交通事故の腰椎捻挫は治る?腰の痛みの原因と対処法まとめ
交通事故に巻き込まれて、怪我をするのは首だけではありません。首の怪我である頚椎捻挫(むちうち)と同じくらい、腰椎捻挫も交通事故後に多くの人が発症する怪我です。
今回は、交通事故で腰椎捻挫(腰痛)になってしまった時にどうしたらいいのか、もし治らなかったらどうなるのかなど、「腰の捻挫」にフォーカスしてお届けします。
この先どうしたらいいのかわからないと思っているそこのあなた。
ぜひご一読ください。
腰椎捻挫とは
腰椎捻挫は、腰椎(腰の骨※1)が損傷している状態です。医療業界では、腰椎捻挫、腰部挫傷、腰部症候群と呼ばれることもあります。
※1 腰椎とは、背骨の腰の部分。ちょうどウエストの下くらい。
腰椎捻挫の原因とは?
腰椎捻挫は、交通事故やスポーツで、筋肉・神経・関節などに急激な負荷が腰椎にかかることが主な原因だといわれています。このように急激な負荷が腰椎にかかってしまうと、関節包、靱帯、筋膜が損傷するため、腰椎捻挫の痛みが生じるのです。
交通事故の腰椎捻挫には要注意!
腰椎捻挫は、レントゲンやCTでは映りにくい(あるいは映らない)といわれています。なぜ映らないのかと言うと、レントゲンは骨の状態を診るものだからです。したがって、腰椎捻挫の疑いがある場合はレントゲンやCTではなく、脊髄や関節、内臓の状態を診ることができる『MRI』の検査を受けることをおすすめします。
また、交通事故が原因の腰椎捻挫は、事故直後に自覚症状があらわれない場合もあります。事故後は体が興奮状態にあり、鎮痛作用のあるアドレナリンやβエンドルフィンが分泌されます。そのため、事故から数日経ち、体の興奮状態が治まったときに初めて、腰椎捻挫の痛みがあらわれる可能性があるのです。
したがって、交通事故で腰に強い衝撃を受けた場合は、自覚症状がなくても一度病院でMRIの検査を受けることが大切です。
腰椎捻挫の治し方(対処法)
交通事故後に腰椎捻挫と診断された場合、治し方として一般的な流れは以下の通りです。
- 痛みがある時は安静に
- 自分の症状にあった治療(施術)をしてくれる場所を探す
- 痛みが少し落ち着いたら整形外科へ
具体的にどのような施術をすべきかを1つひとつ確認してみましょう。
痛みがある時は安静に
交通事故のあと、痛みが出てきて動くのもつらい時には、無理に動かさずに、安静にすることをおすすめします。腰椎捻挫の場合、膝を曲げて横向きに寝ると、若干痛みが和らぎます。あまりにも痛みが酷いのであれば、痛み止めを服用するようにしましょう。腰椎捻挫による痛みを軽減することができます。
また、ご自宅に市販で購入した冷たい湿布があるのであれば、患部に貼ることで炎症を抑えることも可能です。
痛みが少し落ち着いたら整形外科へ
腰椎捻挫の痛みが落ち着いてきたら、整形外科に行きましょう。整形外科を受診することで、「診断書」を取得することができます。これは、物損事故から人身事故へ切り替えるとき、加害者に損害賠償を請求する際に、必要な書類の1つです。
また、整形外科ではMRIの検査を受けることができるため、治療すべき箇所も明確になります。
自分の症状にあった治療(施術)をしてくれる場所を探す
「整形外科に通院しているけれど、なかなか症状がよくならない。」
「このまま腰痛を抱えて生きていかなければいけないのか」
と、感じることもあるでしょう。
交通事故で腰椎捻挫を負った場合の通院先は、整形外科だけではありません。整骨院や鍼灸院で施術を受けるという選択肢もあります。したがって、違う通院先への転院や整骨院との併用通院を検討してみてはいかがでしょうか。
腰椎捻挫が完治するまでの治療期間は?
交通事故病院の編集部が取材を受けてきたところ、一概に、何ヶ月で治るといえないようです。しかし、腰椎捻挫の場合は定期的に通院することで、症状が緩和されるのが早くなるといわれています。
腰椎捻挫の場合、“一般的には3〜6ヶ月”で完治(治癒)する、もしくは症状固定と医師から診断を受けることが多いようです。ただし、交通事故の状況や怪我の程度は、個人差があります。したがって、ご紹介した腰椎捻挫の治療期間は、あくまで目安として覚えておくようにしてくださいね。
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腰痛捻挫で「症状固定」と言われたら?
交通事故で怪我を負った場合、被害者は加害者側保険会社に治療費を請求することができます。このとき使うのは、加害者の自賠責保険や任意保険です。
ただし、腰椎捻挫の治療をしている途中で医師に「症状固定」と診断された場合、症状固定後の治療費を請求することができません。症状固定となった場合は、「後遺障害等級認定」を申請することによって、治療費とは別の損害賠償を請求することができます。
腰椎捻挫で後遺障害等級認定できる?
交通事故によるむちうち(頚椎捻挫)や腰椎捻挫では、レントゲンやCTなどで映りにくいと述べましたが、その状態で後遺障害等級認定できるの?と不安になりますよね。
結論を述べますと、腰椎捻挫で後遺障害等級認定ができるかは、ケースバイケースです。
後遺障害等級認定で等級が認定されることもありますが、全員が全員、等級が認定されるわけではありません。
そもそも、後遺障害等級認定とは?
後遺障害等級認定とは、交通事故による怪我の治療を「これ以上行っても症状が改善しない」と医師が判断した場合に行う手続きです。後遺障害等級認定を申請し、1~14級まである等級に該当した場合、被害者は逸失利益(いっしつりえき)と後遺障害慰謝料を受け取ることができます。
腰椎捻挫の後遺障害等級認定に必要なこと
後遺障害等級認定は、事前認定または被害者請求で手続きを行います。このとき、後遺障害診断書が必要になります。したがって、整形外科で後遺障害診断書を取得することを忘れないようにしてください。
また、腰椎捻挫に限らず、後遺障害等級認定を申請する場合は、以下の5つの条件を確認するようにしましょう。
- 通院を継続的に行っている
- 後遺症が残るような事故であったか
- 同じ症状が現在まで続いている
- 自覚症状が証明できること
- 症状が後遺障害の等級に該当している
腰椎捻挫は、「腰部痛、下肢のしびれ・痛みなど」の神経症状が後遺症となる可能性があります。この後遺症に当てはまる後遺障害の等級は、第12級13号か第14級9号です。
また、「腰部痛、下肢のしびれ・痛みなど」の神経症状は、はっきりとした他覚症状があるわけではありません。「腰部痛、下肢のしびれ・痛みなど」の神経症状を証明するには、下記の神経学的検査所見という検査を行うことをおすすめします。
- 神経根症状誘発テスト(※1)で神経根障害が確認できること
- 膝蓋腱・アキレス腱の深部腱反射テストで「低下または消失」の所見が得られていること
- 大腿、下腿の筋萎縮検査で筋肉の萎縮が確認されていること
※1 神経根症状誘発テストとは、ラセーグテスト・SLRテスト・FNSテストなどのことです。これらのテストは、医師が患者を寝かせて、股関節や膝関節を屈曲させたり、下肢を挙上させて神経根に圧力を加えることで、神経根障害の有無を確認する検査です。障害があると神経の支配領域に痛みが生じます。
交通事故で腰椎捻挫(腰痛)になってしまったら…
交通事故後に腰の痛みがある場合、腰椎捻挫の可能性があるため、必ず病院へ行きましょう。また、腰椎捻挫は後遺症が残ることもあり、適切な治療を受けることが大切です。
もしも交通事故の腰椎捻挫が後遺症になった場合は、後遺障害等級認定を申請するようにしてください。後遺障害等級認定を申請することで、症状固定後も治療費とは異なる損害賠償を受け取ることができます。
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