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腰椎捻挫の症状とは?後遺障害等級についても解説

交通事故後、腰痛の症状があらわれていませんか。もしかしたら、腰椎捻挫を発症しているかもしれません。交通事故で発症した腰椎捻挫は、後遺症が残ることもあります。そのため、十分な損害賠償を請求できるのか、気になる方もいるのではないでしょうか。

この記事では、腰椎捻挫の症状や後遺障害等級認定について解説していきます。

腰椎捻挫とは?

腰を叩く腰痛の女性

交通事故で車と衝突すると、体に大きな衝撃を受けます。そのため、交通事故で腰に大きなダメージを受けて、腰椎捻挫を発症する可能性もあります。

腰椎捻挫が起こる原因

腰椎捻挫とは、腰椎に無理な力が加わって椎間関節が捻挫をした状態です。交通事故や重いものを持ち上げた際に、発症することが多いといわれています。

腰椎捻挫であらわれる症状

腰椎捻挫であらわれる症状は、主に腰の痛みです。安静にしていると痛みが軽減し、動くと痛みが強くなるという特徴があります。また、腰痛に加えて下肢の痛みやしびれなどの神経症状がある場合は、ヘルニアや脊椎管狭窄症の可能性があります。

腰椎捻挫の治療法

腰椎捻挫の場合、主に保存療法が取られ、以下のような治療を行うことになります。ただし、腰椎捻挫は後遺症が残ってしまう可能性があるため、早期のうちに治療を行うことが大切です。

  • 痛み止めの服用
  • コルセットを着用して安静を保つ
  • 湿布を貼る
  • マッサージを受ける
  • 電気療法を受ける
  • 鍼灸を受ける           など

腰椎捻挫の治療には、上記のように様々な方法があります。しかし、腰椎捻挫を受傷した直後は、安静を保つようにしましょう。腰椎捻挫の受傷直後に体を動かしてしまうと、かえって症状が悪化する恐れがあります。

腰椎捻挫の痛みが落ち着いてきたら、安静によって硬くなった筋肉をほぐす、マッサージや電気療法などを受けることをおすすめします。

治療にかかる費用について

交通事故で腰椎捻挫となった場合、治療にかかる費用は加害者側の保険会社へ請求することができます。
交通事故の加害者には、被害者の怪我が完治または症状固定となるまでの治療費を支払う義務があるからです。

しかし、一定の治療期間を過ぎることで、症状が残っているにもかかわらず加害者側の保険会社から「そろそろ症状固定にしてはどうか?」と治療費支払いの打ち切りを打診される場合があります。
ここで治療費支払いの打ち切りに応じてしまうと、それ以降の治療費は自己負担しなければなりません。

対処法としては、通院先の主治医に相談することをおすすめします。
症状固定の判断をするのはあくまで医師であるため、医師に医学的観点から治療の継続の必要性について意見を伺うことで、治療費支払いの打ち切りが撤回されることがあります。
それでも治療費の支払いが打ち切りとなってしまった場合は、それ以降の治療費は健康保険を利用しながら通院を続け、示談交渉にて自己負担分の治療費を請求することも可能です。

▶︎参考:保険会社が治療費支払いの打ち切りを打診してくる理由とは

腰椎捻挫の症状が残った時は

悩む女性

もしも腰椎捻挫の症状が後遺症になってしまった場合は、後遺障害等級認定を申請しましょう。後遺障害等級認定とは、交通事故が原因で残った後遺症が後遺障害の等級に該当するか、該当する場合はどの等級に値するかを審査し、認定するものです。

後遺障害等級認定を申請し、後遺障害の等級が認定された場合、交通事故の被害者は後遺障害慰謝料逸失利益を受け取ることができます。

腰椎捻挫で該当する可能性がある後遺障害等級

腰椎捻挫で該当する可能性のある後遺障害の等級は、基本的に12級または14級ですが、非該当となることもあります。

  • 12級:局部に頑固な神経症状を残すもの
  • 14級:局部に神経症状を残すもの

腰椎捻挫による後遺症が非該当となる理由としては、上記の等級に当てはまらないと判断されるためです。そもそも神経症状は、他覚所見がみられない症状です。そのため、第三者に神経症状があることを証明することは難しいといわれています。

後遺障害認定を受けるためのポイントとは

手続きを行う女性

腰椎捻挫による後遺症が、後遺障害等級認定で12級または14級として認定されるには、以下の基準を満たしていなければなりません。

  • 12級:神経症状があることを医学的に証明できる
  • 14級:神経症状があることを医学的に説明できる

上記の基準を満たし、後遺障害等級認定で非該当と判断されないためには、5つのポイントがあります。

①画像所見があること

MRIやCTなどの画像検査は、体の異常を客観的に確認できる手段の1つです。画像検査を受けて体に起こっている異常が発見できた場合、「医学的に証明できる」という基準が満たせるため、後遺障害12級が認定されます。

②神経学的検査を受ける

MRIやCTなどの画像検査によって異常がみられなくても、神経学的検査で障害があると認められれば、「医学的に説明できる」と判断されます。そのため、神経学的検査の結果によっては、後遺障害14級が認定されることもあります。

腰椎捻挫の場合、以下の神経学的検査を受けるとよいでしょう。

  • ラセーグテスト(下肢伸展挙上テスト)
  • ブラガードテスト           など

上記のような神経学的検査はどちらも寝た状態で足をあげさせたり、足をあげて足首を曲げたりした場合に、痛みが生じるかをみる検査です。ただし、神経学的検査は医師から積極的に行ってくれない可能性があります。したがって、自ら進んで神経学的検査を受けたいと医師へ伝えるようにしましょう。

▶︎参考:神経学的検査の内容について詳しく知りたい方はこちら

③整形外科への定期的な通院

後遺障害等級認定で非該当となってしまう場合、以下のような通院が影響していることがあります。

  • 事故発生から2週間以上経って初めて病院を受診した
  • 整形外科と整骨院を併用していたが、途中で整形外科への通院をやめてしまった
  • そもそも整形外科へ通院していない  など

上記のような場合、後遺障害等級認定の申請に必要な後遺障害診断書が取得できない恐れがあります。そのため、後遺障害があることを証明できない、そもそも事故と怪我の因果関係が認められないといった事態を招いてしまいます。

このような事態を防ぐためにも、定期的に整形外科へ通うようにしましょう。

④症状に一貫性、連続性があること

画像検査や神経学的検査で異常がみられず、自覚症状しかない場合でも症状の一貫性や連続性があれば、後遺障害14級が認定されることもあります。

症状に一貫性、連続性がないと判断される要因としては、以下のことが挙げられます。

  • 治療の途中で、今までなかった新たな症状を急に訴え始めた
  • 自己判断で治療をやめ、その後期間を空けて治らないという理由で、再度通院を開始した
  • 治療を受けている途中で、症状が重くなったと訴えた       など
  •   

ただし、上記のような場合でも合理的な理由があれば、後遺障害等級認定で等級が認定される場合があります。例えば、自分以外にはできない重要な仕事があった場合です。このように、治療を犠牲にしてでも優先するべきだった行動であるという、それ相応の説明がつき、証拠を示す必要があります。

⑤自覚症状は医師へしっかりと伝えること

腰痛の症状を招く腰椎捻挫は、以下5つの病態に分類することができます。

  • ①腰椎捻挫型:下肢症状を伴わず、腰部の痛みのみが主な症状
  • ②神経根型:腰痛、片方の下肢に症状があらわれ、神経根支配領域と一致した筋力または知覚障害が存在する
  • ③円錐部型(えんすいぶがた):腰痛、両方の下肢に症状があらわれ、下肢反射の異常や膀胱直腸障害を伴う
  • ④馬尾型(ばびがた):腰痛、下肢痛、間欠性跛行(かんけつせいはこう)、膀胱直腸障害を伴う
  • ⑤その他:疼痛の範囲が腰部から背部、頚部と広範囲にわたり、痛みが収束していない場合など、病巣の同定が困難な状態

そのため、後遺症の自覚症状から特徴を整理し、類型に該当することを立証できれば後遺障害の等級が認定されることもあります。

したがって、初診時から自覚症状を正確に伝えることが大切です。また、後遺障害等級認定は、書類のみで等級を認定します。そのため、病院で受け取る後遺障害診断書の記載内容が重要になります。

後遺障害等級の認定結果に納得がいかなかった場合は

悩む女性

後遺障害等級認定の結果に納得がいかなかった場合は、異議申し立てを行えば、再度審査を受けることができます。

異議申し立ての方法は、後遺障害等級認定を事前認定と被害者請求のどちらで行ったかで異なります。事前認定の場合は任意保険会社へ、被害者請求の場合は自賠責保険会社へ、異議申立書と新たな証拠となる資料を提出しなければなりません。

異議申し立てには回数制限がなく、損害賠償請求の時効となるまで何度も異議申し立てを行うことができます。また、異議申し立てを行う際に、費用がかかることはありません。

納得のいく結果を得るためには

後遺障害等級認定で納得のいく結果を得るためには、後遺障害の等級が認定されるような証拠や書類を申請の段階から揃えておく必要があります。また、後遺障害等級認定を行う場合は、被害者請求で行うことをおすすめします。

被害者請求の場合、自身で後遺障害等級認定に必要な書類を取得・作成することになります。被害者自身で書類を取得・作成した場合、後遺障害等級認定が有利に進められるような書類を作成することも可能です。

しかし、後遺障害等級認定を被害者自身だけで進めることは難しいものです。後遺障害等級認定の申請が難しいと思った場合は、弁護士に相談しながら申請手続きを進めるようにしましょう。

▶︎参考:後遺障害等級認定の2つの請求方法について詳しく知りたい方はこちら

まとめ

人差し指を立てる白い女性

いかがでしたか。交通事故後に腰痛があり、下肢にしびれがない場合は、腰椎捻挫を発症している可能性があります。腰椎捻挫になった場合は、保存療法による治療を受けましょう。

しかし、治療を受けているにもかかわらず、後遺症が残ってしまった場合は、後遺障害等級認定を受けることをおすすめします。後遺障害等級認定で等級が認定されるためには、以下5つのポイントを押さえることが大切です。

  • 画像所見の有無
  • 神経学的検査を受けること
  • 整形外科への定期的な通院
  • 症状に一貫性、連続性があること
  • 自覚症状は医師へしっかりと伝えること

この記事の執筆者

交通事故病院編集部 ライター / T.N
大学を卒業し、出版社で取材や編集業務を経験。その後、WEBメディアの執筆に転向し、事故に関する様々な知識を多くの人に届けるべく、日々邁進中。現在は、交通事故専門士の資格を取得するために勉強をしている。座右の銘は、格物究理。

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