追突事故の点数はどうなる?責任や処分・交通事故後の流れを解説
監修記事
鍋谷 萌子
ビジネス実務法務検定3級
交通事故を起こした場合、「刑事上の責任」「行政上の責任」、そして「民事上の責任」を負うことになります。
本記事では主に「行政上の責任」を取り上げ、追突事故を起こしたときの行政上の責任や、点数がかさむことによって課せられる処分、追突事故の治療の流れについて解説します。
交通事故は、誰もが加害者や被害者となり得ます。当事者になる前に押さえておきたい情報をまとめました。
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追突事故の違反点数の決まり方
対人で追突事故を起こした場合、運転者には「点数」が加算されます。
詳しくは後述しますが、違反点数がかさむと免許の停止処分や取り消し処分が下されます。
事故によって生じた被害が大きかったり、悪質性が高いと判断されたりした場合、より多くの点数が課せられます。
項目 | 違反点数 |
---|---|
安全運転義務違反 (わき見運転、よそ見運転など) |
2点 |
無車検運行 | 6点 |
無保険運行 | 6点 |
大型自動車等無資格運転 | 12点 |
仮免許運転違反 | 12点 |
速度超過 一般道:30km以上の超過 高速道路:40km以上の超過 |
12点 |
0.25未満の酒気帯び運転 | 13点 |
0.25以上の酒気帯び運転 | 25点 |
過労運転 等 | 25点 |
無免許運転 | 25点 |
共同危険行為等禁止違反 | 25点 |
酒酔い運転 | 35点 |
麻薬等運転 | 35点 |
救護義務違反(ひき逃げ) | 35点 |
追突事故の点数について見ていきましょう。
追突事故の点数は、「基礎点数」と「付加点数」で決まります。
まずは「基礎点数」を取り上げます。
基礎点数:2点〜
基礎点数とは、「交通違反を起こしたときに課せられる点数」です。
例えばスピード違反やわき見運転、酒気帯び運転などから判断されるのが「基礎点数」です。
単純なわき見運転程度ならば、点数は2点です。速度超過は、30km以上もしくは40km以上から12点の扱いになります。最も高い点数は「酒酔い運転」「麻薬等運転」「ひき逃げ」で、35点が加点されます。
付加点数:2点〜
「付加点数」は、「相手がどれくらいの怪我をしたか」によってプラスアルファで付けられる点数だと考えてください。
「死亡」が最も重く20点。「重傷」は2段階に分けられており、より重い場合(治療期間が3ヶ月以上になる・障害が残る怪我)が13点です。
治療期間が30日〜3ヶ月の場合は9点、15日〜30日の場合は6点、それ以下は2点です。
ただし、被害者にも過失があると認められた場合、点数はもう少し低くなります。
尚「付加点数」は文字通り「基礎点数」にプラスして付けられます。例えば、「無免許運転(25点)で、かつ過失のない相手を死亡させた(20点)」場合は45点が加算されます。
人身と物損の違い
物損事故の場合、違反点数は加算されません。
例えば「追突事故を起こしたが、相手は誰も乗っていない車だった」といったケースが考えられます。
ただし、壊した車の修理費用などは請求されます。
また、物損事故でも過度に悪質(居眠りや酒に酔った状態での追突事故、あるいは申告せずに逃げたなど)な場合は、点数が加算されることがあります。
関連記事物損事故で警察を呼ばなかった場合どうなる?交通事故では早めに届出しよう
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点数別|違反点数がつくとどうなる?
点数が加算されていくと、その点数に応じて免許の停止もしくは免許の取り消し処分が行われます。
「免許の停止」は定められた期間の間、車の運転ができません。
「免許取り消し」は、取得した免許の取り消し処分です。再び車を運転するためには、免許の再取得が必要です。
また、点数によっては「免許取り消しの上、欠落期間を設ける」処分がなされることもあります。
この場合は、免許を取り消されるだけでなく、定められた期間は免許の再取得もできません。
何点でどのような処分がつくかは、前歴の有無によって異なります。
例えば前歴が0の場合、14点までは「免停」の処分で済みます。しかし、前歴が3回になると、3点で免許取り消しになります。
尚、酒酔い・麻薬使用・ひき逃げは、どのような前歴であっても、即免許取り消しの上、3年の欠格期間処分が下されます。
追突事故から処分までの流れ
事故が起きたときは、主に下記のような流れを取ることになります。
- 警察・病院(救急車)・保険会社に連絡
- 現場検証、また必要に応じて救急搬送あるいは自分たちで病院へ
- 警察による事故の精査及び検察の取り調べ
- 行政処分及び刑事処分の検討
- 行政処分及び刑事処分の内容が決まる
また並行して、保険会社同士による話し合いが行われ、示談や賠償金の提示がなされます。
事故による治療の流れ
事故にあったときの治療の流れは、加害者も被害者も変わりません。
- 病院で検査を受ける
- 入院もしくは通院する
- 症状が治癒もしくは固定されるまで通う
しかし加害者と被害者では、対応できる保険の考え方が異なります。
加害者側と被害者側に分けて解説します。
加害者
交通事故の加害者であっても、過失が7割未満であれば自賠責保険を利用できます。
しかし、加害者の過失が7割を超える場合は減額され、10割過失の場合は使用できません。
ただし、任意保険で「人身傷害特約」などに加入していた場合は、加害者側の過失割合が大きくても保険で治療費などが支払われます。
実際に一部の保険会社では、「加害者の過失割合が100%であっても、保険金を支払う」としています。
被害者
被害者側となったときは、加害者の加入している保険会社に対して治療費の請求ができます。
過失割合など保険会社同士の話し合いがついていない段階では、被害者が一時的に病院にお金を支払うこともありますが、基本的に後日返ってきます。
尚、被害者側が「交通事故による症状・怪我」だと主張するためには、医師の診断が必要です。
事故の発生から時間が経って病院へ行った場合、事故と怪我との因果関係が認められにくくなることも注意しましょう。
関連記事交通事故の後、病院は何日以内に行けば大丈夫?支払いや人身切り替えは?
まとめ
追突事故が起きた場合、人身事故として処分されれば加害者は行政上・刑事上・民事上の責任を負うことになります。(※例外はあります)
違反の内容により点数が加算され、点数や前歴によって処分が決まります。
被害者になった場合は、人身事故として処理をすれば怪我の治療費などを加害者側の保険会社へ請求できます。
加害者となった場合は、まずは迅速に警察を呼び、状況の悪化を防ぐためにも、被害者に病院に行ってもらうようにしましょう。
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この記事を監修したのは…
交通事故関係、弁護士事務所・クリニック等でのコラム執筆を数多く経験。確かな情報収集力を元に、常に正しく信頼のおける情報を「誰であっても理解できるかたちで」わかりやすく丁寧に解説していきます。
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