビが入っている場合があります。尾てい骨の骨折は骨が完全に折れる状態を指します。

強い痛みや腫れ、圧痛、動かすことへの制限、座位時の強い不快感が見られます。 尾てい骨のヒビとは尾てい骨の不全骨折(ずれていない骨折)のことを指します。

骨にひびが入った時の症状例

▲骨にひびが入った時の症状例

軽度から中等度の痛み、圧痛、座位時の不快感などが見られます。尾骨周囲の痛みや圧痛、座位時の不快感などがある場合には尾てい骨の骨折やヒビが疑われます。

骨折もヒビもどちらも日常生活に大きく影響を及ぼします。診断には医師による症状の評価とレントゲン検査やCT検査などの画像検査によって行われます。

尾てい骨を強打した際の対処法

尾てい骨を強打した場合、骨折やヒビが入る可能性があります。

尾てい骨は腕や足など他の部位の骨折と異なり、ギプスで固定することはできないため安静を保持することが難しくなり痛みが長引いてしまう可能性があります。そのため、迅速な応急処置が重要です。

基本は安静

尾てい骨への負担がかかり続けることで回復が遅くなり症状が長期化する可能性があります。そのため、まずは安静のために活動を制限し尾てい骨にかかる負荷を軽減することが重要です。

尾てい骨は椅子に座っているだけでも圧迫を受け負担が加わります。そのため、硬すぎる椅子に座らないようにしたり、尾てい骨に極力あたらないように姿勢を正して坐骨で座るようにしたりします。

坐骨(図解)

▲坐骨とは?

また、穴の空いたドーナツ型の特別なクッションを使用するなどして負担を軽減させる必要があります。

アイシングを行う

尾てい骨を強打した場合、氷水でアイシングを行います。受傷直後は炎症を起こすため、痛みや熱感、腫れ、発赤などの兆候が見られます。

この炎症の症状を最小限に止めるためにアイシングを行います。1度に冷やす時間は15〜20分程度を目安に間隔を1〜2時間あけ、24〜72時間継続することが望ましいとされています。

POINT

冷やし過ぎると凍傷の危険

長時間冷やし過ぎると凍傷の危険があるため20分以上持続的に冷やさないようにしましょう。

湿布を貼る

病院を受診すると湿布が処方されることが多いです。湿布には痛みを抑えたり炎症を抑えたりする有効成分が含まれており、貼ることで皮膚からその有効成分が吸収され痛みの緩和に効果的です。

また、サリチル酸メチルやメントール、ハッカ油などの冷感成分が配合されているものもあります。しかし、湿布を貼るだけでは損傷した組織の十分な回復にはなりません。あくまでも応急処置の1つとして考えましょう。

姿勢を改善する

尾てい骨への負担を減らすために姿勢を改善して正しい姿勢を心がける必要があります。猫背のような肩が内側に入り、背中が丸まった姿勢のままで椅子などに座ると尾てい骨に荷重がかかりやすくなります。

坐骨を立てて座る=姿勢を正しくする

▲坐骨を立てて座る

椅子に深く座り、姿勢を正して背筋を伸ばすことで尾てい骨ではなく左右両方の坐骨で体重を受けることが重要です。また、クッション性の高い座面の椅子を使用したり、尾てい骨が座面にあたらないように穴の空いたクッションを使用したりすることもおすすめです。

尾てい骨のヒビは整形外科を受診

交通事故後の整形外科受診は①検査(レントゲン・MRI)②診断書の発行③痛み止めや湿布の処方等ができる

▲交通事故後の整形外科受診

交通事故などにより尾てい骨を強打し、痛みが強い場合にはまず整形外科を受診しましょう。尾てい骨は小さく他の骨に比べて強度が弱いため、骨折やヒビが入ってしまう可能性があります。

そのため、整形外科でレントゲン検査やCT検査、医師の適切な診断を受ける必要があります。交通事故は身体へ想像以上の強い衝撃が加わるため重篤な疾患がないかどうか確認することが重要です。

また、交通事故の被害者の場合、慰謝料損害賠償の請求など通常の怪我と異なる手続きが必要となります。その際に交通事故と症状の因果関係を証明する医師の診断書が必要となります。

受傷直後から整形外科を受診しておくことで手続きがスムーズに進めることができます。

整骨院は整形外科後に通う

整形外科を受診後、整骨院での施術を受けることも可能です。交通事故など強い衝撃が身体へ加わると患部だけでなく全身に影響を及ぼす可能性があります。

整骨院では尾てい骨の患部以外にも全身のバランスや筋肉へのアプローチなど交通事故専門に受け入れているところもあります。また、施術には長期間かかる可能性があります。

交通事故治療で整骨院に通うメリット(営業時間が長い・土日祝日も通える・予約可能)

▲交通事故治療で整骨院に通うメリット

整骨院では遅い時間まで施術を受けられたり、休日にも受けられたりするなど、ご自身のライフワークにあわせて継続しやすいところを選びましょう。整骨院へ通う場合にはその旨を整形外科の医師に伝え許可をもらうことでスムーズに整骨院へ通えます。

尾てい骨のヒビは後遺障害認定を受けられるか

尾てい骨のヒビが完治したとしても症状が残存している場合には後遺障害として認定される可能性があります。

後遺障害とは?(後遺症と後遺障害の違い)

▲後遺障害とは?(後遺症と後遺障害の違い)

交通事故により生じた痛みやしびれなどの神経症状が治療したにも関わらず残ってしまったことをレントゲン検査やCT検査、MRI検査などによって医学的に証明や説明できれば認定される可能性があります。

後遺障害を適切に認定してもらうには継続的に整形外科を受診していることが必要となります。後遺障害として認定されるにはこれ以上治療をしても症状が改善されないという症状固定をする必要があり、これは整形外科の医師が判断します。

症状固定とは:治療を続けても症状の緩和が見られない状況の事

▲症状固定とは?

また、交通事故に遭ってから期間を空けずにレントゲン検査やCT検査などの画像を撮影していることも重要であり、交通事故と症状の因果関係を証明しておく必要があります。

そして、医師による後遺障害診断書を書いてもらうことが必要となります。

後遺障害診断書とは?

▲後遺障害診断書とは?

関連記事交通事故で症状固定と言われたら?後遺障害も解説<弁護士監修>

交通事故で尾てい骨を痛めたらすぐ受診

今回は尾てい骨のヒビの症状や治療法について解説してきました。尾てい骨は小さな骨で骨折やヒビが入りやすく、座位時の不快感や副交感神経を介した内臓への障害など日常生活への影響が大きいです。

また、後遺症として様々な影響を及ぼす可能性があります。そのため、交通事故により尾てい骨を痛めた場合にはすぐに医療機関を受診して適切な診断と治療を受けることが重要です。

この記事を監修したのは…

慶應義塾大学医学部卒。初期研修後、市中病院にて内科、整形外科の診療や地域の運動療法指導などを行う。スポーツ医学の臨床、教育、研究を行いながら、プロスポーツや高校大学、社会人チームのチームドクターおよび競技団体の医事委員として活動。運動やスポーツ医学を通じて、老若男女多くの人々が健康で豊かな生活が送れるように、診療だけでなくスポーツ医学に関するコンサルティングや施設の医療体制整備など幅広く活動している。「健康を通じて人々の夢や日常を応援すること」をミッションに2024年6月に池尻大橋せらクリニックを開院。

池尻大橋せらクリニックHP
https://sera-clinic.com/

日本整形外科学会専門医
日本内科学会認定内科医
公衆衛生学修士
International Olympic Committee Diploma in Sports Medicine
日本スポーツ協会公認スポーツドクター
日本医師会認定健康スポーツ医
日本整形外科学会認定スポーツ医
日本障がい者スポーツ協会公認障がい者スポーツ医
Performance Enhancement Specialist (National Academy of Sports Medicine)
Corrective Exercise Specialist (National Academy of Sports Medicine)
日本医師会認定産業医
ロコモアドバイスドクター

TWOLAPSチームドクター(陸上)
LADORĒメディカルアドバイザー
日本陸上連盟医事委員

AuB株式会社 顧問ドクター
株式会社富士急ハイランド 医療顧問
株式会社リハサク メディカルアドバイザー

この記事の執筆者

理学療法士 / 河野 裕也
国家資格である理学療法士として、約10年間整形外科クリニックで一般の患者様からスポーツ選手の身体のケアに携わり、その後理学療法士の養成校の教員として身体の仕組み、治療技術などについて学生に講義を行っています。早稲田大学大学院スポーツ科学研究科にて修士取得。

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