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自転車と車の事故は人身事故にするべき?メリットや物損との違いを解説

監修記事

河野 裕也

理学療法士

自転車に乗っていて、車と交通事故にあってしまい、人身事故扱いにすべきか物損事故扱いにすべきか、それぞれどのようなメリットがあるのか悩んでいませんか?

交通事故の被害者にとっては、物損事故扱いにするとデメリットが多いので「人身事故扱い」にすべきです。

本記事では、以下の内容について解説しています。

  • 人身事故と物損事故の違い
  • 人身事故にするべき理由
  • 人身事故に切り替える流れ
  • 自転車と車の事故における注意点

「車の加害者に物損事故扱いにしてほしいと言われて困っている…」
「人身事故と物損事故の違いを知りたい」
という方は、ぜひ参考にしてください。

自転車と車の事故における人身事故と物損事故の違い

物損事故と人身事故の違い

▲物損事故と人身事故の違い

交通事故では事故の状況、被害の状況によって「人身事故」と「物損事故」の2つに分かれます。人身事故は人に対する事故で物損事故は物に対する事故であり、この2つには加害者が負う責任や被害者が受けられる補償に大きな違いがあります。

人身事故の場合、加害者側にはデメリットが多いため「物損事故にしてもらいたい」と言われる可能性があります。安易に応じてしまうとトラブルの元になりますので人身事故と物損事故の違いをしっかり理解し、不利益をこうむることがないようにしましょう。

人身事故とは

人身事故とは事故により人が怪我をしたり命を落としたりする事故のことです。人身事故では被害者の身体に直接的な被害が及んでいるため物損事故と区別されます。

加害者は過失の大きさによって過失傷害罪や重過失傷害罪といった罪に問われることになります。被害者は壊れた物があれば物の補償と身体的な損害に対する治療費、通院交通費、慰謝料などの補償を受けることができます。

人身事故で補償される積極損害、消極損害、慰謝料について

物損事故とは

物損事故とは:死亡や怪我を負った人がいない交通事故の事

▲物損事故とは?

物損事故とは車同士の衝突で車が損壊したり、車と自転車が衝突して自転車が損壊したり、建物や道路設備が破損したりする場合など物に損害が生じる事故のことです。

重要な点は人が怪我をしたり命を落としたりなど直接的な人への影響はなく、物にのみ被害が生じているということです。警察官が現場を確認し物損事故であると判断します。

物損事故では物の修理費用などの賠償責任は発生しますが、人身事故に比べると法的な責任は軽くなります

関連記事交通事故の種類、物損事故と人身事故について実際にあった相談と解説

自転車と車の事故で人身事故扱いにするメリット

自転車と車の事故を人身事故として扱うメリットは、損害賠償を請求しやすいこと事故状況の証明がしやすいことなどがあります。逆に加害者にとってはデメリットが多いため、「物損事故にしてもらいたい」と言われることもあります。

適正な補償を受けるためにも人身事故によるメリットをしっかり理解しておきましょう。

損害賠償の請求がしやすい

交通事故の損害賠償の内訳

▲交通事故の損害賠償の内訳

物損事故では補償を受けられる範囲が物になります。そのため、事故当初はさほどひどくなかった痛みなどの症状が後になって強くでてきても物損事故として処理されている場合は治療費や通院費などを請求することが難しくなります。

人身事故であれば物への補償はもちろん、治療費や通院費などの治療における補償や後遺症が生じた場合の後遺障害等級に基づいた補償を受けることができます。また、慰謝料休業損害などの精神的・経済的な損害に対する賠償も請求することができます。

そのため、人身事故として扱うことで安心して治療に専念することができます。

弁護士監修物損事故と人身事故の損害賠償の違いとは?

事故状況の証明がしやすい

人身事故として扱うことで、事故の詳細が警察の現場検証などにより実況見分調書として公式に記録されます。これにより、関係者の証言や物的証拠、客観的な視点から事故の原因や状況、事故の責任が明確となり過失割合で揉めるようなトラブルを未然に防ぐことができます。

過失割合とは?

▲過失割合とは?

また、実況見分調書に記載された情報は保険会社が賠償を決定する際の参考となり、適切な賠償金や保険金をスムーズに受け取りやすいといったメリットもあります。

関連記事交通事故を人身扱いにしないリスク|扱いの違いを加害者・被害者のどちらも解説

人身事故に切り替える流れ

物損事故から人身事故への切り替え(切り替え方法と提出期限について)

▲物損事故から人身事故への切り替え(方法と期限)

事故直後は興奮状態にあり、痛みなどの症状に気が付かないことが多くあります。症状がない場合は怪我人なしと判断され、物損事故として処理されることになります。しかし、事故から時間が経過して痛みなどの症状が現われることも多くあります。

この場合は物損事故から人身事故へ切り替えをしましょう。物損事故から人身事故に切り替える場合、いくつか手順があります。

病院を受診し診断書をもらう

交通事故治療における診断書の内容と役割

▲交通事故治療における診断書の内容と役割

症状がある場合はすぐに医療機関を受診しましょう。物損事故から人身事故へ切り替えるためには医師による「診断書」が必要となります。

これは事故と症状の因果関係を証明するものであり、医療機関への受診が遅れてしまうと事故と症状の因果関係を証明することが難しくなるケースもあります。そのため、なるべく早く受診する必要があります。

また、この診断書は病院の医師のみ発行することが可能であり、整骨院などではもらうことができないため注意しましょう。

遅くとも事故後10日までに警察へ診断書を提出する

警察への診断書の提出が遅れるとどうなる?(人身事故への切り替えが難しくなるリスクと調査が難しくなるリスク)

▲警察への診断書の提出が遅れるとどうなる?

医師から診断書を受け取ったら、その診断書を事故を管轄する警察署へ提出しましょう。そして、物損事故から人身事故への切り替えを依頼します。

切り替えの期限については明確にはされていませんが、医師からの診断書と同様に期間が空いてしまうと怪我と事故との因果関係が曖昧とされてしまう可能性があるため、できるだけ早く切り替えの手続きをしましょう。一般的には事故発生から10日以内が良いとされています。

関連記事交通事故での診断書は警察に出すべき?出さないべき?

自転車と車の事故における注意点

自転車と車の事故の場合「軽く接触しただけだから大丈夫」と自己判断したり、痛みはないから物損事故でいいやと安易に考えたりしてはいけません。物損事故で処理されてしまうと自賠責保険の補償が受けられないため、人身事故と比べて補償の程度が大きく変わります。

自賠責保険とは、自動車やバイクを所有する全ての人に、加入が義務付けられている強制保険。交通事故の被害者の救済が目的で、補償対応は人身事故の被害者。そのため、物損事故あ対象外となる。また、請求できる賠償金には限度額が定められている。

▲自賠責保険とは?

症状は後から出てくることも多いため、接触した事実があるのであればすぐに警察を呼んで適切に処理をしてもらいましょう。

もし事故直後に痛みがなくても病院へ行く

交通事故後、痛みがなくても病院に行くべき理由

▲交通事故後、痛みがなくても病院に行くべき理由

事故直後は興奮状態でもあるため痛みに気が付かず、後から症状が出てくることが多くあります。そのため、事故直後に症状がなくてもまずは病院を受診するようにしましょう。

人身事故扱いにするには病院の医師が発行する診断書が必要となります。診断書は事故と症状の因果関係を証明するものでもあり、事故発生から期間が空いてしまうと事故と症状の因果関係を証明することが難しくなるためなるべく早く病院へ行き医師の診断書をもらうようにしましょう。

その場での示談は避ける

加害者側にとって人身事故は免許の違反点数が加算されたり刑事罰が発生したりとデメリットが多くあります。そのため「物損事故にしてほしい」「警察は呼ばずに示談で済ませたい」とお願いされる可能性があります。

しかし、事故直後は被害の全容がわからないことも多くあり、後から重い症状が出てくる可能性があります。その場合、示談にしてしまうと適切な補償を受けることができなくなってしまいます。

また、道路交通法では事故の当事者は警察を呼ぶ義務があります。そのため、どんなに軽微な事故であろうが加害者からお願いされようが必ず警察を呼ぶようにしましょう。

安易に物損事故で処理しない

人身事故扱いにするには病院で医師から診断書をもらったり、それを管轄の警察署へ提出したりなど手続きに手間がかかってしまいます。しかし、物損事故のままでは物の損害に対する賠償のみしか受けることができず医療費や慰謝料などの人的損害に対する適切な賠償を受けることができません。

また、人身事故に切り替えることで警察から正式な実況見分調書が発行され、これが法的手続きにおける重要な証拠となり保険会社との交渉をスムーズに進めることができます。そのため、被害者にとって物損事故のままではデメリットしかないため、安易に物損事故として処理しないようにしましょう。

関連記事人身事故で診断書を取り下げてほしいと言われたら?対処法やデメリットを解説

自転車と車の事故は人身事故扱いにするべき

今回は人身事故と物損事故の違いや人身事故扱いにするメリット、手続き方法などについて解説しました。加害者側は人身事故扱いになるとデメリットが多いため、物損事故扱いにしてほしいと交渉してくることがあります。

しかし、被害者の身体的、精神的、経済的な負担を軽減し、適切な補償を受けるためにも人身事故として扱うべきです。そのため、当事者同士だけでなく警察を呼んできちんと処理をするようにしましょう。

参考
1)警視庁Webサイト:交通事故をめぐる諸問題
2)国土交通省 自賠責保険・共済ポータルサイト:損害賠償を受けるときは?
3)国土交通省 自賠責保険・共済ポータルサイト:支払までの流れと請求方法

この記事を監修したのは…

国家資格である理学療法士として、約10年間整形外科クリニックで一般の患者様からスポーツ選手の身体のケアに携わり、その後理学療法士の養成校の教員として身体の仕組み、治療技術などについて学生に講義を行っています。早稲田大学大学院スポーツ科学研究科にて修士取得。

この記事の執筆者

理学療法士 / 河野 裕也
国家資格である理学療法士として、約10年間整形外科クリニックで一般の患者様からスポーツ選手の身体のケアに携わり、その後理学療法士の養成校の教員として身体の仕組み、治療技術などについて学生に講義を行っています。早稲田大学大学院スポーツ科学研究科にて修士取得。

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