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交通事故発生時の対応マニュアル<現場対応〜通院・手続きまで>

監修記事

柿野 俊弥

理学療法士

交通事故発生時は、予期せぬ事態のため慌ててしまうかもしれません。しかし、現場での対応や怪我への対応は、その後の状況や手続きに影響する可能性があるため、きちんとした対応をとる必要があります。

そこで、いざ交通事故にあった場合に、冷静かつ適切に対応できるよう、交通事故発生時にすべきことを「対応マニュアル」にまとめました。交通事故現場での対応から通院・手続きまでの流れを解説しています。

また、被害者と加害者の立場それぞれで注意すべきことも解説しているので、ぜひ参考にしてください。

交通事故発生時の対応マニュアル

事故車2

交通事故を起こしてしまった場合、何をすべきか分からない方は多いのではないでしょうか。
交通事故発生時に対応すべきことは、主に下記11つが挙げられます。

  1. 負傷者を救護する
  2. 危険防止を行う
  3. 警察へ連絡する
  4. 相手の連絡先を確保する
  5. 目撃者を確保する
  6. 事故現場の保存
  7. 保険会社に連絡する
  8. 病院へ行く
  9. 人身事故に切り替える
  10. 整骨院など通院先の検討
  11. 通院して治療する

ではさっそく、見ていきましょう。

1.負傷者を救護する

事故救急車

人身事故で自身が加害者の場合、まずは負傷者の状態を確認し、安全な場所へ移動させます。
そしてすぐに「119番」で救急車を呼びましょう。負傷者を動かせない場合は後続車に注意を促し、二次災害を防ぎましょう。

ドライバーは、道路交通法によって救護義務が課せられています。負傷者を放っておくことは、道路交通法違反となります。

2.危険防止を行う

負傷者の安全を確保したら、事故車などを路肩へ避けましょう。こちらも二次災害を防ぐために、三角板を立てるなどして、後続車へ事故を知らせるようにすることが大切です。

3.警察へ連絡する

警察の車

交通事故の場合、加害者は警察への連絡と届け出が義務になります。どんなに軽い追突事故であっても、必ず警察へ届け出るようにしてください。

しっかりと事故についての実況見分を行っておかないと、あとで厄介なことになる可能性もあります。警察へ事故当時の状況説明をしておくと、被害者との揉め事を回避することにもつながるため、必ず届け出ましょう。

4.相手の連絡先を確認する

免許証1

気が動転していたところ、いつの間にか被害者が救急車で運ばれていき、名前も知らないなんてことも多々あります。そうなると、お見舞いや謝罪が遅れて「誠意が見えない」と言われてしまうでしょう。

心証が悪くなると、トラブルに発展する可能性もあるので、しっかりと相手の連絡先を聞いておくことが大切です。また、その際に、自分の情報を開示することも忘れてはいけません。

5.目撃者の連絡先を確認する

交通事故を起こした時、周りに目撃者がいればその人の住所や名前も聞いておきましょう。警察が来るまで、その場で待っていてもらう方が良いですが、忙しい人などは後で警察から連絡してもらうようにします。

複雑な事故の場合は、目撃証言が必要になることがあります。たとえば、加害者と被害者の言い分が異なる場合です。加害者と被害者は事故の記憶が曖昧になっていることもあるので、話が食い違うことも少なくありません。そこで、客観的な証言ができる目撃者が必要になるのです。

6.事故現場の保存

住宅と車

事故現場の保存も、加害者と被害者の言い分が異なる場合に、大切な証拠を確保する意味合いで重要です。ブレーキ痕や車の傷、負傷者の傷など、写真で残せるものは残しておくとよいでしょう。

できる限り、被害者とのやりとりや警察とのやりとりなども記録に残しておいてください。記録には、携帯の録音機能やカメラ、動画などを使うとよいです。

7.保険会社に連絡する

交通事故を起こした場合は、保険会社への連絡も必須です。警察に連絡をしてから、現場に駆け付けるまでには、時間がかかることがあります。その間に、保険会社へ電話を入れましょう。

保険会社によってはすぐに担当者が駆けつけ、さまざまな手続きのアドバイスを受けられます。

8.病院へ行く

交通事故の当事者は、加害者・被害者問わず病院を受診することが大切です。心身の健康を最優先に考え、痛いところがなくても診てもらうようにしましょう。

交通事故後、痛みがなくても病院に行くべき理由

▲交通事故後、痛みがなくても病院に行くべき理由

事故直後は興奮状態で、怪我をしていても気づかないことがあります。後々痛みを感じても「交通事故との因果関係を証明できない」と言われてしまうことがあるので注意が必要です。

また、因果関係の証明や手続きに必要になる「診断書」も発行してもらうことも大切です。

弁護士監修交通事故で診断書を取得するべき理由とは?提出先や期限も解説

9.人身事故に切り替える

物損事故から人身事故へ切り替える手順・流れ

▲物損事故から人身事故へ切り替える流れ

交通事故の後すぐには症状がなかったが、少し時間が経ってから症状が出てくるケースは珍しくありません。もし、物損事故での処理に合意してしまっていた場合は、きちんと手順を踏むことで、人身事故での処理に切り替えることができます。具体的な手順は次のとおりです。

  1. 整形外科に行って「診断書」をもらう
  2. 加害者側の保険会社に連絡しておく
  3. 事故現場を管轄している警察署にあらかじめ連絡を入れる
  4. 警察署の交通捜査係に届け出て手続きをする

詳しくは、下記で解説しているのでぜひ参考にしてください。

関連記事人身か物損かは誰が決める?加害者が物損で済ませたい理由や切り替えのメリット

10.整骨院など通院先の検討

交通事故通院における整形外科と整骨院の治療内容の違い

▲交通事故通院の病院と整骨院の治療内容の違い

交通事故の後は、交通事故を起こした場所の近くの病院を受診するでしょう。しかし、通院先としては遠い場合もあります。

そこで、より通いやすい近隣の病院や整骨院など、怪我の状態に合わせた通院先の検討が必要です。交通事故による怪我は治癒までに長期間かかることも少なくないため、継続しやすい通院先を選びましょう。

医師監修近くの病院に転院したい!手続きや紹介状の書いてもらい方を解説

11.通院して治療する

怪我の状態や痛みに合わせて病院に通院し、治療を進めていきます。必要に応じて、整骨院への通院も併用しながら、症状の緩和を目指すのも有効な方法です。

交通事故の怪我で整骨院と整形外科を併用通院する為のステップ

▲交通事故の怪我で整骨院と整形外科を併用通院する為のステップ

交通事故でよく発生する、むちうちなどに対して、整骨院は徒手で原因を探りながら関節や筋肉にアプローチし、症状を改善していくことを得意としています。

関連記事むちうちで整骨院に通院していい?いつから通えるかや施術も解説!

交通事故の被害者と加害者が注意すべきこと

交通事故の発生後、被害者と加害者が注意すべき点があります。ここでは、加害者と被害者に分けて解説します。

被害者の場合

被害者と加害者とだけで示談をするべきではありません。保険会社を通して、対応を進めていくようにしましょう。

過失割合や保険の手続きをはじめ、怪我を負った場合はその治療費や慰謝料にも関わってきます。当事者同士が納得のいく和解をするためにも、焦らず対処するようにしましょう。

過失割合とは?

▲過失割合とは?

加害者の場合

交通事故の加害者は、警察への報告が義務付けられています。報告を怠ると、3ヶ月以下の懲役または、5万円以下の罰金になります。

また、被害者を放って行ってしまうと、ひき逃げと救護措置違反になります。こうなると、免許取消、5年以下の懲役または50万円以下の罰金になります。場合によっては、数年間は免許を持てなくなることもあります。

交通事故の示談交渉について

交通事故の示談交渉とは交通事故の加害者と被害者が和解の為に行う話合いのこと

▲交通事故の示談交渉とは

被害者の怪我が落ち着いてきたら、示談交渉を行います。示談交渉では、被害者に支払う損害賠償額を話し合いで決めていきます。

交通事故の損害賠償の内訳

▲交通事故の損害賠償の内訳

損害賠償とは、損害を受けた被害者に対して、加害者が金銭で埋め合わせをすることをいいます。交通事故の損害賠償は、以下の3種類のものがあります。

  • 積極損害:治療費、診察費、通院交通費、器具・装具の購入費など
  • 消極損害:休業損害逸失利益
  • 慰謝料:入通院慰謝料後遺障害慰謝料

弁護士監修物損事故と人身事故の損害賠償の違いとは?

交通事故発生時の対応マニュアルまとめ

交通事故発生時の対応は、被害者とのトラブルを避ける意味でも非常に重要です。

交通事故を起こしてしまうと、誰しもが動揺してしまいますが、本記事でご紹介したマニュアルの流れに沿って、落ち着いて対処するようにしましょう。

この記事を監修したのは…

理学療法士として、回復期病院で脳血管疾患を中心にリハビリテーションを経験。その後、フリーライターに転向。医療・健康分野をはじめ、地域・観光、転職関連などの幅広いジャンルの執筆を行っている。

この記事の執筆者

理学療法士 / 柿野 俊弥
理学療法士として、回復期病院で脳血管疾患を中心にリハビリテーションを経験。その後、フリーライターに転向。医療・健康分野をはじめ、地域・観光、転職関連などの幅広いジャンルの執筆を行っている。

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