交通事故のあとから痛みが出た時の通院先は?整形外科と整骨院の違い
監修記事

柿野 俊弥
理学療法士
交通事故に遭った場合に事故当日は症状が軽度だったり無症状だったとしても事故あとから痛みが増悪したり出現したりすることは珍しくありません。特にむちうちを患うとこのように時間が経過してから症状が出現することがあります。
交通事故の場合、損害賠償請求など通常の手続きとは異なるため、受傷直後の対応が重要となります。今回は事故のあとから出る痛みについて解説をします。
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目次
交通事故であとから痛みが出る理由
交通事故直後は無症状でも、時間の経過とともに痛みが出てくることがあります。
事故のショックで分泌されるアドレナリンやβエンドルフィンには強い鎮痛作用があり、一時的に痛みを感じにくくなります。
また、組織の損傷による炎症は徐々に進行するため、腫れと痛みも後から強くなります。さらに、むち打ちなどの内部損傷は外見ではわかりにくく、症状が遅れてあらわれることがあります。
多くの場合、事故から72時間までに痛みがあらわれ始め、個人差はありますが数週間から数か月間続くことがあります。
痛みの有無にかかわらず、事故後はすぐに医療機関を受診しましょう。
▶︎参考:軽い追突事故でも病院にいくべき理由とは?通院日数と損害賠償の関係
精神面
「交通事故被害者の支援〜担当者マニュアル」というものを内閣府が公表しています。
これによると人は「解離」といって交通事故のような重大なアクシデントが生じたときに、その出来事を受け入れられずに感覚が麻痺してしまうという精神的な反応があり、これによって交通事故の直後では感覚が麻痺してしまい痛みを感じにくくなるという事が起こる事があります。
身体面

▲むちうちの症状が事故後すぐに出ない理由
交通事故の直後は突然の出来事で興奮している状態となっていることが多いです。この興奮状態のとき、体内ではアドレナリンというホルモンが分泌され、これが鎮痛作用として働くことで痛みを感じにくくさせているといわれています。また、βエンドルフィンというホルモンも分泌されます。
βエンドルフィンは脳内麻薬の作用があり強い鎮痛作用として働くことで痛みを感じにくくなります。また、組織が損傷した場合は炎症反応により腫れが生じます。
POINT
痛みはこの腫れの強さに比例
痛みはこの腫れの強さに比例しますが、事故直後は腫れが小さく、時間の経過とともに腫れが大きくなることで痛みが出現してくることが考えられます。
内部損傷
骨折や裂傷などは事故直後から痛みがあったり外見で判別できますが、交通事故で最も多いむちうち症(頚椎捻挫)は事故直後では痛みがでず、外見ではわかりにくい外傷のため後になってから症状が出現することがあります。また、脳の障害(脳内出血など)も外見ではわからず後になってから症状が出現し悪化することがあります。
そのため、交通事故に遭った場合は直後に痛みがなくてもすぐに病院を受診しましょう。
【部位別】交通事故後の痛み
交通事故後には、さまざまな部位に痛みがあらわれることがあります。
とくに多いのが首(むちうち)、腰、背中の痛みです。部位ごとに症状の特徴や原因が異なるため、それぞれ理解しておきましょう。
首(むちうち)の痛み
▲「むちうち」とは?発症の原因や症状等
むちうちは交通事故で最も多い外傷で、事故の衝撃で首が急に前後に揺れることで起こります。首の筋肉や靭帯が傷つき、痛みや硬さ、動かしにくさを感じます。
さらに首の痛みだけでなく、頭痛やめまい、吐き気などもあらわれることがあります。なかには、肩や腕にまで症状が広がり、しびれや痛みを生じるケースもあります。重症になると全身の疲れや食欲不振といった症状も出ることがあります。
とくに注意したいのは、これらの症状が事故直後ではなく、数時間から数日経ってから徐々にあらわれることが多い点です。そのため「大丈夫だろう」と油断せず、事故後は必ず医療機関を受診し、適切な検査と治療を受けるようにしましょう。
治療が遅れると後遺症につながるため、早めの行動が大切です。
関連記事むちうちとは?原因から症状・治療法や慰謝料まで徹底解説!
腰の痛み
交通事故による腰の痛みは、衝撃で腰に強い力が加わることで起こります。腰の筋肉や靭帯に炎症が生じ、痛みや動かしにくさを感じます。
症状としては、腰全体の痛みや、足へのしびれや痛みが広がることもあります。ひどい場合は歩いたり起き上がったりすることも難しくなります。
腰の痛みは首の損傷から連鎖的に起こることも多いです。また、シートベルトの締め付けによる直接的な衝撃も原因になります。最初は痛みが軽くても、徐々に悪化することがあるため早めの受診が大切です。
関連記事腰部挫傷とは?腰痛の原因や治療法の解説と悪化を防ぐ対処法
背中の痛み
交通事故後の背中の痛みは、むちうちの影響や直接的な衝撃で起こります。首から背中への筋肉はつながっているため、首の損傷が背中にも影響することがよくあります。
主に筋肉の損傷や炎症、神経の圧迫が原因で、背中全体に鈍い痛みや鋭い痛みを感じます。姿勢を保つのが難しくなったり、深く息を吸うことがつらくなったりすることもあります。
背骨の関節や骨盤との関節が衝撃で圧迫されて周りの組織が傷つき、痛みが生じることが多いです。痛みがあるときは無理に動かさず、医師の指導のもとで適切な安静とリハビリを行うことが回復への近道です。背中の痛みは日常生活のあらゆる動作に影響するため、早期治療が重要です。
関連記事交通事故であとから背中が痛むのはなぜ?その理由について解説
いつまで続く?部位別の痛みの目安期間
首・腰・背中など、部位別に痛みが続く一般的な期間の目安は以下のとおりです。
部位別 | 痛みが消失するまでの一般的な期間 |
首の痛み | ・軽症:約3ヶ月 ・中等症〜重症:約3〜6ヶ月 |
腰の痛み | ・軽症:約1〜3ヶ月 ・中等症〜重症:約3〜6ヶ月 |
背中の痛み | ・軽症:約1〜2ヶ月 ・中等症〜重症:約2〜4ヶ月 |
ただし、これらはあくまで目安であり、年齢や既往歴、事故の衝撃の大きさ、受傷直後の処置までの早さ、継続的に治療をしたかどうか、日常生活での負担などさまざまな要因で回復にかかる期間は変わってきます。
いずれにしても、痛みが軽いからといって治療を放置せず、早めの医療機関の受診が大切です。症状の慢性化や長期化を防ぐことができます。
治療終了の判断は自己判断せず、医師の指示に従いましょう。何か不安なことがあれば、治療にも影響するため担当医に相談してください。
交通事故にあった際の手続き
交通事故に遭った場合の基本的な手続きの流れは以下のとおりです。
- 警察への連絡・届出
- 保険会社への連絡
- 医療機関の受診と診断書の取得
- 人身事故への切り替え(必要な場合)
- 通院治療の開始
- 示談交渉
交通事故発生後は必ず警察に連絡し、怪我がある場合は人身事故として届け出ます。あらかじめ、自分の保険会社へ報告し、加害者側の保険会社の連絡先を確認しておくことも大切です。
▲物損事故と人身事故の違い
事故には物損事故と人身事故がありますが、人身事故で処理していなければ、被害者は加害者に治療費や慰謝料などの損害賠償を請求することができません。
人身事故へ切り替えるときは、整形外科で取得した診断書を警察に提出しましょう。あまり時間が経ってしまうと、事故と怪我との因果関係を疑われる可能性もあります。そのため、事故から10日以内を目安に切り替えるようにしましょう。
医療機関を受診した後は、医師の指示に従って治療を受け、治療期間中の記録や領収書は、すべて保管しておくとよいです。その後、症状が安定したら治療費や慰謝料などの請求手続きを進めていきます。
さらに詳しく知りたい方は、下記記事を参考にしてください。
関連記事怪我のない軽い接触事故が起きた時の適切な対処法は?気付かないまま違反になってしまうケースも
交通事故による痛みは整形外科と整骨院どちらがいい?
交通事故後の通院先として整形外科と整骨院のどちらが適しているか迷う方は多いのではないでしょうか。整形外科と整骨院の最も大きな違いは「医師による診断や治療ができるかどうか」です。
▲交通事故通院の病院と整骨院の治療内容の違い
整形外科は医師による診断と治療が受けられ、診断書の発行も可能です。
整骨院では診断書が発行できず、保険請求や人身事故認定に必要な書類が取得できないため、交通事故直後は必ず整形外科を受診しましょう。CTやMRIなどの精密検査ができるのも整形外科の強みですが、待ち時間が長い点はデメリットです。
整骨院は手技による施術で症状改善をサポートします。マンツーマンの丁寧な対応や夜間・休日の営業が強みですが、医療行為はできません。
症状や状況に応じて、両者の特徴を理解したうえで選ぶことが大切です。
関連記事整骨院と整形外科の違いは?どっちがいいか症状やケースにあわせて解説!
整形外科
▲交通事故後の整形外科受診
整形外科は、骨折の有無(レントゲン)・神経損傷の有無(MRI)といった設備が整っています。医師免許を持つ医師が西洋医学の知見から、的確に身体に問題がないかを判断します。また、医師免許を取得した医師しかできない、診断書の発行、手術や薬の処方ができます。
整骨院(接骨院)
▲整骨院の交通事故施術内容の種類
まず、整骨院と接骨院は、呼び名が違うだけで、施術メニューや療術の内容は変わりありません。整骨院・接骨院は柔道整復師という国家資格所有者が運営する施術(療術)院です。
主に手技療法(骨接ぎ、マッサージ、牽引療術、電気療術など)で施術を行います。整骨院によっては、理学療法や運動療法などを行ってくれるところもあるので、自分の症状にあった療術を選ぶことができます。
ただし、最初から整骨院に通うのはよくありません。きちんと骨や神経内部まで損傷がないかを整形外科で診断してもらい、診断書を作成してもらってから通院することが大切です。また、後遺症が長引く場合も後遺障害診断書が必要になるので、この場合も整形外科で診断してもらう必要があります。
交通事故で悩んでいるなら併用がおすすめ
▲交通事故治療で病院と整骨院の併用と注意点
整形外科は、もちろん適切な治療をしてくれます。しかし、むちうちなどの症状はレントゲンにはうつりにくく、「経過観察」を余儀なくされることも。
そこで交通事故病院では、柔道整復師がいる整骨院に整形外科と併用して通院することをおすすめしてます。なぜかというと、整骨院は関節や筋肉へ直接的にアプローチし、施術を行ってくれるからです。
また、整骨院なら加害者側の保険会社に慰謝料請求ができます。「整形外科でないから治療費は支払われない」と思っている方は多いようですが、整骨院の場合でも、慰謝料として通院日数や施術期間に従って算出されるようになっています。
整骨院の場合、各エリアに数多くある、夜遅くまでやっているなど、通院のしやすさもポイントです。もしどちらか迷っているなら併用することも可能です。
併用して通院する時
▲交通事故の怪我で整骨院と整形外科を併用通院する為のステップ
- ①まずは、必ず整形外科で診てもらい、診断書を発行してもらうようにします。
- ②相手方の保険会社に整骨院にも通院する旨を伝え、ご希望の整骨院で施術をしてもらいます。
- ③整骨院で補完治療(理学療法や針灸、マッサージなど)を受けて、症状が良くなるまで通院をします。
整形外科と整骨院を併用して通う際は、加害者側の保険会社へ連絡することを忘れないようにしましょう。加害者側の保険会社への連絡を怠った場合、適切な損害賠償を支払われない可能性があります。
交通事故と痛みのFAQ
交通事故による怪我の場合、通常の怪我と対応が異なります。そのため、適切に対応するために交通事故と痛みに関してよくある質問とその回答について紹介します。
交通事故からすぐ痛みが出ないのはなぜ?
交通事故のような突然のアクシデントが生じると、人はその出来事を受け入れない精神的な反応が生じます。一次的に感覚が麻痺し、事故の直後では痛みを感じにくくなります。
また、事故直後は興奮状態となっており、体内ではアドレナリンというホルモンの分泌量が多くなります。さらにβエンドルフィンという脳内麻薬の作用のあるホルモンも分泌されます。
これらのホルモンは鎮痛作用として働くため、事故直後では痛みを感じにくくなり、興奮がおさまったころで痛みを知覚するためあとから痛みが出現するという状況が生じます。
交通事故であとから別の部位に痛みが出たら?
保険会社に別の部位に痛みが出たことを連絡し、すぐに医療機関を受診しましょう。特に相手側の保険会社が別の部位に痛みが出たことを把握していない場合、それについての慰謝料などの手続きの際にトラブルになる可能性があります。
そのため事前に保険会社に連絡してからなるべく早く医療機関を受診しましょう。
軽い事故でも人身事故扱いになりますか?
軽微な接触事故や自分では大丈夫だと感じる事故でも、人身事故として扱えます。事故直後に症状があらわれないことも多く、後から痛みやケガが明らかになるケースは少なくありません。
人身事故として警察に届け出ることで、適切な補償を受けるための基盤ができます。また、人身事故の場合は警察による実況見分が行われるため、後に事故状況や過失割合について争いになった場合も証拠として役立ちます。
もし、物損事故として扱われた場合でも、後から痛みが出たら「人身事故への切り替え」ができます。医療機関で診断書を発行してもらい、診断書を持って事故を取り扱った警察署に届け出ましょう。
事故のあとから痛みが出るのはどのくらいまでですか?
交通事故後、痛みが出始めるタイミングには個人差がありますが、一般的には事故直後から3日以内に症状があらわれることが多いです。とくにむち打ちの場合、事故当日は無症状でも翌日から首や肩のこわばりや痛みを感じ始めることがよくあります。
そのため、事故直後は「症状はないから病院には行かなくていいだろう」と判断する方もいるのが実状です。しかし、前述したとおり後から症状が出るケースは多いことに加え、保険適用も考慮に入れると、事故後はできるだけ早く医療機関を受診することをおすすめします。
交通事故であとから痛みがあるなら受診
今回は交通事故であとから出る痛みについて解説しました。交通事故では事故直後ではなく、時間が経過してから痛みなどの症状が出現することが珍しくありません。
事故直後に無症状だとして人身事故ではなく物損事故になっている場合には切り替える必要もあります。そのため、あとから痛みが出た場合でもすぐに医療機関を受診し医師の診察を受けましょう。
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この記事を監修したのは…
理学療法士として、回復期病院で脳血管疾患を中心にリハビリテーションを経験。その後、フリーライターに転向。医療・健康分野をはじめ、地域・観光、転職関連などの幅広いジャンルの執筆を行っている。
この記事の執筆者
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