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交通事故から示談までの流れを簡単解説!<弁護士監修>

監修記事

五十部 紀英

弁護士

プロテクトスタンス五十部先生

交通事故に遭い被害者になってしまった時は、正しい知識でしっかりとした手順を踏まなければ、ぶつけられたあなたが損をしてしまいます。そんなときは、法律のプロである弁護士の先生に相談するのがいちばん。

「弁護士に相談するのはちょっとハードルが高いな……」そんな風に思っていませんか?

今回は交通事故において、数々の解決実績を持つ『弁護士法人プロテクトスタンス』の五十部先生に、交通事故に遭ってしまったとき、損をしないためのコツを伺い、連載形式でわかりやすくお伝えします。

連載第1回目は、意外と知らない交通事故発生から示談成立までの主な流れと、慰謝料の基準についてお答えいただきました!

交通事故発生から示談までの流れとは?

交通事故に遭うと、被害者は思っているよりも多くのことを自分一人で行わなければなりません。交通事故や保険のプロである損保会社の担当者と示談交渉をするのは、被害者であるあなたです。

交通事故発生から示談成立までの間に、忘れずにしてほしいことが5つあります。

  1. 事故発生!警察に連絡をしましょう。
  2. 保険会社に連絡をしましょう。
  3. 怪我をしていないか、病院で診断をしてもらいましょう。
  4. 通院を開始し、怪我を治しましょう。
  5. 加害者側の保険会社と示談交渉をしましょう。

順番に見ていきましょう。

1.事故発生!警察に連絡を

事故が発生したら、必ずやらなければならないのが警察への連絡です。

警察に連絡しなければ、交通事故があったことを証明できず、人身事故の扱いになりません。そのため、治療費などを請求できなくなる恐れがあります。

  • ポイント
  • 怪我人が出てしまったら救護し、119番すること。
  • 車を路肩に止めて、後続車の2次災害を防ぐこと。
  • 警察に連絡し、現場検証(実況見分)を行ってもらうこと。

ーー被害者であっても、警察に連絡をするべきですよね。しなかった場合は、示談交渉に影響したり、罪になってしまうというようなことは考えられますか?

五十部先生:
「交通事故の当事者は、警察へ通報する義務がありますので、罪になる可能性はあります。そもそも、交通事故があったこと自体を証明できなくなってしまう可能性があるので、示談交渉に影響します。

ですから、加害者が逃げてしまうような当て逃げであったとしても、被害者である自分自身は現場に残り、警察へ連絡しましょう。」

2.保険会社に連絡する

交通事故による様々な損害を賠償するのは、保険会社です。ご自身が加入している保険会社に連絡するようにしましょう。

  • ポイント
  • 自分が加入している自動車保険の損保会社に連絡し、交通事故があったことを伝える。
  • 過失割合を決めるのは、警察ではなくお互いの保険会社が決める。
  • 過失割合を決めて、過失がより多い方が加害者となる。

3.病院を受診して診断を受ける

交通事故の直後は気が動転しているため、怪我をしていても気付きにくいと言われています。

事故発生からあまりにも時間が経ってしまうと、交通事故の怪我として証明しにくくなるので、痛みがなくとも1週間以内には整形外科で診断を受けるようにしましょう。

  • ポイント
  • 交通事故直後は、怪我に気付きにくい。
  • 1週間以内に診断しておかないと、事故と怪我との因果関係を説明できない。

4.怪我だと感じたら通院を開始する

診断を受けた結果、怪我をしていたら治すために通院を開始しましょう。

  • ポイント
  • 2週間に1回は整形外科を受診する
  • 症状が良くなっていないと感じたら、転院や整骨院を併用して通院する
  • 通院を続けて治れば完治、治らない場合は症状固定となる
  • 完治(症状固定)後に治療費・交通費・休業損害・慰謝料など損害額の計算をする

5.示談交渉を開始する

相手がいる交通事故が発生した場合、それによって車が壊れたり、怪我人が出たりと、何かしらの損害が出てしまいます。この損害をお金で支払い償うことを、「損害賠償(そんがいばいしょう)」といいます。

示談とは、加害者・被害者の双方が話し合いのもと和解することをいいます。提示された損害額で問題なければ、示談書にサインをしてお金を受け取ります。

交通事故の過失割合の決め方

相手がいる交通事故が発生した場合には、必ず“過失割合”というものが発生します。

過失割合とは、「発生した交通事故に対する責任(不注意・過失)の割合」のことです。事故発生の原因の割合が大きい方を加害者、少ない方を被害者と言います。

プロテクトスタンス五十部先生3

ーー過失割合は、どのように決められているのですか?

五十部先生:
「実は、示談交渉で過失割合を決めるのは警察ではなく、双方の保険会社で、過去の事例の蓄積(※『別冊判例タイムズ 民事交通訴訟における過失相殺率の認定基準』)をもとに、話し合って決めます。

この本には、過去にあった数々の交通事故判例が類型化されて掲載されています。損保会社も弁護士も、これを参考にしています。

プロテクトスタンスでは、機械的に過失割合を判断する損保会社の主張を覆し、依頼者に有利な過失割合にした実績があります。」

加害者が被害者に支払うべき損害賠償

損害賠償には、主に3つの内訳があります。

  • 積極損害
    …治療費や通院するための交通費などの、支出が必要となるお金
  • 消極損害
    …通院のため仕事を休んだ場合の、減収額(休業損害)など交通事故に遭っていなかったらもらえたはずのお金
  • 慰謝料
    …怪我をしてしまった場合の、痛みや通院の煩わしさなど、精神的苦痛を現金に換算したお金

※詳しい損害賠償の内容については、次回の人身事故と物損事故の損害賠償金でお伝えします。

意外と知らない自動車保険の種類

さて、事故が起きてお互いの過失を相殺しなければならなくなった時、車の修理代や怪我の治療費といった多額の損害を賠償してくれるのが自動車保険です。

自動車保険は以下の2種類に分かれています。

  • 自賠責保険(じばいせきほけん)
  • 任意保険(にんいほけん)

順番に見ていきましょう。

自賠責保険とは

自賠責保険とは、法律により加入が義務付けられている強制保険のことです。

被害者を最低限保護するために作られたもので、車を購入した(運転する)誰もが加入しなければなりません。交通事故によって人を死傷させた人身事故が対象で、物損事故の場合は対象になりません。

自賠責保険(共済)は、交通事故による被害者を救済するため、加害者が負うべき経済的な負担を補てんすることにより、基本的な対人賠償を確保することを目的としており、原動機付自転車(原付)を含むすべての自動車に加入が義務付けられています。

(出典:自動車総合安全情報)

怪我なら120万円まで、死亡事故の場合は3,000万円までと限度額が決められています。

任意保険とは

任意保険は、運転者が任意で加入できる保険のことを言います。

自賠責保険で補えなかった分は、加害者が加入している任意保険で補われます。最低限の保障である自賠責保険に対して、任意保険は様々なオプションや特約があり、加入している内容によって、支払う金額が異なります。

自賠責基準と弁護士基準、慰謝料はどのくらい違う?

前に述べたとおり、慰謝料とは精神的苦痛(「体が痛い…」「通院が面倒だな…」など)を現金に換算したものです。

慰謝料の算定基準は、主に3つあります。

  • 自賠責保険基準
  • 任意保険基準
  • 弁護士基準

順を追って説明していきます。
自賠責基準の慰謝料は、1日あたり4,300円と決められています。

任意保険基準は、各損保会社によって定められています。
もしもご自身が事故に遭われた場合、、慰謝料の計算などは加入されている保険会社に確認することをおすすめします。

ーー各保険会社が定めている慰謝料の基準は、自賠責基準より高い金額ですか?

五十部先生:
「保険会社の定める自社の支払い基準(任意保険基準)は、自賠責保険基準より少し高く設定されています。

基本的には非公開とされていますが、自賠責保険の基準と、さほど変わらないラインです。」

弁護士は赤い本基準

ーーネットでよく見る慰謝料の“弁護士基準”とは、どのように決められているのですか?

五十部先生:「いわゆる、“赤い本”と言われているものです。日弁連交通事故相談センターが発行している、『民事交通事故訴訟 損害賠償額算定基準』という書籍です。」

別冊判例タイムズ

赤い本とは?

通称青本と呼ばれる「交通事故損害額算定基準」(日弁連交通事故相談センター本部)、赤い本と呼ばれる「民事交通事故訴訟 損害賠償額算定基準」(日弁連交通事故センター東京支部)は、自動車事故の損害賠償についての理解を深めるためにご活用いただける書籍です。
それぞれの編集者が裁判例の傾向等を斟酌し、損害額算定基準として公表しています。
ご参考としてご利用いただけますが、あくまでもひとつの算定基準ですので、事件ごとの異なる事情に応じて変わってくることにご留意ください。

(出典:日弁連交通事故相談センター)

ーー実際に、自賠責基準と弁護士基準とでは、どのくらい慰謝料が変わるのですか?

五十部先生:
「交通事故のケースによるので一概にはお答えできませんが、弁護士が使う赤い本基準で計算をすると、想定していた損害賠償金の約2倍になったというケースがあります。

弁護士に依頼をすると、慰謝料や逸失利益、賠償金が増額するというのを知らない方がとても多いと思いますが…」

ーー弁護士の基準の場合、慰謝料が“赤い本”を上回ることはありますか?

五十部先生:
「基本的に上回ることはありません。下回ることは、交渉の中ではあります。あとは実通院日数を基準にするのか、それとも通院した日数を基準にするのかということで示談交渉が発生することになります。

【弁護士基準】と【裁判所基準】と【赤い本基準】とはすべて同じもので、呼び方が異なるだけです。」

交通事故に強い弁護士に無料相談ができる

交通事故発生から示談成立までには、長い時間がかかります。

また、交通事故はケースにより損害賠償金が変わりますので、算定システムが複雑で、難しい専門用語も数多くあります。わからないことをそのままに、損保会社に任せきりにしてしまうと、のちに損をしてしまう恐れも……。

そんな時は“交通事故に強い”弁護士に相談することをおすすめします。

プロテクトスタンス五十部先生4

ーー弁護士の先生に相談するのは、どのタイミングがいいですか?

五十部先生:
「プロテクトスタンスでは、事故後まもなくご依頼いただく方が多数いらっしゃいます。また、そういう方ほど示談交渉を有利に進めている印象があります。

当事務所に無料相談にいらっしゃる場合は、交通事故が起きたら、すぐ依頼していただくのがよろしいかと思います。理由としては、治療や施術に対して不満を感じている方に対して通院のポイントや諸々の書類(同意書をもらっておいてください、診断書を取得してください)といったアドバイスができるからです。

交通事故の被害者(加害者も)は通院や示談、それらの手続きなど、全く初めての体験で、体の痛み以外に多大なストレスを抱えています。

『これからどうすればいいのだろう……』と、精神的なストレスが溜まります。ですから、交通事故が起きたすぐのタイミングで我々に相談してもらって、介入させてもらことをおすすめします。」

一人で悩まずに弁護士に相談してみましょう

交通事故に遭うと、思っていたよりも多くのことを自分一人でこなさなければなりません。警察や保険会社への手続き、書類への署名・捺印・提出、必要書類の取り付け、病院への通院。加害者側の保険会社との示談交渉。

そんな時は、ご自身が入っている自動車保険(火災保険・医療保険なども)の内容を確認してみましょう。

もしも【弁護士費用特約】や【弁護士特約】がオプションとしてついていた場合は、その特約を使用して弁護士に相談するのがおすすめです。

一般的に300万円までの弁護士費用を保険会社が負担してくれますので、費用を気にせず、安心して弁護士に相談できます。特約を使ったことによる(翌年の保険料が上がるといった)デメリットもありません。

次回は人身事故と物損事故の損害賠償金について、引き続きお答えいただきます。

この記事を監修したのは…

  • 五十部 紀英(いそべ としひで)先生
    弁護士法人プロテクトスタンスの代表弁護士として、多くの病院やクリニック、整骨院等の法律顧問に就任。医事法に関する専門的な研究部会に所属しており、医療法制に精通するほか、一般社団法人予防医療普及協会の顧問も務める。交通事故の示談交渉における豊富な解決実績があり、特に保険会社への対応には定評がある。
  • 経歴
    上智大学文学部国文学科 卒業
    中央大学法科大学院 修了(61期)
    2012年 前身となる法律事務所を設立
    2014年 弁護士法人として法人化
    2017年 税理士法人を設立し、代表税理士に就任
    2018年 行政書士法人を設立し、代表行政書士に就任
    2018年 スポーツマネジメント会社を設立し、代表取締役に就任
    2018年 社会保険労務士法人を設立し、代表社会保険労務士に就任
    2019年 弁理士法人を設立し、代表弁理士に就任

会社概要

  • 弁護士法人プロテクトスタンス(公式HP
    「優れた法律サービスと満足を全ての人に」という理念のもと、業界のルールや慣習から解放されたような、新しい法律事務所。テレビやラジオ出演、webサイトからのインタビュー・記事制作、ドラマ・映画・報道番組の法律監修や制作協力、書籍の執筆など、各メディアからも注目を浴びている。
  • 住所
    〒100-0006 東京都千代田区有楽町 2-10-1 東京交通会館10F
  • アクセス
    [ JR山手線・京浜東北線 ] 有楽町駅 京橋口より 徒歩 1分
    [ 東京メトロ・有楽町線 ] 有楽町駅 D8出口より 徒歩 1分

この記事を監修したのは…

弁護士法人プロテクトスタンスの代表弁護士。多くの病院や整骨院等の法律顧問に就任。医事法に関する研究部会に所属し、医療法制に精通。交通事故の示談交渉で豊富な解決実績があり、特に保険会社対応に定評がある。

この記事の執筆者

交通事故病院編集部 ライター / T.N
大学を卒業し、出版社で取材や編集業務を経験。その後、WEBメディアの執筆に転向し、事故に関する様々な知識を多くの人に届けるべく、日々邁進中。現在は、交通事故専門士の資格を取得するために勉強をしている。座右の銘は、格物究理。

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