交通事故によるむちうちのMRI検査とは?検査のタイミングや後遺障害認定も解説
監修記事
世良 泰
医師(整形外科他)
交通事故によるむちうちの痛みに悩んでいませんか?痛みがひどい場合は、MRI検査の話を医師から聞くことがあるかもしれません。当記事では、むちうちを発症した際のMRI検査について、CT・レントゲンといった他の検査との違いを含めて解説しています。
また、交通事故によるむちうちでMRI検査を受けるメリットやMRI検査を受けるタイミングはいつ頃なのか、MRI検査で「異常なし」となった場合の対処法などについても記載しています。むちうちの症状の後遺障害等級認定においてのMRI検査についても解説します。
むちうちの症状があり、MRI検査について気になる方はぜひ参考にしてください。
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目次
むちうちにおけるMRI検査とは?
むちうちによる痛みとしびれは、骨と骨の間にある軟部組織の損傷や神経を圧迫することで発生します。そこで、むちうちの症状に対してMRI検査を用いることで、骨以外の組織を画像によって確認することができます。
実際には、交通事故では頭を打っている場合にMRI検査を行うことが多いです。むちうちでMRI検査が必要かどうかについては、あくまで医師が判断するものですが、症状が強い場合には必要になることがあります。
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CTやレントゲン検査との違い
MRIは、レントゲンやCT検査と大きく異なります。「骨の異常を発見する」のに優れているのは、放射線を使用するレントゲンです。費用も比較的安価です。放射線を使用するのも短時間であるため、被ばくについては基本的に心配するレベルではありません。CTも放射線を使用する検査です。
一方、磁気の力を利用するMRIは、筋肉や靭帯、末梢神経などの「軟組織の異常を発見する」のに適している検査です。費用はやや高いのですが、むちうちの痛みや症状の原因を発見するには、細部の異常が分かりやすいMRIが適していると言えます。
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性能によっては異常が発見されないことも?
通常のクリニックや診療所ではMRI機器を設置していないところが多いため、MRI検査が必要な場合は検査を受けるためにMRI機器を設置している医療機関への撮影依頼状を主治医に作成してもらう必要があります。
しかし、MRI機器はどこの病院も同じ性能であるとは限りません。医療機関によっては設置してあるMRI機器が古いものである場合、画像の精度が低く異常を発見できないことがあります。
医療機関の中には、画像診断を専門的に行っているところもあり、精度が高いMRI機器で撮影してもらうことが可能です。画像の結果次第で後遺障害等級認定の結果が左右されることもあるので、MRI検査をしてもらう医療機関は慎重に選ぶことをおすすめします。
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交通事故によるむちうちでMRI検査を受けるメリット
交通事故によるむちうちで病院を受診した場合、一般的にレントゲン撮影が行われます。しかし、レントゲン撮影は骨に損傷がないか確認することが目的であるため、脊髄や靭帯、椎間板など、軟部組織の損傷による痛みやしびれの原因を特定することができません。軟部組織の状態を確認するには、MRI検査が有効です。
むちうちでMRI検査が必要かどうかはあくまで医師が判断することですが、MRI検査を受けることによるメリットはあります。
MRI検査により症状の原因が確認された場合は、後遺障害等級認定の申請をするときや加害者側の保険会社と損害賠償について示談交渉を行うときに重要な資料となったり、原因に応じて適切な治療を行うこともできます。
後遺障害等級認定において有利になる可能性がある
交通事故によるむちうちの治療を長期的に受けても症状が良くならず後遺症となってしまった場合は、後遺障害等級認定の申請を検討するべきです。認定を受けることで、後遺障害慰謝料や逸失利益の請求が可能になります。
むちうちの場合、認定を受ける可能性がある等級は12級13号あるいは14級9号です。それぞれの認定基準は、以下の通りです。
等級 | 認定基準 |
---|---|
12級13号 | 局部に頑固な神経症状を残すもの |
14級9号 | 局部に神経症状を残すもの |
12級13号の「局部に神経症状を残すもの」とは、画像診断や神経学的検査などから異常が確認され、症状を医学的に証明する必要があります。つまり、MRI撮影で異常が確認されれば12級13号の認定を受ける確率が高まるということです。
14級9号の「局部に神経症状を残すもの」とは、症状が医学的に説明できるものである必要があります。つまり、事故の状況や症状・治療の経過などから症状が医学的に推定できれば14級9号の認定を受けることができる可能性があります。
そのため、MRI撮影で異常が確認できなくても後遺障害等級認定をあきらめる必要はありません。
後遺障害等級認定を受けるために大切なこと
後遺障害等級認定の申請をするにあたり、医師による治療を6ヵ月以上受け続けることが基本的条件となります。
また、通院頻度が不定期かつ少ない場合は、後遺障害等級の認定をするほど深刻な症状ではないだろうと疑われる可能性もあります。医師の指示に従いながら、できるだけ間隔を開けずに通院することがポイントです。
後遺障害等級認定の申請には、医師が作成した後遺障害診断書を提出する必要があります。医師に後遺障害診断書を作成してもらったら、検査結果や自覚症状について正確に記載されているか、記入漏れなどの不備がないかを確認しておきましょう。
内容に不備があったり、症状について正確に記載されていないと後遺障害等級の認定を受けられなくなってしまう恐れがあります。
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むちうちの症状の原因が確認できれば適切な治療につながる
むちうちは首や肩の痛みといった症状だけでなく、しびれなどの神経症状が出現することもあります。MRI検査を受けることで、むちうちの様々な症状の原因を確認できる可能性があります。
痛みや症状の原因が明確になることで、より適切な治療を受けることができるようになるため、症状の緩和に対して期待が高まります。
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交通事故によるむちうちのMRI検査のタイミングはいつ頃?
むちうちの症状がある場合、MRI検査を受けるタイミングはいつ頃なのか気になる方も多いと思います。交通事故によるむちうちの場合には、症状が強い場合など医師がMRI検査を必要と判断したタイミングに受けることになります。また、症状固定のタイミングでもMRI検査を受けることがあります。
医師がMRI検査を必要と判断した時
交通事故の場合は頭を打った時などにMRI検査を行うことが多いですが、むちうちの場合は痛みがひどい場合などに必要と判断されることがあります。そのため、むちうちのMRI検査は、医師がむちうちの症状の程度や状態を見て必要と判断したタイミングで検査を受けることになります。
事故後、なるべく早い段階で実施したMRI検査でむちうちの原因が確認できれば、損害賠償請求の際にも証拠となり有利になる可能性があります。
症状固定のタイミング
あくまでMRI検査の必要の有無を判断するのは医師ですが、交通事故後の段階と症状固定の段階の2段階でMRI検査を受けることで症状の原因をより証明しやすくなります。原因が検査結果により証明され明確であれば、後遺障害等級がより認定されやすくなるでしょう。
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むちうちの症状があってもMRIで「異常なし」になることも
むちうちの辛い症状があるにも関わらず、MRIの画像上「異常なし」と診断をされてしまうこともあります。軟部組織など、身体の組織に損傷(器質的損傷)が見られないために、このような判断をされることがあります。
ただし、画像上に異常がないからと言って、むちうちの状態が軽いと判断するわけではありません。医師に症状を細やかに伝え、症状による日常での障害についても伝えると良いでしょう。
むちうちのMRI検査で「異常なし」の場合は治療費を打ち切りされる?
むちうちの検査で「異常なし」となると、検査結果が根拠となり相手側の保険会社より治療費の打ち切りをされる可能性はあります。特にむちうちは、3か月が平均的な治療期間と言われており、通院頻度などと合わせて打ち切りを打診してくることが考えられます。
しかし、治療を継続するかどうかは医師が判断すべきことですし、症状があるのであれば打ち切りに安易に応じるべきではありません。
治療費打ち切りを打診された時の対処法
加害者側の保険会社から治療費の打ち切りを打診された場合、焦って対応してはいけません。
受傷後、MRI検査を受けていて問題がないと言われても、より精度の高いMRI機器で再検査をした場合、新たな異常箇所が見つかるケースもあります。また、主治医に自覚症状を訴え、適切な治療とその治療期間を判断してもらうようにします。
このように自ら対応する自信がない場合には、弁護士に相談することも検討しましょう。医師の見解だけでなく、被害者の自覚症状などを含め、相手方と交渉することに精通しているのが弁護士です。
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むちうちでのMRI検査まとめ
むちうちでMRI検査が必要かどうかについては、あくまで医師が判断するものですが、症状が強い場合には必要になることがあります。むちうちの症状に対してMRI検査を用いることで、骨以外の組織についても画像によって確認することができるため、むちうちの痛みや原因を把握できる可能性があります。
MRI検査により異常を確認できた場合、後遺障害等級認定の申請や示談交渉の際に重要な資料となったり、より適切な治療につながる等のメリットもあるでしょう。
交通事故によるむちうちに悩む被害者の方が、一日も早く回復し、適切な補償を受け取ることができるよう祈っております。
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この記事を監修したのは…
慶應義塾大学医学部卒。初期研修後、市中病院にて内科、整形外科の診療や地域の運動療法指導などを行う。スポーツ医学の臨床、教育、研究を行いながら、プロスポーツや高校大学、社会人チームのチームドクターおよび競技団体の医事委員として活動。運動やスポーツ医学を通じて、老若男女多くの人々が健康で豊かな生活が送れるように、診療だけでなくスポーツ医学に関するコンサルティングや施設の医療体制整備など幅広く活動している。「健康を通じて人々の夢や日常を応援すること」をミッションに2024年6月に池尻大橋せらクリニックを開院。
池尻大橋せらクリニックHP
https://sera-clinic.com/
日本整形外科学会専門医
日本内科学会認定内科医
公衆衛生学修士
International Olympic Committee Diploma in Sports Medicine
日本スポーツ協会公認スポーツドクター
日本医師会認定健康スポーツ医
日本整形外科学会認定スポーツ医
日本障がい者スポーツ協会公認障がい者スポーツ医
Performance Enhancement Specialist (National Academy of Sports Medicine)
Corrective Exercise Specialist (National Academy of Sports Medicine)
日本医師会認定産業医
ロコモアドバイスドクター
TWOLAPSチームドクター(陸上)
LADORĒメディカルアドバイザー
日本陸上連盟医事委員
AuB株式会社 顧問ドクター
株式会社富士急ハイランド 医療顧問
株式会社リハサク メディカルアドバイザー
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