むちうちの治療費は3ヶ月打ち切り!?防止策と慰謝料で後悔しないための方法を解説
監修記事

柿野 俊弥
理学療法士
むちうちの治療費は、3ヶ月で打ち切りを打診されるケースがほとんどです。しかし、治療が必要であれば交渉も可能です。
本記事では、打ち切りを打診された場合の対策や、延長する方法・慰謝料の相場を解説します。
交通事故でむちうちと診断された方の多くが直面する問題が、保険会社からの「治療費の打ち切り」です。とくに事故から3ヶ月経過すると、多くの被害者が保険会社から打ち切りを打診されます。
しかし、まだ痛みや不調が残っていて治療を続けたい場合は終了したくないでしょう。
本記事では、なぜ保険会社がむちうちを3ヶ月で打ち切りにしようとする理由、打ち切りされるデメリット、そして打ち切りを防止・延長する方法について詳しく解説します。
もしむちうちの治療中の方は、後悔しない対応のために参考にしてください。
-
まずはお気軽にご連絡ください
- 電話受付時間 9:00~22:00
-
LINEで無料相談
(24時間365日、受付) -
WEBで無料相談
(24時間365日、受付)
目次
保険会社による「打ち切り」とは
保険会社による治療費の打ち切りは「一括対応の停止」のことです。
通常、加害者側の任意保険会社は、医療機関に治療費を直接支払うサービス(一括対応)を提供していて、被害者は窓口で支払わずに治療を受けられます。

▲任意一括対応の流れ
このサービスは保険会社によるものであるため、自己判断での停止が可能です。治療の終了を提案されるケースもあれば、一方的に打ち切り通告されるケースもあります。
ただし、必ずしも応じる必要はありません。むちうちの治療が必要な場合は交渉しましょう。
関連記事保険会社が治療の打ち切りを連絡してきたら?理由と対処法を解説
実際に交通事故通院中に打ち切りの打診は来るの?
交通事故による怪我の治療で通院をしていて、実際に保険会社から治療費の打ち切りの打診を受けた経験のある方の体験談を紹介します。
実際にどのようなケースがあるのか、まだどのような対策ができるのかについて、ぜひ参考にしてください。
事例①通院開始時に『すぐ打ち切りますから』と言われてしまい…
衝突事故でむちうち等の症状があり、6ヶ月ほど通院したまじぇんたさん(50代・会社員)の事例を紹介します。
まじぇんたさんは相手側の保険会社の対応について、以下のようにお話しされています。
保険会社の対応が酷くて、通院開始時に『すぐ打ち切りますから』と言われてしまいました。
その後、慰謝料が目的で通院していると決めつけるような発言があったことで耐えきれず、弁護士に依頼して対応してもらうことにしました。
自身の任意保険で「弁護士特約」に入っていたことを思い出し、接骨院から紹介された弁護士に依頼したことで解決したそうです。
また、まじぇんたさんの同僚が事故に遭った際には、重いダメージがあったのに3か月で治療が打ち切られてしまったそうですが、最終的にまじぇんたさんは倍の6か月通院することができました。
通院について、以下のようにお話しされています。
治療期間の差はやはり通院した病院や先生の対応が影響していると思います。自分のことや手続きを考えると、病院は慎重に選ばれた方がいいですね。できれば、理解のある病院を紹介してもらうのが一番だと思います。
まじぇんたさんの体験談の詳細については下記の記事でご覧いただけます。
事例②通院開始1ヶ月で通院終了の提案をされて…
衝突事故でむちうち等の症状があり、6ヶ月ほど通院したかいろさん(30代・会社員)の事例を紹介します。
かいろさんは通院開始1ヶ月くらいで保険会社から通院終了の提案をされたそうです。
通い始めて1ヶ月くらいで、保険屋さんからの病院の終了の提案がすごくて、それを話す電話がしんどかったです。
2週間に1回くらい電話がきたので、整骨院の先生に相談しました。整骨院の先生も慣れていて、どうしても返答とかわからなかったら相談してと言われて対応していただきました。
保険会社から度々連絡が来ていたそうですが、整骨院の先生に対応してもらえたことで6ヶ月ほど通院を継続できたそうです。
かいろさんの体験談の詳細については下記の記事でご覧いただけます。
体験談追突事故で後から痛みが…整形外科と整骨院の併用通院〜示談まで
むちうち等、交通事故後の痛みや違和感でお困りではありませんか?
「交通事故病院」の相談窓口なら、交通事故後の通院先について無料相談できます。
質問・ご相談・ご予約、全て0円!
さらに、通院で最大20,000円のお見舞金もあり!(※お見舞金の詳細はこちら)
まずはお気軽にご連絡ください。
(電話受付時間 9:00~22:00)
保険会社が3ヶ月で打ち切りを打診する理由
保険会社がむちうちの治療費支払いを3ヶ月程度で打ち切ろうとする背景には、主に経済的な理由と医学的判断があります。
ただし、怪我の程度によってはさらに回復期間が必要であるため、安易に受け入れるべきではありません。ここでは、打ち切りが提案される主な理由を見ていきましょう。
むちうちの一般的な治療期間が3ヶ月のため
▲交通事故によるむちうち等の症状で通院した期間の集計結果
むちうちの治療期間は一般的に3~6ヶ月程度で、多くの症例は3ヶ月程度で改善します。
そのため保険会社は、3ヶ月程度が経過すると「治癒」か「症状固定(これ以上治療を続けても改善が見込めない状態)」になったと判断する傾向があります。
このような理由から、3ヶ月頃に打ち切りを提案されることが少なくありません。
しかし、むちうちの症状は人によって異なり、重症の場合は1年以上治療が必要なこともあります。
保険会社からの打ち切り提案があっても、自分の回復状態や医師の意見を優先して判断することが大切です。
▲加害者側の保険会社から治療費の打ち切りを打診されたらどうする?
支払う慰謝料や賠償金を低く抑えたいため
交通事故の賠償金には、怪我の精神的苦痛に対する「傷害慰謝料」が含まれています。慰謝料は入院・通院期間や日数に基づいて算定されるため、治療期間が長いほど金額も高くなります。
保険会社は治療期間を短くすれば支払う慰謝料を抑えられるため、早めに打ち切りを提案します。
保険会社としては合理的ですが、むちうちの回復を妨げる可能性があることを理解しておく必要があります。
症状固定と判断されたため
▲症状固定とは?
保険会社は病院と連携し、治療状況を把握しています。怪我の完治や、医師による「症状固定」の診断が出ると、治療費の打ち切りを打診することがあります。
この場合、原則として治療費の支払いは終了します。ただし、症状固定後も症状悪化を防ぐための治療や医師が必要と認める治療については、請求できる場合もあります。
治療費の支払いは「怪我の完治または症状固定まで」が原則で、それ以降は自己負担になるので注意が必要です。
関連記事むちうちの症状固定とは?期間の目安や受け取れるお金の変化まで解説
保険金詐欺や悪質な被害者へ対応するため
保険会社は、不当に多額の請求をする悪質なケースへの対応のため、対策を取らなければなりません。その対策の一環として、一定期間が経過すると打ち切りを打診することがあります。
しかし、実際には多くの被害者は真摯に治療を受けており、個別の事情を無視した一律の対応は問題があると言えるでしょう。
治療が必要だと感じている場合は、遠慮せずに保険会社に治療継続を訴えることが大切です。
むちうちの治療費打ち切りによるデメリット:打ち切りされるとどうなる?
保険会社による治療費の打ち切り後は、基本的に被害者が自費で治療を継続することになります。
経済的な負担がかかり、治療継続が難しくなります。その結果、本来改善できた症状が長引いたり悪化したりする可能性があります。
治療期間が短縮されることで、入通院慰謝料や休業損害などの各種補償金額も減ってしまいます。本来受けられるはずだった補償が十分に得られなくなるわけです。
後遺障害認定においては、継続的な通院記録が重要な証拠となります。とくにむちうちは画像検査で医学的所見が見つかりにくいため、通院記録が重視されます。
治療を中断すると後遺障害等級認定が困難になり、後遺障害慰謝料や逸失利益を請求できなくなる恐れがあります。
むちうちの治療費の打ち切りを防止・延長する方法
治療費の打ち切りを確実に阻止する方法はないのが現状です。しかし、打ち切り回避の可能性を高めるための対処法として、下記が挙げられます。
- 自己判断で通院をやめない
- 定期的に医療機関へ通う
- 打ち切りに安易に同意しない
- 症状や状態をこまめに伝えておく
- 整形外科に診断書や意見書を作成してもらう
- 不必要な転院はしない
- 弁護士に交渉を代行してもらう
それぞれ解説していきます。
自己判断で通院をやめない
自己判断で治療をやめると、その時点で症状固定とみなされ、治療が不要だと判断されてしまいます。一度でも通院を中断すると、その後の治療再開時に「事故とは無関係」だと主張される恐れもあります。
また、後遺障害認定でも不利益を被るリスクがあります。
後遺障害認定の要件の一つは、治療終了時の症状残存の証明です。治療を途中で中断すると、正しい症状固定判断の妨げになり、高度障害認定の難易度が上がってしまいます。
▲後遺障害認定の条件5つ
定期的に医療機関へ通う
通院頻度の目安は週に2~3回程度ですが、むちうちの症状によって適切な頻度は異なるため、医師の指示に従うことが大切です。
通院頻度が少なすぎると、保険会社に軽傷と判断される可能性があります。
一方で、通院の頻度が多すぎても過剰な治療が疑われ、打ち切りを打診されるリスクもあります。
また、慰謝料は通院日数を基準として算定されるため、適切な通院頻度を保つことで正当な補償を受けることができます。
打ち切りに安易に同意しない
保険会社から打ち切りの打診があった場合、まずは否定し、治療を継続したい意思をはっきりと伝えましょう。曖昧な返事は控えて、「まだ痛みがあり治療が必要」「治療継続を希望する」などと明確に伝えることが重要です。
また、保険会社は後遺障害申請を推奨し、遠回しに打ち切りを促すこともあります。その場合も「治療打ち切り」の意味だと理解し、治療の継続を希望することが大切です。
ただし、打ち切りの連絡を無視するのは避けましょう。無視すると一方的な打ち切りにつながる可能性があり、「反論なし=治療不要」と判断されかねません。
症状や状態をこまめに伝えておく
担当医師に自身の症状を詳細に伝えておくことも大切です。症状がある部位や内容、改善・悪化状況などを具体的に説明しましょう。
保険会社から確認があった場合に、医師が治療継続の必要性を主張でき、打ち切りを先延ばしできる可能性があります。
また、後遺障害診断書の適切な作成にもつながります。
▲後遺障害診断書とは?
整形外科に診断書や意見書を作成してもらう
保険会社からの打ち切り連絡には即断せず、医師の見解を確認することもよいです。治療終了の判断は、保険会社ではなく診察している医師のみができるものです。
医師が「治療が必要」と判断した場合、医師の見解を保険会社に伝えることが大切になります。
より効果的なのは、治療継続が必要だと記載した診断書・意見書を提出することです。診断書は病院から直接保険会社へ提示してもらうのが望ましいでしょう。
▲交通事故治療における診断書の内容と役割
多くの保険会社は医師の見解を重視する傾向にあるため、診断書の提出により治療費支払い延長の可能性は十分にあります。
不必要な転院はしない
治療上の必要性が認められる転院は問題ありませんが「医師と合わない」などの理由での繰り返しの転院は、治療継続を疑われる原因となります。
また、同じ種類の治療をいくつかの病院で同時に受診するのもおすすめできません。不要な受診と判断され、治療費全額が支払われない可能性があります。
どうしても転院したい場合は、担当医に転院の必要性を記した書面の作成を依頼しましょう。
弁護士に交渉を代行してもらう
原則として、被害者は治癒・症状固定までの治療費を請求することができます。
しかし、医師が治療継続の必要性を認めていても保険会社が医師の見解を無視し、早めに打ち切りを打診するケースもあります。
このような場合、弁護士に依頼して、保険会社と交渉してもらうことで、適切な治療期間の確保や賠償金の確保に努めてくれます。
打ち切り後も自己負担を少なくして通院を続ける方法
治療費支払いの打ち切りが決まった後でも、症状が残っている場合は治療が必要です。経済的な負担を抑えながら通院を継続するための方法はいくつかあります。
ここでは、打ち切り後に自己負担を最小限に抑えて治療を続けるための具体的な選択肢について解説します。
健康保険を利用して通院を継続する
医師が治療が必要と判断しても打ち切られた場合、健康保険を利用して治療を続けることができます。
打ち切り後の治療費は被害者が立て替えるのが原則ですが、健康保険を利用することで一時的に治療費の負担を減らすことが可能です。
交通事故治療で健康保険を利用するには「第三者行為による傷病届」の提出が必要です。
傷病届は、加入する健康保険組合等への連絡で手に入れられます。提出が遅れると健康保険が使えなくなる可能性があるため、早めの対応が重要です。
立て替えた治療費は、後日の示談交渉時に保険会社へ請求することも可能ですが、保険会社が全額を認めるとは限らない点に注意が必要です。
関連記事交通事故の治療費に健康保険は適用される?使う方法やデメリットを解説
加害者の自賠責保険に被害者請求する
▲自賠責保険とは?
事故から1~2ヶ月など、極めて短期間での打ち切りの場合、自賠責保険の限度額に達していない可能性があります。この場合、被害者から直接自賠責保険に請求することで、もう少し治療を継続できる可能性があります。
ただし、請求できるのは120万円の傷害部分の範囲内で、打ち切り前の支払額も含まれています。打ち切りの時点ですでに120万円を超過している場合は、被害者請求での回収はできません。
また、請求しても自賠責保険の調査結果次第では支払われない場合もあります。
関連記事自賠責保険は使うとどうなる?任意保険との併用や手続き方法を解説
自分で立て替えて示談交渉で請求する
▲交通事故の示談交渉とは
治療費の打ち切り後に立て替えた費用は、示談交渉時にまとめて請求することができます。
打ち切り後も完治または症状固定とされていない場合、事故による損害と認められれば、症状固定日までの立替分は回収できる可能性があります。
ただし、立て替えた治療費が全額補償されるとは限りません。保険会社は打ち切りは妥当だとして、賠償金減額のために争う姿勢を見せる可能性もあります。
請求の際には、病院発行の治療費領収書(原本)が必須となるため、大切に保管しておきましょう。
自分の自動車保険(人身傷害保険)を利用する
自身が加入している自動車保険の「人身傷害保険特約」を利用する方法もあります。人身傷害保険は、事故の治療費や休業損害等を補償する保険です。
人身傷害保険特約の大きなメリットは、示談前でも保険金を受け取れることです。治療費の自己負担なく治療が続けられます。さらに、過失割合に関わらず補償を受けられる点も大きなメリットです。
健康保険を使っても治療費負担が困難な場合の代替策として有効です。ただし、申請に時間がかかる場合もあるため、早めの保険会社への相談をおすすめします。
関連記事もらい事故で自分の保険は使う?利用するケースやデメリットを紹介
相手の自賠責保険の仮渡金制度を利用する
経済的に厳しい場合は、仮渡金で治療費を支払う方法もあります。
仮渡金制度とは、自賠責保険に設けられた制度で、怪我の状況に応じて一時金を受け取れるものです。自賠責保険に被害者請求を行い、仮渡金を申請することで利用できます。
仮渡金の申請には診断書などの書類が必要となり、審査に2週間程度の時間がかかることも考慮しておくことが必要です。
また、最終的な損害賠償額から仮渡金額が差し引かれることにも注意しましょう。
労災保険を利用する
業務中の交通事故で治療費が打ち切りになった場合、労災保険が使える可能性があります。労災保険は打ち切りがないため、継続して治療を受けることができます。
労災認定されやすい事例としては、以下のようなケースが挙げられます。
- 退勤時の運転中・同乗中の事故
- 社用車での営業中の事故
- 職業ドライバーの業務中の事故
- 出張中や業務命令での移動中の事故
- 社用車通勤が認められている場合の通勤途中の事故
労災認定の判断が難しい場合は、弁護士への相談がおすすめです。
労災保険が適用されれば、治療費の全額補償に加え、休業補償も受けられます。
まとめ:むちうちの治療費を3ヶ月で打ち切りされても対策方法はある
交通事故によるむちうちの治療費は、保険会社から3ヶ月程度で打ち切りを打診されることが多いですが、必ずしもその提案に従う必要はありません。
打ち切りを防ぐためには、自己判断で通院をやめない、定期的に通院する、打ち切りに安易に同意しない、症状を医師に詳しく伝える、診断書を作成してもらう、不必要な転院を避ける、弁護士に相談するなどの方法があります。
万が一打ち切られた場合でも、健康保険、自賠責保険への被害者請求、人身傷害保険、仮渡金制度、労災保険などを利用して治療を継続できます。
〈参考文献〉
国土交通省 自賠責保険・共済ポータルサイト「自賠責保険金(共済金)支払までの流れ」:https://www.mlit.go.jp/jidosha/jibaiseki/about/procedure/index.html
一般社団法人 日本損害保険協会 交通事故対応等:https://soudanguide.sonpo.or.jp/car/q040.html
-
まずはお気軽にご連絡ください
- 電話受付時間 9:00~22:00
-
LINEで無料相談
(24時間365日、受付) -
WEBで無料相談
(24時間365日、受付)
この記事を監修したのは…
理学療法士として、回復期病院で脳血管疾患を中心にリハビリテーションを経験。その後、フリーライターに転向。医療・健康分野をはじめ、地域・観光、転職関連などの幅広いジャンルの執筆を行っている。
この記事の執筆者
交通事故治療の
病院・整形外科を探す
交通事故施術の
整骨院・接骨院を探す
カテゴリ一覧
-
交通事故の症状・治療について
-
交通事故施術に強い整骨院
-
交通事故治療ができる病院
- 交通事故の通院・手続きについて(その他)
- 交通事故の弁護士