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雨の日にむちうちの症状が悪化する理由は?自宅でできる対処法や予防について解説

監修記事

河野 裕也

理学療法士

多くの方が「むちうち」に悩まされていることでしょう。交通事故によって首に損傷を受けた場合、首の痛みやめまい、吐き気などの症状が現れることがあります。特に雨の日には症状が悪化することが多く、生活に支障をきたすことも少なくありません。

本記事では、交通事故によるむちうちの症状が雨の日に悪化する理由や、首の痛み、めまい、吐き気などの症状について紹介します。また、具体的な対処法についても紹介するため、うまく症状を悪化させないように過ごしましょう。

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むちうちの症状が雨の日に悪化する原因

交通事故では強い衝撃により頭が揺さぶられることで首に大きな負荷がかかり痛みやだるさなどのいわゆる「むちうち」の症状が出てくることが多いです。

この「むちうち」は雨の日に調子が悪くなるというような天気による影響を受けることが多くあります。気圧や気温、湿度の変化など天気の影響で身体の不調を起こすことを「気象病」といいます。

むちうちを患うとこの気象病の影響が大きくなることが考えられます。今回はむちうちと天気の関係性やその対処法についてお伝えします。

自律神経の乱れ

気圧の変動によって自律神経が乱れやすいことがわかっています。

耳の奥にある「内耳」という部分には三半規管や前庭という身体の平衡感覚などを司る器官があり、これらは気圧が上がったり下がったりするのを敏感に感知します。

この内耳が感じ取った気圧の変動の情報は前庭神経という神経を通って脳に伝えられます。脳はその情報を元に自律神経を調整します。

しかし、むちうちを患うとこの内耳が過剰反応してしまい自律神経のバランスが乱れ、さまざまな不調が起こりやすくなります。

低気圧による血管の拡張

天気による影響において、特に雨の日の不調が多くみられます。低気圧が近づくと雲が発生しやすくなり雨が降りやすいことから低気圧の影響だと考えられます。

気圧の低下は体内の圧力とのバランスを崩し、神経や血管に影響を与えます。飛行機で上空へいくと気圧が下がりポテトチップスの袋が膨張するのと同じように、低気圧が近づき身体の外の気圧が下がることで体内の血管が拡張して神経を刺激しやすくなります。

むちうちにより筋肉や神経、靭帯が損傷されていると気圧のちょっとした変化でもこの影響を受けやすくなります。

雨の日に悪化がみられやすいむちうちの症状

雨の日に悪化がみられやすいむちうちの症状

雨の日に悪化がみられやすいむちうちの症状には首の痛みやめまい、吐き気などがあります。

低気圧が近づくことで体内の血管が拡張し、血管をコントロールする自律神経が過剰に働くことでこれらの症状が悪化することが考えられます。

首の痛み

低気圧により、体外の圧力が下がることで体内の血管が拡張します。血管のコントロールは自律神経が調整するため自律神経が過剰に働き、特に交感神経が興奮します。

交感神経の興奮が高まることで首の筋肉の過剰な緊張を引き起こし、痛みが出現します。また、痛みの発痛物質であるブラジキニンやプロスタグランジンなどが分泌され、より痛みを感じやすくなります。

むちうちにより首の筋肉や靭帯、神経を痛めている場合は特に首の痛みが出やすくなります。

めまいや吐き気

気圧の変化によって体内の水分バランスも乱れることがあります。特に低気圧によって体内の水分が必要以上に増えることが考えられます。

内耳にもリンパ液という水分があり、低気圧によって余分なリンパ液が溜まってしまうことで前庭神経を圧迫し、めまいや吐き気などの症状が出現しやすくなります。

雨の日にむちうちの症状が悪化しやすい人の特徴

雨の日にむちうちの症状が悪化しやすい人の特徴

むちうちを患うと雨の日に症状が出やすくなりますが、特に悪化しやすい人がいます。悪化しやすい人の特徴を解説します。

更年期の女性

雨の日に不調をきたすいわゆる気象病の影響は男女比で女性:男性=7:3と女性に多いとされています。これは女性は内耳の感覚センサーが男性よりも敏感であることが関係しているといわれています。

また、特に40代以降の更年期の方は影響を受けやすいことからホルモンバランスの変動が大きいことも原因である可能性があります。

不規則な生活習慣を送っている

天気の影響を受けやすい人の特徴として、血液循環の悪さがあります。血液には体中の細胞に必要な酸素や栄養を運んだり、老廃物を運ぶ役割があります。

血液循環が悪くなることで細胞に十分な酸素や栄養が行き渡らなくなり老廃物が溜まっていきます。これにより痛みが誘発されやすくなります。

POINT

生活習慣に注意

食生活、睡眠などが不規則になっていると自律神経が乱れ、血液循環が悪くなりむちうち症状が悪化しやすくなります。

むちうちの症状が雨の日に悪化した時の対処法

むちうちの症状が雨の日に悪化した時の対処法

雨の日にむちうちの症状が悪化したときの対処法を紹介します。

痛みのある部位を冷やす

むちうちを患ってすぐの時期は熱感があったり腫れたり炎症を起こしていることが多いです。この時期は患部を冷やすことで血管の拡張を抑えられ痛みが緩和されやすくなります。

医療機関を受診する

むちうちは外からの見た目ではわかりにくいですが、事故の衝撃は想像以上に大きく首の筋肉や靭帯、腱、神経を損傷している可能性が高いです。

事故直後は自覚症状が乏しい場合でも徐々に症状が出てくることがあります。そのため、まずはしっかりと医療機関を受診して適切な治療を開始する必要があります。

耳のマッサージ

自分でできるセルフケアの方法としては耳のマッサージが効果的です。耳を上下に引っ張ったり大きく回すことで耳の周囲の血流が良くなります。

引っ張ると耳が痛い場合はホットタオルなどであらかじめ温めてからマッサージすると痛みが生じにくくマッサージしやすくなります。

むちうちの症状を雨の日に悪化させない方法

むちうちの症状を雨の日に悪化させない方法

むちうちの症状を雨の日に悪化させない方法を紹介します。

天気予報を確認しておく

雨の日は気圧が低下しており、この気圧の低下がむちうちの症状を悪化させていることが多いです。

そのため、天気予報を確認し前もって天気が悪くなるような日には無理をせずに安静にすることで症状の悪化を予防できます。

生活習慣の改善

雨の日の影響を最小限にするためには自律神経を整えることが重要です。生活習慣が乱れたりストレスの多い環境にいることで自律神経が乱れやすくなります。

決まった時間に寝て起きる習慣や適度な運動、栄養を考えた食事、寝る前のパソコンやスマホを見ないようにして質の良い睡眠をとるなど生活習慣の改善を心がけましょう。

むちうちの治療を進める

むちうちは放置してしまうと症状が悪化したり、後遺症が残ってしまうことがあります。交通事故の衝撃は想像以上に大きいものになります。

首などへのダメージもかなり大きくなりますので途中で治療を自己判断で中止したりせずにしっかりと医療機関での治療を進めましょう。

むちうちの治療を進めることが最善

むちうちの治療を進めることが最善

むちうちの症状はなかなか改善されなかったり後遺症が残ったりすることがあります。受傷直後は自覚症状がなくても徐々に症状が強くなってくることもあります。

そのため、しっかりと医療機関での治療を進めることが重要です。

病院で状態を確認

むちうちに限らず、交通事故に遭った場合はまず整形外科などの病院を受診しましょう。

外から見ただけでは分からない脳や神経などの障害や自分では気がつかない症状などを見逃さないためにも、しっかりと病院で検査してもらうことが重要です。

症状に応じた理学療法や薬物療法

病院では理学療法士によるリハビリを受けることができます。症状に合わせた徒手療法や運動療法、ホットパックや電気、牽引などの物理療法などの治療を受けることができます。

また、ロキソニンやセレコックスといった消炎鎮痛剤やしびれなどの神経症状を抑えるリリカなどの薬物療法による治療もできます。

リハビリや薬物療法は最初に受診した病院で受けられると治療をスムーズに進めることができます。

状況次第では整骨院に通って施術を受けるのも効果的

病院での医師の診断の後は、通院のしやすさやむちうち施術を専門としていることなどから整骨院へ通うことも可能です。しかし、交通事故の場合は通常と異なり治療費や慰謝料を請求するなど必要な手続きがあります。

そのため、病院の医師の同意が必要であったり、医師からしかもらうことのできない診断書や後遺症診断書が必要になることがあるため、病院と整骨院を併用しましょう。

関連記事交通事故で整骨院へ医師の許可なしで通院できる?注意点も解説!

雨の日に自宅でできるむちうちのケア方法

雨の日に自宅でできるむちうちのケア方法

むちうちに対するご自身でできるセルフケアの方法を紹介します。

湿布で炎症や痛みの軽減

むちうちを患った場合、痛みを抑える方法として湿布が処方されることがあります。湿布には冷湿布と温湿布の2種類があります。症状の経過によって使い分けると効果的です。

受傷直後は炎症を起こしているため、冷却効果のある冷湿布を使用します。炎症が治まってきたら温湿布を使用して血行を促進します。

炎症の有無を見極めることが難しい場合は受診先の医師に確認してみましょう。

ストレッチで筋肉の緊張を和らげる

むちうちを患うと首の可動域(動く範囲)が狭くなってしまうことがあります。ゆっくりと首を動かしたり、首回りの筋肉のストレッチをすることで筋肉の緊張が和らぎ可動域の改善が期待できます。

しかし、受傷直後や痛みの強い時期ではストレッチをすることで逆に症状を増悪させてしまうことがあるため注意が必要です。安全で効果的に行うために理学療法士などの専門家に指導を受けましょう。

安静にする

痛みなどの症状が強い場合は無理をせずに安静にすることが大切です。自律神経の影響を受けやすいため、ストレスがかかってしまうことでより症状が強くなることもあります。

なるべく心身ともにリラックスできる状況を作るようにしましょう。

関連記事むちうちの痛くない寝方とは?首の負担が少ない寝姿勢を解説

まとめ

まとめ

交通事故では強い衝撃により頭が揺さぶられることで首にとても大きな衝撃が加わり筋肉、靭帯、腱、神経などさまざまな組織が損傷されてしまうため、つらい症状が出てきます。

特に雨の日は低気圧による自律神経の影響で症状が悪化することが多いです。

医療機関を受診して早い時期から適切に治療を進め、日常生活でも自分でできるケアをしていきながら症状の緩和を図っていきましょう。

この記事を監修したのは…

国家資格である理学療法士として、約10年間整形外科クリニックで一般の患者様からスポーツ選手の身体のケアに携わり、その後理学療法士の養成校の教員として身体の仕組み、治療技術などについて学生に講義を行っています。早稲田大学大学院スポーツ科学研究科にて修士取得。

この記事の執筆者

理学療法士 / 河野 裕也
国家資格である理学療法士として、約10年間整形外科クリニックで一般の患者様からスポーツ選手の身体のケアに携わり、その後理学療法士の養成校の教員として身体の仕組み、治療技術などについて学生に講義を行っています。早稲田大学大学院スポーツ科学研究科にて修士取得。

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