バイク事故で首を痛めたら?症状や対応方法、通院先や治療内容、損害賠償を解説
監修記事

河野 裕也
理学療法士
バイク事故で首を痛めた場合、むちうち(頚椎捻挫)の可能性があります。首の痛み、肩こり、頭痛、めまい、吐き気などの症状が現れることがあり、事故直後は痛みを感じにくい場合も多いです。
適切な損害賠償を受け取り、後遺症を防ぐためにも、事故後はできるだけ早く整形外科を受診し、検査や治療を受けることが大切です。
本記事では、バイク事故で首を痛めた場合の症状、対応のポイント、通院先や治療内容、請求できる損害賠償についてわかりやすく解説します。
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目次
バイク事故でむちうちなど首に症状が出やすい理由
バイク事故では、身体が車体に囲まれておらず、転倒や衝突による衝撃が全身に直接伝わります。特に、首や頭部に衝撃が集中しやすく、むちうちをはじめとした頚部の損傷を引き起こす可能性が高くなります。
ヘルメットの重さによって頭部が振り回されやすくなることも、首への負担を増大させる一因です。
政府統計(道路の交通に関する統計「交通事故の発生状況」令和6年の状態別死者、重傷者、軽傷者数の推移:表2-2-13)によると、自動二輪車乗車中の事故における死者・重傷者の割合は19.7%にのぼり、これは自動車乗車中の3.9%と比較しても非常に高い数値です。
さらに、バイク事故で多い「右直事故(右折車と直進バイクの衝突)」や「左折巻き込み事故(左折車にバイクが巻き込まれる)」では、衝突時にライダーの頭部が激しく揺さぶられ、首に急激な衝撃が加わるケースが多発します。
バイク事故で首を痛めた場合の主な症状
バイク事故によって首を負傷した場合、代表的なケガが「むちうち(頚椎捻挫)」です。
▲「むちうち」とは?発症の原因や症状等
むちうちは、衝突や転倒などの強い衝撃によって首が前後に大きくしなることで、首の筋肉や靭帯、関節包などが損傷し、さまざまな症状が現れます。
主な症状としては、首の痛みや違和感、動かしにくさなどがあります。さらに、肩こりや背中の張り、頭痛、めまい、吐き気、手のしびれ、集中力の低下など、首まわり以外にも影響が広がることがあります。
これらの症状はすぐに現れないことも多く、事故直後はアドレナリンが分泌されていることで痛みを感じにくくなっている場合もあります。
そのため、「症状が出ていないから大丈夫」と思っても、翌日以降に痛みや不調が出てくることが少なくありません。
▲むちうちの症状が事故後すぐに出ない理由
医師監修むちうちはどんな症状?治療方法や完治までにかかる時間について解説
むちうちの種類
むちうちにはいくつかの種類があり、バイク事故で最も多くみられるのが「頚椎捻挫型」です。このタイプは、首の筋肉や靭帯が損傷することで痛みや張りを感じる比較的軽度の症状ですが、適切な治療を行わないと慢性化する可能性があります。
「バレー・リュー症候群型」は、自律神経に影響を及ぼし、めまいや耳鳴り、視覚障害などが出るのが特徴です。
「神経根損傷型」は、頚椎から出ている神経が圧迫されることで腕のしびれや筋力低下が起こるものです。
「脊髄症状型」は、脊髄そのものが損傷され、下肢のしびれや歩行障害などが現れます。
「脳脊髄液減少症」もむちうちの一種として取り上げられることがあり、これは頭痛や倦怠感、吐き気などが続くもので、交通事故との関連が指摘されています。
▲むちうちの5つの種類と違い
医師監修むちうちと頚椎捻挫の違いは?症状の種類や治療方法について通院期間の目安とあわせて解説
首の骨折は重症
バイク事故ではむちうちだけでなく「頚椎骨折」という重篤な外傷を負っている可能性があります。特に、事故後に激しい首の痛みが続く、頭や肩が動かしづらい、手足がしびれるといった症状がある場合は、骨折の疑いがあります。
頚椎骨折は、脊髄が損傷されると四肢の麻痺や呼吸障害、最悪の場合は寝たきりや命の危険につながることもある重大な外傷です。
また、頚椎骨折が疑われる場合は、患部を動かさないように慎重に固定し、状況に応じてコルセットの装着や手術が必要になることもあります。
むちうちと違って放置は絶対に避けなければならず、初期対応が生死や後遺障害に大きく影響します。
バイク事故で首を痛めた場合の対応のポイント
バイク事故で首に痛みや違和感を覚えたら、初期対応が非常に重要です。特にむちうちのように、事故直後は症状が軽くても数日経ってから悪化するケースが少なくありません。
ここでは、事故後の適切な行動として押さえておくべきポイントを紹介します。
事故後はなるべく早く受診する
バイク事故に遭った直後に痛みや異常を感じなくても、できるだけ早く医療機関を受診することが重要です。
▲交通事故後、痛みがなくても病院に行くべき理由
事故直後はアドレナリンの分泌により痛みを感じにくくなっていることがあり、数日経ってから症状が現れるケースが多くあります。早期に受診して治療を開始することで、症状の悪化を防ぎ、早期の回復につながります。
また、事故から時間が経ってから通院を始めた場合、「その症状は事故と無関係ではないか」と保険会社に疑われ、治療費や慰謝料の支払いを拒否されてしまう可能性があります。
症状が軽いと感じても必ず医療機関を受診し、診断書を早めに取得しておきましょう。
関連記事追突事故で痛くなくても病院受診する理由 – 痛みが出た時へ備えよう
治療を最優先にする
事故後に仕事や日常生活が忙しく、つい通院を後回しにしてしまう方も少なくありません。しかし、首を負傷しているにもかかわらず適切な治療を受けないまま放置すると、症状が慢性化したり、後遺症として残る可能性があります。
仕事を休まなければならない場合でも、「休業損害」として補償を受けることができます。
加害者側の自賠責保険や任意保険を通じて、休業による収入減少分を請求する仕組みがあるため、できる限り治療に専念しましょう。
▲自賠責保険とは?
救急搬送された場合は整形外科への転院を検討
バイク事故によりその場で救急搬送された場合、初期治療は救命を最優先とする救急病院で行われます。
救急病院ではむちうちの継続的な治療はされないため、事故翌日以降の通院は、自宅から通いやすく、交通事故対応に慣れた「整形外科」へ転院するのが一般的です。
ただし、救急病院から整形外科へ転院する際には「紹介状」が必要になることが多く、保険会社への連絡も必要です。
紹介状がないまま転院してしまうと、治療費の支払いが認められないケースもあるため、注意が必要です。
関連記事近くの病院に転院したい!言い方や紹介状の頼み方を解説
医師の指示に従い治療を継続する
バイク事故によるむちうちや頚部のケガは、時間が経つにつれて症状が悪化したり、慢性化する可能性があります。
そのため、痛みが和らいだからといって自己判断で通院を中断しないようにしましょう。症状が後遺症として残る可能性もあります。
医師の指示通りに治療を継続し、必要な通院頻度を守ることで、早期回復とともに後遺障害の認定などにも有利に働きます。
▲後遺障害とは?(後遺症と後遺障害の違い)
また、通院の頻度や期間は損害賠償額にも関係するため、医師が完治と判断するまではしっかり通院を続けることが大切です。
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バイク事故で首を痛めた場合の通院先と治療内容
首にケガを負った場合の通院先には「整形外科」や「整骨院」があります。どちらも交通事故の治療で利用可能ですが、それぞれ役割が異なります。
それぞれの通院先での治療内容を詳しくご紹介します。
整形外科
バイク事故後、首の痛みや違和感を感じたら、まずは整形外科を受診しましょう。
▲交通事故後の整形外科受診
整形外科では、レントゲン検査によって骨折の有無を確認し、必要に応じてMRI検査で筋肉や神経の損傷も評価できます。特に首のケガは、骨に異常がなくても神経系に影響が出ているケースがあるため、画像検査による詳細な診断が重要です。
治療内容は、痛み止めや湿布の処方、電気治療や温熱療法などの物理療法、そしてリハビリ指導などが行われます。
交通事故に特化した整形外科では、治療だけでなく診断書の発行や保険会社とのやりとりにもスムーズに対応してくれるため、安心して通院を続けられます。
また、信頼できる医師の下で継続的に通院することは、後遺障害診断書を作成する際にも有利に働きます。
▲後遺障害診断書とは?
事故後の治療は整形外科を軸に進めるのが基本となります。
整骨院
整骨院でも、交通事故によるむちうちや首の痛みに対して施術を受けることができます。
▲整骨院の交通事故施術内容の種類
事故の被害者の場合は自賠責保険が適用され、医師の同意があれば整形外科と併用して通院することが可能です。
整骨院での施術は、手技療法、電気療法、温熱療法、ストレッチなど、筋肉や関節へのアプローチが中心です。
柔道整復師が症状に応じたオーダーメイドの施術を行うため、痛みやこりの緩和に効果的です。
また、整骨院は夜間や休日も営業しているところが多く、待ち時間も少ないため、仕事や育児で時間の制約がある方にとって通いやすいのもメリットです。
交通事故治療で整骨院に通うメリット(営業時間が長い・土日祝日も通える・予約可能)
交通事故対応に慣れた整骨院では、保険会社とのやりとりや通院証明書の発行、整形外科との連携もスムーズに行ってくれるため、安心して通うことができます。
関連記事交通事故の治療を整骨院で受ける|施術内容と保険適用について解説
【体験談】バイク事故で首などを痛めた事例
実際にバイク事故にあい、首などを痛めて通院された方の体験談を紹介します。
事例①バイクで走行中に車とぶつかり、むちうちや骨折に…
バイクで走行中に通行禁止車線を跨いで侵入してきた車と衝突する事故にあってしまった「大島ゆまさん(20代・看護師)」の体験談を紹介します。
大島ゆまさんは、むちうちによる首の痛み、腰・肩・背中・腕・足の痛み、しびれ、骨折、打撲、靭帯損傷などの症状があったそうです。
病院については、最初は事故直後に救急車で運ばれた病院で処置を受け、その後自宅から近い病院に紹介状を書いてもらって転院されています。整骨院も病院と併用して通院できることを知っていたことから、交通事故病院サーチの案内をきっかけに整骨院にも通院されていました。
整形外科の通院や治療について、以下のようにお話しされています。
「整形外科は、月に1回通院しました。」
「始めはレントゲン、CT、MRIの画像診断をして、大きい損傷はないと診断だったので、痛み止めをもらいながら、リハビリを受けていました。後に骨折や靭帯損傷がわかったので手術しました。」
「右足の靭帯が伸びきってしまっていることが後から分かったので、筋力をつける為に筋トレ・ストレッチ・歪みを取るなどのリハビリをしました。」
整骨院の通院や施術について、以下のようにお話しされています。
「整骨院は、週1回通いました。骨折が分かって手術した後は整骨院には通えなかったので、それまでの最初の3か月くらいに病院と整骨院の併用をしていた形です。」
「駅からも近く、雨の日も億劫にならずに通えました。事故の対応も柔軟に対応してもらえたのでとても助かりました。」
「毎回始まる前に前回との比較を聞いて、プランを考えてくださいました。内容はハンドマッサージや、電気を流す機械を使っての施術でした。」
大島ゆまさんの体験談の詳細については、下記の記事でご覧いただけます。
事例②原付バイクで車と衝突し、むちうちで首や左腕が…
原付バイクで仕事の移動中、見通しの悪い交差点の出会い頭に車と衝突する事故にあってしまったfoxytomoさん(40代・介護職)の体験談を紹介します。
事故の数時間後に身体に痛みが出てきて、むちうちにより首から左腕が痛み、薬指小指にもしびれがありました。事故から仕事に復帰するまで1か月半、治療終了まで6ヶ月以上もかかったそうです。
整形外科の通院や治療について、以下のようにお話しされています。
「最初の1ヶ月は週2回くらい通いました。仕事に復帰してからは、月1回程度行っていました」
「整形外科ではレントゲン検査を行い、一度大きな病院でMRI検査も受けました。その後は、痛み止めやしびれに効くお薬、湿布などを処方されました」
整骨院の通院や施術について、以下のようにお話しされています。
「仕事を1ヶ月半休み、復帰してから整骨院への通院を開始しました。週2~3回くらいのペースでした」
「以前に行ったことのあった整骨院でしたが、皆さんとても親切でいい先生ばかりでした。職場から近い整骨院だったので通いやすかったのもよかったです」
「施術はマッサージが15分ほど、電気療法が5分ほどです。また、仕事復帰後にテニス肘になってしまったので、超音波機器での施術も受けていました。超音波機器での施術は、私には合っていたようで効き目ありました」
foxytomoさんの体験談の詳細については、下記の記事でご覧いただけます。
バイク事故で首などを痛めた場合に請求できる損害賠償
治療に必要な費用や通院による損失など、さまざまな損害に対して賠償を請求することが可能です。
▲交通事故の損害賠償の内訳
賠償を適切に受け取るためには、医師の診断書や通院記録、領収書などをしっかり保管しておくことが重要です。
次の項目では、請求できる損害賠償について具体的に解説します。
治療費
バイク事故によって発生した診察料、レントゲン・MRI検査費用、処方された薬代、リハビリの費用などは、すべて治療費として請求可能です。
これらは原則として、加害者側の自賠責保険や任意保険によってカバーされます。
しかし、治療を自己判断で中断した場合や、正当な理由がない通院は賠償対象とならないことがあるため注意が必要です。
通院交通費
通院時に利用した交通手段の費用も、損害賠償として請求できます。電車やバスなどの公共交通機関はもちろん、やむを得ずタクシーを利用した場合でも、その必要性が認められれば支払い対象となります。
自家用車を使った場合でも、ガソリン代や駐車場代などは記録に残しておくと良いでしょう。
休業損害
事故によって仕事を休まなければならなくなった場合、収入の減少分は「休業損害」として請求可能です。
給与所得者であれば会社からの休業証明や過去の給与明細、自営業者であれば確定申告書や帳簿などが必要になります。
医師の診断により「休業が必要」とされていれば、正当な補償として受け取ることができます。
入通院慰謝料
入院や通院による精神的苦痛に対しては「入通院慰謝料」が支払われます。自賠責保険では、通院1日あたり4,300円を基準として計算され、任意保険においてはさらに高額な基準が適用されることもあります。
通院期間や通院頻度が判断材料になるため、医師の指示に従い継続して通院することが大切です。
バイクの修理費
事故によって損傷したバイクの修理費も、損害賠償の対象です。修理工場での見積書や修理明細書をもとに請求できます。
もし修理不能で廃車になった場合には、バイクの時価額や買い替え費用の一部が賠償されるケースもあります。
バイクに取り付けていたカスタムパーツや装備品についても、価値が認められれば賠償対象に含まれることがあります。
バイク事故で後遺症が残ったら後遺障害認定の申請を
バイク事故で症状が長期にわたって改善しない場合は「後遺障害認定」の申請を検討するとよいでしょう。「症状固定」と診断された時点で、後遺障害診断書を主治医に作成してもらい、加害者側の保険会社に提出します。
▲症状固定とは?
後遺障害等級が認定されると「後遺障害慰謝料」や「逸失利益」などの損害賠償の請求が可能となります。
認定を受けるためには、症状の一貫性、通院頻度、画像所見(MRIなど)、医師の見解が重視されます。
申請が通らないこともあるため、必要に応じて弁護士や後遺障害認定の専門家に相談することも検討しましょう。
▲後遺障害認定の条件5つ
関連記事むちうちを後遺症にしない|症状や治療と後遺障害認定・慰謝料も解説
バイク事故で首を痛めた場合の通院先にお困りの場合はご相談ください
バイク事故で首を痛めた場合は、むちうち(頚椎捻挫)などの可能性があります。首の痛み、肩こり、頭痛、めまい、吐き気などの症状がある場合は、できるだけ早く整形外科を受診し、検査や治療を受けることが大切です。
もし通院先に迷っている場合や、むちうちなどの症状があるにもかかわらず病院探しが進まないという方は、交通事故病院サーチ相談窓口へお気軽にご相談ください。
交通事故に詳しい相談員があなたの状況に合った通院先探しを無料でサポートいたしますので、スムーズに通院を始めることができます。
〈参考文献〉
警視庁「令和5年における交通事故の発生状況について」:https://www.npa.go.jp/publications/statistics/koutsuu/jiko/R05bunseki.pdf
内閣府「交通安全白書」:https://www8.cao.go.jp/koutu/taisaku/r05kou_haku/zenbun/genkyo/h1/h1b1s2_3.html
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この記事を監修したのは…
国家資格である理学療法士として、約10年間整形外科クリニックで一般の患者様からスポーツ選手の身体のケアに携わり、その後理学療法士の養成校の教員として身体の仕組み、治療技術などについて学生に講義を行っています。早稲田大学大学院スポーツ科学研究科にて修士取得。
この記事の執筆者
交通事故治療の
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