整形外科のリハビリにかかる料金目安|保険適用や自己負担額を解説
監修記事
福山 泰平
医師(整形外科他)
交通事故で怪我をしてしまった場合や、肩や腰に痛みを感じて日常生活に支障をきたすといった理由で、整形外科のリハビリを受ける方は非常に多いです。
どのようなケースが保険適用になり、また保険適用外となってしまった場合、自己負担額はいくらになるのか知っていますか?
また、整形外科のリハビリと自費のリハビリの違いを明確にしておく必要があります。
リハビリの料金に対して高いイメージを持つ人が多いため、ここでは整形外科のリハビリ料金の目安について解説していきます。
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整形外科のリハビリ料金目安
整形外科でリハビリを受けることになった場合、気になるのはリハビリの料金ではないでしょうか。
リハビリを受ける時間や、保険適用かどうかによって金額が異なるため、具体例を示しながら解説していきます。
保険適用の場合
健康保険を適用した一般的なリハビリ料金は、内容と時間によって異なります。
整形外科のリハビリは「運動器リハビリテーション料」として診療報酬が請求されることになります。
医療行為には公定価格として「診療報酬点数」と呼ばれるものがあり、1点あたり10円で計算されます。
運動器リハビリテーション料は1単位を20分とし、1単位あたりの診療報酬点数は185点であるため、単位数×185点×10円が発生する診療報酬です。
そこから、初診料288点または再診料73点や薬代などを合計した点数が、実際の利用者に請求される診療報酬点数となります。
例えば、初診で40分のリハビリを受けた利用者の自己負担額が3割の場合、利用者が支払う費用は1,974円となります。
初診料 | 288点 |
---|---|
運動器リハビリテーション料 (40分) |
370点(185点×2) |
合計点数 | 658点 |
診療報酬 | 6,580円 |
自己負担額 (3割の場合) |
1,974円 |
保険が適用されない場合
はじめに、保険が適用されないケースについて説明します。
- 同一の診断で他の整形外科へ通院している
- 自費でのリハビリ
このような条件では、整形外科のリハビリを受けたとしても、保険適用外となってしまうので注意してください。
健康保険が適用されない場合、リハビリ料金の自己負担額は10割となり、保険適用内と比較すると大きな差があります。
例えば、初診で20分のリハビリを受けた場合は、[288点+185点]×10=4,730円になります。リハビリ時間を20分にしたとしても、保険適用内で40分のリハビリを受けた場合の2倍以上となります。
仮に、再診で1ヶ月間、週に1回40分のリハビリを受けた場合は、3割負担の保険適用内では{[73+370]×10}×0.3×4回=5,316円になるのに対し、保険適用外では{[73+370]×10}×4回=17,720円となり、3倍以上も差が生じてしまいます。
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保険適用と自費のリハビリ内容の違い
医師の指示があれば、運動器リハビリテーションは、発症から最大で150日間に限り健康保険適用内でリハビリを受けることができます。
つまり、健康保険適用内のリハビリとは、決められた施設や期限の中で運用していくため、自由度は少なくなります。
しかし、医師が常駐している施設でリハビリを受けるため、痛みが悪化した場合などは医師の診察を受け、痛み止めの処方を受けることができるだけでなく、自己負担額を抑えることができます。
それに対し、自費のリハビリでは期間や通院回数の制限がなく、自由度が高く利用できるメリットがあります。
しかし、医師が常駐していないため、MRIといった画像診断や痛み止めの処方が受けられず、自己負担額が高くなるといったデメリットがあります。
弁護士監修交通事故で起こりやすい怪我とは|治療先や慰謝料も解説
事故によるリハビリは保険適用?
交通事故によるリハビリは自賠責保険適用となります。
健康保険を適用した一般的な運動器リハビリテーションは、最長150日間、1日最大で6単位2時間が適応となり、これらの条件を超えてしまう場合は自己負担になります。
しかし、交通事故の被害者の場合、加害者側の任意保険会社が治療費を医療機関へ直接支払う任意一括対応を行うケースが多いです。
任意保険会社による一括対応の場合、リハビリに明確な期限や窓口での自己負担はありません。
ただし、加害者側の保険会社による一括対応は任意であり義務ではありません。そのため、治療費を支払うのか、支払いを打ち切るかどうかの判断は保険会社が行います。
したがって明確な期限はありませんが、交通事故に多いむちうちでは3ヶ月程度、骨折では6ヶ月程度を目安として保険会社から治療の終了を提案されるケースが多いです。
関連記事保険会社が治療の打ち切りを連絡してきたら?理由と対処法を解説
事故によるリハビリの慰謝料
事故によるリハビリ通院の期間は入通院慰謝料の対象となります。
リハビリの慰謝料相場
交通事故による慰謝料の計算基準には、自賠責基準、任意保険基準、弁護士基準と3種類があります。
自賠責基準での入通院慰謝料は、1日あたり4,300円と決められています。そのため、入通院慰謝料の金額は「4,300円×対象日数」となります。なお、自賠責保険は補償の限度額は120万円です。
任意保険基準は、各任意保険会社が設定している基準です。そのため、基準は保険会社によって異なり、非公開のため不明です。ただ、金額としてはおおよそ自賠責基準と弁護士基準の中間くらいの慰謝料額になるといわれています。
弁護士基準は、過去の裁判で認められた金額を参考に、弁護士が慰謝料を計算する基準です。軽症か重症か、入通院をした日数などによって算出されます。自賠責基準や任意保険基準と比べ、高額になる場合が多いです。
関連記事交通事故で通院したら慰謝料はいくらもらえる?計算方法も解説
まとめ
今回は、整形外科のリハビリを受ける場合の料金の目安について解説しました。
健康保険適用の場合、自己負担額は1割~3割になりますが、運動器リハビリテーションには150日の期限があります。
交通事故によるリハビリは、自賠責保険適用となります。加害者側の任意保険会社が一括対応を行う場合は、窓口での自己負担はありません。しかし、症状によりおおよその期間が経過すると治療の終了の連絡が入る場合があります。
また、交通事故の入通院慰謝料は通院日数によって算出され、リハビリでの通院も慰謝料の対象となります。慰謝料の相場は計算基準によって異なります。
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この記事を監修したのは…
品川大井町整形外科・リハビリクリニックの院長。これまで交通事故患者の受け入れ実績は1000件以上。交通事故の怪我の治療やリハビリにも力を入れている。交通事故の怪我の治療はもちろん、後遺症や事故後の手続きなどの相談も可能。
品川大井町整形外科・リハビリクリニック
https://shinagawa-oimachi-seikei.clinic/
資格:
日本整形外科学会認定 整形外科専門医
日本整形外科学会認定 リウマチ医
日本整形外科学会認定 リハビリ医
日本運動器科学会 リハビリ指導医
経歴:
神戸大学医学部 卒
神戸大学医学部大学院(医学系研究科) 卒
大阪大学医学部大学院(医学系研究科)特別研究生
M. D. & Ph. D.
神戸大学医学部附属病院
神戸労災病院
三菱神戸病院 など
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