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むちうちで頭痛が起こる?原因・症状~治し方まで易しく解説

監修記事

河野 裕也

理学療法士

むちうちから来る頭痛

交通事故ではむちうちを患い、頭痛に悩まされることが多くあります。むちうちによる頭痛は適切な治療を受けなければ後遺症として症状が残り、日常生活に支障をきたしてしまう可能性があります。

そこで今回はむちうちによる頭痛の症状や通院先、治療方法について解説します。

交通事故後の頭痛の原因はむちうち?

自動車の追突などの交通事故では身体へ強い衝撃が加わるため、痛みやしびれなどさまざまな症状が出現します。その中でも、特に頭痛の症状を訴える人が多く、交通事故後に発症した頭痛の場合はむちうちが原因である可能性があります。

交通事故など身体へ強い衝撃が加わると頭が大きく揺さぶられ、首にむちがしなるような大きな負担が加わることから「むちうち」と呼ばれています。

首に大きな負担が加わることで首周囲の筋肉が緊張し、筋肉の間を通る血管が圧迫されることで血行不良により頭痛が生じることがあります。

また、後頭部を支配する神経は首から出てくるため、神経が損傷したり圧迫されたりすることで頭痛を引き起こす可能性があります。

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むちうち以外の頭痛の要因は?

むちうちによる頭痛以外に、頭部を強く打ち付けている場合には脳や脊髄などの神経系に異常をきたす場合もあります。脳自体を傷つけてしまう脳挫傷や脳内の血管が出血してしまう脳出血など重篤な疾患の可能性もあります。

また、脳や脊髄は髄液と呼ばれる液体に包まれていますが、交通事故などの強い衝撃により、この髄液が漏れ出してしまうことがあります。これは脳脊髄液減少症と呼ばれ、脳や脊髄の周囲にある髄液の量が減少し頭痛やめまいなどを引き起こすこともあります。

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むちうちで頭痛が起こるメカニズム

むちうちで頭痛が起きるメカニズム

▲むちうちで頭痛が起きるメカニズム

むちうちによる頭痛が起こる原因には筋肉と神経の障害が考えられます。むちうちにより首に大きな負担がかかった場合、首周囲の筋肉が損傷したり、過剰に緊張したりすることによって首から頭にかけての血管が圧迫され血流不全が生じます。

血流不全が生じると疼痛誘発物質という痛みを生じさせる物質が溜まることで痛みが生じやすくなります。また、首周囲の痛みによって自律神経系である交感神経が過剰に反応に血管を収縮させることでも血流不全が生じます。

後頭部は大後頭神経という首から出ている神経によって支配されています。そのため、首に大きな負担がかかることでこの大後頭神経が障害され後頭部にかけて痛みが生じる可能性があります。

むちうちの頭痛ってどのような痛み?

むちうちから来る頭痛の痛みの特徴

▲むちうちから来る頭痛の痛みの特徴

むちうちによる頭痛ではズキズキやガンガンといったような脈拍に合わせた痛みなどが生じます。また、後頭部から頭頂部にかけて締め付けられるような痛みが特徴的です。

頭痛が起こるタイミングはさまざまありますが曇りや雨の日など天気が悪いときに痛みが悪化することがあります。

これは気圧が関係しており、気圧の変化が大きいとセロトニンというホルモンが分泌されやすくなります。
このセロトニンは交感神経を優位に働かせる作用があるため、血管を収縮させて血流不全が生じ頭痛を引き起こすと考えられています。

また、日中よりも夕方以降に症状が強くなる場合もあります。夕方にかけて首周囲の筋肉が疲労してくることで血流が悪くなるためと考えられます。

痛くなりやすい部位ってある?

むちうちによる頭痛では頭の知覚を支配する神経や血管の問題による影響が考えられます。

頭全体が締め付けられるような痛みが生じますが、特に大後頭神経という後頭部の知覚を支配する神経が障害されることで後頭部を中心とするズキズキするような痛みである場合が多くあります。

また、こめかみ付近が痛くなることもあります。

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むちうちで頭痛以外に現れる症状や併発しやすい症状

むちうちの5つの種類と違い

▲むちうちの5つの種類と違い

むちうちはどの部分を損傷したのか、どのような症状なのかによって大きく5つのタイプに分類されます。

頚椎捻挫型

むちうちの中で最も多いのが頚椎捻挫型になります。むちうちの約70%を占めるといわれており、首周囲の筋肉や靭帯を損傷することにより痛みや首の可動域の制限をきたすことがあります。

レントゲンやMRIなどの画像による検査では異常が見つからない場合に頚椎捻挫と診断されることが多いです。

脊髄症状型

首から腰の背骨の中を脊髄が通っています。むちうちでは首の骨の部分に強い衝撃が加わるため、場合によっては脊髄を損傷する可能性があります。

頭痛やめまい、吐き気などの症状に加え、足を支配する部分の脊髄が損傷される足のしびれ、筋力低下が生じ、歩行の障害などが生じます。

神経根損傷型

頚椎への強い衝撃により、7つある首の骨の位置関係に歪みが生じ頚椎の間から出てくる神経の根元が圧迫されたり、損傷してしまったりすることがあります。

そのため、圧迫や損傷した神経が支配する領域に神経痛や筋力の低下、感覚の障害などの症状が生じることがあります。腕の痛みやしびれ、脱力感が特徴的です。

バレー・ルー症候群型

むちうちでは血流障害や自律神経の障害が出現する場合があります。自律神経には交感神経と副交感神経があり、頚椎の近くでは交感神経が通ります。

そのため、むちうちなどの強い衝撃により交感神経が過剰に緊張します。また、頚椎の両脇には「椎骨動脈」という脳に血流を送る動脈が通っています。そのため、椎骨動脈の循環障害が生じる可能性があります。

この交感神経の過剰な緊張や椎骨動脈の血流障害により頭痛、めまい、吐き気、耳鳴り、倦怠感など多岐にわたる症状が生じます。

脳脊髄液減少症

脳と脊髄は保護する役割のある硬膜という膜に覆われており、その膜の内側を脳脊髄液という液体が循環しています。この脳脊髄液は脳と脊髄を栄養したり、脳への衝撃を緩和したりしている重要な液体ですが、交通事故による身体への強い衝撃により、硬膜が破れそこから脳脊髄液が漏れ出すことがあります。

POINT

脳脊髄液の量が減少

漏れ出すことで脳脊髄液の量が減少してしまい頭痛やめまい、吐き気、耳鳴り、倦怠感、頚部痛などさまざまな症状が出現します。

頭痛と併発しやすい症状

むちうちでは頭痛とあわせて首や肩の痛み、腕のしびれ、背中の痛み、めまい、吐き気、耳鳴り、倦怠感などが生じることが多いです。

医師監修むちうちはどんな症状?治療方法や完治までにかかる時間について解説

むちうちの頭痛は天気に左右されるのか?

むちうちの痛みが天気で左右される理由

▲むちうちの痛みが天気で左右される理由

むちうちによる頭痛は雨の日や曇りの日に症状が悪化するといった天気の影響を受けることが多くあります。この原因には気圧の変化によって自律神経が乱れるからだと考えられています。

耳の奥には三半規管と前庭という身体の平衡感覚を司る感覚器官があり、これが気圧の影響を強く受けます。この感覚器官が気圧の変化を脳に伝え、その感覚情報を元に脳は自律神経を調整します。

むちうちによってこの感覚器官が敏感に反応するようになってしまうことで自律神経が乱されさまざまな症状が生じやすくなります。

関連記事むちうちによる頭痛はどんな痛み?感じ方は天気に左右される?

交通事故後の頭痛は何科に行けば良いのか?

交通事故後はむちうちを発症することが多く、首の痛みや頭痛、吐き気、めまいなどの症状が出現します。

また、事故直後は無症状でも数日から数週間後に症状が出てくる場合もあるため、無症状でもまずは整形外科でレントゲンやMRIなどによる検査と医師の診察をしっかりと受けましょう。

頭を強く打っている場合には脳の異常を検査する必要があるため、頭を打った後に少しでも異常を感じた場合には神経内科や脳神経外科を受診しましょう。

また、整形外科を受診し、レントゲンやMRI検査などでは異常がみられず、頭痛やめまいの原因がはっきりしない場合には神経内科で診てもらうと良いでしょう。

神経内科ではMRI検査の他にCT検査を受けることができます。交通事故の衝撃で脳にダメージを受けている可能性があり、硬膜下血腫やくも膜下出血、脳出血などCT検査はMRI検査に比べて脳の出血に関する診断がより明確になります。

神経内科で検査を行った結果、脳の損傷が重症であった場合には脳神経外科を紹介されることがあります。脳神経外科では脳や脊髄の疾患に対して手術を行うことが可能です。

頭を強く打っている場合には脳の損傷も考えられますので神経内科または脳神経外科を受診しましょう。

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むちうちの頭痛はいつまで続くのか?

むちうちの程度により異なりますが軽いむちうちであれば1ヶ月、場合によって3ヶ月から1年以上続くこともあります。

むちうちの改善とともに頭痛も改善しますが、場合によってはむちうちが完治しても頭痛だけが後遺症として残ることもあります。

むちうちで頭痛があるときにMRIは受けた方が良いのか?

むちうちで頭痛があるときにMRIは受けた方が良いのか?

交通事故により頭部を打った場合や事故後に頭痛やめまいが続く場合にはMRI検査を受けた方が良いでしょう。

交通事故では、想像以上の強い衝撃が身体へ加わっていますので、身体の外側だけでなく脳や脊髄など内側が損傷されている場合もあります。

特に脳へのダメージは重篤な問題を引き起こす可能性がありますので注意が必要です。

関連記事むちうちの頭痛でMRI撮影が必要?症状と治療法を解説!

むちうちの治療方法とは?

交通事故通院における整形外科と整骨院の治療内容の違い

▲交通事故通院の病院と整骨院の治療内容の違い

ここからは、むちうちの治療方法について詳しく解説します。

整形外科での治療

むちうちを患った場合、最初に整形外科を受診し治療を受けましょう。

交通事故では大きな衝撃が身体へ加わるため、たとえ症状が軽度であってもしっかりとレントゲン検査やMRI検査などあわせて医師の診断を受けましょう。

そして、整形外科ではしっかりと治すためにリハビリテーション(理学療法)を受けることが可能です。

整骨院での施術

むちうちの状態が慢性期に入った場合では整骨院での施術で緩和ケアを受けるケースもあります。

むちうちの治療には長い期間必要になることが多いため、仕事帰りの遅い時間までやっていたり、土日にもやっていたりする整骨院で施術を受けることで継続したケアができます。

また、交通事故によるむちうちへ注力している整骨院もあり、症状や状態に合わせた施術を受けることが可能です。

関連記事交通事故のむちうちで頭痛になる!?治療方法や後遺症を防ぐポイント

むちうちからくる頭痛に効く薬は?

むちうちからくる頭痛に効く薬は?

病院で処方される薬には消炎鎮痛剤と筋弛緩剤があります。消炎鎮痛剤はロキソニンなどのいわゆる痛み止めであり、炎症を緩和させたり痛みを和らげたりする作用があります。

筋弛緩剤は中枢神経や末梢神経といった神経に働きかけて筋肉の緊張を和らげる作用があります。筋肉は神経の作用によって縮んだり緩んだりします。

むちうちでは頚部の筋肉の緊張が高まり、首の可動域の制限が生じやすいため、神経に作用する筋弛緩剤によって首の筋肉の緊張を緩めていきます。

しかし、ロキソニンや筋弛緩剤はあくまで炎症を抑える効果になりますので、炎症以外による痛みの場合には効果が期待できないこともあります。

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関連記事むちうちによる首の痛みにロキソニンは効果あり?使い分けとタイミングが大切

むちうちの頭痛が治らない場合・後遺障害について

交通事故後の頭痛などの症状が残ってしまった場合、「後遺障害」として認定を受けることが可能です。

治療を一定期間通院して続けても症状が残る場合、永久的に治療を続けることはできません。そのため、ある時期をもって症状固定としなければなりません。

症状固定とは?

▲症状固定とは?

症状固定とされた時点で症状が残っている場合は、症状固定日以降の分の精神的苦痛に対して後遺障害慰謝料という形で補償を受けることができます。そのためには「後遺障害等級」の認定を申請し認めてもらう必要があります。

むちうちの場合は12〜14等級が一般的だといわれています。

関連記事症状固定は誰が決める?保険会社の提案への対応や後遺障害認定を解説

まとめ

むちうちから来る頭痛

今回はむちうちによる頭痛の症状や通院先、治療方法について解説してきました。交通事故は身体へ想像以上の強い衝撃が加わっているため、むちうちの症状が場合によっては長期間の治療が必要になります。

その中でも頭痛はむちうちの特徴的な症状の一つです。そのため、なるべく早めに適切な治療を受けるようにしましょう。

この記事を監修したのは…

国家資格である理学療法士として、約10年間整形外科クリニックで一般の患者様からスポーツ選手の身体のケアに携わり、その後理学療法士の養成校の教員として身体の仕組み、治療技術などについて学生に講義を行っています。早稲田大学大学院スポーツ科学研究科にて修士取得。

この記事の執筆者

理学療法士 / 河野 裕也
国家資格である理学療法士として、約10年間整形外科クリニックで一般の患者様からスポーツ選手の身体のケアに携わり、その後理学療法士の養成校の教員として身体の仕組み、治療技術などについて学生に講義を行っています。早稲田大学大学院スポーツ科学研究科にて修士取得。

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