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タクシーとの事故はめんどくさい?示談や対応の方法を解説

監修記事

鍋谷 萌子

ビジネス実務法務検定3級

突然の交通事故では、当然相手を選ぶことはできません。

その中でも、タクシーとの事故は大変だといわれています。

本記事では、タクシーとの交通事故の特徴や、めんどくさいといわれている理由、交通事故が起きたときに取るべき対処について解説します。

タクシーとの交通事故がめんどくさいと言われるのはなぜ?

タクシーとの交通事故がめんどくさいと言われるのはなぜ?

まず、「そもそもどうしてタクシー相手の交通事故がめんどくさいと言われるのか」について解説していきます。

主な原因は、「タクシーとの交通事故の場合、一般的な保険会社とは異なる相手とやりとりをすることになるから」です。

多くのケースで示談交渉ではタクシー共済が相手になるため

組合員であるタクシー運転手の相互扶助を目的に作られたタクシー共済では、行政からの監督を受けておらず、被害者よりも運転手側の立場になって示談交渉が進む可能性があるため、交渉が難航してめんどくさいと捉えられることが多くあります。

交通事故の示談交渉とは交通事故の加害者と被害者が和解の為に行う話合いのこと

▲交通事故の示談交渉とは

まずタクシー会社や運転手は、「タクシー共済」と呼ばれる共済に入っています。これは一般的な自家用車の任意保険にあたるものだと考えればわかりやすいでしょう。

そもそも、タクシー会社や運転手は任意保険への加入が、「旅客自動車運送事業運輸規則第19条の2」で定められています。

ただ、運転の頻度が高く、補償範囲を広げる必要があることから、手厚いサポートが用意された任意保険では「保険料」が高くなる傾向にあるのが実情です。そこで、タクシー会社や運転手はその任意保険の代わりとして、タクシー共済への加入が認められています。

タクシー共済は、共済組合として「発生した交通事故に対して賠償に必要な対応をとる」という趣旨によって設立されていますが、タクシー会社や運転手側の立場による示談交渉で難航する可能性があることは考えておくと良いでしょう。

関連記事交通事故で保険会社が嫌がることは?通院や示談をする前に注意点を確認

タクシー共済の担当者の対応がめんどくさい理由

タクシー共済の担当者の対応がめんどくさい理由

タクシー共済の担当者の対応が、めんどくさいと感じてしまう代表的な理由は以下のとおりです。

  • 財政規模が小さいため大きな額を支払いたくない
  • 訴訟や示談交渉での主張が強引

財政規模が小さいため大きな額を支払いたくない

タクシーとの事故が発生した場合、示談交渉による金額面でお互いが納得できずに難航し、めんどくさいと感じる可能性があります。

タクシー共済は、タクシー事業者が結成した組合であることから、一般的に知られている大規模な保険会社と比べると財政規模が小さい可能性があります。それにより、大きな額を支払いたくない考えがある場合には、賠償で提示される金額が少ないといった形で難航することもあるでしょう。

また、タクシー共済はそもそも「タクシー運転手が加入するもの」であるため、広く加入者を募れる一般的な任意保険に比べて契約者が少ない傾向にあります。契約者が少なければ入ってくるお金も少なくなるので、財政規模が小さくなりやすく、この傾向は強くなる可能性があるでしょう。

訴訟や示談交渉での主張が強引

タクシーとの事故が発生したとき、めんどくさいと感じやすいのが「強引な主張」です。

「強引な主張」によって交渉が難航する可能性があり、条件面が納得できる状態になるまで時間や説明の手間がかかることからめんどくさいと感じると考えられます。

強引な主張とひと口に言ってもわかりにくいと思います。あくまで参考にはなりますが、代表例を3つ挙げておきます。

  1. 交通事故の発生自体を否定される
  2. 事故による怪我であることを認めない
  3. 治療費が高いと主張される

交通事故の発生自体を否定される

タクシーとの事故が発生した場合、そもそも事故があったことを容易に認めてもらえないケースが考えられます。

これは、物損事故や、怪我をしていないように見える事故(実際にはむちうちだが、外見上の怪我がない場合など)のときに起きやすい事例です。

「後で示談にするので」とタクシー側が言ったからそれを信用して交通事故が起きたことを届け出なかったのに、連絡がまったく来ず、被害者側から連絡を入れたら「そのような事故はなかった」と否定される、という流れが起きないように、「交通事故は必ず警察に届け出る」ことが大切です。

物損事故が起きたらできる限り早く警察に連絡!

▲物損事故が起きたらできる限り早く警察に連絡!

なおタクシーとの事故に限らず、第三者による証明がない事故においては、しばしばこのような事態が起こり得ます。

関連記事物損事故で警察を呼ばなかった場合どうなる?交通事故では早めに届出しよう

事故による怪我であることを認めない

交通事故で被害者が怪我を負ったにもかかわらず、「軽い接触事故でそのような怪我をするはずがない」「交通事故由来の怪我のはずがない」とタクシー共済側が主張する可能性があります。

交通事故が起きた直後に明らかに大きな怪我を負っている場合はこの限りではありませんが、むちうちに代表される見た目ではわかりにくい怪我の場合は、このような主張がなされやすいといえます。

その際には、医師による診断書を取得しておくことが大切です。また、警察へ事故の届出をすることで、「交通事故証明書」を発行してもらうことも忘れず行いましょう

交通事故証明書とは:交通事故が起きた事を証明する書類

▲交通事故証明書とは?

弁護士監修交通事故で診断書を取得するべき理由とは?提出先や期限も解説

治療費が高いと主張される

タクシー共済側が、「これくらいの怪我で、そのような通院は必要ない。治療費を多く受け取ろうとしている」と主張してくる可能性もあります。

適切な治療・通院をしていても、こうした提示を承諾してしまうと、怪我の治療費を自分で支払うことになりかねません。

タクシーとの交通事故が発生したときに取るべき行動

タクシー共済はしばしば非常に強引な主張をしてくる可能性があります。主張をそのまま受け入れると、被害者にもかかわらず適切な補償を受けられない事態になりかねません。

では、そのような状況にならないためには、何ができるでしょうか。

警察を呼び事故証明書を発行してもらう

まず、交通事故が発生したら、必ず警察を呼びましょう。道路交通法では、どのような交通事故でも警察に報告しなければなりません。

物損事故で警察を呼ばなかったら?

▲物損事故で警察を呼ばなかったらどうなる?

警察が現場検証を行えば、少なくとも「そのような事故はなかった」と主張することはできなくなります。

「公的な第三者を入れること」は、その後に起きるかもしれないトラブルを防ぐもっとも有用な手段のうちのひとつです。

交通事故現場では示談交渉に応じない

その場で示談に応じることは、極めて危険です。示談交渉が成立した後に痛みが出てくることもありますし、支払われた金銭では十分な治療が行えない可能性もあります。

一度示談が成立してしまうと、その後に「示談のやり直し」を行うことは非常に難しいです。

そのため、相手が示談を持ちかけてきたとしても、警察の通報や病院での検査が終わるまでは絶対に応じないようにしましょう。

ドライブレコーダーの映像や画像を使って交渉に対応

ドライブレコーダーは、客観的で強力な証拠となりえます。

物によっては10,000円を超えない価格で販売されていますから、自家用車に導入しておくとよいでしょう。

病院で医師の診察を受ける

交通事故後、痛みがなくても病院に行くべき理由

▲交通事故後、痛みがなくても病院に行くべき理由

交通事故にあった場合は、必ず医師の診察を受けましょう。これは「その怪我は交通事故由来のものではない」、「治療期間が長すぎる」といった要求を避けるためでもあります。

また、もちろん「目には見えない怪我」で不調になることを防ぐ意味もあります。

関連記事交通事故の後、病院は何日以内に行けば大丈夫?支払いや人身切り替えは?

怪我をした場合は人身事故として届け出る

人身事故として警察を呼ぶと、ただちに実況見分が行われ、その実況見分を元に実況見分調書が作られます(当事者の怪我の程度がひどい場合などは、後日になることもあります)。

実況見分調書は、交通事故の状況を書き留めたもので、過失割合を決めるために参考にされる書類です。

過失割合とは?

▲過失割合とは?

過失割合は損害賠償額の算出に直接影響するので、警察に人身事故として届け、実況見分調書を作成してもらうようにしてください。

POINT

取るべき行動のまとめ

・警察に事故証明書を発行してもらう

・事故現場では示談交渉しない

・ドライブレコーダーで記録する

・病院で医師の診察を受ける

・怪我があれば人身事故として届け出る

関連記事交通事故の物損事故から人身事故への切り替え方法|違いと処分・リスクも解説

タクシー共済との示談交渉で難航するなら専門家に相談を

ポイント,注意点

タクシーとの事故がめんどくさいと言われる理由について解説しました。

もちろん、担当者のなかには、誠実で被害者に寄り添った対応をしてくれる人もいるでしょう。

しかし基本的には、治療が開始できなかったり、示談交渉が難航したりと、被害者が不利益を被る可能性が十分にあります。

納得のいかない結果にならないようにするためには、交渉のプロである弁護士に委任するといった選択も視野に入れましょう。

この記事を監修したのは…

交通事故関係、弁護士事務所・クリニック等でのコラム執筆を数多く経験。確かな情報収集力を元に、常に正しく信頼のおける情報を「誰であっても理解できるかたちで」わかりやすく丁寧に解説していきます。

この記事の執筆者

ライター / 鍋谷 萌子
ビジネス法務検定資格取得者。赤本を元に交通事故関係の記事を多数作成してきました。弁護士事務所・クリニックなどでのコラム作成経験が非常に豊富です。確かな情報収集力を元に、常に正しく信頼のおける情報を「だれであっても理解できるかたちで」、分かりやすく丁寧に解説していきます。

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