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交通事故で手足がしびれる | 原因や治療方法、後遺障害について解説

監修記事

世良 泰

医師(整形外科他)

交通事故では身体へ想像以上の強い衝撃が身体へ加わります。筋や靭帯、関節に負担がかかることに加え、脳や脊髄、末梢神経などの神経系も障害される可能性があります。

神経系が障害されると手足のしびれが生じ、長期化する可能性があります。そのため、しびれがある場合にはその原因を明らかにし、適切な治療を受けることが重要です。

この記事では手足のしびれの原因や治療方法などについて解説していきます。

手足のしびれで考えられる原因

手足のしびれで考えられる原因

手足に生じるしびれには力が入りにくくなるような運動麻痺とジンジンするような感覚異常の2種類あります。

また両方が同時に生じることもあります。運動麻痺は脳から手足を動かすように命令を伝える運動神経の経路に何かしらの問題が生じることでしびれが生じます。

感覚異常は逆に手足から脳に感覚を伝える感覚神経の経路に何かしらの問題が生じることでジンジンするようなしびれが生じます。

しびれの原因には脳、脊髄、末梢神経、内科的疾患の4つがあります。脳出血や脳梗塞といった脳の血管の異常や外傷性脳損傷や脳腫瘍によって運動神経や感覚神経が障害されます。

また、椎間板ヘルニアのように頸の脊髄から出る神経が圧迫されることで手のしびれ、腰の脊髄から出る神経が圧迫されることで足のしびれが生じます。

糖尿病では細い血管の動脈硬化を引き起すことがあり、神経に栄養が行き渡らなくなりしびれのような神経障害が出現します。

このように、手足のしびれはさまざまな原因が考えられますが、今回は交通事故後に考えられる原因の中から5つの原因を紹介します。

むちうち

むちうちは頚椎捻挫や外傷性頚部症候群などと呼ばれ、交通事故などの強い衝撃で頭が大きく揺さぶられることによって首に負担がかかり、痛みや不調が生じます。

むちうち発生のメカニズム

▲むちうち発生のメカニズム

首周囲の筋肉が損傷されることで筋の伸張性や弾力性が低下し筋肉の間を通る神経を圧迫したり、首の神経自体が損傷されたりすることでしびれが生じます。

受傷直後には症状が軽度であっても徐々に症状が強く出てくる可能性もあるため注意が必要です。

関連記事むちうちとは?原因から症状・治療法や慰謝料まで徹底解説!

外傷性脳損傷

交通事故などによって頭に大きな衝撃が加わると、脳が損傷し出血が生じる可能性があります。

脳の損傷や出血による脳の圧迫によって脳の働きが障害され、半身の運動麻痺や感覚障害、目の障害、構音障害、嚥下障害、高次脳機能障害、手足のしびれなどの症状が生じます。

脳の画像検査などに異常がない場合でも数日から数週間経って重い症状や長引く症状が現れることもあるため注意が必要です。

胸郭出口症候群

首から出る神経は首の筋肉の間や鎖骨、肋骨、胸の筋肉の間を通って腕の神経となります。

この首から腕にかけての神経の通り道を胸郭出口といいます。この胸郭出口には神経と血管が通っており、これらが通り道のどこかで圧迫されることで腕のしびれなどの症状が出現します。

圧迫される部位によって斜角筋症候群、肋鎖症候群、小胸筋症候群と分類され、これらを総称して胸郭出口症候群といいます。

椎間板ヘルニア

背骨の骨と骨の間には椎間板があります。この椎間板はクッションのような役割をしており、椎間板があることで背骨はしなやかな動きが可能となります。

この椎間板は中心にある髄核というゼリー状の塊とそれを覆う線維輪からなっています。

椎間板に圧迫されるような刺激が加わるとこの髄核が線維輪を突き破って神経根という脊髄から手足に伸びる神経の根本を圧迫します。

これを椎間板ヘルニアといい、首から出る神経が圧迫されると手のしびれ、腰から出る神経が圧迫されると足のしびれが出現します。

脊髄損傷

脊髄は脳から背骨の中を通り骨盤へ伸びている神経細胞です。

この脊髄から8対の頚神経、12対の胸神経、5対の腰神経、5対の仙骨神経、1対の尾骨神経の合計31対の神経が枝分かれして手足へと伸びていき、手足の運動や感覚をコントロールしています。

この脊髄が交通事故やスポーツなどで大きな衝撃を受けることで損傷することを脊髄損傷といいます。脊髄が枝分かれして手足の神経となるため、大元の脊髄が損傷されることで手足にしびれの症状が出現します。

事故後にしびれを感じた場合はすぐに病院へ

交通事故に遭った直後に手足にしびれを感じた場合はすぐに整形外科などの病院を受診する必要があります。

しびれは神経に何かしらの異常をきたしている症状であり、適切な治療を行わないと症状が後遺症として残ってしまう可能性があります。

交通事故の場合は通常の怪我と手続きが異なり、加害者側に損害賠償や慰謝料を請求することができます。

そのためには交通事故と今ある症状の因果関係を証明しなければならず、医師による診断書が必要となります。

しかし、交通事故に遭ってから一定期間が経過してから診断しても症状と事故との因果関係を証明することが難しい可能性もあるため、すぐに病院を受診し医師の診断を受けましょう。

関連記事むちうちによるしびれの原因は?後遺症が残った時の対処法も解説

治療方法

交通事故後の整形外科受診は①検査(レントゲン・MRI)②診断書の発行③痛み止めや湿布の処方等ができる

▲交通事故後の整形外科受診

交通事故に遭いむちうちを患った場合、目立った外傷がなく症状が軽くてもまずは整形外科などの病院を受診しましょう。

数日後や数週間後になって症状が出現したり、重篤な症状が出現する可能性があります。病院では投薬治療と理学療法士による運動指導などのリハビリを受けることができます。

また、むちうちの症状は長期化する可能性があり、治療をしっかりと継続する必要があります。

そのため、夜遅い時間や休日にも通うことができ交通事故の施術を専門としている整骨院などに通院することも可能です。ご自身のライフスタイルに合わせて通院を継続することが重要です。

交通事故治療で整骨院に通うメリット(営業時間が長い・土日祝日も通える・予約可能)

▲交通事故治療で整骨院に通うメリット

しびれが続く場合は後遺障害等級申請を検討

治療を継続してもしびれなどの症状が後遺症として残ってしまうことも多くあります

後遺症がある場合は後遺障害の等級認定を申請して認められれば等級に応じて補償を受けることができます。

後遺障害認定の条件5つ

▲後遺障害認定の条件5つ

後遺障害等級とは事故による怪我で身体に残った後遺症の症状に応じて1〜14の等級に分類したものです。むちうちの場合は一般的には12級や14級で認定されることが多くなっています。

むちうちの後遺障害等級の詳細や慰謝料の目安などは下記の記事で解説しています。

関連記事むちうちを後遺症にしない|症状や治療と後遺障害認定・慰謝料も解説

この後遺障害等級認定を受けるためには、交通事故と症状の因果関係が証明できること、症状が残っているがこれ以上治療を行っても治療効果が期待できないとされる「 症状固定」を医師が判断すること、症状がレントゲンMRIなどによって医学的に証明または説明できること、しっかりと治療を継続してきたことなどが重要です。

そのため、最初に病院で医師の診断を受けていなかったり途中で治療を中断したりした場合は認められにくくなります。また、医師による後遺障害診断書が必ず申請には必要になります。

後遺障害診断書とは?

▲後遺障害診断書とは?

関連記事むちうちで後遺障害認定を受けられる確率は?認定率を高める対策も解説

しびれ・むちうちの受診で不安があるなら相談を

今回は事故による手足のしびれの原因や治療方法、後遺障害等級申請について解説してきました。

しびれは神経に何かしらの障害が生じているため、適切な治療が必要です。事故直後は症状が軽度でも徐々に症状が悪化することがありますので、まずは医療機関を受診して適切な診断と治療を受けることが重要です。

この記事を監修したのは…

慶應義塾大学医学部卒。初期研修後、市中病院にて内科、整形外科の診療や地域の運動療法指導などを行う。スポーツ医学の臨床、教育、研究を行いながら、プロスポーツや高校大学、社会人チームのチームドクターおよび競技団体の医事委員として活動。運動やスポーツ医学を通じて、老若男女多くの人々が健康で豊かな生活が送れるように、診療だけでなくスポーツ医学に関するコンサルティングや施設の医療体制整備など幅広く活動している。「健康を通じて人々の夢や日常を応援すること」をミッションに2024年6月に池尻大橋せらクリニックを開院。

池尻大橋せらクリニックHP
https://sera-clinic.com/

日本整形外科学会専門医
日本内科学会認定内科医
公衆衛生学修士
International Olympic Committee Diploma in Sports Medicine
日本スポーツ協会公認スポーツドクター
日本医師会認定健康スポーツ医
日本整形外科学会認定スポーツ医
日本障がい者スポーツ協会公認障がい者スポーツ医
Performance Enhancement Specialist (National Academy of Sports Medicine)
Corrective Exercise Specialist (National Academy of Sports Medicine)
日本医師会認定産業医
ロコモアドバイスドクター

TWOLAPSチームドクター(陸上)
LADORĒメディカルアドバイザー
日本陸上連盟医事委員

AuB株式会社 顧問ドクター
株式会社富士急ハイランド 医療顧問
株式会社リハサク メディカルアドバイザー

この記事の執筆者

理学療法士 / 河野 裕也
国家資格である理学療法士として、約10年間整形外科クリニックで一般の患者様からスポーツ選手の身体のケアに携わり、その後理学療法士の養成校の教員として身体の仕組み、治療技術などについて学生に講義を行っています。早稲田大学大学院スポーツ科学研究科にて修士取得。

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