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軽いむちうちの症状とは?治し方や病院に行くべき理由も解説

監修記事

世良 泰

医師(整形外科他)

交通事故にあったけど、ぶつけたかどうかもわからないほどの軽い事故の場合

「忙しいから病院へ行けない」
「今は痛くもないし、病院はいかなくてもいいや」

という方もいるかと思います。

しかし、交通事故にあってしばらくしてから「最近すこし首が痛い」「すこし吐き気を感じることが増えた」等の症状に悩んでいる方へ向けて

  • むちうちとは
  • むちうちの通院先
  • セルフケアでむちうちが治るか

について解説します。

この記事を読んで、交通事故後のちょっとした首の痛みや吐き気などの悩みを解決しましょう。

▼記事のポイントを4分程度でまとめた動画もチェック▼

むちうちとは?

「むちうち」とは?発症の原因や症状等

▲「むちうち」とは?発症の原因や症状等

むちうちとは、スポーツや交通事故などによる衝撃で、首が大きく前後に揺れ頚椎(首の骨)に負荷がかかり、首が捻挫することです。

衝撃を受けた際に首がムチを打ったようにしなることから、むちうちと呼ばれています。むちうちは通称で、正式名称は頚椎捻挫(けいついねんざ)」「頚部挫傷(けいぶざしょう)」「外傷性頚部症候群(がいしょうせいけいぶしょうこうぐん)と呼ばれます。

交通事故の被害にあい怪我をしたとき、7〜8割の人がむちうちになるといわれています。交通事故の前にはなかった肩こりが急に出てきたり、天候が悪いからかな?と思い過ごしてしまいがちな頭痛も、もしかしたらそれはむちうちの症状かもしれません。

関連記事むちうちはどんな症状?治療方法や完治までにかかる時間

むちうちの種類

むちうちの種類5つ

▲むちうちの5つの種類と違い

むちうちには下記5種類があります。

  1. 頸椎捻挫型
  2. バレー・リュー症候群型
  3. 神経根損傷型
  4. 脊髄症状型
  5. 脳脊髄液減少症

むちうちの内7~8割が①頚椎捻挫型と言われています。

参考むちうちの種類について詳しくはこちら

むちうちの通院期間はどのくらい?

むちうちの程度にもよりますが、比較的症状が軽い頚椎捻挫の場合は、3ヶ月程度で症状が緩和されるといわれています。

ただし、症状によっては1年程度かかることもありますので、いつまでと決まった通院期間はありません。また、症状の緩和を確実にするには、頻繁に通院し、症状の現状を把握する事が重要です。

軽いむちうちは自分で治せる?

むちうちの症状が軽い場合、「自分で治せるのでは?」と考える方もいると思います。

「どのくらいの通院期間なのかわからない」「治療を受けるには平日に仕事を休まなければいけない」という場合、通院がおっくうになることもあるでしょう。

しかし残念ながら、むちうちのセルフケアはありません。

軽いむちうちは自分で治せる?

▲軽いむちうちは自分で治せるのか?

時間の経過とともに症状がおさまることもありますが、むちうちを放置したり、間違ったセルフケアをしたりすることで症状が徐々に悪化したり時間が経過してから症状が強く出たりする場合が多くあります。

関連記事軽いむちうちは放置していい?病院受診の目安や治療法を解説!

むちうちには「急性期」といわれる炎症の時期や、痛みが慢性化する「慢性期」があります。それぞれの時期に取るべき対処法が違うので、間違ったセルフケアをすると悪化する可能性が高いです。

むちうちと向き合いながら、しっかりと通院を続けるようにしましょう。

急性期

急性期では炎症による痛みや症状が強く出てくるため、患部をできる限り安静に保ち、アイシングなどで冷却をします。

首が痛い感じがする、肩に違和感があるからといって安易にマッサージをしてはいけません。

初期の治療では、無駄な動きをしたりマッサージを行うことは禁物です。できるだけ首を動かさないようにして回復するのを待ちます。

また、冷湿布を貼るなどして、炎症を抑える治療をします。コルセットで首を固定する事で、症状の悪化を防ぐこともあります。

参考急性期にコルセットをする理由とは

慢性期

ある程度炎症や症状が落ち着いてくる時期が慢性期です。

あまり長く安静を保ちすぎると首の可動域が低下したり筋力が低下してしまうため、慢性期である程度痛みや症状が落ち着いてきたら徐々に首の可動域を広げるようなストレッチやホットパック、蒸しタオルなどで患部を温めて血流を促進させていきます。

軽いむちうちもなるべく早く通院するべき!3つの理由

交通事故後、痛みがなくても病院に行くべき理由

▲交通事故後、痛みがなくても病院に行くべき理由

むちうちは頚椎捻挫とも言われるため、「なんだ、ただの捻挫か。」と軽くみてしまうことがありますが、むちうちの症状が軽度でも侮らずになるべく早く医療機関を受診しましょう。

むちうちは処置を間違えると一生付き合っていかなければならない可能性もあるため注意が必要です。なるべく早く通院すべき理由を次から解説します。

むちうちの症状は後から出てくることがあるから

むちうちの症状ははじめ軽度であっても徐々に症状が強くなったり、翌日~数週間経ってから症状が出現してくる場合があります。

特に受傷後3日(72時間)以内に発症することが大半だと言われています。

そのため、放置してしまいはじめの処置を間違えてしまうことで症状が回復されずに後遺症として残ってしまう可能性があります。

受傷直後に症状が軽度であっても、なるべく当日に医療機関を受診するようにしましょう。

参考むちうちが完治するまでの期間はいつ?後遺症が残ったときの対応とは

日が経つと後遺障害認定されない可能性があるから

交通事故によるむちうちの場合、通常の怪我とは異なる手続きが必要となり仮に後遺症が残る場合には後遺障害認定を受けることができます。

後遺障害認定とは後遺症が交通事故によるものであることが証明され、後遺障害の部位や程度によって1〜14級に分類されます。等級によって賠償金に違いが生じます。

しかし、日が経ってから医療機関を受診すると症状と交通事故の因果関係を証明することが難しくなり後遺障害が認定されない可能性があります。

事故との因果関係を否定される可能性があるから

交通事故による怪我の場合、通常その怪我の治療費や通院費、損害賠償など加害者側の保険会社が支払うことになっています。

しかし、交通事故直後に医療機関を受診せずに半月後や1か月後などに「やっぱり痛みがあるから受診しよう」とすると加害者側の保険会社は「事故との関連が本当にあるのか」と疑います。

万が一因果関係が認められなかった場合には治療費や通院費は自己負担となり、損害賠償も請求できなくなってしまいます。

そのため、事故直後にしっかりと受診し適切な検査と治療を受ける必要があります。

軽いむちうちの通院先

むちうちの症状がでて、「通院する先はどこへ行けばよいのか」と悩んでいる方に向けて、通院先2つを紹介します。

  1. 整形外科
  2. 整骨院・接骨院

この2つの違いは所持する資格とそれに伴う治療・施術の違いです。

交通事故通院における整形外科と整骨院の治療内容の違い

▲交通事故通院の病院と整骨院の治療内容の違い

1.整形外科

交通事故では身体へ想像以上の強い衝撃が加わり、症状が軽度であっても脳や神経にダメージがあるなど重症な場合もあります。

整形外科ではレントゲンやCT、MRIといった画像検査が可能であり、重症化する可能性のある目には見えない問題を早期に発見することができます。

治療としては痛み止めなどの投薬・注射といった処置が可能です。また、治療費や通院費、損害賠償を請求する場合には診断書が必要となります。

これは医師でないと作成できないものであるため、診断書が必要な場合には整形外科を受診し医師の診察を受ける必要があります。

2.接骨院・整骨院

柔道整復師(国家資格)によって以下3つの施術を受けることが出来ます。

  1. 整復法…手の力で骨を元の位置に戻します
  2. 固定法…テーピングやギプスをなどの器具で物理的に固定します。
  3. 後療法…運動療法※1や手技療法※2、物理療法※3をします。

整骨院と接骨院は呼び方が違うだけで施術内容に違いはありません。

※1 運動療法…リハビリの指導や、骨や筋肉の動きを観察し症状の現状を把握します。
※2 手技療法…手による物理的に適度な刺激を、筋肉や関節に与え症状の緩和を図ります。
※3 物理療法…超音波や電気、温熱等で刺激を、筋肉や関節に与え症状の緩和を図ります。

参考通院先について詳しくはこちら

どんなに軽いむちうちでも、絶対に診てもらうこと!

通院する女性

どんなに軽いむちうちであっても、必ず整形外科で診察をしてもらってください。軽いむちうちだからと自分で思っていても、実は大きな損傷を負っていたり、後日痛みが出てくることがあります。首は日常的に重い頭を支えている部分なので、ちょっとした衝撃でも負担がかかり痛むことがあります。

また、むちうちは首の痛みだけではありません。めまいや声のかすれ、頭痛など、他の症状があらわれることもあります。痛みというより、肩が凝っているような違和感がある場合も、むちうちの可能性が高いといえます。

医学的な判断は整形外科医しかできないので、まずは医師に首や肩の痛み、めまいなどの違和感をきちんと説明してください。自分では事故による痛みかどうかわからなくても、医師であれば事故との因果関係をきちんと考えてくれます。

整形外科での治療を続けていくなかで、整骨院や接骨院と併用して通院するという選択肢も出てくるかもしれません。通院先を変えたい場合は、医師と話し合いを行い、自分にあった治療を行うようにしましょう。

この記事を監修したのは…

慶應義塾大学医学部卒。初期研修後、市中病院にて内科、整形外科の診療や地域の運動療法指導などを行う。スポーツ医学の臨床、教育、研究を行いながら、プロスポーツや高校大学、社会人チームのチームドクターおよび競技団体の医事委員として活動。運動やスポーツ医学を通じて、老若男女多くの人々が健康で豊かな生活が送れるように、診療だけでなくスポーツ医学に関するコンサルティングや施設の医療体制整備など幅広く活動している。「健康を通じて人々の夢や日常を応援すること」をミッションに2024年6月に池尻大橋せらクリニックを開院。

池尻大橋せらクリニックHP
https://sera-clinic.com/

日本整形外科学会専門医
日本内科学会認定内科医
公衆衛生学修士
International Olympic Committee Diploma in Sports Medicine
日本スポーツ協会公認スポーツドクター
日本医師会認定健康スポーツ医
日本整形外科学会認定スポーツ医
日本障がい者スポーツ協会公認障がい者スポーツ医
Performance Enhancement Specialist (National Academy of Sports Medicine)
Corrective Exercise Specialist (National Academy of Sports Medicine)
日本医師会認定産業医
ロコモアドバイスドクター

TWOLAPSチームドクター(陸上)
LADORĒメディカルアドバイザー
日本陸上連盟医事委員

株式会社スポーツ医学 代表取締役
株式会社Mesign 顧問
株式会社うごきのクリニック 取締役
AuB株式会社 顧問ドクター
株式会社富士急ハイランド 医療顧問
株式会社リハサク メディカルアドバイザー
株式会社アルゴス 顧問医師

この記事の執筆者

交通事故病院編集部 ライター / T.A
出版社に就職後、書籍や雑誌コラムの執筆・編集を経て、現在はフリーライターとして活動中。家族が交通事故の被害にあった過去の経験をもとに、怪我の治療先や手続きのコツなどをお届けしていきます。みなさんのお悩みが少しでも軽減されますように…。

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