交通事故のむちうちに生命保険は適用される?自動車保険との違いや請求方法を解説
監修記事

岡本 美紗子
ライター
交通事故に遭い「むちうち」と診断された際、治療費や生活の不安を感じるでしょう。その中で「生命保険は使えるのだろうか」という疑問は、切実な問題です。しかし、交通事故によるむちうちの治療で生命保険が適用されるケースは少ないのが実情です。
本記事では、なぜむちうちで生命保険が適用されにくいのか、その理由を自動車保険との違いを交えながら解説します。むちうちになってしまった場合、生命保険が適用外になるケースは多いですが、いずれにせよ早期に受診し、適切な治療を受けることが大切です。
記事の後半では、病院選びの重要性についても説明していきます。
-
まずはお気軽にご連絡ください
- 電話受付時間 9:00~22:00
-
LINEで無料相談
(24時間365日、受付) -
WEBで無料相談
(24時間365日、受付)
目次
交通事故でむちうちに!生命保険は適用されにくい

▲「むちうち」とは?発症の原因や症状等
生命保険において、むちうちの治療費が適用されにくいのは、入院や手術といった重度の医療行為が給付条件となっているケースが多いためです。むちうちは主に、通院とリハビリで治療されることが多く、入院や手術に至る例は少数にとどまります。
また、むちうちはレントゲンやMRIなどの画像検査では異常が見られないケースが多く、その場合、医学的には「他覚症状なし」と診断されます。
生命保険において、他覚症状がない場合は保険適用外となることが少なくありません。受診する医療機関によっては、症状が正確に診断されず、保険適用外と判断される可能性もあります。
もし生命保険に通院特約を付けていても、多くは「入院後の通院」が支払い条件となっているため、むちうちによる通院のみでは対象外になるケースが多いです。
交通事故によるむちうち治療の補償は、生命保険ではなく、自動車保険による補償が中心になるため、そちらの内容を確認しておくことが重要です。
生命保険の適用範囲
生命保険は、主に被保険者の死亡時に支払われる「死亡保険金」と、病気やケガの治療時に支払われる「医療給付金」の2つの保障に分けられます。
医療給付金は、主に「入院」と「手術」から成り立っています。交通事故によるむちうちで死亡に至るケースは考えにくいため、焦点となるのは医療給付金です。
医療給付金の受け取りは、医師による診断名と、その治療のための入院や手術が必要であるという判断が条件となるケースがほとんどです。つまり、生命保険は重篤な病気やケガに備えるための保障と言えます。
保険金は、契約時に定めた金額が支払われる「定額払い」が一般的で、実際の損害額とは関係なく一定額が支払われます。また、保障されるのは原則として契約者本人(被保険者)に限られます。
自動車保険の適用範囲
自動車保険は交通事故によって生じるさまざまな損害を補償するために設計されています。主な補償内容は、以下のとおりです。
- 相手を死傷させた場合の「対人賠償保険」
- 相手の物を壊した場合の「対物賠償保険」
- 自身の車を守る「車両保険」
- 自分や同乗者のケガを補償する「人身傷害保険」 など
交通事故によるむちうちで特に重要な役割を果たすのが「人身傷害保険」です。人身傷害保険は、運転者や同乗者が負ったケガの治療費や、仕事を休んだ場合の休業損害などを補償します。
むちうちの場合でも、事故との因果関係が医師の診断書などで証明できれば、通院にかかった費用などが補償される可能性が高いです。
▲交通事故治療における診断書の内容と役割
自動車保険を含む損害保険は、実際にかかった損害額を上限として保険金が支払われる「実損払い」が基本です。
交通事故の被害者になった場合は、基本的に加害者が加入している自動車保険から治療費や慰謝料などが支払われることになります。
生命保険と自動車保険の違い
これまでの説明をまとめると、生命保険と自動車保険には明確な違いがあります。
生命保険は「人の生死や病気・ケガ」そのものに備える保険であり、入院や手術といった特定の条件を満たした際に、あらかじめ決められた定額が支払われます。保障の目的は、被保険者自身の経済的負担の軽減です。
対して自動車保険は「交通事故によって発生する損害」に備える保険です。対人・対物賠償、自身のケガや車の損害など、事故に関連する幅広い損害を、実際にかかった費用(実損額)に基づいて補償します。
多くのむちうちのように、入院や手術を伴わないものの、通院治療が必要なケガの場合、定額払いの生命保険では対応が難しく、実損払いで治療費をカバーできる自動車保険の方が、より実態に即した補償を受けられるのです。
生命保険の特約|むちうちは適用外となりやすい
生命保険には、主契約の保障内容を充実させるための様々な「特約」があります。交通事故に備える特約も存在しますが、主契約と同様に、むちうちの治療では適用されないケースがほとんどです。
ここでは交通事故時に利用できる可能性のある主な特約を紹介し、なぜそれらがむちうちに適用されにくいのかを解説します。自身の契約内容を確かめる際は、必ず保険証券や約款を確認するか、保険会社に直接問い合わせることが大切です。
災害通院特約
災害通院特約は、不慮の事故によるケガで通院した場合に、1日あたり一定額の給付金が支払われる特約です。
保険会社によっては入院の有無を問わないタイプもありますが、多くの場合は給付の条件として「他覚的所見」、つまりレントゲンやMRIなどで確認できる客観的な異常があることを求めています。
むちうちは画像検査で異常が見つからないケースが多く、この条件を満たせないために給付対象外となることが少なくありません。
また、特約の多くが「入院後の通院」を保障の対象としているため、入院に至らないむちうちでは適用されないことがほとんどです。
自身の保険がどのような規定になっているか、必ず保険証券や約款で詳細を確認する必要があります。
特定損傷特約
特定損傷特約は、不慮の事故によって骨折、関節脱臼、腱の断裂といった特定のケガを負った際に、一時金が支払われるものです。
この特約は、入院や手術の有無にかかわらず、診断された時点で給付対象となるのが特徴です。
しかし、交通事故で多い「むちうち」は、医学的には「頸椎捻挫」や「頸部挫傷」と診断されることが多く、この特約が対象とする骨折や腱の断裂といった深刻な損傷には該当しないのが一般的です。
そのため、むちうちの症状でこの特約から給付金が支払われる可能性は極めて低いと言えます。
傷害特約
傷害特約は不慮の事故を直接の原因として、事故日から180日以内に死亡した場合、または重い高度障害状態になった場合に、保険金が支払われる特約です。したがって、むちうちの治療そのものを直接補償するものではありません。
通院治療にかかる費用や、仕事を休んだことによる収入減を補うための給付金は、この特約からは支払われないのです。むちうちの治療段階で利用できるものではなく、あくまで万が一の深刻な事態に対する保障であると理解しておく必要があります。
災害割増特約
災害割増特約は不慮の事故から180日以内に死亡した場合や、所定の感染症が原因で死亡した場合に、主契約の死亡保険金に上乗せして保険金が支払われるものです。
この特約の目的は、事故による死亡といった、人生に極めて大きな影響を及ぼす事態に備えることにあります。例えば、死亡保険金が1,000万円の契約に同額の災害割増特約が付いていれば、交通事故で亡くなった場合、合計2,000万円が遺族に支払われます。
この特約も、あくまで死亡や重度障害に対する保障を手厚くするものであり、むちうちの通院治療をしている段階で利用できるものではありません。
むちうちの治療費を補う目的とは異なり、万が一の事態に備えた上乗せ保障という位置づけになります。
交通事故によるむちうちで生命保険を請求する流れ
むちうちで生命保険が適用されるケースは稀ですが、万が一、入院や手術が必要となり保険の適用対象となった場合に備え、請求手続きの流れを把握しておきましょう。
最初に、加入している生命保険会社へ連絡し、事故に遭った旨とケガの状況を伝えて給付金請求の意思を申し出ます。
保険会社から請求に必要な書類一式が送られてきたら、治療を担当している医師に保険会社所定の診断書を作成してもらいます。
最後に、保険会社の請求書に必要事項を記入し、診断書やその他指示された書類を同封して郵送します。
必要書類は以下のようなものがあります。
- 保険金・給付金請求書(保険会社所定のもの)
- 医師が作成した診断書(保険会社所定のもの)
- 交通事故証明書(自動車安全運転センター発行)
- 事故状況報告書または受傷事情説明書(保険会社所定のもの)
- 本人確認書類のコピー
- 印鑑証明書
【受診前に確認】交通事故によるむちうちの症状
交通事故に遭った後、適切な診断と治療を受けるためには、自身の症状を正確に医師へ伝える必要があります。受診前に、むちうちで起こりうる症状の予備知識を持っておきましょう。
▲むちうちが原因で起こる症状の例
代表的な症状は、首や肩の痛み、頭痛、腕や手のしびれです。その他にも、めまいや吐き気、耳鳴りなど症状は多岐にわたります。
むちうちの症状や種類について詳しくは、以下のページも参考にしてください。
医師監修むちうちはどんな症状?治療方法や完治までにかかる時間について解説
医師監修むちうちと頚椎捻挫の違いは?症状の種類や治療方法について通院期間の目安とあわせて解説
【病院選びがカギ】交通事故によるむちうちで生命保険を利用するために
生命保険を利用するには「他覚症状」、つまり客観的な医学的所見の有無が重要なポイントです。本人がどれだけつらい症状を訴えても、客観的な証明がなければ保険の適用は難しくなります。
だからこそ、事故後に適切な病院を選ぶことが重要です。交通事故後の通院先には、レントゲンだけでなく、MRIなどの精密検査を受けられる病院を選びましょう。
▲MRI検査とは
また、交通事故の治療実績が豊富で、親身に話を聞き、適切な診断書を作成してくれる医師であるかも見極めるべき点です。ただし、最終的な保険適用の可否は保険会社の規定によりますので、まずは自身の保険会社に適用条件を確認することが先決です。
「どの病院が適切か分からない…」「通院先に悩んでいる…」という場合は、交通事故病院相談窓口にお気軽にお問合せください。交通事故に詳しい相談員が無料で通院先選びをサポートいたします。
むちうち等、交通事故後の痛みや違和感でお困りではありませんか?
「交通事故病院」の相談窓口なら、交通事故後の通院先について無料相談できます。
質問・ご相談・ご予約、全て0円!
さらに、通院で最大20,000円のお見舞金もあり!(※お見舞金の詳細はこちら)
まずはお気軽にご連絡ください。
(電話受付時間 9:00~22:00)
【Q&A】交通事故によるむちうちの保険金に関するよくある質問
ここでは、交通事故によるむちうちと保険金に関して、よく寄せられる質問にお答えします。生命保険以外の補償や、慰謝料についても解説しますので、ぜひ参考にしてください。
Q.交通事故でむちうちになった場合、病院にかかるお金は生命保険以外でどのように保障されますか?
むちうちを含む交通事故の治療費は、生命保険以外でカバーされるのが一般的です。もし事故の被害者であれば、治療費は原則として加害者が加入している自動車保険(自賠責保険および任意保険)から支払われます。
ただし、被害者であっても、自分にも事故の責任(過失)がある場合は、その過失割合に応じて一部自己負担が発生するケースもあるため注意が必要です。
一方、加害者の場合は、自身が加入している健康保険や、自動車の任意保険に付帯する人身傷害保険などを利用して治療を受けることになります。
病院にかかる費用や補償の仕組みについて、さらに詳しく知りたい方は以下の記事も参考にしてください。
関連記事交通事故で病院にかかるお金はどうなる?補償や自己負担も解説
Q.交通事故の被害者になった場合、むちうちなどの怪我で通院したら慰謝料は受け取れますか?
はい、受け取れます。交通事故の被害者となり、むちうちなどのケガで通院を余儀なくされた場合、その精神的苦痛に対する賠償金として入通院慰謝料を加害者側へ請求することが可能です。
慰謝料の金額は、自賠責保険の基準で計算されるのが基本です。この基準では、原則として「1日あたり4,300円×入通院日数」で算出されます。この入通院日数は、治療期間と実入通院日数(入院日数+実際に通院した日数)×2倍のうち、いずれか少ない方の日数が適用される仕組みです。
また、治療を続けても症状が改善せず後遺症が残ってしまった場合は、後遺障害の認定を受けることで、入通院慰謝料とは別に後遺障害慰謝料を請求できる可能性もあります。
▲後遺障害とは?(後遺症と後遺障害の違い)
慰謝料の詳しい計算方法や金額の相場については、以下のページで詳しく解説しています。
弁護士監修交通事故で通院したら慰謝料はいくらもらえる?計算方法も解説
まとめ:交通事故によるむちうちは生命保険が適用されにくい
交通事故によるむちうちの治療で生命保険が適用されるのは極めて稀なケースです。その理由は、むちうちの治療で入院や手術が必要になるケースが少ないのと、支払いの判断基準となる「他覚症状」が認められにくいためです。これは、特約を付けていたとしても同様の傾向にあります。
もし生命保険の適用を考えるのであれば、レントゲンやMRIなどの精密検査を通じて、ケガの状態を客観的に証明してくれる病院を選ぶとよいでしょう。
何よりも、事故に遭った際は加入している生命保険会社に連絡し、契約内容と保険金の支払い条件を確認するよう心がけましょう。
-
まずはお気軽にご連絡ください
- 電話受付時間 9:00~22:00
-
LINEで無料相談
(24時間365日、受付) -
WEBで無料相談
(24時間365日、受付)
この記事を監修したのは…
14年以上にわたって医療事務の職に就き、2022年8月に退職。現在は、Webライターとして活躍中。健康、医療、美容関連の記事制作を得意とする。幅広い読者層に向けたわかりやすく、興味深いコンテンツを提供することを意識して、常に読者の視点に立った記事作成に取り組む。所持資格:登録販売者、MOSワードスペシャリスト
この記事の執筆者
交通事故治療の
病院・整形外科を探す
交通事故施術の
整骨院・接骨院を探す
カテゴリ一覧
-
交通事故の症状・治療について
-
交通事故施術に強い整骨院
-
交通事故治療ができる病院
- 交通事故の通院・手続きについて(その他)
- 交通事故の弁護士