10対0事故の示談金相場は?むちうちの損害を正当に評価しよう
監修記事
鍋谷 萌子
ビジネス実務法務検定3級
交通事故の示談金の相場は、それぞれの過失割合や怪我の有無によって異なります。
ここでは主に「交通事故の示談金とむちうち」をテーマに、
- 交通事故の示談金の相場は、どのような要素で決まるのか
- 10対0の場合の交通事故の示談金の相場
- 交通事故の示談金の計算方法
- むちうちの示談金の相場を決めるもの
- 10対0の事故でよくあるケース
などについて解説します。
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目次
示談金の基本は怪我の有無で異なること
交通事故の被害者となったときの示談金の額は、ケースごとで異なります。そのため、一概に「〇〇円である」とはいえません。
被害者となった人の立場(働いているかどうかなど)によっても変わってきますし、過失割合がどれくらいあったか、怪我の有無はどうか、そして怪我の重さはどれくらいかによっても大きく異なってきます。
そのため、実際の交通事故の示談金は、実際に話し合いをしてみないと決めることができません。ただ、示談金の計算式を知れば、交通事故の示談金の目安を知ることは可能です。
ここからは、例を交えながら示談金の計算方法を詳しく紹介します。
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交通事故の示談金の計算方法
交通事故の示談金は、「損害額と過失割合、損益相殺」によって求められます。ひとつずつ解説します。
損害額を計算し合算する
交通事故では「どれくらいの損害を受けたか」を求めることが重要です。この「損害額」は、怪我の治療費だけをいうのではありません。
たとえば、「交通事故の被害者となったため、予定していた仕事に行けなかった」「車が壊れた」などのような項目も、もちろん「損害」と考えられます。
交通事故が起きた場合は、まずはこれらの個別の損害額を計算し、それを合算します。
この段階で見落としがあると、示談金の額が大きく減ってしまうので注意が必要です。
過失相殺の適用
交通事故は、「どちらかだけが完全な被害者であり、どちらかだけが完全な加害者である」というケースばかりではありません。被害者の方にも過失が認められる場合もあります。
このような場合は、被害者の過失割合を考慮したうえで示談金の額が決定されます。
たとえば被害者側に2割の過失があった場合、被害者側に過失がまったくなかった場合に比べて、支払われる額が2割低くなります。
損益相殺の適用
交通事故によって支払われるお金は、加害者側からの示談金だけではありません。たとえば労災保険や人身傷害補償保険などからお金が支払われることもあります。
これらを受け取った場合、示談金として支払われる総額から、この分の金額が差し引かれます。
ただこのあたりは、怪我をしている状況で一人で判断するのは難しいので、適宜専門家に相談した方がよいでしょう。
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10対0の事故でむちうちになった場合の示談金相場
すでに述べた通り、交通事故の場合は過失割合によってもらえる示談金が変わります。加害者:被害者の過失割合が10対0の場合と8対2の場合、6対4の場合では示談金が異なってくるのです。「被害者に過失があった場合、過失がなかった場合(満額支払い)よりも支払われる額が少なくなる」と考えてください。
POINT
過失割合が10対0の場合
過失割合が10対0の場合は、当然減額はされません。また、後遺障害があるかどうかでも、貰える額は異なってきます。さらに自賠責で処理をするか、弁護士に頼んで処理するかでも費用は異なります。
むちうちだけの場合
「むちうちになったが、後遺症はないようだ」と判断される場合は、通院2か月と治療30日程度で、25万円(自賠責)~36万円(弁護士)程度の幅に落ち着くことが多いといえます。
なお通院期間が長くなったり、治療期間が長くなったりすれば、その分もらえる金額は大きくなります。
むちうちと後遺障害がある場合
交通事故においては「むちうち」は非常にメジャーな症状であり、多くの場合適切な治療を受ければ完治します。またむちうちは、レントゲンなどによる画像判定が難しいこともあり、後遺症認定が受けにくいという現状があります。
しかし痛みが長く続いていたり、治療をしても症状が収まらなかったりした場合、後遺障害と認定されることがあります。後遺障害と認定されれば、後遺障害を受けたことによるお金が支払われます。
後遺障害等級が認められた場合の慰謝料相場
交通事故の被害者がむちうちとなり、その結果として後遺障害が残った場合は、それに応じたお金が支払われます。
むちうちの場合、12級(の13号。画像判定の難しいむちうちであるにも関わらず、CTやレントゲンで異常が認められるもの)と14級(他から見て判断できないものであっても、痛みなどが残っている状態)のいずれかが適用されることが多いといえます。12級の場合は上記の金額に加えて、自賠責では94万円、弁護士基準では290万円、14級では自賠責で32万円、弁護士基準で110万円が支払われます。
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むちうちの示談金の相場は通院日数・期間がポイント
むちうちに限った話ではありませんが、交通事故の被害者となった場合の示談金の相場を決める大きな要素として、「通院日数(期間)」があります。
当然のことながら、通院日数(期間)が長ければ長いほど、示談金の額も高くなります。
「自賠責保険」に注目した場合、支払われる額を求める方法として、以下の計算式があります。
- 4,300円×通院期間
- 8,600円×通院日数
1と2、いずれか小さい方の金額を基準に支払いが行われることになります。
「1と2で、どうして支払われる金額に2倍もの違いがあるのか」と疑問に思う人もいるかもしれません。
これは、通院の「期間」と「日数」の違いによるものです。
たとえば、7月10日に交通事故にあい、8月10日までの1か月の間に、10回病院に通ったとしましょう。
この場合、1の計算式にある通院「期間」に置き換えると、4,300円×31日間(通院が終わるまでの期間)=13万3,000円となります。
対して2の計算式の通院「日数」にした場合、通院した日数は10日であるため、8,600円×10日=86,000円となります。
むちうちの治療期間と症状固定
むちうちの症状は人によって異なりますが、おおむね3か月程度、遅くても6か月程度で完治します。
ただ、上記でも述べたように、むちうちでも後遺症が出る場合があります。「これ以上治療をしても症状の改善が見込めない(=症状固定)」になった場合は、後遺症が出た場合に支払われる「後遺障害慰謝料」を受け取れます。
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10対0の事故としてよく認められているケース
交通事故で10対0になるケースとしては、下記のようなものが挙げられます。
- 完全に停車している状態で、後ろから追突された
- 青信号で進行中の車や人が、赤信号を無視してきた車にぶつかられた
- 正しく走行していた車が、センターラインをオーバーした車にぶつかられた
なお、自動車対自転車、あるいは自動車対歩行者の場合は、たとえ自動車側が正しく走行していたとしても、自動車側に過失があるとされることもあります。これは、自動車に比べて自転車・歩行者が「弱者」であるとして扱われるからです。
ただ、交通事故のかたちは千差万別であり、過失割合もまた個々のケースで異なることは覚えておかなければなりません。
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10対0の事故でむちうちになった場合の示談金で使われる基準
上記でも触れてきましたが、ここからはさらに詳しく、「交通事故で支払われる示談金の基準」について解説します。
交通事故で支払われる示談金には、
- 自賠責基準
- 任意保険基準
- 弁護士基準
の3つがあります。
なおここでは主にむちうちのことを取り上げていますが、この基準自体はほかの怪我の場合でも適用されます。
自賠責基準
自賠責とは、「自動車損害賠償責任保険」の略称です。車を所有している人すべてに加入が義務付けられているものであり、「最小限のものではあるが、被害者が保証を受けられること」を目的として作られたものでもあります。
死亡事故でも上限額が3000万円、むちうちなどの怪我の場合は上限額が120万円、後遺障害が残った場合は4000万円を上限とします。ただしむちうちの場合、すでに述べた通り、後遺障害が認定されても、12級あるいは14級程度にとどまります。自賠責保険では、12級の場合は224万円、14級の場合は75万円と支払額が定められているため、多額のお金がおりることはありません。
任意保険基準
任意保険とは、加害者(となった人)がその名前の通り任意で加入している保険です。ただ、「任意」といっても、実際には90パーセント近い人がこれに加入しているとされています。
対人賠償保険や対物賠償保険などのように「被害者への保証」を目的としたものもあれば、人身傷害保険のように「加害者をも保証すること」を目的としたものもあります。
なお任意保険の場合は、自賠責保険よりも支払われる額が大きくなるのが基本です。
弁護士基準
「裁判所基準」とも呼ばれているのが、「弁護士基準」です。これは、過去の判例などに基づき金額を決めるものです。
弁護士基準は自賠責基準の1.5倍~2.5倍程度の金額となるのが一般的です。また護士基準の場合、自賠責基準と保険とは異なり、個々の状況が考慮されやすくなっています。
交通事故の示談金やむちうちは適切な対処が大切
交通事故は、個々の事例によって支払われる示談金が大きく異なります。怪我はしているのか、怪我の重さはどれくらいなのか、過失割合はどうなっているのかなどによって、示談金の金額が変わってくるわけです。それは、交通事故でよくみられる怪我である「むちうち」であっても同じです。
また、自賠責保険で処理するか、任意保険を基準とするか、弁護士基準を利用するかの判断でも、金額は変わってきます。一人で処理することはなかなか難しいので、専門家に相談するとよいでしょう。
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交通事故関係、弁護士事務所・クリニック等でのコラム執筆を数多く経験。確かな情報収集力を元に、常に正しく信頼のおける情報を「誰であっても理解できるかたちで」わかりやすく丁寧に解説していきます。
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