×

交通事故のむちうち治療、どうすればいい?適切な通院や自宅での対処法とは

監修記事

世良 泰

医師(整形外科他)

交通事故による「むちうち」は多くの方にみられる怪我です。むちうちの治療はどこで受ければ良いでしょうか?通院先の選び方だけでなく、むちうちの症状や治療法についても解説します。

▼記事のポイントを1分以内でまとめた動画もチェック▼

交通事故の怪我で多いむちうちとは?

「むちうち」とは?発症の原因や症状等

▲「むちうち」とは?発症の原因や症状等

むちうちとは、簡単に言うと「首の捻挫」です。正式には、頚椎捻挫(けいついねんざ)や外傷性頚部症候群と呼ばれる症状です。むちうちは、交通事故や転倒などにより首に強い衝撃を受けた際に、首の筋肉や靭帯を痛めて起こります。

むちうちによって起こる症状は人それぞれですが、以下の症状が多くみられます。

  • 首の痛み
  • 肩こり
  • 頭痛
  • めまい
  • 腕の痺れ

ただ怪我を負った直後は、あまり痛みを感じない場合があります。事故にあったことで脳が興奮状態にあり、痛みを感じにくいのです。そのため、怪我を負った翌日から3日後くらいに、痛みや違和感が徐々に現れるケースがあります。
治療期間は、一般的に3ヶ月程度とされています。症状や痛みが強い場合は、6ヶ月程度かかる場合もあります。

むちうちの種類と症状

むちうちの5つの種類と違い

▲むちうちの5つの種類と違い

むちうちの症状には、いくつか種類があります。それでは発生頻度が高く、軽症の順に解説していきます。

頚椎捻挫型

首部分である頚椎(けいつい)を捻挫したタイプです。むちうちで最も多く、症状としては首の痛みや肩こりが多いです。また安静時には痛みがない場合でも、首を前後に倒したり左右を見たりする動作の際に痛みがでることもあります。

バレー・リュー症候群型

自律神経を損傷してしまったタイプです。自律神経とは、内臓の働きを調節している神経で、痛みとは違う不調が出る場合があります。主な症状としては、頭痛・耳鳴り・めまい・呼吸の乱れなどです。

神経根損傷型

交通事故で強い衝撃を首に受け、首の骨が正しい位置からずれ、首の太い神経が圧迫されて起こるものです。首の痛みだけでなく、腕のしびれや、腕に力が入らなくなるといった症状があります。また、顔の痛みや全身の倦怠感などが現れる場合もあります。

脊髄症状型

脊髄を損傷した状態です。首から腰の背骨の中を脊髄が通っています。脊髄を損傷してしまうと体の痛みだけでなく、歩行障害・内臓機能の低下により日常生活に大きな影響が出てしまうことがあります。

脳脊髄液減少症

脳や脊髄を覆っている脊髄液が減ってしまうことで起こる症状です。症状としては、頭痛・全身のだるさ・めまいなどが現れます。ただ、発症する可能性は低い症状です。

▶関連記事:交通事故で頚椎捻挫と診断された…。症状や治療方法について解説!

交通事故のむちうちの特徴

交通事故によるむちうちは、主に2つの特徴があげられます。
1つ目は、事故から時間が経過して痛みが出ることがある点。2つ目は、痛みがあるのにレントゲンといった画像検査で「異常なし」とされてしまう場合がある点です。

むちうちの特徴「症状が後から現れる」「診断が難しい」

▲むちうちの特徴「症状が後から現れる」「診断が難しい」

事故後しばらくたってから痛みが出ることも

交通事故にあった直後は痛みがなかったのに、徐々に痛くなってきた…という方は多くいます。事故直後に興奮状態にあることで、あまり痛みを感じない場合があるためです。興奮状態が落ち着いた翌日から数日後に、痛みを感じ始めるケースがあります。

目に見えなくとも実は痛いことも

交通事故後に痛みがあるからレントゲン検査を受けたが、異常がないと言われてしまう場合があります。交通事故によるむちうちは、主に筋肉や筋といった軟部組織が損傷して起こります。そのため、主に骨の異常の有無を確認するレントゲン検査では、軟部組織の損傷が判断しづらいことが理由としてあげられます。

しかし、交通事故の場合は外見上に問題がなくとも、日常生活では起こり得ない衝撃を受けています。そのため、事故の衝撃を受けた体には、過度な負荷がかかっているのです。
「痛いのは、自分の勘違いなの?」と思う方もいるようですが、痛みがあることは紛れもない事実です。自己判断は絶対にせず、しっかりと診察や治療を受けましょう。

むちうちの治療方法

むちうちの治療や施術を受けられる通院先は、整形外科もしくは整骨院・接骨院です。それぞれ対応する範囲や方針が違いますので、ひとつずつ解説していきます。

整形外科でのむちうち治療

交通事故後の整形外科受診は①検査(レントゲン・MRI)②診断書の発行③痛み止めや湿布の処方等ができる

▲交通事故後の整形外科受診

整形外科では、医師がレントゲン検査や診察、痛み止めや湿布の処方を行います。また、リハビリに対応している整形外科の場合は、症状にあわせてリハビリを行います。

警察や保険会社に提出する診断書といった書類も、医師が作成します。受診は基本的に1つの疾患で1つの病院であることが基本になります。

整骨院・接骨院でのむちうち施術

整骨院では、国家資格である柔道整復師が施術を行います。整骨院と接骨院は、名称が異なるだけで、柔道整復師が在籍している点は同じです。
具体的な施術内容は、整骨院によって大きく異なります。実際に来院する前に、どのような施術を行っているのか確認するといいでしょう。

整骨院では、主に手技療法・物理療法・運動療法で施術が行われます。

  • 手技療法
    手技療法とは、施術者が手を使って、筋肉をほぐす方法です。整骨院によって手技のやり方はさまざまな方法があります。
  • 物理療法
    物理療法は、痛みのある部位を温めたり、冷やしたり、電気を流したりします。早く改善するために、症状にあわせた物理療法を選択します。
  • 運動療法
    運動療法は、体を動かすことで、症状の改善を目指す方法です。機器を取り入れている整骨院もあります。

整形外科と整骨院/接骨院は併用可能?

交通事故治療で病院と整骨院の併用はできる?

▲交通事故治療で病院と整骨院の併用と注意点

交通事故による怪我は、整形外科と整骨院の併用通院が可能です。

ただし、同日に整形外科と整骨院の両方への通院はできません。同じ日に2ヶ所以上通院した場合、基本的に治療費が補償されるのは1ヶ所分のみです。そのため、併用して通院する場合でも、同じ日にはどちらかのみに通院することを心がけましょう。

病院の転院はできる?

交通事故で転院する方法は、まず保険会社と医師に転院したい旨を伝えます。次に、医師に紹介状(診療情報提供書)を作成してもらいます。注意点はできるだけ早めに転院することと、転院回数は最小限にとどめることです。

▲交通事故で転院する方法

交通事故で最初に受診した病院を転院することも可能です。

通院する病院を変更したい場合は、治療費を支払う加害者側の保険会社に、通院先の変更を申し出ましょう。正当な理由であれば、変更に応じるはずです。

ただし、転院を申し出るなら早めが良いでしょう。怪我をしてから経過した期間が長いと、応じてもらえない場合があります。

また、転院する回数の制限はありませんが、なるべく転院の回数は少ないほうが良いでしょう。
関連記事近くの病院に転院したい!手続きや紹介状の書いてもらい方を解説

むちうちの治療期間

むちうちの治療期間の目安は3ヶ月とされています。主な理由は、保険会社がむちうちでの通院のひと区切りを「3ヶ月」と考えているためです。
もちろん症状の程度は人によってさまざまなので、痛みや不調が改善するまで通院は続けられます。ただし、最長でも6ヶ月程度と思っておくといいでしょう。事故から6ヶ月を超えてくると、事故の影響で症状がでているのか、日常生活による問題なのかわからなくなってきてしまうためです。
それでも症状が残り通院を続けたい場合は、自賠責保険を使わずに自費で通院を続けることも可能です。

自賠責保険とは、自動車やバイクを所有する全ての人に、加入が義務付けられている強制保険。交通事故の被害者の救済が目的で、補償対応は人身事故の被害者。そのため、物損事故あ対象外となる。また、請求できる賠償金には限度額が定められている。

▲自賠責保険とは?

むちうちは自宅で治療可能?

結論として、自宅でむちうちの治療はできません。むちうちは、首に強い衝撃がかかり起こるため、自力で治療することは難しいです。
ある程度治療や施術を続けて改善してきた段階で、指導のもと自宅でのストレッチや体操を中心にすることはできます。ただ、少なくとも日常生活に支障のあるうちは、通院して治療や施術を受けることをおすすめします。
▶参考:むちうちの自宅でのケア方法や治療について詳しく知りたい方はこちら
▶参考:むちうちのセルフケアやストレッチについて詳しく知りたい方はこちら

むちうちのリハビリは整骨院でも可能?

整骨院・接骨院の交通事故施術とは?

▲整骨院の交通事故施術内容の種類

交通事故によるむちうちのリハビリは整骨院でも行えます。
整骨院には国家資格者である柔道整復師が在籍しており、自賠責保険を適用した施術が可能です。そのため、むちうちの検査や診察は病院で、リハビリは整骨院で行う併用通院を行う方もいます。

交通事故のむちうちの治療費

交通事故によるむちうちで治療を受ける場合、自賠責保険が適用されるため、基本的に患者自身による窓口負担はありません。自賠責保険とは、交通事故被害者を助けることを目的とした強制保険です。
ただし、自身が加害者側だと、自賠責保険を使えない場合があります。また、自身と相手の双方に過失がある場合には、交通事故の民事判例や裁判所で用意されている認定基準を参考に、公正妥当な過失割合が定められます。

過失割合とは?

▲過失割合とは?

保険会社から「打ち切り」を進められることもあるため、いい通院先で早く治そう

どんな症状であれ最終的に治療は打ち切られてしまいます。時間が経過するほど、事故と痛みの原因の関連性を証明することが難しいからです。そのため、自分の症状にあう治療・施術をしてくれる通院先を探し、3ヶ月の間に治すつもりで通院してくださいね。

▶関連記事:むちうちの治療期間はいつまで?慰謝料打ち切りにならないための通院頻度とは

あなたに適切な通院先はどこ?

交通事故で多い怪我「むちうち」は整形外科や整骨院など、通院先はいくつか選択肢があります。しかし、整形外科も整骨院・接骨院も数多くある中でどこに通うのが良いか探すのは非常に大変です。
また、下記のようなご希望や条件がある方も多いのではないでしょうか?

  • 仕事が忙しいので夜遅くまでやっている/週末に営業している所を知りたい
  • 病院と整骨院を併用して通いたい
  • できるだけ家に近い所/会社から近い所を知りたい
  • 親身に色々相談できるところがいい etc..

「交通事故病院」の無料相談窓口では、交通事故被害者様のご希望のエリアでご条件に合う通院先を無料でご紹介しています。交通事故のお怪我のお悩みなら、年間100万人以上が利用する 「交通事故病院」にお任せください。

この記事を監修したのは…

慶應義塾大学医学部卒。初期研修後、市中病院にて内科、整形外科の診療や地域の運動療法指導などを行う。スポーツ医学の臨床、教育、研究を行いながら、プロスポーツや高校大学、社会人チームのチームドクターおよび競技団体の医事委員として活動。運動やスポーツ医学を通じて、老若男女多くの人々が健康で豊かな生活が送れるように、診療だけでなくスポーツ医学に関するコンサルティングや施設の医療体制整備など幅広く活動している。「健康を通じて人々の夢や日常を応援すること」をミッションに2024年6月に池尻大橋せらクリニックを開院。

池尻大橋せらクリニックHP
https://sera-clinic.com/

日本整形外科学会専門医
日本内科学会認定内科医
公衆衛生学修士
International Olympic Committee Diploma in Sports Medicine
日本スポーツ協会公認スポーツドクター
日本医師会認定健康スポーツ医
日本整形外科学会認定スポーツ医
日本障がい者スポーツ協会公認障がい者スポーツ医
Performance Enhancement Specialist (National Academy of Sports Medicine)
Corrective Exercise Specialist (National Academy of Sports Medicine)
日本医師会認定産業医
ロコモアドバイスドクター

TWOLAPSチームドクター(陸上)
LADORĒメディカルアドバイザー
日本陸上連盟医事委員

株式会社スポーツ医学 代表取締役
株式会社Mesign 顧問
株式会社うごきのクリニック 取締役
AuB株式会社 顧問ドクター
株式会社富士急ハイランド 医療顧問
株式会社リハサク メディカルアドバイザー
株式会社アルゴス 顧問医師

この記事の執筆者

柔道整復師 / 轡田 剛
柔道整復師として整骨院の院長を務める。 積極的に技術セミナーに参加し、整骨院に通ったものの改善しなかった方を中心に施術している。 現在はできることを増やしたいとの思いから、ライターとしても活動中。

カテゴリ一覧

はじめての交通事故でお悩みの方へ。
交通事故に関する知識や通院について
無料でサポートいたします。
無料 0120-963-887
電話で無料相談する

24H緊急
ダイヤル

0120-963-887

  • お見舞金最大20,000
  • 相談0
  • 安心の365日対応

事故専門の相談員が
無料で完全サポートいたします