傷害保険の通院日数の数え方とは?正確な計算方法を解説!
監修記事
鍋谷 萌子
ビジネス実務法務検定3級
「傷害保険」は、怪我をしたときなどに支払われる保険のことをいいます。この傷害保険を受け取ることで、経済的な心配をすることなく(あるいは経済的な心配を軽減して)治療に専念できます。
ここではこの「傷害保険」を取り上げて、
- そもそも傷害保険とは何か
- 傷害保険の日数の数え方
- 通院先が複数ある場合はどうするか
- 傷害保険を受給するうえで知っておきたいポイント
について解説します。
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目次
そもそも傷害保険とは
まず、「そもそも傷害保険とは何か」について解説します。
日本では「国民皆保険」の考え方から、怪我をしても、0割~3割の自己負担だけで治療を受けることができます。しかし大きな怪我などをした場合は、当然治療費がかさみます。
傷害保険とは、「偶発的で、急激な外来の事故によって怪我を負った場合に支払われる保険」をいいます。思いがけない怪我などで入院してしまったときも、この傷害保険に入っていれば、治療期間の日数に応じて支払いが行われます。
そのため、この傷害保険に加入しておくことで、偶発的な怪我などをした場合でも、治療費や生活費の負担をすることなく(あるいはそれを軽減して)治療を受けることができます。
保険価額が存在しない
保険には、「保健価額」という考え方があります。これは、「被害を受けたものの価値を、金銭に換算した場合の額」をいいます。たとえば新築の2,500万円の家が損なわれた場合、その保険価額は2,500万円ということになります。
しかし人の体はかけがえのないものであり、このような価格が存在しません。傷害保険の場合には、「保険価額」という考え方はせず、契約時に定めた金額がそのまま支払われることになります。
保険金は定額払い
上記とも関連しますが、傷害保険の場合は、「対象となる事物(=上記の『家』や『人』)」が損なわれた程度」によって支払金額が決まるわけではありません。
傷害保険の場合は、保険を契約したときの金額が定額で支払われます。
ちなみに傷害保険は、ほかの保険(生命保険など)に加入していた場合でも、減額あるいはなしになることはなく、そのすべてで支払いを受けられます。
また複数の傷害保険に加入していた場合は、それぞれ別個の支払いを受けることができます。
関連記事自賠責保険は使うとどうなる?任意保険との併用や手続き方法を解説
傷害保険での通院日数の数え方は「行った日数」が基本
ここからは、より細かく、「傷害保険が支払われるときの基準」について解説します。
傷害保険の金額を決める重要な要素は、「通院日数」です。傷害保険の場合は「何日間にわたって通院が必要になったか」によって、支払われる金額が大きく異なります。
またこれを考えるうえでは、「限度日数とは何か」「診断書の必要性の有無」「1日のうちに、違う病院に通った場合はどのようになるか」も知っておかなければなりません。
- 傷害保険の限度日数とその目安
- 通院日数が少ない場合、診断書は必要か不要か
- 1日の間に複数の病院に通った場合はどう判断されるか
それぞれ見ていきましょう。
限度日数に注意が必要
傷害保険に加入する場合は、「その傷害保険の『限度日数』は何日か」をしっかり確認しなければなりません。
この「限度日数」とは、「たとえ通院する日が多くなっても、一定の限度を超えた場合は傷害保険の支払い対象としません」という考え方です。限度日数が30日とされていた場合、31日を超えて通院をしていた場合、31日目からはお金が支払われないのです。
なお比較的よく見られるプランとしては、「事故が起きてから180日以内の通院であり、90日を限度とする」というものです。
POINT
見直しを行っているところもみられる
ただし現在は「限度日数を30日にする」などの見直しを行っているところもみられるので、確認をした方がよいでしょう(※事故起算日から3年程度までをカバーするものもあります)
傷害保険の通院日数が少ないと診断書は不要
保険などの支払いには、しばしば「診断書」が必要とされます。診断書とは、その人が患った怪我や病気などについて記した書類です。傷害保険の交付にも、この診断書を提示することが原則として必要になります。
ただ、診断書はその発行に2,000円~10,000円程度の費用がかかります。そのため、保険の支払額が10万円を切る場合は、これの提出を求めないケースもよく見られます。
弁護士監修交通事故で診断書を取得するべき理由とは?提出先や期限も解説
傷害保険で通院先が複数ある場合の通院日数の数え方
傷害保険は、「複数の病院に同じ日に通っても、傷害保険の対象となるのは1日だけである」という原則があります。
傷害保険の場合、「病院に通った日数分の金額」が支払われることになります。つまり、20日間病院に通ったのであれば20日分の、10日間病院に通ったのであれば10日分の支払いが行われます。
このような仕組みを取るため、「21日に、整形外科A病院と、眼科B病院に通った」という場合は、支払われる傷害保険は1日分に限られます。同じ日に違う病院に行ったとしても、支払額が2倍になることはないのです。
ただし、「A病院に21日~30日まで通い、B病院に31日~7日まで通った」という場合は、「通った日」が異なるため、18日分の傷害保険が支払われます。
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傷害保険で通院日数に関して知っておきたいポイント
ここからは、傷害保険の通院日数に関する「知っておきたいポイント」について解説します。
傷害保険選びを行うときの参考にしてください。
ギプスは通院期間に該当する
「骨を折ってしまい、ギブスを装着して治療していくことになった」というケースは、それほど珍しくありません。
ギブスは、装着する日こそ病院に行かなければならないものですが、それ以外の日は通院する必要がありません。「傷害保険は、通院した日を計算の基準とする」という考えに基づけば、ギブス期間中は傷害保険の対象にならないと考えられます。
しかし2013年からは、「ギブスを装着している期間は、『通院しているもの』としてみなす」とされるようになりました。そのため2022年現在では、ギブスをして治療している期間は通院日数に換算されます。
70歳以上はプランを確認する
人間は、年を取れば年をとるほど、怪我からの回復が遅くなってしまいます。同じ程度の受傷であっても、怪我から回復するまでの期間が長く、その分通院日数も多くなりがちです。
このような状況にあって、ご高齢の方々に若い方々と同じだけの支払いをしようとすると、保険会社は非常に大きな負担をかかえることになります。そのため現在は多くの保険会社で、「ご高齢(70歳以上)の方々には別のプランを用意して、限度日数を短くとる」「通院日数で換算するのではなく、一時金のみの支払いとする」としています。
ご高齢で傷害保険に加入するのであれば、このあたりもしっかり見ておかなければなりません。
支払いを受けられないケースがある
傷害保険は、「どのような怪我であっても、お金が支払われるもの」ではありません。
本人がわざと怪我をしたり、本人に重大な過失(電車の踏切が警告音を立てているにも関わらず、踏切に侵入したなど)がある状況で怪我をしたりした場合は、傷害保険の対象とはされません。
ちなみに山登りによる怪我などの場合は、事前に特約の追加保険料を支払うことでカバーされることもあります。
関連記事交通事故で同乗者がむちうちに|助手席に乗っていた際の治療費や慰謝料を解説
傷害保険の通院日数は正しく数えよう
傷害保険は一時金というかたちで支払われることもありますが、算出の基本となるのは「通院日数」です。そのため、これをきちんと数えなければなりません。
また傷害保険は、その提供会社やプランによって内容に違いがあります。契約する前にきちんと内容を確認して、自分に合ったものかどうかを確認しましょう。特に70歳以上の場合は契約内容に違いがみられることも多いため、しっかり見ておく必要があります。
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この記事を監修したのは…
交通事故関係、弁護士事務所・クリニック等でのコラム執筆を数多く経験。確かな情報収集力を元に、常に正しく信頼のおける情報を「誰であっても理解できるかたちで」わかりやすく丁寧に解説していきます。
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