交通事故後の精神不安定で心療内科や精神科のメンタルケアは必要?保険や慰謝料も解説
監修記事

柿野 俊弥
理学療法士
交通事故後、不眠や不安感、フラッシュバックなどの精神的な症状に悩まされていませんか?このような精神不安定な状態が続く場合、メンタルケアのために心療内科や精神科への通院が必要かどうか迷う方も多いでしょう。
この記事を読むことで、交通事故後の精神不安定な状態で心療内科や精神科へ通院すべきかどうか、通院するならどちらの科を選ぶべきか、さらに保険や治療費、慰謝料、後遺障害認定についても知ることができます。
いま辛い症状に悩まされている方は、ぜひ参考にしてください。
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目次
交通事故後に精神不安定なら心療内科や精神科へ通院すべき理由
交通事故後の精神不安定な状態には心療内科や精神科でのメンタルケアが必要です。その理由は以下のとおりです。
- 辛い症状を改善するため
- 後遺症が残る可能性あるため
- 交通事故との因果関係を証明する診断書を書いてもらうため
それぞれの理由について詳しく見ていきましょう。
辛い症状を改善するため
交通事故後、多くの方が強い不安感に悩まされます。夜になると事故の光景がよみがえり、眠れない日々が続くことも珍しくありません。事故の瞬間がフラッシュバックし、日中でも突然恐怖に襲われることもあります。
事故後の精神的な症状が続くと、集中力の低下や疲労感から仕事でミスが増えたり、家事や育児に支障をきたすことがあります。外出が怖くなり、社会生活から遠ざかってしまう方もいます。
心療内科や精神科では、このような辛い症状を和らげるための治療を受けることができます。
後遺症が残る可能性があるため
交通事故による精神状態の不安定さは、一時的なものだと思われがちです。しかし、治療を受けないまま放置すると、症状が慢性化してしまうことがあります。
実際、交通事故の被害者の中には、事故から数ヶ月、場合によっては数年経っても精神的な症状に苦しむ方がいます。うつ病やPTSD(心的外傷後ストレス障害)などの精神疾患が後遺症として残ることも少なくありません。
しかし、早いうちに心療内科や精神科で治療を開始することで、症状の慢性化を防ぎ、後遺症のリスクを減らすことができます。
交通事故との因果関係を証明する診断書を書いてもらうため

▲交通事故治療における診断書の内容と役割
精神的な症状が交通事故によるものであることを証明するには、心療内科や精神科の医師による診断書が不可欠です。診断書は、保険会社への治療費請求や後遺障害認定、損害賠償請求の際に重要な証拠となります。
事故から時間が経過すればするほど、精神症状と事故との因果関係を証明することが難しくなります。症状に気づいたらすぐに受診することが大切です。
また、記録や診断書を残しておくことで、今後必要になる手続きをスムーズに進めることができます。
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交通事故後に精神不安定な場合のメンタルケアは心療内科or精神科?
交通事故後に精神不安定な状態になった場合、実際にどの診療科を受診すべきなのか迷うことも多いかと思います。
受診する科の判断基準は、以下を参考にしてください。
- 症状が軽い場合→「心療内科」
- 症状が重い場合→「精神科」
症状の程度がわからない場合は、近くにある方で問題ありません。心療内科を受診して治療は難しいと言われれば、精神科を紹介してもらうことで解決可能です。
つづいて心療内科と精神科で行う治療内容などを解説します。
症状が軽い場合のメンタルケアは心療内科
基本的に、症状が軽い場合は心療内科を受診しましょう。
心療内科では、精神がきっかけで引き起こされる身体の症状「心身症」が主な治療対象です。例えば、円形脱毛症や胃潰瘍などが挙げられます。
心療内科でもうつ病や不安障害などの精神疾患も診ている病院は多いです。
しかし、入院が必要になるような精神疾患は対応できないところもあるため、軽い精神症状の受診が推奨されます。
行われる治療法は、薬物療法や精神療法が主です。
症状が重い場合は精神科を勧められる
症状が重い場合は、精神科を受診した方がよいです。
精神科は文字通り、うつ病や適応障害、統合失調症などの精神疾患が主な治療対象となっています。
基本的にどの精神科でも、すべての精神疾患に対応しているのが特徴です。
入院が必要な精神疾患でも対応できるので、交通事故の後に症状が重いと感じた場合は、精神科を受診した方がよいと言えます。
治療法は、心療内科と比べて大きな差はないため、治療内容で選択しなくても問題ありません。
交通事故後に精神不安定な場合に考えられる精神疾患
交通事故の体験や継続する身体的な苦痛から、精神が不安定な状態に陥り、精神疾患にかかってしまうケースがあります。
交通事故がどのように精神状態に影響するのか、どのような精神疾患にかかることがあるのかを詳しく見ていきましょう。
ASD(急性ストレス障害)
交通事故の被害者で表情に変化がなく、問いかけに対してきちんと応答できない場合や、あとで自分のとった言動を覚えていない場合があります。心当たりがある方は「急性ストレス障害(ASD)」と呼ばれる精神症状をきたしているかもしれません。
急性ストレス障害は、引き金となる出来事から1ヵ月以内に、強い不安感や特定の記憶の抜け落ちまたはフラッシュバックなどの症状が見られます。これらの症状は、事故を受け入れられないことから生じる身体の防衛反応です。
改善に向けて、ストレス源から遠ざかり周囲に話をして理解してもらうことが大切になります。
うつ病
うつ病になると次のような症状が生じます。
- 何もやる気が起こらない
- 気分が落ち込んだ状態が続く
- 食欲や睡眠欲が落ちる
- 不安や焦りを感じる
- 消えてしまいたいと考えるようになる など
交通事故の後、上記のいずれか1つでも当てはまる場合は、すぐに病院を受診してください。うつ病では常に精神が不安定な状態になり、身体にも影響が現れます。
交通事故や個人で症状の程度に差はありますが、なるべく早く対処しましょう。
PTSD(心的外傷後ストレス障害)
交通事故がきっかけで「PTSD」と呼ばれる精神症状をきたし、数か月経っても社会復帰できないケースがあります。
PTSDの主な症状は次の通りです。
- 交通事故のつらい記憶がフラッシュバックする
- 恐怖体験をした状況や場面を避ける傾向が見られる
- 涙がとまらなくなる
- 楽しめていたことが楽しめなくなる など
このような症状が1ヵ月以上続く場合に、PTSDの診断がつけられます。
PTSDを発症すると精神不安定な状態に陥るため、日常生活や仕事に悪影響を及ぼしてしまいます。PTSDでは、ストレスになる事柄から距離を取り、休息することが大切です。
医療機関への受診に加え、各医療機関や団体が行っている社会復帰プログラムに参加することも検討しましょう。
交通事故後の心療内科や精神科の通院にかかる治療費や慰謝料は?
交通事故後の精神的な症状で心療内科や精神科に通院する場合、治療費の負担で不安を感じる方も多いでしょう。
ここでは、治療費や慰謝料について解説します。
加害者側の自賠責保険や任意保険に請求できる
交通事故による精神不安定な症状で心療内科や精神科に通院した場合、かかる治療費は原則として加害者側の自賠責保険や任意保険に請求できます。
交通事故との因果関係が認められれば、被害者は自己負担なく治療を受けることが可能です。
また、交通事故による通院や入院にともなう精神的苦痛に対しては「入通院慰謝料」が支払われます。治療期間や通院日数に応じて金額が決まります。
加害者が任意保険に加入している場合、保険会社が病院へ直接治療費を支払う「任意一括対応」が一般的です。そのため、被害者は窓口での支払いをすることなく通院できます。
任意一括対応とは?
ただし保険会社による治療費の支払いは、医師に症状固定と判断されるまでの期間に限られます。症状固定後の治療費は、自己負担となるため注意が必要です。
弁護士監修交通事故の治療費は誰が支払う?手続きの流れや打ち切りの打診について解説
交通事故後で精神が不安定な場合は後遺障害として扱われることも
▲後遺障害とは?(後遺症と後遺障害の違い)
交通事故後に精神的に不安定な状態となった場合、後遺障害として扱われることもあります。
しかし、後遺障害として認められるには一定の基準を満たす必要があります。ここでは「満たすべき基準」について詳しく解説します。
後遺障害として認定されるための基準
「後遺障害の等級認定」を申請し、基準を満たすと後遺障害として認められます。
後遺障害の等級は1〜14級に分けられており、いずれかの基準に申請した症状が該当するのかが判断されます。
交通事故後で精神が不安定になった場合、後遺障害等級認定の1〜14級のうち該当する可能性があるのは第9級10号、第12級、第14級です。それぞれに該当する症状については、次項から詳しく見ていきましょう。
第9級10号
就労しているか就労意欲がある場合は、身辺日常生活を除いた、能力に関する判断項目のいずれかひとつの能力が失われているもの。あるいは、能力に関する判断項目のいずれか4つ以上の能力について助言や援助が必要とされる障害が残っている場合。
就労意欲の低下または欠落により就労していない場合は、身辺日常生活について助言や援助が必要とされる程度の障害が残っている場合。
第12級相当
就労しているか就労意欲があるものの就労していない場合は、能力に関する判断項目のいずれか4つ以上について、ときに助言や援助が必要とされる障害を残しているもの。
就労意欲の低下または欠落により就労していない場合は、身辺日常生活について適切またはおおむねできるもの。
第14級相当
通常の仕事に就くことはできるものの、能力に関する判断項目のいずれかひとつ以上について、ときに助言や援助が必要とされる障害を残しているもの。
関連記事交通事故の後遺症で認定される後遺障害等級14級とは?慰謝料の基礎知識について解説!
交通事故後の精神不安定で後遺障害等級の認定を受けるためのポイント
交通事故による後遺症で後遺障害等級の認定を受けるためのポイントは次の3つです。
- 後遺症と交通事故との因果関係を証明する
- 医師による適切な治療を受ける
- 症状固定の時期
それぞれ詳しく見ていきます。
後遺症と交通事故との因果関係を証明する
交通事故とうつ病およびPTSDの因果関係を証明するには、客観的な証拠が必要です。証拠になる要素は大きく3つです。
- 交通事故から病院を受診するまでの期間
- 交通事故の様子や程度
- 事故前のうつ病やPTSDになる原因があったかどうか
極端な例をあげると、既往歴がなく環境的な問題もない人が、衝撃的な交通事故を起こした後すぐに精神科を受診していれば、因果関係を証明する客観的な証拠として有力なものになります。
つまり、交通事故後に精神的に不安定になってしまっている場合は、早めに心療内科または精神科を受診し、後遺障害等級認定を申請する際に、医師や弁護士に協力を仰いでから客観的な証拠を集めるようにしましょう。
心療内科や精神科で適切な治療を受ける
医師による適切な治療を受けたかどうかは、後遺障害等級認定において大切なポイントです。
そもそも後遺障害は、治療を受けていたものの完治に至らず症状が残ってしまった後遺症に対して認定されます。
治療を受けていないにもかかわらず、後遺障害等級認定を受けることはできません。もう少し述べると、治療を行っていく中で医師から「症状固定」と判断された場合に申請可能なものです。
症状固定と診断されたら後遺障害診断書を依頼する
▲症状固定とは?
症状固定とは、これ以上治療を継続しても改善の見込みがない状態のことです。先述したように、治療を行っていく中で医師から症状固定と診断されます。
症状固定と診断された後、後遺障害の等級認定を申請したい場合は、医師に「後遺障害診断書」の作成を依頼しましょう。
後遺障害診断書に記載された検査結果や治療経過などを基に、後遺障害と認めるかどうかが判断されます。
▲後遺障害診断書とは?
交通事故後の精神不安定での後遺障害等級認定申請方法と慰謝料額
後遺障害診断書や必要な書類を、損害保険料率算出機構の「自賠責損害調査事務所」に提出し、後遺障害だと認定されれば、加害者側に対して後遺障害慰謝料を請求できます。
ここからは、2種類の「後遺障害等級認定の申請方法」と請求できる「慰謝料額」について解説します。
後遺障害の等級認定の申請方法は2種類
後遺障害の等級認定の申請方法は、事前認定と被害者請求の2種類です。それぞれの申請方法の違いを表で確認してみましょう。
事前認定 | 被害者請求 | |
---|---|---|
手続者 | 加害者側の保険会社 | 被害者自身 |
メリット | 手続きをすべて任せられる | ・書類を万全に準備し提出できる ・後遺障害等級認定を受けた後、先に自賠責保険による補償金を受け取れる |
デメリット | ・損害賠償額が被害者請求と比べて少なくなる可能性がある ・納得のいかない後遺障害の等級になる可能性がある |
・精神不安定な中、負担になる手続きを行う必要がある ・後遺障害診断書を作成してもらうのに費用がかかる |
申請方法の選択でポイントになるのは「手続きによる負担」です。
後遺障害の等級認定や損害賠償の請求の面で考えると、手続きの負担が問題なければ被害者請求の方がよいと言えます。
慰謝料額は3つの基準がある
▲交通事故の慰謝料の3つの基準
交通事故後、精神不安定状態に陥り、加害者へ慰謝料を請求する際は3つの基準で慰謝料額が決定されます。
内容 | 慰謝料額 | |
---|---|---|
自賠責基準 | 被害者への最低限の補償 | 最も低額 |
任意保険基準 | 保険会社ごとに決めた基準で補償 | 中程度の額 |
弁護士基準 | 過去の裁判所の判例を基にした補償 | 最も高額 |
弁護士基準は、過去の裁判所の判例をもとにしているため、適切な慰謝料額の請求が可能です。
さらに、専門家である弁護士に加害者側の保険会社との示談交渉を任せられるので、依頼する被害者は安心できるのも特徴です。
後遺障害等級別の後遺障害慰謝料の額
次に自賠責基準と弁護士基準とで慰謝料額がどの程度変わるのか、後遺障害等級ごとに確認してみましょう。
等級 | 自賠責基準 | 弁護士基準 |
---|---|---|
第9級 | 245万円 | 690万円 |
第12級 | 93万円 | 290万円 |
第14級 | 32万円 | 110万円 |
交通事故後に精神不安定なら心療内科や精神科でメンタルケアを
交通事故後に精神不安定な状態が続いている場合は、早めに心療内科や精神科を受診し、メンタルケアを受けましょう。放置すると症状が慢性化し、うつ病やPTSDなどの精神疾患が後遺症として残る可能性があります。
治療費は加害者側の保険会社に請求でき、症状が残った場合は後遺障害認定を受けることで補償を受けられます。一人で悩まずに医師のサポートを受けながら、心身の回復を目指しましょう。
〈参考文献〉
内閣府「交通事故の被害者の精神的反応」:https://www8.cao.go.jp/koutu/sien/tanto-3-02.html
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この記事を監修したのは…
理学療法士として、回復期病院で脳血管疾患を中心にリハビリテーションを経験。その後、フリーライターに転向。医療・健康分野をはじめ、地域・観光、転職関連などの幅広いジャンルの執筆を行っている。
この記事の執筆者
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