交通事故の診断書はすぐもらえる?状況別の発行期間と必要な費用を解説
監修記事

オオクマ サキコ
看護師
交通事故にあって診断書が必要になった場合、医療機関ですぐもらえるのでしょうか。
必要となっている診断書の種類により、すぐに受けとれる場合と、数週間単位で発行に時間がかかるものがあります。本記事で、いざという時のために、交通事故時の診断書取得に関するポイントを押さえておきましょう。
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目次
交通事故の際にもらう診断書とは
そもそも診断書とは、医師が患者の怪我や病状を医学的見地から証明する重要な書類です。

▲交通事故治療における診断書の内容と役割
ただ、交通事故の場合に診断書は、被害者が加害者に対して損害賠償を請求する際の根拠となります。そのため、交通事故において診断書は怪我の状況を証明するという以上の役割があります。
事故直後の初期診断から後遺障害の診断まで、目的や状況によって必要となる診断書の種類は異なります。そのため、医師との相談を通じて、自身のケースに最適な診断書を選択することが重要と言えるでしょう。
交通事故で怪我を負った場合は、軽症に思えても必ず医師の診察を受けることを忘れないでください。症状が後から出現することもあり、適切な治療と診断書の取得が、その後の補償請求をスムーズにする鍵となります。
診断書の種類は、この後紹介します。
交通事故の診断書は簡単なものであればすぐもらえる
交通事故の診断書は、種類や医療機関によって作成期間が異なります。
警察提出用などの簡易な診断書であれば当日発行も可能な場合があります。
一方で後遺障害等級認定申請には必要な診断書は記入項目が多いため、完成までに2〜3週間程度要することもあります。早めに作成を依頼しましょう。
示談交渉や各種手続きで診断書の提出期限が定められている場合は、依頼時に受け取りたい日付を伝えることが重要です。
なお、診断書は原本をそのまま提出するケースがほとんどです。コピーではなく原本が求められることが多いため、必要な枚数を依頼して作成してもらうようにしましょう。必要に応じてコピーを取っておくことも有効な対策です。
交通事故の診断書が発行できるのは医師
交通事故の診断書は、医師の資格を持つ者のみが作成できる公的文書です。医師の専門的な診断に基づき作成されるため、警察や保険会社を含む第三者は診断書を作成することができません。
また、整骨院・接骨院の柔道整復師など医師以外の有資格者による施術は、症状緩和には役立ちますが、医療行為とはみなされません。また、柔道整復師は診断書の作成権限もありません。
▲整骨院で診断書は発行できる?
交通事故の補償を適切に受けるには、必ず医師による診断を受け診断書の取得をしましょう。
交通事故の診断書の発行費用
交通事故の診断書にかかる費用は、医療機関によって異なりますが、一般的に1通あたり3,000円から5,000円程度が相場となっています。
この費用は一時的に被害者が立て替える形となりますが、示談交渉や損害賠償請求に必要な診断書については、後日、加害者側の保険会社に請求することができます。
診断書は損害賠償請求の根拠となる重要な書類であるため、必要な枚数を発行してもらいましょう。診断書がなければ、適切な補償を受けられない可能性があります。
診断書作成時には必ず領収書を受け取り、紛失しないよう保管しておきます。この領収書は後の示談交渉や損害賠償請求の際、加害者側への費用請求の資料となります。
加害者側の任意保険会社が「一括対応」を行う場合は、保険会社が直接医療機関から診断書を取得するため、被害者自身での準備は不要となります。
交通事故の診断書の記載内容
交通事故の診断書には以下のような内容が記載されます
- 傷病者
- 傷病名
- 症状の詳細・今後の見通し
- 治療開始日
- 治療期間
- 作成年月日
- 病院名
- 医師名
交通事故の損害賠償請求では、医療費の実費請求には診療報酬明細書が必要です。
診断書に記載される「加療1週間」「全治1か月」などの期間はあくまで目安であり、実際の症状によっては長期の治療が必要となることもあります。あくまで目安の期間が書かれているだけの為、「全治1か月」と書かれているから1か月しか治療が受けられないのではないかと心配する必要はありません。
損害賠償額の算定においては、診断書に記載の期間ではなく、実際に治療を受けた期間が基準となります。
関連記事追突事故の診断書に1週間と記載されても通院は続けられる?
交通事故の診断書が必要なケースともらい方
診断書は提出先によって必要な情報が異なります。
警察提出用は事故状況や怪我の詳細について、保険会社用は治療期間や症状の程度、会社・学校用は休職・休学期間等の明示が重要です。
診断書には様々な種類があり、目的に応じて使い分ける必要があります。複数の機関に提出する場合は、それぞれの要件に合わせた診断書が必要となることもあります。
診断書の発行と提出は基本的に自己判断によるものですが、各提出先の期限を守ることが重要です。提出の意義を理解し、必要な場合に医師に依頼しましょう。
警察署に人身事故として届けるとき
交通事故で怪我をした場合、7〜10日以内までを目安として診断書を警察へ提出し、人身事故として届け出るようにしましょう。期間が空くことで事故との因果関係の証明が難しくなるリスクがあるからです。
▲警察への診断書の提出が遅れるとどうなる?
人身事故として届け出ないと物損事故扱いとなり、様々なデメリットが生じます。
実況見分が行われず証拠不十分となり、過失割合の争いで不利になることや、賠償金額が大幅に減少する可能性があります。軽症であっても怪我がある場合は、必ず人身事故として処理してもらうことが重要です。
なお、一度物損事故として処理された後でも診断書の提出は可能ですので、症状に気づいたら病院を受診し、早急に警察へ届け出ましょう。
保険会社に治療費や賠償金を請求するとき
交通事故で治療費や補償を受けるためには、保険会社への診断書提出が必要です。
提出期限は事故発生から5〜10年以内ですが、損害賠償請求の時効は3年のため早めの対応が望ましいでしょう。
提出先は加害者の保険加入状況によって異なります。任意保険加入の場合、その保険会社へ一括請求が可能で、診断書の作成依頼や取り寄せも保険会社が代行します。被害者は同意書を提出するだけです。
▲診断書と同意書の違い
一方、加害者が任意保険未加入の場合は自賠責保険会社へ請求します。この場合、被害者自身が診断書の作成を依頼し、自賠責保険会社から取り寄せた所定の書式で提出する必要があります。
適切な補償を受けるためにも、早期に正しい手続きを行いましょう。
関連記事交通事故の治療費は誰が支払う?手続きの流れや打ち切りの打診について解説
後期障害認定の申請をするとき
交通事故の怪我を治療しても完治せず後遺症が残った場合、自賠責保険の認定機関からその状態を認めてもらう手続きが後遺障害認定です。
症状の重さに応じて第1級〜第14級まで等級が定められており、認定された等級によって後遺障害慰謝料や逸失利益の金額が異なります。
後遺障害等級認定を受けるための手続きに期限はなく、必要に応じて何度でも申請できます。
申請には保険会社から取り寄せた所定の書式による「後遺障害診断書」が必要です。この診断書は医師に記入してもらう必要があります。正確な診断書の取得が重要となりますので、医師に提出目的をしっかり伝えましょう。
▲後遺障害診断書とは?
障害により自分で手続きができないと言った場合は、弁護士に依頼することをおすすめします。
関連記事交通事故の後遺症の種類とは?症状や後遺障害認定を受ける方法を解説
勤務先に休業や業務調整の申請をするとき
交通事故による怪我で休業や業務調整が必要な場合、会社から診断書の提出を求められることがあります。
労災利用時にも必要とされる場合があります。法律上、会社が診断書提出を強制できる明確な規定はありませんが、就業規則で定められている場合は提出が必要です。拒否すると社内処分や解雇の可能性もあります。
休職・復職の手続き方針は会社によって異なるため、実際の対応は社内の総務部門などと相談しながら進めることをお勧めします。
交通事故の診断書がもらえないケースと対処方法
医師が診断書の作成を断るケースには、なんらかの理由があります。
例えば、後遺障害診断書を作成したい時、まだ症状固定ではない場合は医師の判断に従い治療を継続し、見込み時期に再度依頼しましょう。後遺障害がないと考えられている場合は、具体的な症状を説明し診断書の必要性を丁寧に伝えます。
また、健康保険での治療に診断書は書けないという誤解がある場合は、健康保険利用と後遺障害申請は無関係であることを説明する必要があり、転院などで「治療経過を把握していない」場合は、過去の治療記録を取り寄せて提供することで対応可能です。
以下にもらえないケースと対処法の詳細をまとめました。
ケース①:後遺障害診断書を書いてくれない
後遺障害診断書が取得できない理由は主に二つあります。
一つ目は医師が「症状がまだ改善する見込みがある、症状固定していない」と判断した場合です。後遺障害認定には症状固定の診断が必須条件のため、この場合は医師の指示に従って治療を継続しましょう。
▲症状固定とは?
二つ目は医師が「後遺障害が残らない」と判断した場合です。このときは自覚症状を具体的に医師に伝え、現在の症状をそのまま診断書に記載してもらうよう依頼することが効果的です。
ケース②:病院を受診していない
後遺障害診断書の取得が困難になるケースとして、交通事故後に整骨院だけに通院していた場合や、整形外科の受診頻度が極端に少ない場合があります。
このような状況では、医師が事故後の経過や回復状態を十分に把握できないため、診断書作成を拒まれることがあります。
この問題を避けるためには、整骨院での治療を希望する場合でも、事前に医師の許可を得て整形外科と併用するよう心がけましょう。
少なくとも月に1回は整形外科を受診して経過観察を受けることで、医師が症状の推移を把握できるようになり、後遺障害診断書の作成がスムーズになります。
ケース③:転院したばかりで情報が少ない
医師が後遺障害診断書の作成を断る理由として、治療経過やケガの状況を十分に把握できていないケースがあります。特に転院した場合や通院頻度が少ない場合に起こりやすい問題です。
この問題への対処方法として、しばらく定期的に通院し、医師にケガの状態を十分に把握してもらうことが大切です。
また、転院した場合は、以前通っていた病院から治療記録を取り寄せて新しい病院へ提出することで、事故当初からの症状や治療経過についての情報を性格に伝えることができます。
適切な診断書を手にするためにも、医師への情報共有が重要です。
【Q&A】交通事故後の診断書に関してよくある質問
診断書といっても、交通事故後の診断書請求の場合にはどのような点に注意する必要があるのでしょうか。ここではよくある質問をまとめました。
Q.整骨院で診断書を書いてもらえますか?
▲整骨院で診断書は発行できる?
整骨院で診断書を書いてもらうことはできません。整骨院に勤務しているのは柔道整復師であり、医師ではありません。診断書は医師法に基づき、医師または歯科医師のみが作成できる文書とされています。
接骨院も同様に、医師ではなく柔道整復師が施術を行う施設であるため、診断書の作成はできません。
診断書が必要な場合は、必ず病院や診療所などの医療機関で医師の診察を受け、医師に作成を依頼する必要があります。
交通事故の治療で整骨院・接骨院に通院する場合でも、診断書が必要なときは別途医師の診察を受けましょう。
関連記事整骨院で診断書はもらえる?施術証明書との違いや扱い方を解説
Q.診断書はあとからもらえますか?
診断書はあとからでも取得可能です。
一般的に医療機関では、診療記録が5年以内であれば保管されているため、その期間内なら過去の治療に基づいて診断書を作成してもらえます。
ただし、単に記録を見るだけでは十分ではなく、多くの場合は再受診が必要になります。医師が現在の状態を確認した上で、過去の記録と照らし合わせて診断書を作成するためです。
診断書の取得を希望する場合は、診療を受けた医療機関に連絡し、再受診の予約をとりましょう。その際、診断書が必要な理由や目的も明確に伝えるとスムーズでしょう。
Q.診断書をコピーして使っても問題ないですか?
診断書の提出においては、原本の提出が原則となっています。
コピーを提出するケースでは、受理してもらえないことが多いため注意が必要です。
公的機関や保険会社などの多くは、改ざん防止を理由とし、原本の提出を求めています。特に交通事故の保険請求や後遺障害認定の申請では、原本以外は受け付けないというルールが設けられていることがほとんどです。
Q.診断書を作成したあとに、新しく症状が出た場合はどうすればいいですか?
交通事故後に新たな怪我や症状が発覚した場合、診断書を再提出することが重要です。
これは損害内容の変更につながり、後から発覚した怪我も、交通事故の被害として正当に主張できる可能性があります。
ただし、新たな症状に気づいた場合は早急に病院を受診しましょう。
時間が経過するほど、その症状と交通事故との因果関係の立証が困難になっていきます。医学的に事故との関連性を証明するハードルが高くなるため、症状に気づいたらすぐに医療機関を受診し、診断書を取得して提出するようにしましょう。
交通事故後の診断書は種類によってすぐもらえる
交通事故後の診断書は種類によって、すぐにもらえることもありますが、受け取りまでに数週間単位で時間が必要なものも存在します。
本当に必要な時に、手に入らず困ってしまうことのないよう、診断書の発行依頼は余裕をもって行いましょう。
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この記事を監修したのは…
看護学校卒業後、総合病院にて外科病棟、救急病棟、外来等、急性期看護を経験。結婚・出産を経て、看護師として臨床以外でスキルを磨けるライターに魅力を感じ、活動を開始。現在、医療福祉系の記事を中心に執筆中。
この記事の執筆者
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