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むちうちと頚椎捻挫の違いは?症状の種類や治療方法について通院期間の目安とあわせて解説

監修記事

柿野 俊弥

理学療法士

頚椎捻挫とむちうちはどちらも一般的によく使われる言葉です。

「どちらも首に生じた異常を指すのはわかるけど違いがわからない」

そのような方に向けて、本記事では頚椎捻挫とむちうちの違いについて解説します。また、症状や診断方法、治療法についても解説するため、ぜひ参考にしてください。

頚椎捻挫とむちうちは同じ

頚椎捻挫とむちうちは同じ

結論、頚椎捻挫とむちうちは同じものを指します。医学的には「外傷性頚部症候群」が正式名称です。

発症のきっか怪我「交通事故を起こした」や「首を打った」などの状況で、レントゲン検査やMRI検査で骨折やヘルニアが生じていないと確認されたときに、診断が確定されます。

前述した通り、一般的にはよく「むちうち」と呼ばれ、交通事故やスポーツなどで、首が前後や左右に急激に動かされたときに起こることが多いです。

頚椎捻挫と寝違えの違い

寝違えとは、眠っている間に首や肩が強く曲がったり、固まったりして、目が覚めたときに痛みが出るものを指します。頚椎捻挫と異なり、原因は多岐にわたるため、明確な原因を判明させるのは難しいです。

ただ、寝違えの多くは、睡眠中の首や肩の姿勢の問題や、筋肉や靭帯の緊張などが起因して起こります。

一方、頚椎捻挫は外力によって首が急激に動かされることが原因のため、寝違えとは全く別の怪我です。また、症状が「寝違え」よりも重篤で、治療期間も長くなるケースが多くなっています。

寝違えの症状としては、首や肩の痛みやこり、動かすと痛む、頭痛などがあります。神経の圧迫によって、手や腕のしびれや痛み、筋力低下などの症状が現れることもあります。

一般的な治療方法は、安静、薬剤による鎮痛、温熱療法、ストレッチなどが行われますが、基本的に安静が第一です。並行して、症状や考えられる原因に応じた治療を進めていきます。

頚椎捻挫(むちうち)の種類

頚椎捻挫(むちうち)の種類

頚椎捻挫(むちうち)は、交通事故やスポーツなどで起こる外力による首の捻挫を指します。症状によって「5つの型」に分類されています。

頚椎捻挫型

頚椎捻挫型は、頚椎の関節を作っている筋肉や靭帯などの組織が過度に引っ張られ、傷ついた状態を指します。イメージとしては、足首の捻挫を首で起こしたような状態です。

このタイプが頚椎捻挫(むちうち)の約7割を占めています。

頚椎捻挫型の症状としては、首や肩、背中に痛みを生じます。首の可動範囲が狭くなり、動かした際にも痛みを伴います。また、痛みが続くことで他の部位にも影響を及ぼし、頭痛や肩こりなどの症状を引き起こすことも特徴です。

脊髄症状型

脊髄症状型は、背骨を通る神経が損傷された状態です。そもそも脊髄とは、脳から出て脊椎の内部を通る「神経の束」を指します。

交通事故やスポーツで身体に強い衝撃が加わると、脊髄を損傷することがあり、それによって手足のしびれや感覚機能の低下などの神経症状が現れます。

頚椎捻挫(むちうち)の分類の中では、比較的稀なケースで、後遺症を残しやすいタイプだと知られています。

神経根損傷型

神経根損傷型は、外部からの衝撃で頚椎の位置にゆがみが生じ、中を通る神経が傷つくことで生じます。たとえば、頚椎の3つ目が右にずれ、4つ目が左にずれて神経が圧迫されるようなことが起こるのです。

それにより、手足のしびれや感覚機能の低下、痛みなどを生じます。

バレー・ルー症候群型

バレー・ルー症候群型は、交感神経の過緊張や脳動脈の一つ「椎骨動脈」の循環障害が原因とされています。症状は、首や肩の痛み、吐き気、めまいなどが現れます。

交通事故から一定の期間を経てから現れるケースが多いのが特徴です。

また、別の分類にはなりますが、神経損傷型とバレー・ルー症候群型の混合型も存在します。

脳脊髄液減少症

脳脊髄液減少症は、脳や脊髄を流れている「脊髄液」の量が減少するものです。むちうちによる脳脊髄液減少症は、外部からの衝撃で脊髄を守っている膜が傷つき、脊髄液が漏れ続けることが原因です。

頭痛や動悸、回転性のめまい、腰痛、吐き気など、他のタイプとは異なる症状を引き起こすのが特徴です。明確な判断基準や治療法は確立されていないタイプになります。

頚椎捻挫(むちうち)の症状

頚椎捻挫(むちうち)の症状

頚椎捻挫(むちうち)では、頭痛や腕のしびれ、吐き気といったさまざまな症状が現れます。

これらは他の病気や怪我でも起こる症状ですが、頚椎捻挫(むちうち)で特徴的な症状もあるため、きちんと把握しておきましょう。

頭痛

むちうちで起こりやすい頭痛は、「緊張型頭痛」です。緊張性頭痛とは、頭を締め付けられているような痛みがあるものです。痛みは後頭部から首にかけて広がることが多く、時には頭全体に及ぶこともあります。

痛みの強さは人によって異なりますが、軽い場合も少なくないため、気にせずにむちうちを放置してしまうことがあります。しかし、放置すると痛みが慢性化することがあるので、薬物療法による痛みの緩和など、早い段階での治療および対処が重要です。

POINT

精神的なストレス

また、緊張性頭痛は筋肉の問題だけでなく、精神的なストレスによって生じる場合もあります。身体的な治療に並行して、精神的なストレスを減らすことも大切です。

腕のしびれ

むちうちによって首の筋肉が緊張すると筋肉の下にある神経が圧迫され、腕のしびれが生じてしまいます。腕のしびれは、放置すると手の動きに支障が出ることもあります。

筋肉の緊張が根本的な原因のため、しびれ自体へのアプローチではなく、筋肉の緊張を高めている原因に対してアプローチしなければなりません。

吐き気

吐き気は、筋肉の緊張や自律神経の乱れ、めまいなどの他の症状が起因していることが多いです。むちうちによって頸部の筋肉が緊張し、自律神経のバランスが崩れると、吐き気を感じることがあります。

また、めまいやふらつき、顔面のしびれなどの症状もあわせて現れるケースもあります。

関連記事むちうちの症状とはどういったものなのか?治療方法についても解説

頚椎捻挫(むちうち)はどこで治療してもらえる?

頚椎捻挫(むちうち)はどこで治療してもらえる?

頚椎捻挫(むちうち)は、適切な治療を受けなかった場合、後遺症が残ることもあります。早めに医療機関を受診し、治療を進めましょう。

整形外科

頚椎捻挫(むちうち)になった場合、最初に受診するのは整形外科がおすすめです。整形外科には、医師が在籍しており、診察やレントゲンやMRIなどの検査を行うことが可能です。

検査結果から必要な情報が、薬剤師やリハビリの専門家である理学療法士などに共有されるため、スムーズに治療へと移行できるのもメリットになります。

さらに、整形外科分野を専門としているため、脳の病気も含めて診ている医療機関と比べて、専門性の高い治療を受けることも可能です。

また、何らかの異常が見られたうえで受診すると、病院での治療では保険が適用されるため、経済的な負担の軽減にもなるでしょう。

整骨院・接骨院

整骨院・接骨院でもむちうちの施術を受けることができます。主に、国家資格を保有している柔道整復師の施術が受けられます。

ただ、医師が在籍していないため、診察や各種検査は受けられません。詳細な検査を行わずに施術を行うことになるため、内容によっては症状が悪化する可能性があります。

他の医療機関で検査を行った後に整骨院・接骨院へ通うことが望ましいです。また、整骨院・接骨院では、「自費施術」を行っており、保険が適用されない場合があるため注意しましょう。

頚椎捻挫(むちうち)の診断方法

頚椎捻挫(むちうち)の診断方法

頚椎捻挫(むちうち)の診断方法には、次のようなものがあります。

【問診や視診、触診】

  • どのような症状があるか、症状が出現するまでの経緯などを問診
  • 首が動く範囲や圧痛の有無、筋力の低下がないかなどを視診、触診

【画像検査】

  • レントゲンやCTMRIなどの画像検査により骨折や脱臼などの怪我を除外し、むちうちのかどうかや程度を確認
  • 画像検査でむちうちの原因が判明しないケースも少なくない

【血液検査】

  • むちうちにより発生する炎症や筋肉の損傷の有無を確認するために血液検査が行われる場合もある
  • 血液検査だけでむちうちがどうかを診断することはできない

頚椎捻挫(むちうち)の一般的な治療方法

頚椎捻挫(むちうち)の一般的な治療方法

頚椎捻挫(むちうち)の一般的な治療法は次の通りです。

  • 安静
  • 薬物療法
  • 理学療法
  • 手術療法

状態に応じて、これらの治療法を使い分けたり併用したりします。

安静

むちうちを起こしたばかりの時期は、首を動かさずに安静にすることが重要です。靭帯や筋肉に損傷があるため、安静にしていることで、痛みや腫れを抑えることができます。

一般的に、安静期間は2〜3週間程度とされています。また、医師によっては、頚椎カラーと呼ばれる装具を装着することを勧めることがあります。

頚椎カラーは、首を固定することで、筋肉や靭帯の負担を軽減する効果があります。

薬物療法

痛みや炎症を抑えるために、医師から処方される薬物療法が行われることがあります。例えば、ロキソニンなどの鎮痛剤や非ステロイド系の消炎鎮痛剤、筋弛緩剤などが用いられることが多いです。

鎮痛剤は、痛みを和らげるために使用され、消炎鎮痛剤には痛みだけでなく炎症も抑える効果があり、筋肉弛緩剤には筋肉の緊張を和らげる効果があります。

ただし、薬剤に依存した治療だと治療期間の延長につながる可能性があるため注意が必要です。医師が指示した服用する量と頻度はきちんと守り、決して飲みすぎないようにしましょう。

理学療法

理学療法は、物理療法や徒手療法などの手技を使って、痛みや機能障害を改善するための治療法です。

物理療法では、低周波治療、温熱療法、レーザー治療、超音波治療、トランスカットニア電気神経刺激(TENS)療法などが用いられます。これらの治療は、筋肉の痛みや緊張を和らげることができ、炎症を抑える効果もあります。

徒手療法では、ストレッチング、マッサージ、関節可動域運動、筋力強化運動などが行われます。これらの治療は、筋肉の緊張を緩和させ、首関節の可動域を広げることができます。

リハビリには、個々の患者に合わせたプログラムが作られます。理学療法士は、患者の症状や状態を評価し、患者の体力や運動能力、日常生活の動作などを考慮してリハビリのプログラムを作成します。

リハビリの目的は、痛みの緩和や筋力の回復、関節可動域の向上、日常生活の動作の改善などです。

ただし、理学療法はあくまでもむちうちの症状の改善を目的としたものであり、根本的な治療ではありません。むちうちの場合は、理学療法と併用して、安静や薬物療法なども行われることが多いです。

手術療法

むちうちの治療は、基本的に安静や薬物療法、理学療法といった「保存療法」が行われます。しかし、重度のむちうちや首の構造のゆがみ、骨折などを伴う場合は、手術療法が選択されることがあります。

関連記事むちうちの痛くない寝方とは?首の負担が少ない寝姿勢を解説

頚椎捻挫(むちうち)の通院期間の目安

頚椎捻挫(むちうち)の通院期間の目安

頚椎捻挫(むちうち)の通院期間には個人差がありますが、一般的には3ヵ月程度が目安です。治療の進行状況や症状の程度によっては、期間が短くなる場合や長くなる場合があります。

通院頻度は週3~4回のペースが適切で、治療内容によっては週1回の通院でも良い場合もあります。

治療期間中は安静や薬物療法、理学療法などが行われ、症状の緩和や回復を促すことが目的となります。

理学療法では、体力回復や筋力強化、柔軟性の向上などを目的とした運動療法が含まれますが、自宅でもできる簡単な運動やストレッチを継続することで、通院期間を短くすることもできるでしょう。

また、通院期間を減らすために治療期間中の注意点があります。例えば、痛みが強くなった場合や症状が変化した場合には、速やかに担当医に相談しましょう。

また、治療期間中には自動車事故などの補償に関する手続きや証明書の取得が必要となる場合がありますので、必要な手続きを早めに進めることも重要です。

頚椎捻挫(むちうち)は、適切な治療を受けることで回復できますが、治療期間中は根気強く継続することが必要です。症状の回復や改善に向けて、医師や理学療法士など専門家の指導の基、適切な治療を受けましょう。

まとめ

まとめ

「外傷性頚部症候群」は、一般的に頚椎捻挫やむちうちと呼ばれており、呼び方以外に2つの違いはありません。頭痛や吐き気、腕のしびれなどで症状が現れ、整形外科や整骨院・接骨院で治療を受けることができます。

早い段階で検査および治療が早期治癒につながるため、頚椎捻挫(むちうち)を起こした場合は、すぐに医療機関を受診し。医師や理学療法士といった専門家の元で治療を進めることが大切です。

この記事を監修したのは…

理学療法士として、回復期病院で脳血管疾患を中心にリハビリテーションを経験。その後、フリーライターに転向。医療・健康分野をはじめ、地域・観光、転職関連などの幅広いジャンルの執筆を行っている。

この記事の執筆者

理学療法士 / 柿野 俊弥
理学療法士として、回復期病院で脳血管疾患を中心にリハビリテーションを経験。その後、フリーライターに転向。医療・健康分野をはじめ、地域・観光、転職関連などの幅広いジャンルの執筆を行っている。

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