交通事故のむちうちの治療期間と示談の流れ<弁護士監修>
監修記事
五十部 紀英
弁護士
交通事故にあい、むちうちと診断されたとき、「むちうちとはそもそもどんな症状?」「治療費は誰が払うの?」など、あらゆる疑問が出てくるはずです。
この記事を読めば、むちうちについての概要、むちうちの通院先や治療費、後遺症が残ってしまった時の後遺障害の申請の仕方や示談交渉の流れなどが分かります。
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目次
交通事故によるむちうち(頚椎捻挫)とは?
交通事故にあってしまった人の7〜8割が症状を訴えると言われる「むちうち」。
むちうちとは、交通事故による追突や衝突、急停車・急発進、スノーボードなどのスポーツによる打撃によって頚椎(首部分の骨)が損傷し、首が痛い、回らないなどの症状が起きる怪我のことをいいます。
病院では「頚椎捻挫(けいついねんざ)」「頚部挫傷(けいぶざしょう)」「外傷性頚部症候群(がいしょうせいけいぶしょうこうぐん)」などと診断され、それらを総称してむちうちといいます。
むちうちの意味は、何かしらで首に衝撃が加わったとき、その衝撃で“頚椎がムチを打った時のようにしなること”が由来として挙げられます。
参考記事交通事故で痛くないのに通院しても良い?軽い追突事故でも病院に行くべき理由
むちうちの原因とは
交通事故の予期せぬ衝撃に、首は耐えられません。何故かというと、頭は5〜6キロあり、その重い頭を首だけで支えているからです。
例えば、正面を向いて、自動車の運転席に座っているとします。唐突に、時速40〜50キロの自動車に、追突されたとしますね。体はシートベルトで固定されているのに対し、頭は追突の衝撃によって前に押し出されます。
このように、首に大きな負担がかかることによって、頚椎がしなり、炎症を起こすのです。
むちうちの痛みはあとから出てくる?
また、むちうちは、交通事故後やスポーツでの打撃直後ではなく、時間が経ってから痛みが出てくることもあります。
交通事故直後の場合、精神的に興奮しているために、痛みに鈍くなっている場合があります。そのため、物損事故で処理をした後で疼痛が出たり、めまいや吐き気が出ることは珍しくありません。
万が一まだ病院にいっていなければ、症状が出ていなくても、速やかに医師に診断してもらうことをおすすめします。
関連記事むちうちは症状が出るまで数日かかる?痛みがあとから出る理由とは
むちうちの代表的な症状と種類
ひとくちにむちうちといっても、実に様々な症状があります。代表的な症状としては、疼痛(とうつう)といわれている、首や肩の痛み。
その他にも、頭痛や腰痛、めまい、吐き気、しびれが起きることもあります。交通事故の直後、布団から起き上がるのも辛いなどの倦怠感を覚えたり、気持ち悪いと吐き気がするならば、むちうちの可能性を疑ってもいいかもしれません。
むちうちは5つに分類できる
むちうちは、主に以下の5つに分類されます。それぞれの症状を併発する方もいます。
- 頚椎捻挫型
- 神経根症状型
- バレー・ルー症候群型
- 脊髄症状型
- 脳髄液減少症
①頚椎捻挫型
首の急性外傷。頚椎周りの軟部組織(筋肉や靭帯など)が損傷されたもの。むちうちの中で、もっとも多く、全体の70〜80%の方がなると言われています。主な症状としては、首を動かしたときに怒る首の痛みや肩の痛みがほとんどで、首を伸ばすと痛くなります。
②神経根症状型
頚椎に歪みが生じると、神経の通り道が狭くなり、頚椎からでる神経が圧迫されます。それによって、首の痛みや運動制限、腕の痛みやしびれ、だるさ、後頭部の痛みや顔面痛などが現れるます。
③バレ・ルー症候群型
後部交感神経が損傷し、脳や脊髄への血流が低下。そ俺によって交感神経が過度に緊張を起こし、自律神経のバランスが崩れる。主に頭痛やめまい、吐き気や耳鳴りといった、自律神経失調症とほとんど似ている症状が現れます。
④脊髄症状型
脊髄損傷のこと。むちうちの中で、重度なケース。頚椎の脊柱管が傷ついたり、歌詞に伸びている神経が損傷されたりしたものです。下肢のしびれや知覚異常が起き、歩行障害が現れます。最終的には、麻痺症状が現れる可能性もあります。
⑤脳脊髄液減少症
脳髄液が脳髄液腔から漏れ、さまざまな症状が出ます。慢性的な頭痛や首の痛み、めまい、耳鳴り、聴覚障害、吐き気や視力低下、全身の倦怠感などです。
関連記事むちうちはどんな痛み?いつ治る?腰に痛みが出ることも
むちうちの通院先と治療期間は?
交通事故にあってしまった多くの方が悩む、むちうち。
むちうちの通院先は主に2つあり、整形外科などの病院、もしくは整骨院や接骨院となります。整形外科と整骨院の違いについて簡単にまとめました。
交通事故によるむちうちの通院先2つ
交通事故で怪我をしてしまった場合、自賠責保険を適用し通院できる場所は以下の2つです。
- 整形外科や総合病院
- 整骨院(接骨院)
交通事故による怪我の治療は、医師による診断書が必須となります。まずは整形外科を受診し、自分がどんな状態であるか診断を受けることをおすすめします。
整形外科と整骨院の違い
整形外科や整骨院は、そもそも所有する国家資格が異なります。また、施術・治療内容も異なります。余談ですが、整骨院と接骨院は呼び方が違うだけで、所有免許や施術の内容は同じです。
- 整形外科:国家資格である医師免許の所有者が開業。
- 整骨院(接骨院):国家資格である柔道整復師免許の所有者が開業。
- 鍼灸院:国家資格であるはり師・灸師の資格の所有者が開業。総称して鍼灸師(しんきゅうし)という。
また、整体院やマッサージ店は民間資格所有者や無資格の場合も開業できる施設で、リラクゼーションが目的となるため、自賠責保険を適用した交通事故の施術を受けられません。
関連記事整骨院と病院は併用できる? 整骨院への通院で気になるポイント3つ
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むちうちの治療期間
むちうちの治療期間は、1〜3ヶ月が一般的です。
3ヶ月前後で、加害者側の保険会社から“治療費の打ち切り”を打診されることもあります。症状がひどい場合であっても、6ヶ月〜1年くらいで「症状固定(しょうじょうこてい)」とされることがほとんどです。
症状固定とは、被害者が懸命に治療を続けたのにも関わらず、医師が「これ以上、治療を続けても、症状がよくならない」と判断し、症状が治っていなかったり、何かしらの障害が残ってしまった状態をさします。
関連記事むちうちの症状が続く期間は?痛みが引かないときの対処法と休業損害
むちうちの治療費や施術費用は誰が払う?
後述しますが、交通事故にあったときには、どちらが加害者で被害者なのかを明らかにしなければなりません。被害者と加害者、どちらにどれだけ責任があるのかの割合を「過失割合(かしつわりあい)」といいます。
治療費を支払うのは加害者側の保険会社
被害者として怪我をした場合には、治療費や通院にかかる交通費は、全て加害者側の保険会社が支払うことになっています。
交通事故が起きた場合、被害者が示談交渉する相手は、加害者ではなく加害者側の保険会社になります。
被害者の治療費は決められた範囲内で規律を守り、加害者側の保険会社へ請求することになります。
むちうちで慰謝料は支払われる?
交通事故の被害者は加害者に慰謝料を請求することができます。
そもそも慰謝料とは、被害者の精神的苦痛を現金に換算したもので、人身事故の場合のみ請求できる賠償金です。
物損事故の場合、加害者に慰謝料を請求することができません。
交通事故の慰謝料には、以下のような2つのものがあります。
- 入通院慰謝料
損害慰謝料は、完治・症状固定後に請求できる慰謝料のこと - 後遺障害慰謝料
症状固定後、後遺症認定された場合に請求できる慰謝料のこと
交通事故の損害賠償の内訳
慰謝料とは、損害賠償のうちの1つです。
そもそも損害賠償とは、交通事故の被害者が事故の加害者に損害の賠償を請求することをいいます。交通事故の被害者は、慰謝料の他にも加害者に請求できる損害賠償があります。
慰謝料の他に、交通事故の被害者が加害者に請求できる損害賠償は、以下の通り。
- 積極損害
入院費、治療費、付添看護料、通院に使う交通費、入院するための雑費など - 消極損害
休業損害、逸失利益など、得られるはずの収入が得られなくなったときの金額
このように、被害者が加害者へ請求できる損害賠償には、慰謝料だけではないのです。
むちうちの後遺症が残ってしまったら?
懸命に治療を続けたのにも関わらず、交通事故によって何かしらの症状が残ってしまい(症状固定)、今後もその症状と向き合っていかなくてはならない状態のこと後遺症といいます。
後遺症が残ってしまった場合には、保険会社に症状固定後の治療費を請求することはできません。
しかし、後遺障害の認定を受ければ、今後の治療費を含めた「後遺障害慰謝料」を請求することができます。
後遺障害等級認定の手続き方法
後遺障害慰謝料を請求するには、後遺障害等級認定で後遺障害の等級が認められなければなりません。
後遺障害等級認定の手続き方法は2種類あり、「事前認定」または「被害者請求」のどちらかを選ぶことができます。
事前認定は、後遺障害等級認定の手続きを加害者側の保険会社に全て任せる方法です。一方、被害者請求の場合、被害者自身で後遺障害等級認定の手続きを進めていく方法です。
後遺障害慰謝料は、以下のように等級ごとで金額が決められています。
関連記事むちうちが後遺症に?首の痛みを残さないためにできる事とは
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交通事故の示談交渉の流れ
示談とは?
交通事故の被害者は、加害者へ損害賠償を請求できます。交通事故が起きた場合に、加害者と被害者が過失割合(どちらにどれくらいの責任があるのかの割合)や損害賠償額などについて話し合うことを示談交渉といいます。話し合いをして、双方納得した状態で和解することを目的とします。
示談交渉の流れ
示談交渉は、以下の流れに沿って進めます。
万が一後遺症が残り、申請したにも関わらず認定されなければ、「異議申し立て」という手続きもできます。
後遺症が残らず怪我が完治(治癒)した場合
- 交通事故発生
- 治療(通院)
- 完治(治癒)
- 示談交渉
- 示談成立
- 示談金の支払い
怪我が治らず症状が残ってしまい、後遺障害等級認定をする場合
- 交通事故発生
- 治療(通院)
- 症状固定
- 後遺障害等級認定
- 示談交渉
- 示談成立
- 示談金の支払い
示談の必要書類と示談金の受け取り
損害賠償金(示談金)の支払いは、示談成立後すぐ行われる訳ではありません。
示談金は、示談成立後に「示談書」を作成してからになります。
加害者側の保険会社と直接やりとりをするのであれば、示談書を作成し保険会社に送付してから2週間前後に振り込まれるのが一般的です。
POINT
示談書とは?
事故の内容(発生日時、場所など)と和解条件(損害賠償の金額)を記した書類。
当事者双方が署名・捺印することで合意したとみなす。
示談金受け取りまでの流れ
- 示談書(免責証書ともいう)を作成
- 署名・押印
- 保険会社へ返送
※示談書は、加害者側の保険会社からもらうもの。各保険会社に雛形があります - 示談金の振込(示談書作成から2週間前後)
交通事故のむちうちの治療期間と示談までの流れ
交通事故でむちうちの症状を自覚した場合は、まずは医師の診断を受け、診断書を取得しましょう。
一般的にむちうちの治療期間は、1ヶ月から3ヶ月です。整形外科と整骨院との併用通院も選択できるので、症状や生活スタイルにあわせて検討しましょう。
治療が終了したら示談の流れになります。加害者側の保険会社との示談交渉の上、示談が成立すると、示談書が作成されます。示談金の受け取りはそのあとです。
むちうちに悩むあなたが、1日も早く痛みや不安から解放されることを願っています。
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この記事を監修したのは…
弁護士法人プロテクトスタンスの代表弁護士。多くの病院や整骨院等の法律顧問に就任。医事法に関する研究部会に所属し、医療法制に精通。交通事故の示談交渉で豊富な解決実績があり、特に保険会社対応に定評がある。
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